
今回ご紹介するWUBEN製品は、単四形乾電池2本(2AAA)で動作する小型軽量のヘッドランプ WUBEN H3 です。
先にレビューした WUBEN H1 は、ヘビーユースにも耐えられる本格的なヘッドランプでしたが、この H3 は『Ultralight Running Headlamp』のキャッチの通り、ナイトウォーキングなどのカジュアルユースに適した小型・軽量のヘッドランプであり、頭部だけでなく服やベルト、帽子などにも直接かつ簡単に装着できるように考えられています。
しかし、カジュアルユースを前提とした製品でありながら、メイン(白色)とサブ(赤/青)のライトを備え、さらに複数の点灯パターンを持つヘッドランプであり、アウトドアだけでなくインドアでも活用できる製品だと思います。
最初から『まとめ』みたいになってしまいましたが、この H3 もWUBEN専門店様から実機をご提供いただきましたので、多彩な点灯モードの他にもユニークな機能を持つ WUBEN H3 のをじっくりとご覧いただきたいと思います。



WUBEN社日本公式サイトの『海外ショップで購入した場合は弊社の保証対象外…』の記述についてですが、これは『海外ショップで購入した場合は、販売店のサポート窓口にお問い合せ下さい。』という意味です。どの店舗で購入してもWUBEN社による【5年保証】は有効であり、安心して【amazon】や【楽天】内のショップでWUBEN製品を購入して欲しいとの事です。(※初期不良品の交換などは販売店の保証規定が適用されます)
製品HP
- Wuben® Outdoor LED Tactical Flashlight – wubenlight.com
- WUBEN JAPAN Official HP – wuben.co.jp
- Wuben H3 Ultralight Running Headlamp (Global) – wubenlight.com
- WUBEN H3 (務本専門店) – amazon.co.jp
WUBEN Official SNS
- Facebook – WUBEN Light Worldwide
- instagram – WUBENLight / wubenlight
- instagram – WUBEN Japan / wuben1981
- Twitter – wubenlight / @wubenlight
- Twitter – WUBEN専門店 / @WUBEN1981WUBEN
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INDEX
パッケージ






外箱は H1 と同じペット素材ですがパッケージのイラストが異なっています。
製品本体のサイズが異なる関係でH3はパッケージがH1よりも小型になっていますが、パッケージ方法はH1と同じで、紙製の内箱の中のプラスチックトレイに製品一式が納められています。


製品内容は、H3本体、ヘッドバンド、ヘッドバンド(ヘルメット)ホルダー、予備Oリング×2、多言語マニュアル(日本語サポート)となっています。



2本の単四形アルカリ乾電池は本体にセットされて出荷されるので使用前に絶縁シートを除去してください。(※電池蓋を開けるには本体を回転させる必要があります)
仕様/サイズ


パッケージ裏面には H3 の特徴・仕様が記載されています。
本体がオール樹脂製なので防水性能がIP65(塵埃の侵入がなく、あらゆる方向からのノズルによる噴流水でも悪影響を受けない)レベルとなっていますが、雨天での使用にも耐えうる防塵・防水レベルです。


2AAAという電池仕様でありながら本体は非常にコンパクトにできています。
クリップや回転軸(※詳細後述)を備えながらこのサイズなのですが、逆にクリップや回転軸が無ければ更に小型となり、このサイズに電池、光源、回路をすべて納めているのは素直にスゴイと思います。


2本の単四形アルカリ乾電池の込みの装備重量も約50グラムと非常に軽量です。
ボディ

マニュアルには各部名称が記載されたイラストが描かれています。








H3の外殻はオール樹脂製で、大まかにライトユニットとホルダー(クリップ)で構成されています。
今回のレビューは、ホワイト/オレンジ色バージョンですが、他にブラック/ブルーのカラーが用意されています。



クリップ部分とライトユニットを分離するのは難しく、基本的に常に一体の状態で使う事になります。
ヘッドバンド


ヘッドバンドの幅は約19mmで、全体がストレッチ素材の布製になっています。




ヘッドバンドへのマウントはクリップを引っ掛けるだけの単純な仕組みですが、付属のヘッドバンドは少し厚みがあるので抜け辛くなっています。
ベルト幅が20mm以下で、かつ厚さが2mm以下のベルトやウェビングベルトだと固定されず位置がズレやすいので装着に一工夫必要になります。
クリップの懐はそれほど深くなく、付属のヘッドバンドに合わせた深さとなっています。
ヘルメットに装着する事も想定してクリップ裏面に滑り止めのパッドが貼られていますが、滑らかな表面のヘルメットに装着、安定させるには H1 に付属するヘッドバンド・ホルダーを併用する事をオススメします。
2軸回転機構


