単三形乾電池1本(1AA)で使用・運用が可能なフラッシュライトは、電池の入手性が良く、日常用途だけでなく減災・防災用として、また防犯目的のライトとして手軽に扱えるライトであり、ライトマニアだけでなくカタギの方々にとってもポピュラーな存在かと思います。
今回、レビューをお届けする ACEBEAM Rider RX(以下、Rider-RX)は、万人向け…とは言い難いかもしれませんが、使って楽しく、意外と(?)実用的で、ナルホド理に適ったギミックを備えた単三形乾電池、Ni-MH充電池、14500 Li-ion充電池の電池に対応したEDCライトです。
また、アルミ素材のフラッシュライトが圧倒的大多数を占めている中で、Rider-RX はアルミとステンレス、もしくはアルミとチタンのハイブリッドとなっており、執筆時点では下記の5種類のバリエーションから選択できます。(※画像中央がチタン)
今回、ACEBEAMさんからレビュー用にご提供頂いたのは、ステンレスとアルミのシルバーモデルですが、ボディ素材やカラーリングは違えど中身(LEDや制御基板)は全モデル共通となっています。
プロモーションレビューではありますが、Rider-RX の肝となるギミックについての解説や、実際に数週間ほどEDCして使ってみた感想などをレポートします。
製品HP
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- ACEBEAM Rider RX – acebeam.com
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INDEX
パッケージ
白を基調とした紙製のパッケージです。
何となく、某ライトのパッケージに似ているような気もするのですが…(^^;
プラ製トレイに製品一式が納められています。
製品内容は、Rider-RX本体、14500 Li-ion充電池、充電用USB Type-Cケーブル、予備Oリング×4、ランヤード、英文マニュアルですが、パッケージ自体が小型なので製品一式がギッチリと詰め込まれている感じです。
絶縁材の除去
14500 Li-ion充電池は Rider-RX本体にセットされた状態で出荷されますが、使用する前にシート状の絶縁材を除去する必要があります。
Rider-RXの電池交換・装填はヘッド側から行いますが、開封時にはヘッド先端が収納された状態なので、クリップの根元部分を操作してヘッド先端を露出させる必要があります。
方法・手順はとても簡単で、↑ の画像のようにクリップ部分を逆L型の欠き込みに合わせ、一旦、横にズラしてからクリップ部分をヘッド側へスライドするだけです。イメージ的には、ボルトアクションのボールペンにて芯を出し入れするのと同じ要領です。
ヘッド先端が露出したら普通にネジを緩めるようにしてヘッドユニット部分を外し、中にセットされた絶縁材を除去、ヘッドユニットを元に戻します。
ヘッド先端の収納は露出させた時と逆の手順で操作します。(クリップ部分をテール側へスライドさせた後、逆L字型の欠き込みに合わせて元に戻します)
保護シールの除去
ガラスフィルターには表面保護のシールが貼られているので、これも使用前に除去しておきます。
仕様/サイズ
付属のマニュアルは英語のみで記述されています。
操作体系・方法は、非常にシンプルなフラッシュライトなので日本語化されていなくても特に困ることはないと思いますが、Mr.ローガンになりつつある doormanにとっては文字が小さくて…(´Д` ) ※マニュアルをスキャンして画像化しているのは自分用とか…ゲホゲホ
【FEATURES】の最初に ” Redefining EDC Fidget Flashlight ” の記述がありますが、直訳すると『EDCフィジェット懐中電灯の再定義』となるらしいです。(※グーグル先生談)
” Fidget ” は『ソワソワ』や『せかせか』、『もじもじ』、『いじくりまわす』などと訳されるようですが、意訳すると『EDCの新常識!ワクワクするフラッシュライト爆誕!(゚∀゚)』…という感じでしょうか?
