ヘッド部分が90°に曲がる(曲げられる)製品は NICRON N7 が初めてでしたが、N7は単三仕様ゆえにランタイムが限られ、低出力時にはフリッカーも発生するので使いにくく、新たにヘッドがトランスフォームするライトを物色…。
『タスクライトなので拡散配光だろうなぁ…リフレクターも浅いみたいだし…』
『それにしても【PDOT】って何ぞや?』
『お、16340×2でも使えるんだ♪』
・・・そんな感じで、他にも可変機構を持つ ROFIS とか FENIX の機種と比較・検討したのですが、最終的にこの MT21C に落ち着きました。
TIP2 や TUP を使っていなければ、NITECORE というだけで選択肢から除外していたかもしれないので、我ながら現金なモノだなと…(^^;
MT21C は純然たるハンドライトではありませんが、doorman的にはNITECORE社のハンドライトは、MT21Cが初めての製品になります。
TIP2やTUPとはコンセプト自体が異なる製品なのですが、可変機構を持つハンドライトとして、実際の使い勝手はどうなのか?…レビューしたいと思います。
ちなみにMT21CのマニュアルもNITECORE社の製品HPからPDFマニュアルがダウンロードできます。
製品HP
- NITECORE Official HP (Flashlight)
- NITECORE MT21C – nitecore.com
- Nitecore MT21C ( Jiayan E-commerce ) – amazon.co.jp
NITECORE Official SNS
- Facebook – Nitecore Flashlight / @nitecoreflashlight
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- Twitter – Jiayan E-commerce Japan
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INDEX
パッケージ
黄色と黒色の紙製化粧箱ですが、このパッケージは裏面の特徴と主要諸元も英語で記述されています。
商品構成は、MT21C本体、ホルスター、保証書、多言語マニュアル(日本語対応)の他に、クリップ、予備Oリング×2、ランヤードは小袋に収納されています。
付属ホルスターのベルトループは、モールシステムにも対応しています。
仕様/サイズ
MT21Cは、太さが1インチで可変機構を備えていますが、一般的なサイドスイッチ仕様の製品とサイズ(長さ)的に大差ありません。
重量的にも18650単セル仕様らしい重量に収まっています。
※電池込みの装備重量は使用電池によって増減します。
ボディ
ヘッド径、テール径とも1インチ(≒25.4mm)ですが、アンチロール部分だけ少し太くなっています。
クリップは最初から本体とは別に同梱されているので、ユーザーの好み、用途に合わせて装着するか否か、クリップの方向も選択できます。
グリップ部分のフラット面は2面で、それぞれにモデル名のMT21CとNITECOREロゴがプリントされています。
NITECORE社製ハンドライトのローレットは、画像で見た限りではエッジが立っていて手袋の繊維が纏わりつくような粗めのグリップ感を想像していましたが、実際にMT21Cを使ってみたらサラリとした感触で適度なグリップ感でした。
ヘッド
CREE XP-L HD でランクは V6。
光学は鏡面リフレクターで、ガラスフィルターはAR加工が施されています。
後半の照射画像を見ていただくと判りやすいのですが、1インチヘッドで浅めのリフレクターの割りにはピンスポットに近い中心光で、同時に広角照射をも可能としています。
90°可変ヘッド
90°の可変機構は、22.5°ピッチで軽くラッチが掛かります。
無段階ではないので任意の角度で止めることはできませんが、順手持ちの状態からそのまま片手(親指)で簡単に角度調整できるのが何気に便利です。
ヒンジの構造は↑の画像の通りで、出荷時に注油されたと思われるグリスが付着しています。
ドアに使われる蝶番と同じくピン(シャフト)で支持される構造ですが、ヒンジの噛み合わせ部分がヘッドやボディと一体成形されているので強度は充分です。多少の力で捻ったぐらいでは壊れたり外れたりしません。
構造上、噛み合わせ部分にクリアランスが必要なので、多少のガタつきは覚悟していたのですが、これも思ったより小さかったです。
ヒンジのシャフト部分に取り付けられているループは簡単に外れそうになく、ヒンジ自体もユーザーが分解するのは難しそうです。
ループとヘッドの間隔がそれほど広くないので引っ掛けられる場所も限定されますが、大きめのWリングやパラコードを足してやれば解決できます。ただし、このループを使用して吊した場合は、光源が水平より下に向くことは無いので、ランタンのようには使えません。もし、ランタンのようにも使いたいのであれば、同社の LR12 とかの方が良いと思います。
スイッチ
他のサイドスイッチ仕様の製品と同じくスイッチはタクトタイプのスイッチでスイッチボタンの素材は金属製です。
