前回の OLIGHT S10R-Ⅲ は S10R-Ⅱ の後継機、この OLIGHT S30R-Ⅲ は S30R-Ⅱ の後継機となります。
S10R-Ⅲ は搭載LEDのメーカーやUIが変更され、目に見えない(って、LEDは見ますが…)部分の変更が多かったのですが意匠に大きな変化はありませんでした。対して今回ご紹介する S30R-Ⅲ はストレートな形状から他のSシリーズのデザインを取り入れた形状に変更されました。
ざっくり言うとS30R-Ⅲは S2 や S2R のリフレクター仕様…って事になるのですが、グリップ径よりヘッド径がやや大きく、ヘッド部分に刻まれた放熱フィンが R50 SEEKER を連想させます。
doormanは S30R-Ⅱ のデザインも気に入っていて、正直今回のS30Rのデザイン変更については少々残念に思っていました。
が・・・、実際にS30R-Ⅲを使ってみると『お、コレもいいな…』 って感じで、実にしっくりと手に馴染む使いやすい製品に仕上がっています。光学部分(TIRレンズとリフレクター)の違いを抜きにしても S2/S2R とは使用感が全然違い、外観デザインは似ていても S2/S2R とは全くの別製品になっています。
この使用感の違い、使いやすさは何処から来るモノなのか・・・?
その秘密を探りつつ、Sシリーズの旗艦モデルとなる OLIGHT S30R-Ⅲ をチェックしたいと思います。
製品HP
・OLIGHT Official WEB site – olightworld.com
・OLIGHT S30R Baton III – olightworld.com
・OLIGHT S30R Baton III – amzon.co.jp
・Olight® Direct JP – amzon.co.jp
関連記事
・OLIGHT S30R BATON II / CREE XM-L2・U3 – roomX.jp
・OLIGHT S2R BATON / CREE XM-L2 (CW) – roomX.jp
・OLIGHT S2 BATON / CREE XM-L2 ・U3 (CW) – roomX.jp
INDEX
パッケージ
S30R-ⅢもPET素材のBOXに収納され、開封するとひと目で判るシールが使われています。
開封すると【READ ME】と書かれた説明書が目に入ります。
一旦、全て外箱から取り出せば割と簡単に台紙から本体が取り外せます。
充電ドックは黒い小箱に収納されています。
内容物はS30R-Ⅲ本体、MICRO-DOK Ⅲ充電器、USBケーブル、ストラップ、取扱説明書、カタログとなっています。
※付属の18650 Li-ion充電池は本体に内蔵されて出荷されます。
仕様/サイズ
それぞれ全長やヘッドサイズが異なりますが、S30R-Ⅱから極端に小型化されていないことが分かります。
それでもグリップ部分がS2/S2Rのように絞り込まれてダイエットされた感があります。(結果にコミット?)
ボディ
ボディ形状、意匠が他のSシリーズと同じになり、WクリップやOLIGHTカラーにPVD着色されたベゼルリングも他のSシリーズと共通化されました。
グリップ径はS2/S2Rと同じなのですがヘッド部分にボリュームがあるのでスレンダーに感じます。
ヘッド
Cree XM-L2にSMOリフ(ミラーリフ)の組み合わせ。
リフの深さはS30R-Ⅱから変わっていないように見えますが、照射画像では少しスポット寄りの配光になっています。
S30R-Ⅲも先端Oリングは蓄光仕様です。
スイッチ
S30R-Ⅱ/Ⅲのスイッチ面積(直径)は、S1/S2よりほんの僅かですが大きくなっています。
クリック感に違いは感じられませんが、表面積の違いで操作感が微妙に変わります。
個人的にはS30R-Ⅲのボディサイズならスイッチサイズもこれぐらいの方が合っていると感じます。
低電圧警告のインジケーターは、電池電圧が3.1V(±0.1V)ぐらいまで下がると点灯します。
付属の18650電池以外でも試してみましたが、概ね3.0~3.2Vぐらいでインジケーターが点灯しました。
リア/テール
リア部分には充電用の電極が存在し、ドック充電およびパッド充電に対応します。(※後述)
マグネットが内蔵されていますがマグネットを取り外すのは難しいと思います。
S30R-Ⅱには無かったストラップホールがS30R-Ⅲには設けられています。
S30R-Ⅱでは自作ストラップをクリップに引っ掛けて使っていましたが、やはりストラップホールが有った方が何かと便利です。
やはり他のSシリーズと同様にリアキャップのジョイントネジ部は角ネジ加工されています。
