テールに2つのスイッチを配した製品は以前から複数存在していましたが、doorman的には『使いやすいような…使い辛いような…』という感じで、興味がありつつも踏み切れずにいました。
サイド/リアの2スイッチ仕様では、油断すると未だにサイドスイッチを操作してOFFにしようとするdoormanですが、スイッチがリアに集約されていたほうが誤操作しないハズ…と前向きに考えました。(笑)
白状するとリア2スイッチの製品が初めてだった事もあり、最初はメインとサブの使い分けに戸惑いました。
そういう場合には、いつも“急がば回れ”的に製品UIを一つ一つ確認しながら操作して段々と馴れる(理解する)ように努めていますが、今回ご紹介する KLARUS E1 は【Outdoor-mode】と【Tactical-mode】の2つのグループを切替えられる事もあって馴れるまでに少々時間を要しました。
それでもメインがON/OFF、サブはモード変更と、両スイッチの役割が明確なのでマニュアルを見なくても基本操作は苦もなく行えましたし、Outdooe/Tacticalの両グループの微妙な動作の違いもポイントさえ抑えれば混乱する事なく使い分けられるようになりました。
特徴的なクリップの使用感、一般的なTIRとは異なる光学、リア2スイッチの操作性や誤点灯リスクなどなど KLARUS E1 についてレポートしたいと思います。
※KLARUS E1 のPDFマニュアルは製品HPからダウンロードできます。
製品HP
- KLARUS Lighting Technology Official HP
- KLARUS E1 – klaruslight.com
- KLARUS E1 (Jiayan E-commerce) – amazon.co.jp
KLARUS Official SNS
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INDEX
パッケージ
外箱は紙製化粧箱で背面に主要諸元が記載されています。
製品内容は、E1本体、ポーチ、充電用USBケーブル、多言語マニュアル、ミニカタログ、ランヤード、予備Oリングとなっています。
18650 Li-ion充電池は本体に内蔵して出荷されるので使用前に絶縁材を除去してください。
仕様/サイズ
機械式スイッチを搭載した18650機としては小型のライトです。
電池込みの重量も100g以下と軽量です。
ボディ
ストレート形状のボディは、ともすると滑りやすく、それがスイッチの操作感にも影響を及ぼすのですがE1はグリップ部分すべてに細かな凹凸を施してグリップ感を向上させています。
後述する光学も含めて、どこはかとなくFENIXの製品に似ていますが、KLARUS社のルーツはFENIX社にあると聞いて納得しました。
クリップ
E1の特徴のひとつである懐の深い逆クリップですが、材の厚みが薄いので反発力(バネ力)はそれほど強くありません。クリップ自体の高さが低く全体的にしなるのでグリップの握り易さにも影響はありません。(邪魔ならば、外してしまえよホトトギス?)
リアスイッチのライトの場合は、E1のような逆クリップではなく筆記用具のクリップと同じ方向のクリップが好みですが、自分はクリップの向きに関係無くリアスイッチ仕様の18650機や2AAになると問答無用でベゼルダウンにてホルスターに突っ込むのでクリップの方向に強い拘りは無いです。
特にE1の逆クリップは、折り返し部分がヘッド先端と同じ位置なのでベゼルダウンでホルスターに突っ込みやすいです。
逆クリップなのでベルトに引っ掛けるとライトが上方を向く事になり、E1を点灯させた状態で足元を照らしながら歩くという使い方ができません。また、ベゼルアップでポケットキャリーした際にロックアウトしていないとMODEスイッチ(サブスイッチ)が押されて誤点灯する可能性があるかと思います。
逆クリップはE1の個性でもあるのですが、ノック式の筆記用具でクリップが逆方向に着いていたら超絶使い辛い事も考慮しつつ、ユーザーの好みで付け替えできれば更に便利に使いやすくなると思います。
ヘッド
E1の搭載LEDはCREE XP-L Hi の Flux BIN は V4 です。
光学はリフレクターとTIRのハイブリッドですが、一般的なTIRとは異なる特殊なレンズで(【Klarus UDL Lens】と呼称)強い中心光と超広角照射を同時に実現しています。
一部のFENIX製品にも同様の光学が採用されていますが、外観と製品HPの分解図から推測すると、細かな菱目状のテクスチャが施された浅いリフレクターでLED光を反射しつつ、更にTIRで集光…という感じでしょうか?
