doorman の知る限りでは、メジャーな中華ライトメーカーからは久しく2AA(単三×2)仕様の新製品はリリースされておらず、2AA仕様の新製品といえば国内メーカーから発売される製品のみ…という状況が続いておりました。(※間違ってたらゴメンナサイ)
今回ご紹介する WUBEN T2 は、中華メーカーによる久しぶりの2AA仕様の新製品で、日本のAmazonでの発売開始は約3週間ほど前になります。
前回の WUBEN C3に続いて、この T2 もWUBENさんより実機をご提供いただき、実際に2週間ほど使用してみたので使用感などをレポートしたいと思います。
WUBEN社日本公式サイトの『海外ショップで購入した場合は弊社の保証対象外…』の記述についてですが、これは『海外ショップで購入した場合は、販売店のサポート窓口にお問い合せ下さい。』という意味です。どの店舗で購入してもWUBEN社による【5年保証】は有効であり、安心して【amazon】や【楽天】内のショップでWUBEN製品を購入して欲しいとの事です。(※初期不良品の交換などは販売店の保証規定が適用されます)
製品HP
- Wuben® Outdoor LED Tactical Flashlight – wubenlight.com
- WUBEN JAPAN Official HP – wuben.co.jp
- WUBEN T2 (Global) – wubenlight.com
- WUBEN T2 (Sinofire JP) – amazon.co.jp
WUBEN Official SNS
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パッケージ
C3と同じくクラフト紙ベースのシンプルなパッケージです。裏面にはT2の特徴・主要諸元が記載されています。シンプルなパッケージですがT2本体はちゃんと保護される構造で、中仕切りを取り出すと付属品が取り出せます。
T2本体以外には、ストラップ、予備Oリング×2、多言語マニュアル(日本語サポート)が付属します。
2本の単三形アルカリ乾電池はT2本体に内蔵されて出荷されますが、本体に貼られたステッカーの通り、セットされている絶縁材を使用前に除去してください。
仕様/サイズ
仕様欄の下に『アルカリ性単四電池…云々』の記述がありますが、光束値のテスト結果はエネループ・プロ(容量:2450mAh)を使用した場合の数値のようです。(※英文表記を参照)
『2AA』という電池仕様ゆえに全長はそれなりに長くなりますが、doormanにとっては、本体の全長や細さが2AAライトを使う理由の一つでもあります。(※後述)
電池込みの装備重量は使用電池によって重量は微増減します。(※Ni-MH充電池の可否については後述)
ボディ
T2 も Archer 2A V3 と同様にグリップの中央付近で意匠が変わる系のデザインですが、前半分のグリップデザインはサイドスイッチ仕様の WUBEN D1 や E6 と共通点が多く、D1を18650から2AAにした…ような感じです。
サイドスイッチを操作する時の順手持ち、テールスイッチを操作する際の逆手持ちに対応するように前半と後半(?)でボディ径を敢えて変えているのだと思いますが、これも『2AA仕様』の全長ならでは…かと思います。
仕様表記にある『外径:21.6mm』は、サイドスイッチ付近の最大外径で、ヘッド先端とグリップ部分はφ20mm、グリップの細い部分はφ17.2mmでした。(※実測値)
各部の加工は細部に渡って丁寧に加工され、仕上げの質感も良い感じです。
ヘッド側前半の加工は凹凸の彫りが深く細かな造作がなされています。逆にテール側の後半はシンプルな造形ですが、テール部分との段差でスイッチ操作時でもホールドしやすくなっています。
着脱式のクリップはZ形状のWクリップで、同社のE18などと同じ意匠となっています。C3よりもクリップの剛性は低くなっていますが実用上の問題はまったくありません。
T2 の構成パーツは、ベゼル、ヘッド、ボディ、テールですが、ユーザーの手で簡単に取り外せるのはテール部分のみです。
ヘッド
T2 の搭載LEDは C3 と同じく OSRAM P9、光学はOPリフレクターになっています。
ベゼル形状は控え目なストライク形状で威圧感も無く、普段使いする上でもナニかと都合が良いと思います。
テールからヘッド側を覗くと【+】接点が見えます。
WUBENのURLが刻印された樹脂パーツ部よりも中央接点が低くなっているようで、誤って電池を逆から(マイナスから)装填しても通電しないように考えられています。