電池
極端にオーバーサイズでなければ付属の18650以外でも 3.6V/3.7V の18650リチウム充電池であれば使用可能です。
ただし、IMR系に多い【+】極がフラットタイプの電池は使用不可となります。また、ハイドレインに対応していない電池ではランタイムが極端に短くなったり動作が不安定になることがあります。
付属の18650の型番は ORB-186C35、電池容量は3500mAhでハイドレイン仕様のLi-ion充電池です。
※本体に内蔵されて出荷されるので使用時には絶縁材を取り除きます。
他の充電機能付きSシリーズに付属するLi-ion充電池と同様に、電池の【+】側にも【-】接点が存在する特殊な電池です。充電ドックや充電パッドを使って充電するにはこの専用電池が必須となります。
メーカー推奨の充電方法ではないので自己責任になりますが、付属の ORB-186C35 も一般的なLi-ion充電器での充電も可能です。
また、これも自己責任になりますが一般的な18650対応ライトでこの ORB-186C35 を使うことも可能です。
ライト側の接点形状によってはショートする危険があるので、なるべく他メーカーのライトでは使わないのがベターかと思います。
充電
充電ドックの MICRO-DOK Ⅲ は、S10R-Ⅲに付属する充電ドックと同じ物です。
※MICRO-DOK Ⅲは単体で別売りもされています
やはり底部に3箇所の吸盤が付けられ移動・設置の自由度が格段に向上しました。
ドック側のプレートにライト本体テール部に内蔵されたマグネットで強力に固定されます。
ドックから意識してライトを剥がす(?)ようにしないと簡単にライトが外れないので、充電中に意図せずライトが倒れて充電されていなかった…という事態はまず起きないと思います。
ドックにライトをセットすると直ちに充電が開始され、ドックのインジケーターが充電開始/充電中は【赤】で点灯、充電完了時には【緑】で点灯します。
別売りの OLIGHT MCC充電ケーブル(Sサイズ)を使うことで充電ドックによる定点充電だけでなく出先でのモバイル充電も可能になります。また、MCC充電ケーブルは S1R/S2R/H1R/H2R に付属するパッド式充電ケーブルと同じ物なので、既にこれらの機種が手元にあれば S10RⅢ/S30RⅢ に付属する MICRO-DOK Ⅲ と相互に運用することも可能です。
S10R-Ⅲでも述べましたが、追加投資が必要とは言えドック式充電に於ける最大の弱点であった【充電場所の制限】が解消されたのは大きいと思います。
モード
S30R-Ⅲの搭載モードは通常点灯が4モード、他にターボモードとストロボモードを備えています。
スイッチをワンクリックすると点灯。
点灯状態で長押しするとモード変更、3回以上の連続クリックで【Strobe】発動、どのモードで点灯していてもスイッチのワンクリックで消灯します。
点灯時・消灯時に関係無くスイッチをダブルクリックすると【Turbo】で点灯します。
【Turbo】の連続点灯時間は最大2分に制限されていて、制限時間を超えると500ルーメンに自動減光されます。
※【Turbo】の1050ルーメンでの点灯はハイドレインに対応した18650で満充電状態の時に限定されます。
消灯状態からスイッチの長押しで【Moonlight】スタート。
そのまま【Moonlight】で消灯すると次回の再点灯時は長押ししなくとも【Moonlight】で点灯開始となります。
【Moonlight】で点灯開始してスイッチを長押しすると【Moonlight】-【Low】-【Med】-【Hi】-【Low】…のサイクルでモードが移行しますが、連続のモード変更時は再度【Moonlight】には入りません。
モードメモリを備え次回点灯時には記憶したモードで再点灯します。(※Turboとストロボを除く)
やはりモードを変更するときに小気味よく短時間でモードが切り替わるので、こまめにモード変更する使い方をしてもストレスを感じません。
ロックアウト機能
消灯時にスイッチを長押しすると【Moonlight】で点灯しますが、そのまま押し続けると【Moonlight】の消灯後に誤点灯防止のロックアウトモードにセットされます。
※ロックアウト状態でスイッチを操作するとスイッチを押している間だけメインライトが【Moonlight】で点灯します。
※ロックアウトモードを解除するには【Moonlight】で点灯してから更にスイッチを長押しし続けます。
※ロックアウト解除時には無条件で【Moonlight】スタートになります
タイマー機能