H3 は2軸の回転機構を備え、装着方法や用途に合わせて照射方向を自在に調整できるのがウリの一つでもあり、多種多様なウェアラブルを可能としています。


メイン(…と言ってよいかな?)の回転軸は、ライトユニットとクリップの接合部で、この部分が回転軸になっています。
右回転・左回転のどちらでも360度回転することが可能で、30度ピッチで軽くロックされ任意の位置で止める事ができます。
GIF動画ではクリップを回転させていますが、実際の使用時にはクリップ部分が固定されライトユニットが動く形になるかと思います。


多くのヘッドランプは装着した状態での仰角(上下角度)調整を可能としていますが、この H3 も約200度の範囲で仰角調整が可能で、0~180度の範囲では 15度ピッチで軽くロックされます。
マニュアルには、セカンド回転軸も360度とありますが、実際には目一杯回すと光源部の出っ張っている部分がクリップに干渉して停止します。その状態からクリップが変形するほど無理に回せば360度回転させる事は可能ですが、樹脂製ゆえに無理に回すと破損する可能性があるので、セカンドの回転は200度までに留めておくことをオススメします。








2軸の回転機構によりポジショニングの自由度は高く、白・赤・青色LEDの点灯と組み合わせると運用の幅がぐんと拡がると思います。



付属のヘッドバンドだけでなく色々な場所に装着できます。クリップの保持力はそれなりに高いので厚手の生地であれば簡単に脱落したりはしませんすが、クリップの懐が浅いのでベルトなどに着ける場合は外れ止めを施したほうがより安心かと思います。
ヘッド(光源部)


H3 はメインライトの OSRAM P8 (CW) と、Red/Blueのサブライト(補助灯)で構成されています。
両ライトとも本体よりも少し出っ張った台座的な部分に配置されていますが、セカンド軸で回転させると、この台座部分がクリップに干渉して回転範囲が約200度となります。
各々のモード(点灯パターン)については後述しますが、メインもサブもアウトドアで使用するのに有用なモードを備えています。


メインライトの光学はTIRで、外観からは KLARUS E1 と同じ様なハイブリッドTIRのように見えますが、E1 のようなスポット重視の配光ではなく、外観は似ていても H3 は拡散配光となっています。(※これも詳細後述)
サブライトはフロスト加工されたフィルターによりエミッタが確認できませんが、仕様には【 1 piece 2835 LED 】と書かれています。1チップに Red/Blue のダイが乗ったマルチダイのLEDか?…とも思ったのですが、サブライトの2灯の位置関係やLEDのサイズに的に Red/Blue 各1灯づつのLEDが使われていると思われます。
※2835ってのは電子部品(大抵は表面実装部品=SMD)のサイズで、チップ1粒のサイズが 2.8mm×3.5mm …ということになります。興味のある方は『 2835 LED 』でググってみてください。
スイッチ


H3のスイッチは側面に2個配置されており、メインライト用とサブライト用のスイッチに分けられています。
スイッチの表面素材はシリコン系ゴムで、画像では判り辛いかもしれませんが『W』と『RB』のロゴがスイッチ表面に刻まれています。
内部機構はタクトスイッチですが、疑似クリック感があるので操作のヤマは掴めます。また、メイン用(W)とサブ用(RB)は両スイッチの高さが各々で異なっており、多用する(…と思われる)メイン用スイッチが高くサブ用は低くなっています。
スイッチの高さ(突出量)の違いにより、手袋をしていても手探りでスイッチの操作が可能となっています。欲を言えばもう少しスイッチのサイズ(面積)が広いと更に操作性の向上が期待できるのですが、製品サイズや回転機構との兼ね合いもあるので難しいトコロであります。
電池

