既にご存知の方も多いと思いますが、OLIGHT社製品のモデル名の頭文字は、目的や用途、製品コンセプトに合わせて分けられています。
このブログ内で一番多くレビューしているのが、EDCのカテゴリーに属する【S系】のモデルで、S1/S2、S10/S30 などのBATONシリーズが該当します。
・・・で、今回ご紹介する M2R WARRIOR は、タクティカル系の製品に付けられる【M】を冠していて、久しぶりのOLIGHT社のタクティカル系ライトの新製品となります。
OLIGHT社のM系製品としては、M1X STRIKER や M20/M23 、M2X/M3XS がお馴染みかと思いますが、今回リリースされた M2R は飛び系のM2Xとモデル名はよく似ていますが、1インチヘッド&ボディの18650単セル仕様となっています。
この M2R というモデル名も、最近のOLIGHT社製品の命名規則が適用されていて、各カテゴリー製品をシンプルに系譜化する動きに合わせているものと思われます。
そんな、まったくの新M系モデルの第一弾となる M2R ですが、中身(?)についても新しい試みがなされていて非常にユニークな製品になっています。
M2Rのディザー広告を目にする度に“前のめり”になっていた doorman でしたが(笑)、待望の実機を手にしてから2週間程続けて使ってみたので、実際の使用感も含めたM2Rのレビューをお届けします。
製品HP
- OLIGHT Official WEB site – olightworld.com
- OLIGHT M2R WARRIOR – olightworld.com
- OLIGHT M2R WARRIOR – amazon.co.jp
- Olight® Direct JP – amazon.co.jp
OLIGHT Official SNS
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INDEX
パッケージ
パッケージ外装は紙製の化粧箱。
裏面にはM2Rの特徴と主要諸元が記載されています。
内箱にはPET素材のカバーが架けられ、電池の絶縁・充電に関する注意書きと Standard/Enhanced の切替方法が記載されています。
M2R本体(電池内蔵)、多言語マニュアル(日本語サポート)、充電パッド、ホルスター、ランヤード、パンフレットが同梱されています。
充電パッドとランヤードはホルスター内に収められています。
ホルスター
付属のホルスターはM2Rにジャストフィットするサイズで、ベゼルUP/DOWN のどちらからでも収納可能です。
ポケット部分に緩衝材などはありませんが、モールシステムにも対応可能なベルトループも含めて、全ての部位に丈夫な生地が使われています。
中央のバックルはサイドリリースタイプではなく、正面中央部分を押してリリースするタイプです。押したまま上にスライドさせるようにするとロックが外れます。
仕様
6061-T6 に HA-III 塗装と定番の組み合わせ。
各モードのルーメン値とカンデラ値が一緒に記載されているのが有難いです。
ちなみにM2Rだけでなく、幾つかの機種の製品マニュアルはOLIGHT社HPの各製品ページからPDF形式でダウンロードできます。
購入前にマニュアルを見てじっくりと検討・チェックできるのは非常に有難く、ユーザー本位なメーカーの姿勢として高評価に値すると思います。
サイズ
M2RはTIRレンズではなくリフレクタータイプの製品ですが、リアスイッチと充電機構を備えながら小型になっています。
同じリフレクタータイプのS30R-IIIと比較すると大きいのですが、リフレクターのサイズ(深さ)が両機では異なりますし、リアスイッチを備えながらこのサイズに収めているのは、純粋に凄いと思います。
電池込みの重量は実測値で約155g、ボリューム感のある本体デザインなので重そうに見えますが、18650単セル仕様の製品としては平均的な重量に納まっています。
ボディ
M系モデルなので純粋なEDCライト(?)とは異なるマッシブな雰囲気が漂っていますが、無駄に攻撃的でないデザインなので普段使いにしても抵抗感は少ないと思います。
グリップ径は1インチなので、市販のライフルマウントにもピッタリとセットできます。
付属のWクリップはハメ込み式で、ユーザーの好みでリバースさせることができます。
グリッドデザインは正方形のスクエアではなく、同社のH2Rに近い長方形を基調としたデザインになっています。