点灯時にスイッチをダブルクリックするとタイマーモードになりますが 『ポチッ、ポチッ』と普通に素早くダブルクリックすると【Turbo】モードになってしまいます。
タイマーモードに移行するには 『ポチッ、ポチイィィィィー…』 という感じで2回目のクリックを長押しするとメインライトが2回、もしくは1回点滅してタイマーが設定されます。
タイマーは9分/3分の切替が可能で2回点滅の場合は9分、1回点滅は3分に設定され、設定時間が経過すると自動で消灯します。メインスイッチで消灯、もしくはタイマーで消灯するとタイマー設定は解除されます。
照射
水平照射
屋外照射
白昼(中央立木まで67m)
OLIGHT S30R-III
OLIGHT S30R-Ⅲ- All mode
OLIGHT S30R-II
OLIGHT S2R
Moonlight 比較
Low 比較
Med 比較
Hi 比較
Turbo 比較
S30R-Ⅱ/ⅢともリフレクタータイプのライトなのでTIRレンズ搭載のS2Rとは異なる照射パターンになります。
S30R-Ⅱ/Ⅲとを比較するとS30R-Ⅲの方が若干スポット寄りの配光になっているかなぁ・・・という感じですが、搭載LEDが両機ともXM-L2ですしヘッド径も変わらないので、極端に配光が異なる印象は受けませんでした。また、両機のルーメン差も30ルーメンしかないので目視で違いを判断するのは困難です。
TIRレンズが良いか?それともリフレクターが良いか?・・・は、良し悪しというよりもユーザーの好みや用途によるところが大きいかと思います。例えば、近・中距離を照らす用途がメインならばTIRが良いかと思いますし、中・遠距離もカバーするならリフレクターの方が使い廻しが効くという感じでしょうか・・・。
また限りなく小型で軽量を望むならTIR仕様のS2R、それほど小型に拘らないならリフレクター…という選び方もアリだと思います。
まとめ
如何でしょうか?
S30R-Ⅲの使いやすさの秘密が分かったでしょうか? < 全然分からん…
最初、S30R-Ⅱ からグリップ径が細くなったのが使用感に大きく影響しているかとも思いましたが、それだけなら先行リリースされている S2/S2R とも使用感に大きな違いは無いハズです。
これは doorman の極めて個人的な見解なのですが、S30R-Ⅲが使いやすいと感じるのは【全体の重量バランス】にあるんじゃないかなと・・・。
TIRレンズ搭載のS2/S2Rはヘッド部分の重量が軽いので特にヘッド側に重心位置は寄っていません。対してS30R-Ⅲは、リフレクター仕様でヘッド部分が大きく重心位置がヘッド側に寄ることになります。
S2R と S30R-Ⅲの本体のみの重量差は実測値で6.8g、全長差は9mmです。
S2Rより製品全長が長くなっていますがグリップエンドからクリップ取り付け部分までの長さは両機とも全く同じなのでヘッド側に全重量差が集中するのも至極当然ではあります。
ただ、興味深いのはスイッチが配置されている六角形部分のサイズで S2/S2R よりも S30R-Ⅲ の方が微妙に幅が広くなっています。
スイッチ面積(直径)が僅かに大きくなっていて、もしかしたら内部スイッチユニットも変わっているのかもしれませんが、台座部分の幅を広くしたのは重量配分や重心位置も考えてのことなんじゃないかなと・・・(゚ー゚*)。oO
まぁ、深読みし過ぎなのかもしれませんが、S2/S2R/S30RⅡは親指を除いた指4本でライトを保持する感じですが、S30R-Ⅲ は人差し指と中指で保持する感じです。
18650仕様のライトは小型になればなるほど電池重量の関係で無意識のうちに手でグリップを包み込むように握る事が多いのですが、S30R-Ⅲは気付くと中指と小指にあまりチカラを入れずに握っています。些細な事ですが長時間の使用に於いては S30R-Ⅲ の重量バランスからくるハンドリングの違いがジワジワ効いて来そうです。
型番こそS30Rを継承していますが、外観デザインも含めて S30R-Ⅱ とは全く別の製品に生まれ変わり、S2/S2R とも異なる使い易さや使用感を備えていて、照射能力は勿論ですが使用感に於いてもSシリーズの旗艦モデルたる製品に仕上がっていると思います。
ただ、高品質で充電機能を備えている最新の高性能ライトなのですが、もう少し…、出来ればS30R-Ⅱ/3200mAhモデルと同価格に抑えて貰えたらもっと購入しやすいかなぁ・・・と思うのであります。
実際に2機種を持ち比べてみないと違いが実感できない、伝わらないのが残念ですが、使用時間が長時間に及ぶ用途では S30R-Ⅲ を検討・選択する価値は充分にあります。