タイトルは《MINI TN30 & TN36 専用ブラケット》となっていますが、ぶっちゃけ汎用フラッシュライト・ホルダーの製作記事です。
前回の既製アームバンドでは強度に不安が有るので、アルミのフラットバー:100mm×50mm×3.0mmを調達してフラッシュライトをカメラ用三脚にマウントする為のベースプレートに加工しました。
アルミでも板厚が3.0mmとなると、電動工具が無いと加工は厳しいので 『 誰でもお手軽に・・・ 』 ってワケには行かないと思いますが、既製品に手を加える場合の参考になればと・・・(´・ω・`)
材料
- アルミF.B:100mm×50mm×3.0mm(1枚)
- カメラ用マウントネジ:1/4F – 1/4M (1個)
- 1/4インチナット(1個)
- バネワッシャー (1枚)
- アルミワッシャー (3枚)
- ベルクロ:20mm幅(40cm)
- 100均プラスチックバックル(1個)
- EVAシート(クッション材)ウレタン:100mm×50mm×5.0mm(1枚)
- PP粘着テープ:50mm(適宜)
- パラコード(60cm)
- コードストッパー(1個)
今回使用した電動ドリルの径は
- φ3.2mm - 長穴(捨穴)用
- φ4.0mm - 長穴用
- φ5.1mm - 1/4インチ・タップ用下穴および4ヶ所の丸穴用
の3本でタップはUNC-1/4インチ用を使います。
(UNC-1/4インチサイズのタップが有るとカメラ用のアレやコレを自作するのに便利)
今回新たに購入したのは、アルミのFBとベルクロだけですが全てイチから購入するとなると、それなりの金額になるので前回のリストバンド型マウンターなどの既製品に手を加え、補強するなどして改造した方が現実的かもしれません。
FBの厚さは3.0mmが下限で2.0mmだと強く締め付けた場合に変形する恐れがあり、板厚2.0mmでは1/4インチのタップを切っても《ネジ》として機能しないと思います。厚さ5.0mmのFBが理想なのですが材の厚みが増すほど加工に手間が掛かり(特にタップ加工)材料の価格も高くなります。
加工
加工と言っても、主な作業は数カ所に穴を開けて2ヶ所の1/4インチのタップを切るだけです。
が・・・高精度な加工は不要とは言え、それなりのモノにしたいのでセンターポンチやマスキング等、本加工前の下処理も手を抜かずに(笑)ちゃんと行いました。
油性マジックで基準線を引き、穴開け加工する部分にセンターポンチを打ちます。
センターポンチはハンマーで叩く手法(?)が一般的ですが、慣れていないと微妙に位置がズレてしまい上手く行かない事が多いと思います。
その場合は、細いドリルを使って軽く目印を付ける程度に削ってセンターポンチ替わりにします。
穴開けに小数点以下の精度を求める場合は、最初に細いピンバイス(例えば0.8mm径)で削ってマーキングし、徐々にドリル系を太くしてマーキングすると穴開け位置が正確にマーキングできます。
長穴位置の複数のマーキングは、いきなりカッティングディスクで長穴加工するのは難しいので両端に4mmの穴を開け、中間部分に3.2mmの捨穴加工を施して最後に残った部分をカッティングディスクで削るようにします。(フライス盤があれば簡単なんですがねぇ…)
全てのマーキングが終わったら、ドリルの刃が当たっても大丈夫な様にマスキングして表面を保護します。(気休め程度にしかなりませんが…)
後は電動ドリルで穴を開けて、削って、タップを切れば取り敢えずベースプレートの加工は完了ですが一番失敗しやすいのがタップ加工と長穴加工です。
タップ加工の刃は折れやすく無理にネジ込むと加工中に刃が折れて抜けなくなり涙目確実ですし、長穴部分は捨穴を開けてカッティングディスクで残った部分を削るチカラ加減が難しく、微妙なコントロールが求められるので慎重に作業します。
ちなみにカメラや三脚などに使われている1/4ネジはUNC規格の1/4インチネジで、W規格(ウィット規格)とは太さやネジ山の角度が微妙に異なります。市販のW1/4インチのボルトをカメラの三脚穴に無理に突っ込むと大事なネジ山を潰してしまう事につながるので要注意です。
表面処理
FBの切断面や加工部分のエッジはヤスリを当てて面取りします。(ネジ加工部は面取り不要)
※↑画像の通り長手方向は最初からR形状になっているので面取り加工は不要です。