外観意匠については好みが別れるかもしれませんが、実際に握ってみると順手・逆手ともしっくりと手に馴染みます。
ヘッド/LED
リフレクターはOPテクスチャ、LEDは Cree XHP35 を搭載しています。
タクティカル系製品のリフレクターは鏡面タイプ(SMO)が多いのですが、個人的には周辺光が乱反射して配光ムラが出にくいOPリフが好みだったりします。
ステンレス製ベゼルはPV着色されています。
ストライクベゼルと呼ぶには控えめな形状ですが、ユニークな形状がM2Rのアクセントになっていると思います。(加工するのに時間が掛かるだろうなぁ…)
画像だと判り辛いのですが、歯の部分(?)のエッジはそれほど鋭くはありません。でもこのベゼルで引っ掻かれたら相当痛いと思いますし、護身用として使う場合は、犯人の体組織の一部を削り取るDNAピッカーとしても機能します。
あまりエッジが立っていないので素のままで服のポケットにも入れやすく、付属のホルスターにベゼルダウンで突っ込んでも安心です。
放熱フィンが刻まれた部分は6角形状に加工されています。
フラット面の位置がグリップより太くなっているのでアンチロールとしても機能します。
両サイドにOLIGHTのロゴとモデル名、S/No.がプリントされています。
スイッチ
サイドスイッチ
サイドスイッチの素材はシリコン系の軟質素材です。
中央部分は半透明になっていてインジケーターとして機能します。
サイドスイッチ中央部は、少しだけ凸形状に盛り上がっています。
手探りでスイッチを触った時でもスイッチの中央部分を特定しやすく、中央部を意識してスイッチ操作するのでチカラが分散せず、自然に操作できます。
リアスイッチ
OLIGHT製品の中でも初となる“サイレントスイッチ”と名付けられたスイッチです。
付属の充電用パッドを装着した時に電極の接点となるため、スイッチトップの中央部は金属製になっています。
一般的なメカニカル式のスイッチではなく、完全に押し込んだ時の操作感(クリック感)はサイドスイッチの操作感とよく似ています。
操作感からしてスイッチ本体はタクトスイッチ、もしくは同等のスイッチかと思われます。
なので、M2Rはプッシュ式スイッチでありながら、リバース式ともフォワード式とも異なる動作・操作感となります。(サイドスイッチがそのままリアに付いた…というのが一番判りやすい表現かも?)
スイッチストロークは、半押し時で1~1.5mm程度、全押し時には2~3mm程度でしょうか・・・
見た目ほどストロークは深くはないのですが、最初は半押しと全押しの境界が掴みづらく、従来の一般的なスイッチのようにラフに操作すると全押し状態になってしまいました。
…とは言うモノの、メチャクチャ鋭敏なスイッチではなく、それなりに抵抗感があるので意識して操作しないと点灯させられません。
なにしろ初めてのスイッチ形態なのでチカラ加減に慣れていないのが原因であり、スイッチ機構そのものが劣っているワケではないと思います。実際に使い馴れてしまうと半押しでの【Turbo】点灯や、常時点灯からリア操作での消灯が便利に感じるようになりました。
リアキャップ端部にはランヤードホール、ジョイントネジ部分は角ネジ加工されています。
小口部分を除き、ネジ部には絶縁塗装が施されているので、リアを緩めてのロックアウトも可能です。
電池
パッケージやマニュアルに記載がありますが、最初に絶縁シートを除去して充電を行ってください。
繰り返しになりますが、Li-ion充電池の国際流通規約に基づき満充電状態では出荷されないので、箱出しの状態ではMax点灯できない場合があります。一通り動作チェックを行ったら、先ずはしっかりと充電を行いましょう。(でも、Max点灯したくなるんですよねぇ…)
付属の電池は容量3500mAhの ORB-186S35 です。
この電池は同社の X7 Marauder のキット版に付属する電池と同じです。
M2R も X7 と同様に大電流に対応した電池を使用しないと製品本来のパフォーマンスを引き出せません。
他の充電機能搭載モデルに付属している電池のように電極が特殊ではないので、試しに普通のコバルト系18650でMax点灯させたところ電源が落ちてM2Rの回路がシャットダウンしました。
一旦、リアを緩めて通電を完全にカット、その後再度Max点灯させたところ、やはりシャットダウンしたのでMax点灯時には相当の電流量を要求するものと思われます。
