
ThruNite社から CREE XM-L2 を3発搭載し、電源に3本の18650Li-ion充電池を使い Max:3338Lumenの性能を持つ TN30 が発売されたのが約1年前です。
その後継機となる・・・と紹介するつもりでしたが、実際に使ってみると MINI TN30 は、TN30-3338LM とは全く別物の製品に仕上がっていました。
■ThruNite Official – New ThruNite MINI TN30 (CW)製品ページ
■関連記事 – ThruNite TN30
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≪追記:2015/12/07≫
ThruNite MINI TN30 はNewモデルがリリースされています。

※画像は ThruNite.com より転載
スイッチボタンがシルバーのメタル調に変わった以外、仕様・外観とも大きな変更点はありませんが、シルバーボタンもなかなかカッコイイです♪
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INDEX
仕様比較
TN30 | MINI TN30 | |
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LED | XM-L2 U2 *3 | XM-L2 U2 *3 |
リフタイプ | OP | OP |
全長 | 178 mm | 125.8 mm |
ヘッド径 | 64.5 mm | 64 mm |
重量 | 559.8 g | 384.3 g |
使用電池 | 18650 | 18650 |
セル数 | 3 (直列) | 4 (直列) |
動作電圧 | 8 – 13V | 10.5 – 17V |
スイッチ | リアスイッチ/調光リング | フロントスイッチ |
フィルター | ARコートガラス | ARコートガラス |
モードメモリ | 調光リング | 有り |
モード数 | 7 | 6 |
モードNo.1 | Level 1 : 1.2 LM / 50日 | Firefly : 0.4 LM / 98日 |
モードNo.2 | Level 2 : 45 LM / 75時間 | Low : 40 LM / 123時間 |
モードNo.3 | Level 3 : 422 LM / 10時間 | Med : 435 LM / 15時間 |
モードNo.4 | Level 4 : 1118 LM / 210分 | – |
モードNo.5 | Level 5 : 1896 LM / 138分 | Hi : 1900 LM / 190分 |
モードNo.6 | Level 6 : 3338 LM / 60分 | Turbo :3200 LM / 120分 |
Strobe | 3338 LM /108分 (変調タイプ) | 3200 LM / 234分 |
3×18650 2600mA 使用時 | 4×18650 3200mA 使用時 | |
保護等級 | IPX-8 (2m) | IPX-8 (1.5m) |
耐衝撃性能 | 1.2 m | 2.0 m |
最大光度 | 42000 cd. | 17640cd. |
最大照射距離 | 440 m | 265 m |
待機電流 | 67 uA (スタンバイモード時) | – |
備考 | スタンバイモード装備 | インジケータ、低電圧警告、ITC |
付属品 | ・専用ホルスター ・予備Oリング ・ランヤード ・取扱説明書 |
・専用ホルスター ・予備Oリング ・予備スイッチブーツ ・取扱説明書 |
この比較表だけで両製品の性格の違いを読み取るのは難しいと思うのですが、後半の照射画像を観て頂くと両製品のコンセプトの違いがよく判ると思います。
パッケージ



最初に ThruNite MINI TN30 のパッケージを観た印象は、ただ一言・・・『 ちっちゃ!(゚∀゚) 』
いくら【MINI】の名を冠していても 4*18650仕様で Max:3200LM の性能を持つライトなので、それなりにデカいだろうと予想していたのですが良い意味で予想を裏切られました。
4*AA仕様のTN4Aパッケージ(上)と比較しても意味が無いかもしれませんが、パッケージからして【MINI】の名は伊達ではありませんでした。
内容物

MINI TN30本体、専用ホルスター、予備Oリング*2、予備スイッチブーツ*1、取扱説明書(英文)、乾燥剤が同梱されています。


専用ホルスターは、サイズが異なるだけでTN4Aと同じタイプのモノですが、縫製も丁寧で MINI TN30 を携行する上で過不足の無い造りです。
予備Oリングはボディジョイント部用とヘッド部用が各1個で、予備スイッチブーツは柔らかいシリコン製です。
サイズ