・全長:95.7mm
・直径:18.6mm
・最大幅:26.1mm
・本体重量:82g(※電池含)
・照射距離:96m
・最大輝度:2304cd
・耐水深:2m
・耐衝撃:1m
上記の値は全てカタログ値です。
最大幅:26.1mm は、クリップを含めた最大幅を示し、本体重量を除けば、ステンレス、チタンモデルとも共通仕様となります。
ステンレスモデルの単体および装備重量を計測した結果です。
チタンモデル(冒頭5機種画像の真ん中)の本体重量は、実測値よりも若干軽量になるかと思います。
1AA仕様のライトとしては重量級と云えるのですが、ステンレスの外殻を纏った二重構造の製品なので当然かもしれません。
ボディ
表面仕上げがツルぴかポリッシュのモデルになると、ややスリッピーかもしれませんが、このシルバーモデルは、八分艶くらいで、スイッチ形状とクリップのお陰で布地の手袋をしていても充分操作する事は可能です。
Rider-RX の構造を改めて説明いたしますと、ステンレスもしくはチタンの外殻(外筒)と、アルミ製フラッシュライト本体の二重構造(シリンダー構造)となっています。
現行5機種については全て同一構造で、外筒の素材(ステン or チタン)やカラーリングは異なれど、アルミ製のライト本体は5機種共通なので仕様・性能も同一となります。(※詳細後述)
この『シリンダー構造』が Rider-RX の最大の特徴でありウリなのですが、この構造により誤点灯防止機構とスイッチの操作性を損なわずに安定したテールスタンドも可能としています。
クリップ
クリップの素材はステンレスでWクリップとなっています。
既にお判りかと思いますが Rider-RX のクリップは、ライト本体をピストンのように前後に動かす為のレバーも兼ねています。
同社の P15 に似たクリップで、初見で『アンチロール効果は抜群だけどEDCするには邪魔かも…』と思ったのですが、Rider-RX のギミックに於いて重要な役割を果たしていると判り『ナルホドなぁ…』と感心した次第であります。
クリップ全体を浮かせる為の樹脂製スペーサーを介して、クリップはライト本体に2ヶ所ビス止めされています。
ライト本体側に組み込まれている3ヶ所のボールラッチが、外筒に設けられた丸穴にピッタリ嵌るようになっており、中身(?)をスライドさせても、させなくとも、各ポジションに於いて中身が軽く固定される仕組みです。(※ラッチ用の丸穴は全部で9ヶ所)
また、クリップの先端と外筒に設けられた一文字の『窪み』も合致させて、無闇矢鱈にクリップがブレないようになっています。
ただ、クリップの先端と外筒表面は常に接触した状態となるので、何度もスライドさせると外筒表面にスリ傷が入るかもしれません。
コレを避けるには、スライドさせる時にクリップ先端を少し持ち上げるようにすれば良いのですが、そうするとボルトアクションのような操作感が味わえなくなるのが寂しいです…(^^;
中身(?)をスライドさせた状態の全長は103.4mm(※実測値)で、通常時よりも8mmほど長くなります。実際に突出しているヘッド部分の長さは約11mmですが、ノーマル状態ではスイッチトップが飛び出しているので、その分が相殺される事になります。
クリーニング/メンテナンス
フラッシュライトをポケットキャリーでEDCすると、どうしてもホコリや細かな砂、皮脂などが付着してしまうのですが、クリーニングやメンテナンスが簡単に行えるか否かも重要なポイントだと考えています。
クリップは前項通りの構造で、★型ドライバーの9番(T9)を使えばビスを外すことができます。
割と高いテンションでビス止めされているのでビス頭をナメないように注意してください。
また、クリップ全体を浮かせる為のスペーサー(黒い部品)は樹脂製なので、無理にチカラを加えると割れる危険があるので慎重に作業してください。
ビスを外すと中身(ライト本体)がフリーな状態になるので、前方に押し出す(引き抜く)ことができます。
但し、砂や小石、金属片などが付着した状態で中身を引き抜くと、本体表面に大きな傷が入ってしまうので、その場合は事前に洗浄するなどして異物を除去しておいてください。
外筒と中身を分離した状態で改めて見てみると、中身だけのままでも充分にカッコ良く使いやすいです♪(オイw)
本体グリップ部分に刻まれた同心円状の溝は、意匠だけでなく放熱効果を狙ったモノのようです。
画像を撮り忘れたのですが、外筒の内側はステンレス素地のままでポリッシュ加工などの処理はされていません。
ロータリースイッチや Rider-RX のような可動機構を備えたライトは、どうしてもスキ間にゴミが溜まりやすく、メンテナンスが難しいと常用するのを躊躇ってしまうのですが、Rider-RX については、クリーニング&メンテナンスのハードルが低いので気軽に使えそうです。(※分解は自己責任でお願いします)
ヘッド
搭載LEDは Nichia 219F、色温度は5000K、演色性能を示すCRI値は 90以上の高演色LEDが搭載されています。
浅めのSMO(ミラー)リフレクターなので飛び系の配光とはなりませんが、そこそこのスポットで照射範囲が非常に広い、EDCライトならでは…と言える、使いやすい配光となっています。(※照タイム画像参照)
ヘッド部分には ACEBEAM ロゴとモデル名の Rider-RX、シリアルNo.がレーザー刻印されています。
LED、基板などはユニット化されており、接点部分のクリーニングも簡単にできます。
スイッチ/テール
スイッチはフォワードクリック式で間欠点灯が可能です。
スイッチキャップの素材は、恐らく金属だと思います。(アルミに電着かな?)