※同じXHP35を搭載している PL-2 は、CR123Aを2本使うので高い電池電圧(6V)を確保でき、昇圧に要するエネルギーが少なく済むのですがM2Rは単セル故に大電流を必要とする理屈です。
※シャットダウン時は内部回路に負担が掛かり故障の原因にもなるので付属の ORB-186S35 で運用することを強くお薦めします。
充電
すっかりお馴染みになったパッド式USB充電ですが、MCC充電器【S】との互換性が確保されています。
これまで同方式の充電機構を採用した製品は、S1R/S2R/H1R/H2Rなど、すべてリア側にスイッチが存在しない製品だったので、M2Rは初めてリアスイッチを備えてパッド式充電にも対応した製品となります。
先の PL-MINI は別として、パッド式充電に対応したモデルには必ず充電パッドが付属するので互換性についてはさほど気にならないかもしれませんが、互換性が確保されていると管理・運用が楽なのは確かです。
充電中はパッド部分のインジケーターが【赤】、充電完了時には【緑】で点灯します。
パッドをM2Rにアタッチしない状態でも、パッドに通電されている時もインジケーターは【緑】で点灯します。
モード/操作
M2Rの搭載モードは【Moonlight】~【Turbo】までの6モードに加え、【Strobe】モードを搭載しています。
消灯時からスイッチの長押しで【Moonlight】、そのまま【Moonlight】で消灯すると次回はワンクリックで【Moonlight】点灯します。
通常モードは点灯時にスイッチを長押しする事で【Low】→【Med2】→【Med1】→【Hi】→【Low】…のサイクルでモードが移行します。
【Turbo】と【Strobe】を除いて、消灯時のモードを記憶し、時間点灯時には消灯時のモードで点灯を開始します。
・スイッチのダブルクリックで【Hi】
・【Hi】で点灯中、更にダブルクリックで【Turbo】
・トリプルクリックで【Strobe】
※基本的な操作体系は同社の S-BATON シリーズと同じです。
この他にM2Rには Standard-mode と Enhanced-mode の2つのモード区分があります。
両者の違いは、【Turbo】点灯時のルーメン値(1000/1500)とリアスイッチ操作時の挙動の違いとなります。
Standard-mode 時は、リアスイッチの半押しで【Turbo】の間欠点灯、全押しで【Turbo】の常時点灯となり、どちらのルーメン値も1000ルーメンとなります。
Enhanced-mode 時は、リアスイッチの半押しで【Turbo】の間欠点灯、全押しで【Strobe】の間欠点灯となり、どちらのルーメン値も1500ルーメンとなります。
1000/1500ルーメンの出力値は、リアスイッチ操作時だけではなく、サイドスイッチを操作して【Turbo】/【Strobe】モードで常時点灯した時も継承され、現在 Standard-mode か Enhanced-mode かで出力値が変化します。
Standard/Enhanced の切替はリアを全押ししたままサイドスイッチをクリックするか、【Low】~【Hi】のモード変更ループを3回繰り返す事で行います。
【Turbo】モードでは過熱防止のリミッターが約3分で発動し、700ルーメンまで減光します。
ロックアウトモード
M2Rはリアを緩めることで誤点灯防止のロックアウトが可能ですが、スイッチ操作によるロックアウトも可能になっています。
ロックアウトモードにするには、消灯時にサイドスイッチを約2秒間長押しします。
一瞬【Moonlight】で点灯した後にすぐに消灯し、この時点でロックアウト状態になります。
ロックアウトを解除するには、同様にサイドスイッチを長押しします。
解除されると必ず【Moonlight】で常時点灯を開始します。
ロックアウト状態では、サイドとリアのどちらのスイッチを操作してもサイドスイッチ部分のインジケーターが赤く点灯し、ロックアウト状態であることを通知してくれます。
OLIGHT M2R WARRIOR / CREE XHP35 (CW) – YouTube
※上記動画内にて 5:01 辺りからモード変更操作についての解説をしているので良かったら参考にしてください。サイレントスイッチなので、クリック音が拾えなかったので判りづらいかもしれませんが、親指のチカラの入れ具合で判断していただければ…(^^;
照射
Moonlight – 1 Lm
