OLIGHT S10R BATON III / LUMINUS SST-40 (CW)

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OLIGHT S10R BATON - III / LUMINUS SST-40 (CW) : flashlight review

昨年の第3四半期あたりから立て続けにニューモデルをリリースしているOLIGHT社ですが、年が明けてもこの勢いは続いていて S-BATONシリーズのリフレクターモデルである S10R と S30R がリニューアルされました。

一見すると旧モデルの S10R-II からそれほど大きく変わっていないように見えますが、細かな部分に手が入れられていて搭載LEDもCREE社からLUMINUS社のLEDに変わっています。

S10R-II も扱い易く非常に使い勝手の良いライトですが、S10R-III となってどれぐらい使用感が変わるものなのか…?

フラッシュライトのLEDがCREE一色になりつつある中で LUMINUS SST-40 の搭載はライト業界(?)に一石を投じるキッカケになるのか…?

doorman はライト業界の中の人ではありませんが、大人の事情を想像しつつ頑張ってレビューしたいと思います。
 

■製品HP
OLIGHT Official WEB site – olightworld.com
OLIGHT S10R Baton III – olightworld.com
OLIGHT S10R Baton III – amzon.co.jp
Olight® Direct JP – amzon.co.jp
 

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パッケージ

OLIGHT S10R BATON - III / pack.
OLIGHT S10R BATON - III / pack.
OLIGHT S10R BATON - III / pack.
OLIGHT S10R BATON - III / pack.
OLIGHT S10R BATON - III / pack.
OLIGHT S10R BATON - III / pack.

お馴染みのPET素材のBOXに収納されていますが、開封すると【READ ME】と書かれた説明書があります。
この説明書に開梱(?)方法や簡単な注意書きが書かれています。

簡単にライト本体を取り出せるようにパッキングも工夫されていますが、丁寧なイラスト付で解説されているので是非読んでみて下さい。

内容物はS10R-Ⅲ本体、MICRO-DOK Ⅲ充電器、USBケーブル、ストラップ、取扱説明書、カタログとなっています。
※付属のRCR123A Li-ion充電池は本体に内蔵されて出荷されます。

仕様/サイズ

OLIGHT S10R BATON - III / spec.
OLIGHT S10R BATON - III / size
OLIGHT S1R BATON / weight
OLIGHT S10R BATON - II / weight
OLIGHT S10R BATON - III / weight

サイズ的にはS1RとS10R-Ⅱの中間です。

さすがに S-mini BATON と比較すると大きく感じますが、リフレクター仕様で充電機能まで搭載していることを考えると、充分に小型・軽量サイズの製品です。

S1Rや他のSシリーズと同様に電池を【-】から挿入するようにした事も小型化に繋がっていると思われます。(※詳細後述)

ボディ

OLIGHT S10R BATON - III / body
OLIGHT S10R BATON - III / body
OLIGHT S10R BATON - III / body
OLIGHT S10R BATON - III / body
OLIGHT S10R BATON - III / body
OLIGHT S10R BATON - III / body

6061-T6アルミニウム合金にHA3塗装。
OLIGHTの代名詞ともいえるスクエアグリッドが刻まれたボディやOLIGHTカラーにPVD着色されたベゼルリング、Wクリップもお馴染みかと思います。

ヘッド

OLIGHT S10R BATON - III / head
OLIGHT S10R BATON - III / head size

ヘッド廻りのデザイン、SMOリフレクター、蓄光Oリングなど S10R-Ⅱ から大きな変更は無く、φ23mmのヘッドサイズもそのままです。

LED

OLIGHT S10R BATON - II / head
OLIGHT S10R BATON - III / head
OLIGHT S10R BATON - II / LED : XP-L HD
OLIGHT S10R BATON - III / LED : SST-40

LUMINUS SST-40 は、一体どんなLEDなのか・・・?

公式のデータシート【PDF】を見る限りでは、同じ10Wクラスでも XP-L より XM-L2 に近い仕様のLEDみたいです。
発光効率や発熱面で圧倒的なアドバンテージを有してはいないようですが、データ上では低出力時(@700mA)の効率が XM-L2 U2 と比較して僅かながら高効率になっています。

SST-40 / size
XM-L2 / size
XP-L / size

※画像は各データシートから抜粋

まぁ、例えカタログ値(もしくは理論値)であったとしてもフラッシュライトに搭載した時に省エネ設計のLEDであればあるほどランタイムが伸びる事になりますし、特にS10R-Ⅲのような小型のEDCライトでは高ルーメン値である事よりも自分の使いやすい明るさがどれぐらい持続するかが製品選択のポイントになったりするので【高効率】はセールスポイントのひとつになるかと思います。

