WUBEN製品のレビューが続きますが、今回は多機能ヘッドランプの WUBEN H1 のレビューをお届けします。
『一文字型』のヘッドランプは各社からもリリースされていますが、このスタイルのヘッドランプは、ナイトウォークのようなカジュアルユースではなく、登山や洞窟探検などハードな使い方にも耐えうる…と言うか、そうした『ガチ』な用途を想定した製品が殆どかと思います。
WUBEN H1 の詳細については追々ご紹介していきますが、この H1 も本格的なヘッドランプに仕上がっており、最初からヘルメットホルダーが付属する点も製品の性格が伝わって来ます。
デザイン・仕様的には同社の従来製品である『FU8』と違いはなく、スペック表を見る限りでは両製品は同一と思われ、製品系列の整理・変更に伴う型番変更かもしれませんが、現時点では『H1』がヘッドランプ製品群である『Hシリーズ』の事実上のフラッグシップモデルになります。
doorman 自身が H1 のような『一文字型』のヘッドランプを使うのは初めてでありますが、タスクライトとの使用感の違いなどをレポートしたいと思います。
WUBEN社日本公式サイトの『海外ショップで購入した場合は弊社の保証対象外…』の記述についてですが、これは『海外ショップで購入した場合は、販売店のサポート窓口にお問い合せ下さい。』という意味です。どの店舗で購入してもWUBEN社による【5年保証】は有効であり、安心して【amazon】や【楽天】内のショップでWUBEN製品を購入して欲しいとの事です。(※初期不良品の交換などは販売店の保証規定が適用されます)
製品HP
- Wuben® Outdoor LED Tactical Flashlight – wubenlight.com
- WUBEN JAPAN Official HP – wuben.co.jp
- WUBEN H1 (Global) – wubenlight.com
- WUBEN H1 (務本専門店) – amazon.co.jp
WUBEN Official SNS
- Facebook – WUBEN Light Worldwide
- instagram – WUBENLight / wubenlight
- instagram – WUBEN Japan / wuben1981
- Twitter – wubenlight / @wubenlight
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INDEX
パッケージ
外箱はペット素材ですが、ヘッドバンドなどの付属品の関係によりパッケージはそれなりの厚みになっています。
満面の笑みのイラストが描かれた紙製の内箱の中のプラスチックトレイに製品一式が納められているのでトレイごと引き出して製品一式を取り出します。
製品内容は、H1本体+ヘッドバンド、ヘッドバンド(ヘルメット)ホルダー、予備Oリング×2、USB充電ケーブル、多言語マニュアル(日本語サポート)となっています。
18650 Li-ion充電池は本体にセットされて出荷されるので使用前に絶縁シートを除去してください。
ヘッドバンド
ヘッドバンドは布製で全体がストレッチ素材になっています。
ヘッドバンドへのマウントは、ライト本体をゴム製のリングにハメ込む方式ですが、しっかりとしたリングなので脱着するのにややチカラが必要です。逆にこれぐらいガッチリとホールドされないと使用する上で不安ですし、製品の性格上頻繁に脱着する事も無いハズなので不都合はありません。
ヘッドバンドの裏面にはエストラマー樹脂と思われる滑り止めが施されています。
滑り止めのお陰で滑らかな表面のヘルメットにマウントしてもズレにくくなっていますが、確実に装着・安定させるためには後述する付属のホルダーの併用をオススメします。
ヘッドバンド・ホルダー
ヘルメットにヘッドランプを装着する際には、某国内メーカー製のヘルメットホルダーを使っていますが、H1 には最初からホルダーが4個付属しています。
使い方は画像の通りで、ホルダーにバンドを通してヘルメットの縁にホルダーを装着するだけです。
ヘルメットによっては装着できない可能性もありますが、ループ部分(フック部分)が大きめに造られているので大抵のヘルメットには装着可能なハズです。構造そのものは単純ですがヘルメットホルダーの有無で装着時の安定感(安心感)が格段に向上するので、アクティブに活動する際には必須とも言える装具です。
仕様/サイズ
冒頭で述べた通り、従来の WUBEN FU8 と仕様・デザイン面で大きな違いはありません。