しかし、実際に電池を装填すると、樹脂パーツの更に外周に存在するアルミ地金の部分(ヘッドパーツの一部?)に電池が接触し、ヘッドの中央接点と電池側正極との間隔が確保されて誤挿入防止として機能するようです。
ただ、接点同士の間隔がシビアであり、電池正極の高さがアルカリ乾電池よりも微妙に低いエネループやエネループ・プロは、電極が接点に届かず使えませんでした。(T2の固体、製造ロットにより使える場合があるかもしれません)
メーカー側がエネループ正式対応を謳っているにも関わらず実際に使えないのはアレですが、ヘッド側内部を良く見てみると、このT2はアルミ地金部分部分の2ヶ所に接着剤が固まったような部位があり、コレが原因で接点部分の間隔が更に 0.1~0.2mm程度広くなってしまっているのがエネループ使用不可の一番の原因のようです。
特にエネループ・プロは、電池容量を確保するために電極の高さが相対的に低くなっているので更に条件が厳しくなります。もしかしたら電池(エネループ)の製品個体差によって使える場合があるかもしれませんが、自分の固体を基準に考えるとエネループでの運用には不安が残ります。
既にWUBEN社には報告してあり、接点間隔の見直し(調整)だけなのでスグに解決されると思いますが、ヘッドユニットもテールキャップのように簡単にバラせればユーザーの手で調整も可能となるので、WUBENさんには一考をお願い致したく…(^^;
グリップ部分と同様にヘッド部分の造作も丁寧にCNC加工されアンチロール効果を生み出しています。
テール/スイッチ
他の多くのデュアルスイッチ機と同様に、T2もテールスイッチがメインスイッチになっています。
テールスイッチはフォワードクリック式で間欠点灯が可能です。テールスイッチの操作感が硬めなので間欠点灯はしやすくなっています。
スイッチブーツには WUBEN のロゴ、ブーツ径は12mmです。
内部のロックリングを外すとスイッチが分解できるのでブーツの交換やクリーニングなどのメンテナンスも容易に行えます。
ボディ端部は絶縁塗装が施されていないのでリアを緩めての物理的ロックアウトが可能です。
テールキャップとのジョイントネジ部は一般的な山ネジに見えますが、よく見るとネジ山処理がなされ台形ネジになっています。
ただ、Oリングとの摩擦によりテールキャップの脱着がし辛く感じました。
それだけに防水効果は期待できそうですが、自分はもう少し線径の細いOリングに交換するつもりです。(※グリスアップすると軽くなりますが、やはりOリングがキツいのでグリス効果も持続しません)
サイドスイッチ
サイドスイッチは、点灯中のモード変更専用のスイッチで、スイッチ機構はタクトスイッチ、スイッチ表面はシリコン系素材です。
サイドスイッチのスイッチストロークは、浅くもなく深くもなく標準的な操作感です。
ヘッド部分の造形との関係で、使い始めの頃は手探りだとサイドスイッチが判り辛く感じましたが、ラバーの感触でスイッチの位置が判断できるようになりました。
できればラバーではなく、A2V3のようにメタルスイッチとして欲しいのですが、コスト(=販売価格)との兼ね合いもあるので悩ましいトコロです。
T2にはC3のような電池残量インジケーターの類は搭載されていません。
電池
使用可能な電池については、マニュアルに対応電池についての一覧表が記載されています。
これによると、単三ニッケル電池(Ni-MH)にも正式対応していますが、前述の通り、電極高さの関係で所有しているエネループ&エネループ・プロの16本がすべて使用不可でした。
すべてのメーカーのNi-MH充電池を試したワケではないのですが、一部のNi-MH充電池はT2でも問題無く使えるようです。
試しに直径:5mmほどのアルミ箔(矢印部分)をヘッドに放り込み、強引に接点を確保したらエネループ&エネループ・プロでも点灯したので接点間隔が原因のようです(※あくまで点灯試験として行ったものであり、内部でショートする危険が大なので常用はしていません)
モード
T2 の搭載モードは通常モードが4段階、他に特殊モードとしてストロボを備えています。(※SOSは非搭載)
点灯/消灯はメインのテールスイッチを半押し、もしくは全押しします。(※半押しは間欠点灯)
モード変更は間欠点灯/常時点灯に関係無く、点灯中にサイドスイッチをクリックすると【Eco】⇒【Low】⇒【Med】⇒【Hi】のサイクルでモードが移行し、【Hi】まで到達すると、今度は降り順で【Hi】⇒【Med】⇒【Low】⇒【Eco】…の順にモードが移行します。