実際に S10R-Ⅱ と S10R-Ⅲ では、【Max】での点灯時間(制限時間)が短縮されているとはいえ、前述の@700mA付近でのLEDルーメン値、【Hi】の300Lmに於けるランタイムが伸びているのが見て取れます。

SST-40を採用したのはコスト的な一面もあるかと思いますが、SST-40 の採用はOLIGHT社のみならずフラッシュライトのLED勢力図に変化をもたらすキッカケになるかもしれないと、メーカーの方には申し訳ないのですが一人のライトファンとして、お気楽にワクワクしています。

LUMINUS製品の中には SST-90 のようなバケモノLEDも存在しますし、コスト(価格対性能比)が合えば SST-40の他にもLUMINUS-LED搭載製品が増えるんじゃないかなと・・・(゚ー゚*)。oO

スイッチ

OLIGHT S10R BATON - III / switch
OLIGHT S10R BATON - III / switch

S10R-Ⅱ の硬質樹脂製から他のSシリーズと同様に半透明のシリコン製にスイッチ素材が変更されました。

操作感は好みがあると思いますが、スイッチトップが盛り上がっている S10R-Ⅲ の方が個人的には操作しやすく感じます。
※S1R/S10RⅡ/S10RⅢともテールからスイッチまでの長さ(グリップ部分の長さ)は全て同じです。

OLIGHT S10R BATON - III / switch

ロックアウトモード時にスイッチを操作するとインジケーターが赤く発光します。

リア/テール

OLIGHT S10R BATON - III / tail
OLIGHT S10R BATON - III / tail

テールの部分の意匠・形状は他のパッドアタッチ式/ドック式充電を採用したモデルと同じで大きな変化はありません。

OLIGHT S10R BATON - III / tail

リアキャップのネジ部は角ネジ仕様で、端部を除いて絶縁塗装も施されているのでリアを緩めてのロックアウト(誤点灯防止)も可能です。

電池

OLIGHT S10R BATON - III / battery
OLIGHT S10R BATON - III / battery
OLIGHT S10R BATON - III / battery

付属のRCR123A(16340)の型番は ORB-163C06、電池容量は650mAhでハイドレイン仕様のLi-ion充電池です。
※本体に内蔵されて出荷されるので使用時には絶縁材を取り除きます。

OLIGHT S10R BATON - III / battery
OLIGHT S10R BATON - III / battery

基本的にCR123Aの規格サイズに合致した 3.0V/3.7V のリチウム系電池であれば使用可能ですが、【+】極がフラットタイプの電池は使用不可です。また、ハイドレインに対応していない電池ではランタイムが極端に短くなったり動作が不安定になることがあります。

他の充電機能付きSシリーズに付属するLi-ion充電池と同様に、電池の【+】側にも【-】接点が存在する特殊な電池です。充電ドックや充電パッドを使って充電するにはこの専用電池が必須となります。

メーカー推奨の充電方法ではないので自己責任になりますが一般的なLi-ion充電器での充電も可能です。また、これも自己責任になりますが一般的な16340対応ライトでこの電池を使って点灯させることも一応可能です。(※接点形状によっては電池がショートする危険があるので、なるべく他メーカーのライトでは使わないのが吉)

S10R-Ⅱでは電池を【+】方向から本体に挿入しましたが、S10R-Ⅲでは他のSシリーズと同様に【-】方向から電池をセットします。

この【-】方向から挿入するというのは、スイッチの位置や回路(ハイサイド/ローサイド)と大きく関係していて製品の小型化とも関係があります。

現在、多くののフラッシュライト製品はハイサイド型の製品が多く【-】側にスイッチを備えている製品が殆どです。突入電力やチャタリングの関係だと思いますが【-】側でなく【+】側にスイッチを設けるとなると、新たに回路設計をし直したり【+】の配線と金属ボディの絶縁が必須となり余計なスペースが必要になってしまいます。

小型化に拘らなければ電池を【+】方向から挿入する仕様でも良いのですが、OLIGHT社の小型化に対する拘りが伝わって来ます。

充電

OLIGHT S10R BATON - III / charge
OLIGHT S10R BATON - III / charge
OLIGHT S10R BATON - III / charge

充電ドックも MICRO-DOK Ⅲ となって改良が施されています。
以前は両面テープでドックを固定する方式でしたが、底部に3箇所の吸盤が取り付けられ設置の自由度が向上しています。
完全に平滑な面であればかなりの吸着力でドックが固定されますが、多少デコボコでもしっかりと貼り付いてくれます。