H3は、単四形乾電池2本で動作し、アルカリ乾電池の他にエネループにも対応しています。
※3.7v 10440 Li-ion は使用不可





電池の交換・装填は、ライトを水平回転させるとキャップの爪にアクセスできるので、少し爪を持ち上げてキャップを外して行いますが、チカラ加減を誤るとキャップの爪を折ってしまいそうです。
もし電池キャップを固定する爪が折れたら、その時点で製品寿命が尽きる事になるので、可能であれば電池キャップは H1 のようにスクリュー式にして戴きたいです。(2-cell だと難しいカナ…)
2本の電池の装填方向が異なるので、本体やキャップに刻まれた+/-の方向に合わせて装填を行う必要がありますが、アイコンが小さく白地だと目立たないので Mr.ローガンの自分には辛いものがあります。(笑)
装填方向が判らない、確認できない場合は、キャップに取り付けられた接点スプリングの高さで+/-を判断してください。背の高いスプリングには電池の【-】が接触するようになっていて、逆に背の低いスプリングには電池の【+】が接触するように電池を装填します。
モード


マニュアルに印刷された操作ダイアグラムと英文・和文の画像を掲載しておきますが、メインライトの通常モードは【Low】⇒【Med】⇒【Hi】の3モード。特殊モードは【SOS】の他に【Slow-flash】モードが存在します。
メインとサブの両者とも基本操作は共通ですが、メインとサブの切り替え方法などが有るので以下で詳しく説明したいと思います。
前述の通りメインライトは『W』スイッチ、サブライトは『RB』スイッチと、2つのスイッチの役割が明確に分かれているので、一通り操作すると誰でも使いこなせるようになるかと思います。
メインライト
メインライトの ON/OFF 操作は『W』スイッチのシングルクリック、モード変更は点灯中に『W』スイッチをロングプレス(長押し)する事で行います。
メインライトの通常点灯モードは、【Low】⇒【Med】⇒【Hi】の3モード、他に特殊モードとして【SOS】と【Slow-flash】点灯が可能です。
通常モード
通常点灯モードで点灯中にロングプレスすると、押している間に【Low】⇒【Med】⇒【Hi】⇒【Low】…のサイクルでモードが移行し、希望のレベルでスイッチを離すとそのモードで常時点灯となります。
モードメモリを備えているので消灯時のモードで再点灯できますが【SOS】・【Slow-flash】は記憶されません。
SOS モード
消灯時、または通常モードで点灯中にスイッチをダブルクリックすると【SOS】モードで点灯します。消灯状態から【SOS】点灯させた場合はシングルクリックでOFF(消灯)になりますが、通常モードで点灯中に【SOS】へと移行した場合は、シングルクリックで直前の通常モードに復帰します。
Slow-flash モード
消灯/消灯状態でダブルクリックすると【SOS】で点灯を開始し、そこから更にダブルクリックすると【SOS】から【Slow-flash】に移行します。
【SOS】もしくは【Slow-flash】の特殊モードでの点灯中は『W』スイッチをダブルクリックする度に【SOS】と【Slow-flash】が交互に切り替わります。【Slow-flash】は、体感でビーコン点滅とほぼ同じピッチで点滅します。
【Slow-flash】で『W』スイッチをシングルクリックした場合の動作は【SOS】での点灯を開始した時点のメインライトの状態に準じます。
特殊モードはメモリーされず、必ず【SOS】で点灯を開始します。
サブライト
サブライトの点灯モードは、【Red】⇒【Red-flash】⇒【Blue】の3モードになります。
メインライトの消灯・点灯状態に関係なく『RB』スイッチをシングルクリックするとサブライトが点灯します。
サブライト群もモードメモリを備え、サブライトを消灯した時のモードで再点灯します。(※サブライトのモードメモリ機能は3モードすべてに対して有効)
サブライトの点灯状態で『RB』スイッチをロングプレスすると【Red】⇒【Red-flash】⇒【Blue】の3モードが切り替わり、シングルクリックすると消灯します。
メインライトの点灯中に『RB』スイッチをシングルクリックすると強制的にサブライト点灯に切り替わり、同様にサブライトの点灯中に『W』スイッチをシングルクリックするとメインライトが通常モードで点灯します。(メインライトの特殊モードには復帰しません)
ロックアウト設定
H3にはロックアウト機能が搭載されておらず、構造的に物理ロックアウトも不可となるので、誤点灯を防ぐには電池を抜く必要があります。
照射