T2の通常モードグループは《昇り順》⇒《降り順》⇒《昇り順》⇒《降り順》…を繰り返す仕様で、消灯時には昇降の区分もメモリーされます。
【Strobe】は点灯中にサイドスイッチを約1秒間長押しします。【Strobe】の点灯中にサイドスイッチをクリックすると、ストロボの直前に使用していたモードに復帰します。ちなみにT2のストロボもC3と同じく一定間隔で点滅パターンが変調するポリスタイプのストロボです。
モードメモリを備えているので消灯時のモードで再点灯、もしくは間欠点灯が可能です。(※ストロボはメモリーされません)
照射
今回はこの4機種で照射比較を行ってみました。
照射比較は、比較的新しい(…って、どちらも5年前の製品ですが)2AA機の THRUNITE Archer 2A V3 と OLIGHT S2A を用意。S2Aの最大光束値は T2 と同じ 550ルーメン、 2A V3 は最大:500ルーメンになります。Lumintop Tool-AA 2.0 は単セル機ですが、14500使用時の最大光束値が650ルーメンなので今回加えてみました。
T2 と S2A は、最大照射時の自動減光レベルが明記されているので、この2本については減光時のビームショットも撮影しました。
水平照射
配光/光色
LED電球
WUBEN T2
THRUNITE Archer 2A V3
OLIGHT S2A BATRON
LUMINTOP TOOL AA 2.0 (3.7v – 14500)
屋外照射
白昼(立木まで67m)
WUBEN T2
THRUNITE Archer 2A V3
OLIGHT S2A BATON
LUMINTOP TOOL AA 2.0 (3.7v – 14500)
ヘッド径が同サイズの A2V3 と同じ照射角度で、やや拡散寄りの配光になっています。
壁面の照射画像では周辺光と中心光にて色分離が発生しているように見えますが、肉眼ではそれほど顕著な配光ムラは感じられず、実際に屋外の照射画像でも視認出来るほどの色分離ではありません。
演色性に関しても照射対象の色が大きく変化することはなく色の識別も充分に可能です。
最大:550ルーメンの点灯時間が約3分というのもヘッド(特にLED)の加熱防止から妥当な仕様だと思います。
まとめ
久しぶりに2AAライトの新製品を使わせていただいた感想を一言で表すならば『原点回帰』なのですが、Archer 2A V3 と良い意味で『大きく変わっていないかな?』というのも、そう感じた理由の一つであります。
『2AA』という仕様を考えると最大光束値の550ルーメンにも不満はありませんし、CNC加工なども丁寧で好感が持てます。
エネループが使えないのが非常に残念でしたが、原因が判っているのでソレも早晩解決されると思います。
あと、やっぱり個人的に残念なのがテールのUシェイプで、この細長さのライトをテールスタンドさせるには無理があるので、いっそのことUシェイプを廃止したら更にリアスイッチの操作性が向上したと思います。
欲を言うと、T2 の前半分のデザインのままでテールスイッチオンリーの1AA機がリリースされると嬉しいです♪(単セルでサイドスイッチのみの製品となると、これから日本でもリリース予定の WUBEN E6 がソレに該当するかなと…)
doorman が敢えて 2AA仕様のライトを選択・使用するのは、『2AA』の長さと細さが欲しい場合、具体的にはライトを他の工具と一緒に腰袋に入れて使う場合が殆どです。
18650機という選択肢もあるのですが、2AA機の『細さ』がハンドリングのしやすさに直結するので、この使用スタイルに落ち着いています。
作業時に小型の1AAライトやCR123A機をポケットに忍ばせている事もあるのですが、手袋をした状態でポケットをまさぐるのは意外と手間ですし、手袋が汚れていた時なぞは言わずもがな…であります。
実際に WUBEN T2 を腰袋に入れて画像の MLEA-D10 のようにハードに使うつもりはないのですが、レジャーなどでハンドリングのしやすさを重視する場合に活用していきたいと思います。
国内ブランド以外で2AA仕様の新製品が少なくなったのは、Li-ion充電池の普及とライトの小型化、それと同調するようなユーザーの高ルーメン指向などなど、色々な理由が考えられます。
ただ、少なくとも日本国内では『単三形アルカリ乾電池』の『認知度・入手性・手軽さ』などの理由で一定の需要があり、ライトマニア以外の方々にとっても馴染みのある電池仕様だと思います。
また、防災用途としても『単三仕様』のライトは有用な存在なので、メーカー様には今後も2AAライトの新製品のリリースをお願いしたいです。