今回調達したFBは、残念ながらアルミの生材で表面がアルマイト処理(または電解着色)されておらず、スグに酸化して黒ずんだ汚れが出てしまいます。なので50mm幅の梱包用PPテープでプレート全体をラッピングし、少しでも酸化を防いで保管・使用時に汚れが附着しないようにしました。
カメラ用マウント・ネジ
プレートとクイック・シューとの連結には前回の両端メスアダプターとは違うオス・メスのマウントネジを使いましたが、これは三脚のクイック・シューからベースプレートまでの距離を短くして少しでも重心を低くする為です。
このマウントネジはamazonで販売されているエツミの製品とは違い、ネジ部が全ネジになっていません。(安価な中国製)
なので1/4インチ・ナットとスプリングワッシャの厚みだけがプレート上に露出する様にアルミワッシャーでスキ間を調整しました。(マウントネジが全ネジの場合は1/4インチナットで両側からプレートを挟み込む事で調整可)
このマウントネジを使うとプレートからナット+α の分だけ突出してしまうので、突出分だけライトに接する緩衝材の厚みが増す事になります。場合によってはウレタンを2枚重ねにしたり、ウレタン素材では無く緩衝材に硬質ゴムを使用する必要が出て来ます。(※緩衝材の厚みは突出分より充分に厚くしないとライトが傷だらけになります)
前回の方法と同じく、両端メスアダプターを使う場合にはこうした問題は起きないのですが、今回は重心を低くする事を最優先としました。
クッション材
クッション材は、板全体に貼る厚さ5mmのEVAテープと部分的に10mm角の角バッカー(コーキングのバックアップ材)を使いました。
FBの板厚が5.0mmならばネジ加工部の強度が増して固定用のナットが不要になるかと・・・。
そうなれば緩衝材の厚みを抑える事が出来て、クッション材にもカットするのが面倒なEVA素材では無く、加工が楽な薄手のゴムシートが使えると思います。
ナットジョイント部分の緩衝材は、調整やメンテを考えて取り外し可能にしますが、同時に簡単に脱落しないようにする必要が有ります。これは接着面を最小限に留める事で対応しました。
固定用ベルト/コード
ベースプレートにフラッシュライトを固定するのにはベルトとパラコードを併用しました。
ライトボディ部の放熱を妨げない様に固定用のベルトは幅:20mmのベルクロ(マジックテープ)を使い、バックルは100均のプラスチック製バックルのセットでベルトループとDリングのみを使用します。
※近所の100均には長さ20cm程度のベルクロしか無かったのでホムセンで調達しました。(コレが一番高価w)
今回は、ベルトの長さを調節可能とし、TN36などボディ径の太いライトから1AA仕様の細いライトまでセット可能にしています。更にベルトだけを取り外せる様にしたかったのでベルトループやDリングを使っていますが単純にベルトを巻き付けるだけなら不要かと思います。
ベルト(面ファスナー)の留め方によっては、ベルクロのループ面(モジャモジャの面)とフック面(ギザギザの面)が同一面になっていないと留められないので要注意です。
今回調達したベルクロはループ面とフック面が表裏別々だったのでベルトの先端にフック面を縫い付け、Dリングを付けた部分も縫ってあります。
ヘッドの大きい長いライト、例えば4AAのP14等はマウント時にテール側が浮いてしまう事が有ったので4ヶ所の丸穴にパラコードを通して固定補助としました。コードの長さ・締め付け具合もコード・ストッパーで調節可能としています。(※パラコードの色や柄はお好みで・・・)
完成
TN36をホルダーセットすると↑こんな感じです。
※緊急時にコードを引っ張るとライトが射出(ベイルアウト)されます。←※されません
当初の計画通り(?)パトリオ6のような小型のライトや1インチ・ボディのライトもセット可能です。
自作テイストが満載ですが、結構使い勝手が良いので(自分で言うかw)これから何かと役に立つと思います。
+++
ちなみにこのライトホルダーはミニ三脚にもマウント可能です・・・( ̄ー ̄)ニヤリッ
このプロトタイプをベースにして、次はもう少し大きなFBを使って2号機を製作したいと思っています。
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