水平照射
屋外照射
OLIGHT M2R – All mode
OLIGHT S30R-III BATON
OLIGHT S2R BATON
OLIGHT R20 JAVELOT
FENIX UC30 2017
THRUNITE TC12
SKILHUNT X0
Max mode 比較
天井照射時には感じ無かったのですが、屋外照射してみたら想像以上に拡散配光だった…というのが本音です。
タクティカル要素が3割でEDC要素が7割…という印象も配光による影響(?)が大きく、リアの間欠点灯が可能な点やM2R全体の雰囲気でM系モデルであることを意識するかな…という感じです。
配光のタクティカル度については R20 や UC30 の方が強く、周辺光量が豊富なM2Rの配光はEDCライト寄りの配光と言えるかと思います。しかしながら、タクティカルな配光として何か基準があるワケでは無いですし、ユーザー自身の基準で判断するのが正解なんだと思います。
スポット重視の機種では1000ルーメン未満でも立木を照らしていますが、M2Rは5割増しの1500ルーメンでもギリギリ立木を照らせている…という状態です。ただ、周辺光量を含めた場合で見ると、逆転してM2Rが広範囲を万遍なく明るく照らせるので遠射性能だけで判断するのは早計かと思います。
結局、どちらが良い/悪い、明るい/暗い、ではなく『どちらの配光が好みか?』 若しくは 『どちらの配光が自分の用途に合っているか?』 で選択するのが肝要で、購入後に後悔する事が無いかと思います。
カメラのホワイトバランスは全て【太陽光】に設定して撮影していますが、光色についてはスッキリとした自然な白色光で好感が持てます。
※スミマセン…Standard-mode 時の1000ルーメンを撮影し忘れていました。。。(´Д` )
まとめ
なるほど、こう来たか!(゚∀゚)
・・・ってのが、M2Rを手にした時の第一印象で、M系としてはタクティカル感が少ないけど、軸足がEDC寄りになったことで間口が拡がり守備範囲も広くなったと思います。
個性的な外観についての判断は、ユーザーの好みがあるので難しいのですが、無駄に攻撃的でないデザインは個人的に気に入っています。
電池に関しては、付属電池のように大電流に対応したハイドレイン仕様の18650を使う必要はありますが、これまでの充電モデルに付属していた+/-の電極が特殊なものではなく、一般的な18650充電池と同じ電極仕様となったことで将来を見据えての導入もしやすいと思います。
リアスイッチも従来のメカニカルスイッチではなく、タクトタイプのスイッチを採用するなど、新しい試みがなされていて面白いと思います。
自分が知る限り【サイレントスイッチ】のようなスイッチは、サイドとリアにスイッチを持つ2スイッチタイプの市販製品の中では初めて採用されたスイッチであり、故に一般的な2スイッチ製品を使い慣れていると、最初は操作感や動作ファンクションに違和感を覚えると思います。
OLIGHT社のお家芸になりつつあるパッド式USB充電機能を実装するために考案されたスイッチ形態なのかもしれませんが、ソレはソレでブレていないメーカーの方針(姿勢)として評価に値するのではないでしょうか?
気になった点というのは特に無いのですが・・・
強いて挙げるとすれば、Wクリップになったことでクリップ自体のボリュームが増し、取り付け位置をリア側にすると順手持ちした時に少々違和感があることぐらいでしょうか・・・。これもクリップが脱着可能なので装着しない事も可能ですし、自分の使いやすいようにできるので些末な事かと思います。
他に気なったというか…個人的に気になっているのは、まだ正式に発売はされていませんが、M2R用のリモートスイッチが予定されているようで、サイレントスイッチのファンクションがリモートにどう割り当てられているのかがヒジョーに気になっています。
多分、他のリモートスイッチのように間欠点灯オンリーになるのかもしれませんが、Enhanced-mode に於いての【Turbo】と【Strobe】が、リモートでも使い分けられるのか…?、それとも【Turbo】一択のシンプルな動作になるのか?・・・リリースされるのが楽しみであります♪
1000ルーメンを超えるパワフルなEDCが欲しいけど大きいのはイヤ、充電も簡単に出来て、護身用にも使いたいけど頑張り過ぎたデザインはNG、複雑なUIは無理・・・M2Rは、そんな要望に応えた製品なのかもしれません。