UDLレンズの厚みが薄い(3.5mm)のも浅いリフレクターが有ってこそかと思います。
光学シミュレーションのソフトウエアによって、光学設計が以前よりも楽になったとは聞きますが、リフとレンズで計算するとなるとそれなりに面倒だろうなぁ…と、つい想像してしまいました。
レンズ表面はフラットで、先端ベゼルは厚さからしてステンレス素材かと思われます。ベゼルはKLARUS社のコーポレート・カラーである赤色にてPVD着色されています。
インジケーター
ヘッド先端付近にインジケーターが配置されています。
点灯開始後、電池残量に応じたカラーで約5秒間点灯し、Outdooe/Tacticalの切替時には点滅してスイッチ操作のタイミングを通知します。
スイッチ
E1のウリのひとつである2スイッチですが、KLARUSではメインを【Primary】、サブを【MODE】としています。
各スイッチの主な役割は名称の通りで、フォワードクリック式の【Primary】がON/OFFと間欠点灯を担い、サブの【MODE】は点灯中のモード変更となります。(※詳細後述)
【Primary】の全体の操作感は柔らかめです。
半押しの接点は浅い位置にあり、比較的軽いチカラで点灯します。全押し時にはストロークが長くスイッチ面積が小さくてブレる感じがするので意識して押し込む必要があります。
【MODE】のスイッチ機構はタクトスイッチですが、しっかりとしたクリック感があるので操作しやすいスイッチになっています。
【MODE】のパンタグラフ状のスイッチパーツはアルミ製(だと思う…)なので簡単に破損する事はなさそうです。
テールエンドは傾斜が付けられ【MODE】の操作はしやすくなっていますが、ストラップホール側から【Primary】を全押し操作する際に少し押し辛く感じます。
【MODE】がタクトスイッチなので、ベゼルアップ、ベゼルダウンに関係無くポケットキャリーする場合には誤点灯の可能性はゼロではありません。
E1はスイッチ操作によるロックアウトが出来ないので、リアを緩めて物理的にロックアウトする必要があります。
テールジョイント側にOリングが有りませんが、なぜか切れてしまっていて、切れた状態でリアパーツ側に挟まっていました。コレが絶縁材になって点灯しなくて焦りましたが予備と付け替えて問題解決♪
電池
付属の18650はUSBポートを備え、Oightの特殊電池と同じく【+】側に【-】接点も存在するタイプです。
E1 は普通の18650には対応しておらず付属の特殊電池でないと使えません。
+の凸部周囲が樹脂パーツで囲われているので通常の充電器では充電できません…ってか、敢えて充電器での充電が出来ない構造になっています。なので充電は micro-USBポートを使って充電するようにします。
E1 本体のヘッド側を覗くと中心部の+接点の他に外周部にも接点が存在しますが、ココが電池先端側の-接点と接触する仕組みです。
Oight社の特殊電池をE1に装填して点灯するか否か試してみましたが、点灯・モード変更とも可能でした。ただし、Oightの特殊電池の接点は充電の為の接点であり、対してE1付属の18650は放電の為の接点になります。両電池内部の制御回路が全く異なる可能性があり、互換性について保証されているワケでもありません。事故や故障の元になる恐れがあるので転用は控えるのが無難かと思います。
充電
付属のUSB充電ケーブルで電池を充電します。
PCやモバイルバッテリーなど、DC:5V出力のUSBと接続しますが、給電側がオンライン状態であれば自動的に充電が開始されます。
充電中は【赤】、完了時には【緑】でインジケーターが点灯します。
1A充電に対応しているようなので、空の状態からでも3時間程度で充電が完了する計算になります。
モード
前述の通り、E1には《Outdoor》と《Tactical》の2つのモードグループがあり、好みや用途によってグループを切り替える事が可能です。
グループの切替え操作は、OFFの状態で【MODE】スイッチを5秒間長押ししてヘッド部分のインジケーターが点滅したらメインスイッチを半押し(全押しでもOK)するだけです。
Outdoor-mode
通常点灯モードは《Outdoor》グループなら【Moonlight】→【Low】→【Med】→【Hi】→【Moonlight】…のサイクルでモードが移行し特殊モードは【SOS】になります。
《Outdoor》グループではモードメモリが有効となり、【Primary】スイッチで点灯する場合は、常時/間欠に関係無く記憶されたモードで点灯します。
【MODE】スイッチで点灯する場合は必ず【MOON】で点灯を開始し、2秒以上の長押しで常時点灯になります。常時点灯後は同じく【MODE】スイッチにてモード変更操作を行います。
【Primary】ではなく【MODE】で点灯を開始した後で【Primary】スイッチをONにすると予め記憶されたモードに強制的に切り替わりますが、この時に【Primary】で間欠点灯を行うとスイッチを離した時点で消灯します。
平たく言うと、モードメモリは【Primary】でON/OFFを行った場合のみ有効となり、【MODE】でON/OFFを行った場合にはモードメモリは機能せず、【Primary】と【MODE】では常に【Primary】の操作と動作が優先されるという事になります。
Tactical-mode
《Tactical》グループでは【Hi】→【Med】→【Low】→【Moonlight】→【Hi】…のサイクルでモードが移行し特殊モードは【Strobe】になります。