H1 のような『一文字型』のヘッドランプは、タスクライトと比較すると全長が短くなりますが、構造的に幅(奥行き?厚み?)が増すことになります。幅を抑えるのに光学にTIRレンズを採用する製品も存在しますが、H1 はリフレクター仕様となっています。
ヘッドバンド単体の重量がやや重くなっていますが、これはバンド裏面に施された滑り止めの影響かと思います。
H1本体、18650電池、ヘッドバンドを含めた総装備重量は約160gとなりますが、ヘルメットにマウントして装着してみると、それほど重いとは感じません。
ボディ
光源部分が少し出っ張っていますが、H1は『一文字型』のヘッドランプです。
H1に限らず、一文字型のヘッドランプは重心位置がボディの電池室直下となるので、自重でライトやヘルメットがお辞儀してしまう事もなく、装着時の物理的な突出寸法が抑えられるメリットがあります。
上下仰角の調整は180度の範囲で自由に行えます。
H1をマウント・固定するホルダーとの摩擦によって任意の位置でポジションを決められます。木の枝や岩盤など歩行中に障害物が当たると位置が変わってしまう可能性はありますが、ヒットした時の衝撃を位置が変わる事で受け流す事にもなります。
ヘッド(光源部)
H1 は白色光のメインライトと、白色/赤色で点灯可能なサブライト(補助灯)で構成されています。補助灯部分は充電時や電池残量状態を示すインジケーターも兼ねており、青色でブレス発光(明滅)させることも可能となっています。
メインライトのLEDは C3 や T2 と同じく OSRAM P9 を採用、光学はミラー(SMO)リフレクターになっています。
サブライトのLEDは、メーカーや型番についてのアナウンスはありませんが、白色光はニュートラル・ホワイト色で高演色(Hi-CRI)で常時点灯、赤色灯は常時・SOS・ビーコンの点灯パターンが切り替え可能となっています。
サブライトの風防フィルターには細かな凹凸が施され、白色/赤色点灯時とも拡散光になります。
ライト部分を覆うカバーは樹脂製ですが衝撃で簡単に割れてしまうようなヤワなものではなく、光源の熱も電池室側に伝わる構造なので樹脂製でも不都合は感じません。また、樹脂製とした事で軽量化にもつながっているかと思います。
メインライト点灯、サブライトの白色点灯、同サブライトの赤色点灯、インジケーターやロケーション(H1が何処にあるか)発光時の青色点灯させた時の様子です。青色点灯は『照らす』というような光量ではなく『青く光る』という感じで、あくまで目印的なモノになります。
スイッチ
スイッチの内部機構はタクトスイッチですが、それなりにクリック感もあるので操作のヤマは掴めます。
ライト本体からスイッチトップが突出しておらずフラットな形状です。充電ポートが近接していますが、スイッチ面積ができるだけ広くなるようにレイアウトが工夫されているので、手袋をしていても手探りで操作可能なスイッチです。
スイッチの位置については、ヘッドバンドにマウントする際に本体にプリントされたロゴを上か、下にするかで左右の位置が変わりりますが、右利き/左利き、あるいは使用状況に合わせて決めることが可能です。
電池
付属の18650 Li-ion充電池は、プロテクト回路付きで容量:2600mAhとなっています。
型番は『ABE2600C』で、C3に付属している電池と同じ物で【+】極側はボタントップ形状になります。
スイッチ/充電ポートが配置された反対側がキャップになっており、電池交換時にはキャップ部分を外して電池交換を行います。
充電ポートを備えているので、基本的にはH1に電池を装填した状態で充電が可能ですが、電池切れ直後に電池交換の必要に迫られる場合もあるかと思います。
電池は【+】方向から本体に装填します。
キャップジョイントのネジ長さは短いのですが、防水Oリングを備えスレッドも角ネジ加工されているので防水・強度面にも問題ありません。
電池室内部は円筒形状ですが、放熱およびセンターが偏芯するように内部にフィンに設けられています。
端部は絶縁加工されておらず、キャップを緩めて物理的に通電をカットし誤点灯防止とする事が可能です。
充電
充電ポートはスイッチの近くにあり防塵カバーを開けると充電ポートが露出します。
ポートは micro-USB規格で付属の充電ケーブルの長さは約65cmとなっています。
充電ケーブルの USB-A 側を DC・5V出力のPCやモバイルバッテリーのUSBポートに接続し、micro-USB 側をH1のポートに接続します。出力側(給電側)がオンラインであれば、ケーブルで接続した時点で直ちに充電が開始されます。
充電中は【赤】、充電完了時には【青】でインジケーターが点灯します。充電完了後にはケーブルを外して防塵カバーをしっかりと閉めてください。