今回はこの5機種で照射比較を行ってみました。
TH20は1AA/14500仕様、HC3は COB LED による White/Red の完全なフラッド配光、HL3Rは3AAAまたは電池パックを使用し、H05は White/Red の2AAAヘッドランプになります。
どの製品もカジュアルユースを想定したヘッドランプですが、光学の違いによる配光の変化や赤色LEDの光量差をご覧頂ければと思います。
水平照射

配光/光色
LED電球


WUBEN H3 (Main LED : OSRAM P8)


WUBEN H3 (Auxiliary LED : Red)


WUBEN H3 (Auxiliary LED : Blue)


KLARUS HC3 (White LED)


KLARUS HC3 (Red LED)


OLIGHT H05 Active (White LED)


OLIGHT H05 Active (Red LED)


THRUNITE TH20


TrustFire HL3R


屋外照射
白昼(立木まで67m)


WUBEN H3 (Main LED : OSRAM P8)



WUBEN H3 (Auxiliary LED : Red)


WUBEN H3 (Auxiliary LED : Blue)


KLARUS HC3 (White / Red LED)




OLIGHT H05 ACTIVE



THRUNITE TH20 (Ni-MH)


THRUNITE TH20 (14500 Li-ion)


TrustFire HL3R



アルカリ乾電池やNi-MH充電池、Li-ion充電池など電池仕様による出力差はありますが、乾電池と充電池の双方に対応したTH20は両方の屋外ビームショットを撮影しました。HL3RもLi-ion電池パック、3AAAの両方に対応していますが電池仕様による光量差が僅かだったので電池パックでの照射のみとしています。
WUBEN H3 の光色は 先の H1 と同様に Cool-white(CW)でも色温度がやや低く、やはり 5700K~6000Kぐらいだと思います。
高演色LEDではありませんが、白色LEDの演色性も悪くなく、色の識別も充分に可能です。
【Hi】モード以外でもフリッカーの発生は認められず、頭を振っても(視線を移動させても)チラつきがないので対象が見やすく、長時間の使用でも疲れが軽減されます。
メインライトは拡散配光ですがHC3のような完全にフラッドな配光ではなく、中心から外周部に向かって緩やかに光が拡散していきます。
サブライトの赤・青に関しては完全な拡散配光であり、30cm~50cmぐらいの超至近距離専用のライトとして機能します。
サブライトのビームショットは『他者からの視点』を想定した撮影も行いましたが、対象を照らす用途では距離が限られるものの、マーカーとしてならば数十メートル先からでも視認できるかと思います。
発熱に関しては、最大出力で点灯した際にはそれなりに熱を持ちますが、120ルーメンという現実的な出力(?)ゆえに危険を感じるほど熱くはなりません。
まとめ
WUBEN H3 を実際にH3を点灯させるまではTIRの外観から『KLARUS E1と同じスポット配光?』と思っていましたが、2AAA仕様の小型ヘッドランプらしい(?)拡散配光でした。
小型のヘッドランプだから拡散配光でなければならない…なんて決まり事はないのですが、2AAAという電池仕様を考えると出力や照射可能な距離、ランタイムも自ずと限られるので、無理にスポット配光にしてもアンバランスで実用性の低い製品になる…ような気がします。
H3の良い点は、サブライトや2軸回転機構を持つことでヘッドランプ以外の用途にも使える点かと思います。
具体的には、サブライトの赤色フラッシュは自転車に乗る場合のバックマーカーと使えますし、ウエストに装着して夜間のジョギング、ウォーキングでも活用できそうです。
単四乾電池2本で動作するので減災・防災向きのヘッドランプだと思いますし、小型・軽量であることは子供や女性だけでなく、成人男性でも装着時の負担軽減となります。
メインスイッチのシングルクリックで点灯・消灯できるUIも万人向きであり、メイン用・サブ用のスイッチが分かれているのも操作に馴れる時間の短縮につながります。
気になった点としては、電池キャップの構造で、素材が少し粘りのある樹脂ではありますが、キャップをロックする爪が低温下や経年劣化により折れる可能性があり、もし折れたり、割れたり、スリ減ってしまった場合には即使用不可となります。
電池2本という仕様ではありますが、できればH1と同様にキャップはスクリュー式のほうがより安心して使い続けられるかと思います。
防水性能は、IP65レベルですが雨天でも使用に耐えうる仕様なので、製品コンセプトを考えると個人的には充分なレベルだと思います。
価格も低めに設定されているので、家族用に複数本用意するヘッドランプの候補のひとつとして検討しては如何でしょう。