MINI TN30 のサイズを『 大きい 』と感じるか『 小さい 』と感じるか・・・
人によって印象は異なると思いますが、この手の爆光ライトを使った事が有る方なら非常にコンパクトに感じると思います。


4×18650電池を含む装備重量は、使用するLi-ion充電池によって差異が出るので、あくまで参考値として下さい。
ボディ


無駄の無いシンプルなデザインで、グリップのローレット模様も直線スリットを組み合わせた一連のThruNite社のデザインが引き継がれています。

3-cell仕様のTN30と比べると、MINI TN30 は 4-cell となった事でグリップ径も太くなっています。その為か MINI TN30 のローレット・ピッチは TN30-3338LM に比べて大きく深くなっています。



ヘッドとボディの2分割式でジョイント部分は角ネジとなっています。
防水の為のOリングがしっかり効いており、新品の所為も有ってか開け閉めするのに少々チカラが必要です。
LED/ヘッド


搭載LEDは CREE XM-L2 U2 を3基搭載。LEDが正確に三叉に配置されています。


リフレクター・タイプは TN30-3338LM と同じOPリフですが、両製品のリフの深さは全く異なり、リフの浅い MINI TN30 は超拡散系の配光となっています。(※詳細後述)
ヘッド先端の化粧板(?)も MINI TN30 はベゼルのデザインに合わせたヘアライン調のモノに変わっています。
ARコートされたガラスフィルターの内側なので照射に多少影響するかもしれませんが、使用時に違いを意識する事は無いと思います。OP調からヘアライン調に変わるだけで随分と印象が変わるモノです。


全長が短い分 Mini TN30 のヘッドが大きく感じますが実際は TN30-3338LM との差は0.5mmしかありません。
熱源となるLEDの位置合わせて放熱フィンが配置されていますが、TN30-3338LM と比べると深さとピッチがやや抑え気味になっています。これは TN4A にも搭載された ITC がこの MINI TN30 にも搭載されているからだと思います。
ThruNite ITC
ITCとは、Interigent Temperature Control の略で LEDの温度を監視し、80℃以上になると自動的に電流量を制限してLEDを高熱から保護するリミッター機構です。3発のXM-L2をフルドライブするとなると相当な熱量になるのでこのITCシステムのお陰でMax:3200LMも安心して使う事が出来ます。



電池キャリアとの接点は、耐久性と安全性が確保された構造です。
ヘッドと電池キャリアがダイレクトに接触して通電する仕組みなので、ヘッドを少し緩める事で誤点灯防止のロックアウトが可能です。
テール


フラットなテール形状でTN4Aと同じくテールスタンドも安定しています。
逆さにした状態では TN30-3338LM より重心が低くなるので、屋内は元より屋外での活用範囲も広がりそうです。
※今回レビューしたモデルは初回製造ロット(1stバッチ)のmini TN30 なのでランヤードホール(ストラップ穴)が有りませんが、現行モデルにはちゃんとランヤードホールが設けられています。
スイッチ


スイッチも TN4A と同じタイプで大きさも同じです。
やはりストロークは短いのですが、面積が大きくクリック感もちゃんと有り、レスポンスが良いので操作感は良好です。
スイッチの台座部分がTN4Aより更に盛り上がっているので、暗闇でも手探りでスイッチを捜しやすく、アンチロールの役目も果たしてくれます。


Fireflyモード以外、通電中は中心部が青く光ります。
やはりコントラストの高い青色発光なので明るい場所でも視認性は良好です。
Low Voltage Indication