一応、充電しながらの点灯も可能ですが、防塵カバーが開いた状態での使用は防水性や防塵性が極端に低下しますし、H1本体や電池に過負荷がかかるので、非常時や緊急時など、やむを得ない場合に留める事をオススメします。
モード
H1 にはメインとサブの2種類のライトが搭載されていますが、インジケーター点灯を除いてメインとサブの両方を同時に点灯させる事はできません。
メインライト
メインライトの ON/OFF 操作はスイッチのシングルクリック、モード変更は点灯中にスイッチをロングプレス(長押し)する事で行います。
メインライトの通常点灯モードは、【Low】・【Med】・【Hi】の3モード、他に特殊モードとして【Turbo】と【Strobe】点灯が可能です。
通常モード
通常点灯モードで点灯中にロングプレスすると押している間に【Low】⇒【Med】⇒【Hi】⇒【Low】…のサイクルでモードが移行し、希望のレベルでスイッチを離すとそのモードで常時点灯となります。
Turbo モード
通常モードで点灯中にスイッチをダブルクリックすると【Turbo】モードで点灯、【Turbo】状態でロングプレスすると【Low】に移行します。
Strobe/SOS/Beacon
消灯状態でダブルクリックすると【Strobe】で点灯を開始し、ダブルクリックすると【Strobe】⇒【SOS】⇒【Beacon】⇒【Strobe】…のサイクルでモードが移行します。【Strobe】は一定間隔で変調するポリスタイプのストロボです。
モードメモリを備えているので消灯時のモードで再点灯できますが【Strobe】・【SOS】・【Beacon】は記憶されません。(※【Turbo】は記憶されます)
サブライト
サブライトの点灯モードは、白色で常時点灯する【White-light】、赤色で常時点灯する【Red-light】、赤色で点滅する【Red-flashes】の3モードになります。
メイン、サブの両ライトが消灯している状態で、スイッチをロングプレス(長押し)するとサブライトが点灯します。サブライトにもモードメモリ機能がるので前回消灯したモードで点灯を開始します。(※サブライトのモードメモリ機能は3モードすべてに対して有効)
サブライトのモードの切替は、サブライトがどのモードで点灯していても、スイッチをロングプレスすると【White-light】⇒【Red-light】⇒【Red-flashes】⇒【White-lite】…のサイクルでモードが移行します。
どのモードで点灯していてもスイッチをシングルクリックすると消灯、ダブルクリックするとメインライトの【Strobe】に移行します。
白色灯(White-light)
光色は4500K~5000Kぐらいの色温度で高演色タイプのLEDです。明るさは10ルーメンで固定され、バッテリーの消耗を抑えつつ色の判断も必要な状況(例えば地図の確認)に適したモードです。
赤色灯(Red-light)
暗闇に目が馴れた状態(暗順応状態)を阻害する事なく照射可能なモードです。明るさは10ルーメンで固定されます。
赤色点滅(Red-light)
非常灯、もしくはユーザーのポジションマーカーに適したモードです。メインライトの【Strobe】とは異なり、0.5秒間ほど早いピッチで点滅した後に0.3秒間消灯…の動作を繰り返します。(※間隔は個人の体感です)
ロケーション機能
サブライトは、電池残量通知や充電時のインジケーターとしての機能の他に、ライトの存在場所・目印として青色でブレス発光(ゆっくりと明滅)させる事ができます。ブレス発光させるには、ライトが完全にOFFの状態(メインとサブの両方が消灯している状態)でスイッチを素早くトリプルクリックします。ブレス発光を終了する場合も同様にスイッチをトリプルクリックします。
ロックアウト設定
H1は電池キャップを緩めて物理的に通電をカットすることが可能ですが、ライトが完全にOFFの状態で素早くスイッチを4回クリックすると、メインライトが3回点滅してロックアウトモードに入ります。
ロックアウトモード時はスイッチ操作が無効化され、不意のスイッチ操作による誤点灯を防止します。ロックアウトモード中ににスイッチを操作するとサブライト部分が青色で短く点滅します。ロックアウトを解除するには同様にスイッチを4回クリックします。解除時もメインライトが3回点滅し、メインライトが【Low】モードで点灯します。
+++
メインライト1灯だけでなく、サブライトを搭載している関係でスイッチ操作パターンがやや多くなりますが、点灯開始やメインとサブの点灯区分は1~3回の3種類のみのスイッチ操作であり、ロックアウトは4回、モード移行はロングプレスで共通、全点灯モードとも消灯は1回のクリックと規則性があるので、多機能でありながら迷う事なく使いこなせます。
照射
今回はこの5機種で照射比較を行ってみました。