OLIGHT S10R BATON - III / charge
OLIGHT S10R BATON - III / charge
OLIGHT S10R BATON - III / charge
OLIGHT S10R BATON - III / charge

ドックにセットすると直ちに充電が開始されます。
充電中はドックのインジケーターが【赤】で点灯、充電完了時には【緑】で点灯します。

但し、先述の通り、充電ドックやMCCで充電可能なのは付属の専用Li-ion充電池を使った場合のみに限られます。

充電ドックは据え置きで使う事を前提としている為、可搬性の面で少々難がありましたが S1R/S2R/H1R のパッド式充電ケーブルとの互換製が確保され、OLIGHT MCC として単体販売も開始されました。

充電ドックは家に、MCCは出先で…という使い分けも可能になり、EDCライトとしての使い勝手が格段に良くなっています。

ちなみに MICRO-DOK Ⅲ も単体販売が開始され S1R/S2R/H1Rなどをドックでも充電できるようになりました。

モード

OLIGHT S10R BATON - III / mode

搭載モードは通常点灯が4モード、他にストロボモードを備えています。
S1/S-miniと同じく【Turbo】モードは有りませんが【Max】の600ルーメンも使う機会は少ないかと思います。
※【Max】の600ルーメンでの点灯は3.7VのLi-ion充電池が満充電状態の時に限定されます。

スイッチをワンクリックすると点灯。
点灯状態で長押しするとモード変更、3回以上の連続クリックで【Strobe】発動、どのモードで点灯していてもスイッチのワンクリックで消灯する素直な操作系です。

消灯状態からスイッチの長押しで【Moonlight】スタート。
そのまま【Moonlight】で消灯すると次回の再点灯時は長押ししなくとも【Moonlight】で点灯開始となります。

【Moonlight】で点灯開始してスイッチを長押しすると【Moonlight】-【Low】-【Med】-【Hi】-【Low】…のサイクルでモードが移行しますが、連続のモード変更時は再度【Moonlight】には入りません。
モードメモリを備え次回点灯時には記憶したモードで再点灯します。(※ストロボを除く)

やはりモードを変更するときに小気味よくモードが切り替わるので、こまめにモード変更する使い方をしてもストレスを感じません。

点灯時・消灯時関係無く、スイッチをダブルクリックすると【Hi】で点灯します。

【Hi】の連続点灯時間は1分30秒に制限されていて、制限時間を超えると300ルーメンに自動減光されます。
やはり【Hi】での点灯・消灯時には 『ジワッ』 っという感じで点灯・消灯します。

付属の ORB-163C06 では、電池電圧が3.5V近辺まで電圧が下がった時点で【Hi】から【Med】に強制移行、もしくは【Hi】での点灯そのものが難しくなりました。

逆にCR123Aの一次電池の場合は、電池電圧が2.8Vを切っても【Hi】での点灯も安定していました。
電池残量を考えるとランタイムは限定されますが、一次電池を最後まで有効利用できるのは安心ですし評価に値すると思います。

OLIGHT S10R BATON - III / Low-battery indicator

※低電圧警告インジケーターはRCR123A充電池を使用して電池電圧が3.1v(使用電池により±0.1v程度のマージン有り)を下回った時のみに赤く点灯します。実際に2.8vを下回ったCR123A一次電池ではインジケーターが点灯しませんでした。

ロックアウト機能

消灯時にスイッチを長押しすると【Moonlight】で点灯しますが、そのまま押し続けると【Moonlight】の消灯後に誤点灯防止のロックアウトモードにセットされます。
※ロックアウト状態でスイッチを押すとスイッチのインジケーターが赤く発光します。
※ロックアウトモードを解除するには明滅してから更にスイッチを長押しします。

タイマー機能

点灯時にスイッチをダブルクリックするとタイマーモードになりますが、『ポチッ、ポチッ』と普通に素早くダブルクリックすると【Turbo】モードになってしまいます。言葉で説明するのは難しいのですが、『ポチッ、ポチイィィィィー…』という感じで2回目のタップを長押しするとメインライトが2回、もしくは1回点滅します。タイマーは9分/3分の切替が可能で2回点滅の場合は9分、1回点滅は3分に設定され設定時間が経過すると自動で消灯します。メインスイッチで消灯、またはタイマーで消灯するとタイマー設定は解除されます。