《Tactical》ではモードメモリが無効になり、常時/間欠に関わらず点灯開始時には必ず【Hi】でスタートします。
【MODE】スイッチは【Primary】で点灯を開始した時のみモード変更スイッチとして機能し、それ以外では【Strobe】の発動・継続動作に割り振られています。
※【Strobe】は一定間隔で変調するポリスタイプです。
【SOS】と【Strobe】の発動と継続、ON/OFF状態別による【MODE】と【Primary】の役割に関しては、下記のダイアグラムにまとめてみたので参考にしてください。
通常モードから【SOS】や【Strobe】に移行し、再度通常モードに復帰する場合は上図の通りで【SOS】は直前のモード、【Strobe】では常に【Hi】に戻ります。
【SOS】と【Strobe】の発動・継続の違い(長押しの時間)と通常モードへの復帰ポイントが両グループで微妙に異なるので複雑なUIに感じるかもしれません。
しかし、よくよく考えてみるとサイド/リアの2スイッチがそのままリアの2スイッチに置き換わっただけ…とも言える操作体系ですし、各スイッチの役割が明確に別れているので混乱するのは最初だけかと思います。
KLARUS E1 / 操作ガイド (日本語版) – YouTube
照射
水平照射
配光/光色
LED電球
KLARUS E1
ACEBEAM TK18 (LH351D)
OLIGHT S2R-II
FOLOMOV 18650S
BLF A6
屋外照射
白昼/軸線(立木まで67m)
KLARUS E1
ACEBEAM TK18 (LH351D)
OLIGHT S2R-II
FOLOMOV 18650S
BLF A6
FENIX UC30
壁面照射画像では中心光が強く、周辺光が存在しないように見えますが、E1の照射角度が超広角なので周辺光の境界が写っていないだけです。これはそのまま屋外照射にも現れていて、周辺光の境界がFlood系ライトのようです。
光色はCool-whiteらしい白色光で、レンズによる色収差もなく周辺光も均一で非常に綺麗です。低出力時でもフリッカーは発生しません。
同じXP-L Hi を搭載しヘッド径の近いUC30と比較すると、リフレクター仕様のUC30の方がより中心光が強くなっていますが、リフレクターの深さを確保する必要があるのでUC30は製品サイズも大きくなってしまいます。
サイズよりも「飛び」を重視するならリフレクターに分があると言えますが、E1のハイブリッド光学は全長を抑えつつ飛距離も確保できる点が最大のポイントかと思います。
まとめ
一つ一つの操作・動作を確かめながらダイアグラムを作成したのですが、Outdoor/Tactical のどちらのグループを常用するにしても、そのグループを選択するユーザーが何を求めているか?どんな使い方をするか?…を良く理解・想定してUIが考えられているなと、ダイアグラムを描きながら感じました。
名前こそ《Outdoor》になっていますが、事実上の《EDC》モードであり、普段は【MODE】スイッチの操作だけで間に合うかと思います。
普段【MODE】だけでON/OFFする使い方でも、モードメモリを【Hi】にした状態にしておけばメインスイッチを操作すればいつでも【Hi】に切り替わるので疑似タクティカルのようにも使えます。
テール側に2つのスイッチが集約されているという事は、逆手での使用が前提であり、メインとサブに分ける必要があるのか?…という気もしていたのですが、実際にE1を使ってみると2つのスイッチのお陰で Outdoor/Tacticalの使い分けが簡単になり、それがそのまま E1 の“間口の広さ”にもなっています。
フロントサイドとテール側にスイッチがある2スイッチ仕様の製品は、逆手でメインを操作して点灯後は順手でサイドを操作する事が前提であり、サイドでON/OFFの両操作が不可となる機種では順手から逆手、もしくはその逆に持ち替える必要があります。これが個人的にサイド/リアの2スイッチ仕様の製品に馴染めない一番の理由でもあります。
E1の場合はサブの【MODE】スイッチのみで通常モードの点灯/消灯操作が可能であり(※Outdoorの場合)、どちらのスイッチを操作しても取り敢えず点灯・消灯できる点がE1を気に入っている一番の理由でもあります。
ソレと引き換えに電池仕様が特殊であるのが悩ましく、予備電池が無いと長時間・長期間連続使用する事が難しくなるのが残念です。
他に気になった点としてはテールエンドの傾斜形状で、特定方向からの操作性のみが重視されているのが気になりました。
メインを押そうとしてサブも同時に押してしまう事があり、これを回避しようと親指を不自然に曲げると握力が低下して極端にホールド感が悪くなります。(E1に限った話ではナイですが…)
押し辛くてゲンナリ…というほど酷くはありませんが、メインスイッチが小さいので全押し時には意識して押し込む必要があります。どの方向からでもスイッチ操作がしやすければフォワードクリック式のスイッチが更に活きて来ると思いました。
それでもトータルで見ると Outdoor と Tactical を用途に合わせて使い分けられ、どちらのUIも良く考えられており、配光も綺麗なので重宝するライトなのは間違いありません。
EDC要素もタクティカル要素も取り込んだ製品は、ともすると中途半端なライトになってしまいがちなのですが、KLARUS E1 はそんな事はないので、EDCがメインか?それともタクティカルか?…と、迷っている方には特にお薦め出来る1本です。