H1のような一文字型のヘッドランプを使うのは今回が初めてなので、同形状の製品比較ができないのですが、TH10 はハンドライトのリフレクターに近い光学を持ち、H2R と SP40 はタスクライトスタイルの製品ですが、光色や配光の比較になると思います。キャップライトの HC3 はサブライトの白色・赤色灯の比較対象として加えてみました。
H1 と H2R は、最大照射時に於ける自動減光レベルが明記されているので、この2本については減光時のビームショットも撮影しました。
水平照射
光学が粒々コリメーターで完全拡散配光となる H2R を除いて、多少の角度差はあるものの3機種とも広角照射になっています。また、リフレクターの違いにより中心光の太さ(集光度合い)が異なり、リフレクターの口径・深さが一番大きな TH10 の中心光が強い事が見てとれます。
H1よりもリフレクターの口径が若干大きくて深い SP40 ですが、点灯してみると H1 と配光が異なっています。
サブライトは完全な拡散配光であり、超至近距離での用途を前提(想定)していることが判ります。
配光/光色
LED電球
WUBEN H1 (Main LED)
WUBEN H1 (Auxiliary White LED)
WUBEN H1 (Auxiliary Red LED)
KLARUS HC3 (White LED)
KLARUS HC3 (Red LED)
THRUNITE TH10
Sofirn SP40
OLIGHT H2R NOVA
屋外照射
白昼(立木まで67m)
WUBEN H1 (Main Light)
WUBEN H1 (Auxiliary Light : White / Red)
KLARUS HC3 (White / Red LED)
THRUNITE TH10
Sofirn SP40
OLIGHT H2R NOVA
WUBEN H1 の光色は Cool-white(CW)でも色温度がやや低く、5700K~6000Kぐらいだと思います。モードの全域でフリッカーの発生もありません。
水平照射パターンそのままに、中心光が図太く、配光パターンでは周辺光が存在しないように見えますが、広角照射ゆえに周辺光の境界(照射範囲)がフレームに収まっていないだけであります。
屋外照射では、リフレクターが大きくて深い TH10 との配光の違いがハッキリと判ると思います。TH10の最大光束値はH1よりも小さいのですが、中心光部分ではH1よりもハッキリと約70m先のフェンスが視認できています。
H1と最もよく似た配光の機種は SP40 ですが、SP40よりもH1の方が中心光が太くなっています。
超拡散配光の H2R とは配光が大きく異なりますが、H1の配光はSP40とH2Rの中間…とも言えるかと思います。
発熱に関しては、最大出力で点灯した際にはそれなりに熱を持ちますが、1分程度でリミッターが作動するのでボディサイズの割りには高温にはなりません。
サブライトの配光・演色比較画像が露出アンダーとなっていますが、コレは撮影時に露出をミスっただけで(泣)実際にはもう少し明るく、白色光では色の判別も充分に可能です。
まとめ
WUBEN H1 を一通り使ってみた印象は、操作方法(UI)が上手くまとまっているからなのか、本格的な多機能ヘッドランプでありながら非常に使いやすい製品だと感じました。また、サブライトの存在が大きく、サブライトによって様々な状況にも対応できる器用さが増幅されていると思います。
特殊モード(SOS、ビーコン)や赤色点灯など、アウトドアでの非常時に必要なモードも充実しているのは心強いです。
充電ポート規格がトレンドの USB Type-C ではなく micro-USB ですが、個人的には micro-USB でもさほど不便は感じませんでした。ただ、スイッチと充電ポートが近接している関係で充電時にうっかりスイッチを押してしまう事があったので、充電時には確実に消灯されている事を確認するようにしたいと思います。
近頃は使用形態の多様化に呼応するかの如く、ヘッドランプにもハンドライトにもウェアラブルライトにも使えるタスクライト(アングルライト)製品の選択肢が増えて、純粋なヘッドランプ製品(?)は需要が少なくなっているのかもしれませんが、逆に『ヘッドランプ』という形態(使用スタイル)に特化する事で、アウトドアで必要な機能を搭載することが可能となっているような気がします。
他メーカーの製品と比較すると価格設定も低めに設定されているので、『本格的なヘッドランプが欲しいけど価格が…』という方にも訴求力のあるヘッドランプだと思います。
今日は『防災の日』でありますが、防災用のヘッドランプとしても活用できるので検討してみては如何でしょう?