スイッチ周りのシール材が透明になっていますが、電池電圧・電池残量インジケーターとして機能します。
電池電圧インジケーター表示は、18650単セルの場合は判りやすいのですが、16340×2 や CR123A×2 で運用する場合は点滅回数がそのまま電池電圧とはならないので要注意です。
テール/リア
テール部分にはマグネットを装備していますが、簡単に脱着はできないと思います。
角ネジではありませんが、ネジ山はしっかりと処理されています。
新品だとグリス多めのオイリーな状態なので一度余分なグリスを拭き取り、Oリング部のみグリスアップしたほうが良さそうです。
テールにはストラップホールの類が無いのでランヤードやストラップはヘッド部のループかクリップに取り付ける事になります。
電池
MT21Cを選んだ理由の一つが対応電池の種類で、18650×1(4.2V)、CR123A×2(6.4V)、16340×2(8.4V)の3種類で運用できます。
18350×2 でも直列状態でセットできれば(長さに問題無ければ…)使用可能です。
18650 はIMRに多いフラットトップ型でもOK。リバースプロテクション機能(逆挿し保護回路)も備えているので暗所での電池交換も安心です。
モード
MT21Cの基本操作は、長押しで ON/OFF、点灯中の1クリックでモード変更、3クリックで特殊モードでの点灯になります。
モードメモリ機能はなく、長押しで点灯を開始する際には【Ultra-Low】か【Turbo】でスタートします。
※【Ultra-Low】で点灯後、そのままスイッチを押し続けると【Turbo】に切り替わります。この時、2.5秒以上スイッチを押し続けると【Turbo】の間欠点灯になります。
消灯時にスイッチを1クリックすると電池電圧インジケーターが点灯、3クリックすると消灯時でも特殊モードの【Strobe】で点灯を開始します。
長押しスタートなので誤点灯はしづらいのですが、MT21Cにはロックアウトモードが無いので、携行時にはリアを緩めておくのが安全です。
最大出力【Turbo】での点灯時にはそれなりに発熱しますが、MT21Cには過熱防止機構(ATR)も搭載されています。
NITECORE MT21C / CREE XP-L HD V6 (CW) : review – YouTube
照射
水平照射
配光/光色/演色
LED電球
NITECORE MT21C
OLIGHT M2R
FENIX UC30 – 2017
THRUNITE TC12
BLF A6
屋外照射
白昼/軸線(立木まで67m)
NITECORE MT21C
OLIGHT M2R
FENIX UC30 – 2017
THRUNITE TC12
BLF A6
前述の通り、配光はスポット光重視の配光で照射角度も広くなっています。
製品特徴には【精密デジタル光学テクノロジー(PDOT)による究極のリフレクション】云々…とありますが、確かに一般的な1インチヘッドのライトとは一味違う配光であり、良い意味で期待を裏切られました。
逆に1インチヘッドと XP-L HD の組み合わせによる、従来の拡散気味な配光を求めて購入するとアテが外れるかもしれません。
その【PDOT】の影響なのか、中心光が四角っぽく、四隅から光の角(ツノ)が少し出ているように見えます。また、ベゼル先端の形状が影となって照射面に出ますが、どちらも至近距離で照射した場合のみ視認出来る程度なので、屋外で照射する際には気になりませんでした。
タスクライトなので拡散寄りの配光かと思っていましたが、よくよく考えてみれば拡散配光でなければならない…と、いう理由もないワケで、特にMT21Cのようにハンドライトとしても使えるのであれば、それなりに飛距離が出た方が汎用性が高い…とも言えるのではないでしょうか?
まとめ
可動式ヘッドの製品を検討する上で、一番重視したのはヒンジ部分の構造です。
特に強度や精度については他のサイトの情報も参考にしましたが、MT21Cについては大きなガタつきもブレもなく、強度的にも満足です。
1クリックで ON/OFF できないUIなので、ユーザーによっては使いづらいと感じるかもしれませんが、物が当たるなどして不意に点灯したり消灯したりするリスクは小さいので、タスクライトとしてはコレが正解なのかもしれません。(用途的に不意の消灯の方が困るかも…)
NICRON N7 のレビューでも触れましたが、可動部分に砂や泥、粉塵が付着すると面倒なので、そうした悪条件下で使用するならばL型のアングルライトやH2Rのように可変機構を持たないライトがオススメです。
通常の使い方をする場合でも可動部にゴミが付着すると動きが渋くなるので、こまめにクリーニングした方が良いでしょう。ただ、N7のように面が擦り合う構造ではないので、クリーニングは比較的楽に行えます。
それでも、ハンドライトとして使いつつ状況によってヘッドを曲げてウェラブルに…、或いはテールのマグネットを利用して簡易照明にもなるのは可変機構を持つライトならではの便利さがあります。
今のところアウトドアで使うよりも、ちょっとした加工をする時やハンダ付けする時の簡易照明、手元照明的に使う事が多いのですが、当初の目論見どおり(笑)18650仕様ならではのランタイムに助けられています。