照射

水平照射

OLIGHT S10R BATON - III / Horizontal

配光

OLIGHT S1R BATON
OLIGHT S10R BATON - II
OLIGHT S10R BATON - III

演色比較

18W 蛍光灯/昼光色
OLIGHT S1R BATON
OLIGHT S10R BATON - II
OLIGHT S10R BATON - III

屋外照射

白昼(中央立木まで67m)

OLIGHT S10R III / daylight

OLIGHT S10R BATON III

OLIGHT S10R III / Moon
OLIGHT S10R III / Low
OLIGHT S10R III / Med
OLIGHT S10R III / Hi

OLIGHT S10R BATON II

OLIGHT S10R II / Moon
OLIGHT S10R II / Low
OLIGHT S10R II / Med
OLIGHT S10R II / Hi

OLIGHT S10 BATONI

OLIGHT S10 / Moon
OLIGHT S10 / Low
OLIGHT S10 / Med
OLIGHT S10 / Hi

OLIGHT S1R BATON

OLIGHT S1R / Moon
OLIGHT S1R / Low
OLIGHT S1R / Med
OLIGHT S1R / Hi

個体差もあると思いますが、同じCool-whiteでもXP-LのCWと比較すると色温度がやや高い(白い)印象を受けました。

LEDのダイサイズ自体はXP-LやXM-L2と大差無いので中心光の太さにも大きな変化はありません。
リフレクターのサイズや角度も大きく変わっていないので照射範囲や配光にも特に変化は感じません。

あと、これは SST-40 に限った事では有りませんが、エミッタベース(5mm角のヤツ)の色や露出面積が照射パターンにも影響します。

一番判りやすいのはXM-L2を搭載したS1Rの配光で、四角いエミッタベースに反射した光がTIRレンズを通してそのまま四角く投射され、SST-40もXM-L2と同じ銀色のエミッタベースなので中心光の輪郭が四角くなっています。

実用上問題はありませんし、リフレクターやレンズで集光しなければ四角くはならないのですが、XP-G3はエミッタベースが金色に着色されたり、中にはリフのボトムホールがエミッタベースのサイズではなくLEDドームの直径に合わせられた製品も増えていて、今後は中心光がどれだけ真円に近いかが重視されるようになるかもしれませんね。。。

まとめ

ハッキリ言って、SST-40 になったからといって劇的に性能向上したわけではありませんし、爆光ライトに変身(?)したワケでもありません。

電池の挿入方向の統一とか、スイッチ素材とか、充電ドックの吸盤など、細かな部分のブラッシュアップによって使い易さがアップしたのがS10R-Ⅲ・・・という印象です。

こんなことを書くとS10R-Ⅱが売れず不良在庫化して怒られそうですが、もし S10R-Ⅱ か、それとも S10R-Ⅲ か迷ったら、迷わず S10R-Ⅲ を購入することをお薦めします。

中にはSシリーズのデザインに食傷気味な方もいらっしゃるかと思いますし、短いスパンでのリリースに困惑されているかもしれません。

ただ、短期間での製品リリースは、それだけユーザーの声を取り入れている証しとも言えますし、特にSシリーズの豊富なバリエーション展開は、基本設計の完成度が100%に近づいているからこそ成し得る製品展開ではないでしょうか?

もちろん 『鉄は熱い内に…』 ってのもあると思いますが、熱いか否かはユーザーや市場の反応によって決まりますし、マーケットに受け入れて貰えないシリーズやモデルを強引にバリエーション展開するとは考えづらいので、やはりOLIGHT社のSシリーズはよく出来た製品なんだと思います。

TwitterのTLにて PL-1 II Valkyrie のショートレビューを拝見したのですが、Sシリーズより累計出荷台数が少ない機種でも決して手を抜かずユーザーの声に耳を傾け、より使いやすい製品をリリースするメーカーの姿勢や研究心には感心しました。

他のモデルも同様に改良を重ねてどんどん完成度が上がって行くのが楽しみです♪

新製品リリースの期間が短いと購入するタイミングが難しい…てのは確かにあります。(^^;
しかし、どんなニューモデルもいずれは旧モデルになるわけですし、やはり欲しい時、必要な時が買い時なんじゃないかなと・・・

S10Rも初代から数えて三代目の製品になるわけですが、昔から【穀潰しの三代目】などと、三代目についてはあまり良い言われ方をされません。

が・・・、この三代目は他のSシリーズの最後発モデルであり、それぞれの【イイトコ取り】をした堅実な製品に仕上がっているので末永く付き合えるEDCライトだと思います。
 

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