TN4A に搭載された低電圧警告機能が MINI TN30 にも搭載されています。
バッテリー電圧が下がってくるとインジケータが《青》から《赤》に変わり電池交換のタイミングを知らせてくれます。《赤》に変わる直前にTurboモードが使えなくなるので、これも一つの電池交換の目安になるかと思います。
ちなみにインジケータが《赤》になった時点で4本直列の電圧を計測したら 14.80V でした。
※点灯中(通電中)は更に電圧が下がっていると思われます。
電池

18650 Li-ion充電池を4本使用します。



電池キャリアも TN30・TN4A と同じく剛性の高い頑丈な構造で、電池キャリアをどちらの方向にセットしても正常に点灯する点も同じです。
TN4Aは電池交換がややし辛かったのですが、MINI TN30 は、4本の電池の中でどれか1本を中心部に向かって押すと反対側の電池が少し浮くので楽に電池交換ができます。
動作電圧が 10.5~17V なので、電池側のプロテクト回路が働く 2.8~3.0V(単セル)付近まで電圧が下がっても、4本分の電圧は 11.2~12.0V となるので仕様上はギリギリまで点灯可能な筈です。
モード
ON/OFF操作およびモードの変更も、やはりTN4Aと同じくスイッチのワンクリック、ダブルクリック、長押しで行います。
◆◆◆ 消灯時 ◆◆◆
- スイッチをワンクリックすると通常モードで点灯します。
※モードメモリ機能を備えているので消灯時のモードで再点灯します。(モードメモリはLow・Med・Hiの3モードのみ) - 消灯時からダブルクリックすると消灯時のモードで点灯した後、直ぐにTurboに切り替わります。
- 消灯時から長押しで Firefly で点灯します。
◇◇◇ 点灯時 ◇◇◇
- 通常モード(Low・Med・Hi)で点灯している時にスイッチを長押しすると通常モード内で次のモードに移行します。
※モードの移行は単純に Low → Med → Hi → Low … のループを繰り返します。 - Fireflyモードで点灯した際は一旦スイッチから指を離した後で長押しするとLowモードで点灯します。そのまま押し続けると上記のモードループを繰り返します。
- どのモードで点灯していてもダブルクリックでTurboモードに切り替わります。
- Turboモードから更にダブルクリックするとStrobeに切り替わります。
- どのモードで点灯していてもスイッチをワンクリックすれば消灯します。(やっぱりコレが重要)
通常モード(Low・Med・Hi)で点灯している時に Turbo に切替え、そのままTurboモードで消灯すると、Turboモードの直前に使用していたモードが記憶され、そのモードで再点灯します。
Firefly で点灯中に Turbo に切替え、そのままTurboモードで消灯すると、Fireflyの前に使用していたモードが記憶され、そのモードで再点灯します。
やはり文章にすると少々操作が複雑そうですが、一度実際に使ってみれば誰でもスグに使いこなせると思います。
照射
Firefly: 0.4 lumen

Med: 435 lumen




独特な照射パターンのTN30-3338LM とは全く異なり、Mini TN30 の照射パターンは各灯の周辺光の境界は曖昧になっています。至近距離では各灯のポジションがハッキリとしていますが、少し対象から離れると周辺光と同様に視認出来なくなります。(スポット光に見える部分は、各灯の《強烈な周辺光》とも言えますネ)
屋外照射
白昼(立木まで67m)


ThruNite MINI TN30





Thrunite MINI TN30 – All mode

ThruNite TN30






※WB=太陽光
ThruNite TN36 はフラッドな配光とのコメントを頂きましたが、この MINI TN30 もリフの形状が TN36 とよく似ている為か超拡散系のフラッドな配光です。
光色は Cool White ですが色温度が低めのCWで、超拡散系の配光と相性の良い光色だと思います。MINI TN30 は Neutral White (NW)バージョンも用意されているので、MINI TN30 の拡散系配光とNWの組み合わせは更に相性が良いかもしれません。
レンズタイプの製品の様に均一に光を拡散させているワケでは無いのでスポット光も存在し、HiモードやTurboではそれなりに遠くまで照射可能です。
まとめ
MINI TN30 (Turbo: 3200LM) / TN30 (Level6: 3338LM) 照射比較