点灯(通電)するまでのスイッチストロークは体感で2mm程度で、比較的軽いチカラで半押し点灯します。
通電してから『カチッ』と音がするまで完全に押し込むには、それなりにチカラが必要なのでポケットの中で誤点灯しっ放し…という状態にはなりにくいと思います。
フォワードクリック式スイッチなので、ラフにポケットキャリーすると誤点灯する可能性が高いのですが、スライドした状態でキャリーすれば、スイッチの半押しによる誤点灯を確実に回避できそうです。
スイッチトップがフラットなので、スライドさせない状態でも、なんとかテールスタンドは可能ですが、スライドさせた状態のほうが遙かに安定します。
doormanの中ではテールスタンドの優先度はそれほど高くないのですが、スイッチの操作性を損なわずに安定したテールスタンドを可能としたこのアイデアについては、目からウロコで素直に脱帽であります。
電池
Rider-RX で使用可能な電池は、14500Li-ion充電池、リチウム乾電池、Ni-MH充電池、アルカリ乾電池になります。
フラットトップ型の14500は使用不可となりますが、これはヘッド側接点の近くに実装されているICと電池が接触するためです。
ICのピンと電池の+極が直に接触するワケではないのですが、電極の形状によってはショートする危険もあります。なので、やむを得ず付属の14500以外のLi-ion充電池を使う場合は、例えボタントップ型の14500であっても、限りなく乾電池の+極に近い形状の14500を使用するようにしてください。
Rider-RX に標準付属する 14500 Li-ion充電池は、型番が ARC14500/AA Type-C、容量:920Ah です。
プロテクト回路については明記されていませんが、ICR系のセルを採用しているならばプロテクト回路を装備していると思います。(IMR系なら無いかも…)
充電
付属のUSB充電ケーブルは、コネクタ部分も含む全長が約20cm。
電池側充電ポートに合わせて USB-A/USB Type-C のケーブルとなっています。
給電側がオンライン状態であれば、ケーブルを電池に接続するだけで充電がスタートします。
マニュアルには電池の充電に関する記述がありませんが、付属する ARC14500 の容量が 920mAhなので、空の状態からでも60~90分程度で充電が完了するハズです。
充電中は、電池の『+』極側にあるインジケーターが【赤】(ほとんどオレンジ)で点灯、充電完了時には【緑】で点灯しました。
あと、充電について注意して欲しいのは、USBポートを備えたLi-ion充電池も、スロットタイプの一般的な充電器で充電すると、電池に内蔵された回路が故障して再起不能となることがあります。一般の充電器での充電が可能と明記されている場合を除いて、特殊なLi-ion充電池への充電は、USBケーブルを接続して充電する事を強くオススメします。
モード & 操作
Rider-RX のモードは、標準モードが【Ultra-Low】→【Low】→【Mid】→【Hi】の4モード、特殊モードとして【SOS】があります。
モードの選択は、点灯開始時に半押しを1秒以下の間隔で繰り返すと、上記のサイクルでモードが切り替わり、『カチッ』と音がするまで完全にスイッチを押し込むと選択したモードで常時点灯となります。
点灯中にモードを切り替えるには、一旦【OFF】にして前記の操作を行うか、点灯させたままスイッチを素早くダブルクリックします。
モードメモリを備えているので消灯時のモードで再点灯します。
【SOS】の発動は、点灯開始からモード変更を2巡させると3巡目の最初に【SOS】で点灯します。
具体的には【Low】で点灯を開始した場合は、【Low 1】→【Mid 2】→【Hi 3】→【 Ultra-Low 4】→【Low 5】→【Mid 6】→【Hi 7】→【Ultra-Low 8】→【SOS 9】のように9番目のモードが【SOS】となります。
【SOS】はモードメモリの対象外ですが【SOS】で消灯(OFF)した場合、次回点灯開始時のモードは、本来9番目で点灯するはずの通常モードで再点灯するのではなく、【SOS】が発動する直前のモード、先の例では8番目の【Ultra-Low】で再点灯します。(これがチョットややこしいかも?)