個人的に新鮮で、とにかく面白い配光だと感じました。
TN30-3338LMとの一番の違いは照射範囲と周辺光量ですが、この距離(約67m ≒ 220ft)では中心光の飛距離差は確認出来ませんでした。(Max点灯時の数値上のルーメン差は 138 lumen ですが、ココまで明るいと関係有りません)
TN30-3338LM が遠射系の【闇を切り裂く】タイプだとしたら、MINI TN30 や TN36 は【闇を駆逐する】タイプの製品・・・と言った感じでしょうか?
まさに『 ドバァっと光が拡がる! 』という表現がピッタリで《 flood = 洪水 》そのものです。
冒頭でも述べましたが、同じ TN30 の名を持ちながら両者は異なる製品コンセプトの元にデザインされ、配光、搭載機能も異なる別製品に仕上がっているので2つのTN30を比較して優劣を付けるのは意味が無い気もします。
とにかく遠くまで光を飛ばしたい、若しくはセキュリティ用途がメインとなると素早く調光出来る遠射系の TN30-3338LM ですが、一度に広範囲を照らせて活動範囲・守備範囲が広そうなのは MINI TN30 の方だと思います。

実際、MINI TN30 はサーチライトや屋外照明としても使えそうなので、三脚にマウントできる様にブラケットを自作したくなりました。(笑)
ただ、配光以外の機能や携帯性に関しては、やはり新型だけに MINI TN30 の方に軍配が上がりそうです。
MINI TN30の方にはスイッチイルミネーション、低電圧警告機能、ITCなど使い勝手が向上する便利な機能を備えていますし、携帯性に関してもボディ径は太くなっていますがヘッド径は同じなので、やはり全長の短い MINI TN30 の方が優れており、電池を4本使う点でも電池ローテーションが行い易く、高い電圧が供給できるのでランタイム面でも有利になります。
ズバッ!っと照らすフラッシュライトも楽しいのですが、ドバッ!と拡がる ThruNite MINI TN30 も実に楽しい製品です。
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18650 Li-ion充電池を4本使うので、充電器も4セル対応の物がやはり便利です。
NITECORE Intellicharger i2 / i4 でググって来られる方が多いのですが・・・
Intellicharger i2 / i4 は仕様が古く、↑の画像のThruNite MCC-4 充電器と比べると使い勝手がかなり悪いので、これから買う充電器として i2 / i4 は、正直お薦めできません!(`・ω・´) キリッ
※MCC-4 充電器のレビューはまた後日・・・
はじめまして。
夜間の昆虫撮影光源用に大光量のLEDライトを情報を探していて辿り着きました。
MINI TN30(TN36も)に三脚穴が付いてないかなあ?と思っていたのですが、無いのですね。(T_T)
「三脚にマウントできる様にブラケットを自作したくなりました」
これの続報、又は自作するとしたらどのようなアイデアになるかだけでも良いのでお待ちしています。
Garuda 様
ご覧頂きありがとうございます。
仰る通り、MINI TN30 や TN36 は屋外照明として使うのに、まさにピッタリの製品だと思います♪
その為のブラケットを自作する方法として
・カイダック(カイデックス)とアルミのL型形材でブラケットを造る
・雨樋の受け金物でブラケットを造る
・ふとんバサミ(洗濯バサミの大きいヤツ)でブラケットを造る
などなど、現在複数の方法を検討しています。
どの方法を採るかは、予算と手間次第…って感じです。(^^;
現在、図面を描きながら(笑)詳細を詰めている段階なので、設計(?)が完了して部材の調達が出来次第、記事としてアップしたいと思います。
追記:2015/02/16
この方法で造るかどうかは別にして、取り敢えず個人的に一番試してみたい方法の図面をUP致しました。