Rider-RX は、直線的でシンプルなUIを採用しているので、モード変更操作で特に困る事はないでしょう。
照射
今回は、14500とNi-MHの両方に対応した5機種で照射比較してみました。
水平照射
配光/光色
LED電球
ACEBEAM Rider RX
LUMINTOP TOOL AA 2.0 Ti
MANKER E05
Sofirn SP10S
MANKER E11
屋外照射
白昼/軸線(立木まで67m)
ACEBEAM Rider RX
14500 (3.7V)
Ni-MH (1.2V)
LUMINTOP TOOL AA 2.0 Ti
14500 (3.7V)
Ni-MH (1.2V)
MANKER E05
14500 (3.7V)
Ni-MH (1.2V)
Sofirn SP10S
14500 (3.7V)
Ni-MH (1.2V)
MANKER E11
14500 (3.7V)
Ni-MH (1.2V)
MAX比較 (14500)
5機種の中で最も広角照射となるのが Rider-RX で、充分な周辺光量により広範囲を照らすことができます。
ピンスポットではありませんが、中心光も存在するので近距離から中距離までカバー出来る、EDCライトとして使いやすい配光です。
色温度は 5000K となっていますが、個体差の所為なのか今回レビューした個体は少し色温度が高いようです。(自分好みの色温度であります)
この照射画像で演色性能を判断するのは難しいのですが、CRI≧90 を謳っているだけに発色も綺麗だと思います。
14500使用時の屋外では【Low】の70ルーメンが常用域となりそうで【Hi】の650ルーメンの出番は少なそうです。
【Hi】での点灯時にはヘッドが熱くなりますが、時間制限による加熱防止機構で自動減光されます。自動減光時の画像を撮り忘れましたが、減光されても200ルーメン以上の出力が維持されます。
蛇足ですが、全域においてフリッカーの発生もありません。
まとめ
『EDCライト』に何を求めるかは人それぞれでありますが、ACEBEAM Rider RX を実際に使ってみた印象は『よく考えられているなぁ…』というのが正直なトコロで、先行他社製品をしっかり研究して製品化されていると感じました。
Rider-RX のシリンダー構造も見た目の奇抜さだけでなく、フォワードクリック式EDCライトに憑いて廻る課題を克服する為の実用的なアイデアであると同時に、見た目のインパクトも兼ね備えていて、まったくお見事であります。
『こんな構造にしなくても…』という意見もありそうですが、ソレは Rider-RX という製品が実際に存在してこそ言えるワケで、少なくとも自分では思い付きもしなかったです。
また、ボールラッチによる固定方法などを見ても、実用的な製品としてリリースするまでの開発陣の苦労や執念(?)が伝わってきます。
クリップと外筒との接触や出っ張りが気になるのは確かですが、スライド操作しやすさとの兼ね合いもあるので、欠点というほどのモノでも無いと思います。
他に気になった点としては、モードメモリ機能が存在する事ぐらいですが、これもユーザーによって評価が別れる『仕様』なのでマイナス要素だとは思いません。
個人的にはモードメモリなしの【Low】スタートなら最高!…なのですが、タクティカルに軸足を置くなら常に【Turbo】スタート!…ってのも全然アリだと思います。
外筒と中身が完全に独立しているので、組み合わせによって更なるバリエーション展開も期待でき、1AAA仕様など別のシリーズにも応用・転用できそうです。
” Redefining EDC Fidget Flashlight “のキャッチに偽りなく、バリエーション展開も含めて今後も非常に楽しみなフラッシュライトです。
近い将来、銅もしくは真鍮の外筒バージョンが出てくるのは想像に難くないのですが、銅製の場合は外筒内壁部分に完全な酸化被膜が形成されていないと、電解着色させたアルミが相手だと、例え密着していなくとも電食(異種金属接触腐食)が発生しやすい気もして…その辺りが私気になります!(オールカッパやフルブラスなら無問題?