NEXTORCH製フラッシュライトのレビューは今回がお初になります。
NEXTORCH社の現行フラッシュライト製品はタクティカル系に軸足を置いた製品が圧倒的に多いイメージを持っていますが、モデル数こそ少ないもののEDC用途を意識したフラッシュライト製品もリリースされています。(現行から消えてしまいましたが My Torchシリーズのデザインとか好きでした♪)
フラッシュライト製品は NEXTORCH のブランドで、 マルチツールなどは NEXTOOL のブランドで製品展開しているようですが、今回ご紹介するのは標準でキセノンバルブのドロップインが付属する NEXTORCH T6A と GT6A-S です。
既に生産終了となった過去の製品ですが、doormanがフラッシュライトに興味を持ち始めた10年ほど前には既に普通に流通していてアチラコチラの中華通販でも見かけていました。
どちらも古い製品なのは間違いないのですが(GT6A-Sの方が少し新しいかな?)縦ラインのアンチロールのデザインは現在のNEXTORCH社製品に受け継がれています。
Twitterで確認したら樹脂ボディの GT6A-S は3年前の2018年の3月に購入したもので、今回レビューを書くのにクリーニングしたり、保管してあるハズのパッケージを必死で探して引っ張り出してきました。(^^;
一方の T6A は、先月、大幅値引きされているものを偶然に見つけて購入しました。シリアルNo.らしきマーキングから2005年に製造(もしくは製造開始)された個体と思われますが実際の製造年月日は不明です。
T6A も GT6A-S も現行製品ではありませんが、今でも流通在庫品が新品で販売されているのを見かけます。
両製品とも日本語のレビューや製品情報が少ないので、各部のサイズやLEDドロップインの使用の可否なども含めてレポートしたいと思います。異なる2製品同時のレビューも初めてとなりますが『誰得のレビュー?』…なんて寂しい事を言わないで(笑)どうか最後までお付き合いください。
製品HP
NEXTORCH Official SNS
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INDEX
パッケージ
パッケージは紙製のハードBOX仕様。
外箱を共通化してコストを抑えつつ、ステッカーで製品を区別するようになっています。
上の画像では、両機ともウレタン製緩衝材の電池スペースに電池をセットしていますが、実際には GT6A-S は本体内部にCR123Aがセットされた状態でした。
ちなみに NEXTORCHブランドのCR123A電池は NT123A というのが正式な型番で、某SF123A ってのをリスペクトしていたのかなと…(^^;
製品内容は、どちらもライト本体にキセノンドロップイン、2×NT123A、英中文の製品マニュアルとなっています。マニュアルはカラー画像が多く使われた小冊子になっていて非常にしっかりと造られています。
仕様
NEXTORCH T6A
- Bulb: 6V Xenon incandescent bulb
- Lumen: 80 lumens
- Runtime: 60 minutes
- Battery: 2xCR123A lithium batteries
- Distance: 472′ / 144m
- Material: Aerospace grade aluminum 6061-T6
- Finish: Hard black titanic anodizing finish
- Lens: Full clear glass lens
- Length: 129mm x 25mm x 34mm
- Weight: 4.03oz / 115g (battery excluded)
- Switch: Tactical switch
- Features a momentary ON/OFF tailcap
上記仕様のサイズ表記の中で 25mm はグリップ径を示しており、テールキャップの外径は最大:約27mmとなります。また、マニュアル画像に記載の Length: 131mm は『T6A』と同型機である『T6』の寸法がそのまま記載されているようです。(※T6Aを計測したら全長:128.2mmでした)
NEXTORCH GT6A-S
- LED:6V Xenon incandescent bulb
- Output:80 lumens
- Runtime:60 minutes
- Battery:2xNT123A (NTR123A) lithium batteries
- Distance:472′ / 144m
- Material:Durable Nylon Fibre
- Lens:Full clear glass lens
- Diameter:124mm x 28.8mm x 34mm
- Weight:2.28oz / 65g (Battery excluded)
- Switch:Click on/off switch
- Impact Resistance:1m
- Water Resistance:1m
- Features a clicky ON/OFF switch
上記仕様のサイズ表記で 34mm はヘッド部分のアンチロールを含む最大径となります。また、GT6A-S はグリップ径/テールキャップの外径は、いずれも 28.8mm で、これもアンチロール部を含む最大径になります。
サイズ
CR123A 2-cell仕様の製品にL2Tを加えて比較してみました。
GT6A-S がコンパクトに見えますが…
カタログ値での全長差は GT6A-S のほうが 5mm 短くなっていますが、テールエンド形状の違いによるところが大きいと思います。しかし、数値差以上にGT6A-Sの方が短く感じるのですが…ボディ径の影響でしょうか?
GT6A-S のズングリ、ムックリがなんだかユーモラスです(笑)
NEXTORCH T6A : 重量
コンパクトな割りに重めかナ?…と、自分は感じたのですが、各部が肉厚に出来ているのかもしれません。
NEXTORCH GT6A-S : 重量
樹脂ボディなのに重めかナ…?と、思ったのですが、SUREFIRE G2 とほぼ同じ重さでした…(^^;
ボディ
NEXTORCH T6A
2-cell仕様が T6、3-cell仕様が T9 だったと記憶していたのですが、このモデルは『T6A』となっていました。『T6L』という型番も有ったハズなのですが、各T6のどこが、どう違うのかまでは判りません…(^^;
1-cell仕様の Magic MAX という製品もありましたが、Magic MAX はドロップイン仕様のライトではなかった気がします。 Magic MAX も同じような意匠でしたが、2種類のヘッドデザインがありましたね…遠い目(T6と同じヘッドデザインの Magic MAX を買っておけば良かったと後悔…orz)
NEXTORCH GT6A-S
T6A と GT6A-S とでは、ヘッド&テールの基本的な意匠は良く似ていますが、GT6A-S は同社のP60互換ライトである RT3 の樹脂ボディバージョンとなります。
昔語りをさせていただくと、NEXTORCH社のドロップイン仕様の製品群の中には、当時既に充電機能を備えたモデルが存在し、18650電池を本体にセットしたまま、DCジャック付きの充電専用のテールキャップと付け替えて、本体で充電可能なモデルが存在しました。他にもハンティングセットなど、複数のバリエーションが販売されていたと記憶しています。
白状するとNEXTORCH社のドロップイン仕様の製品群は、当時からすごく気になっていて、いわば憧れの製品でもあり、当時DXのページを毎夜毎夜眺めていました(笑)
両機のサイズで最も異なるのはボディ径で、T6A は CR123A のみ対応、GT6A-S は CR123A だとガバガバで(笑)18650/18350でもまだ余裕があります。(※後述)
ヘッド
風防の素材はガラス製、インナータイプのベゼルリングはどちらも樹脂製です。
残念ながらヘッドパーツは SUREFIRE との互換性はありません。(※ベゼルパーツの互換性は未確認)
《追記:2021.04.25》
ベゼルパーツのスレッドは独自規格でSUREFIREともSOLARFORCEとも互換性はありません。純正のストライクベゼルパーツが販売されていますが、関連画像を見る限り、装着すると0.5mm~1.0mmほどのスキ間ができてしまうようです。6Pのようなインナータイプのベゼルパーツがあれば良いのですが…。
また、T6A と GT6A-S との互換性もなく、ヘッドとテールのどちらのパーツもネジ径が異なりレゴることはできません。もしかしたらロットや製造時期によっては互換性があるのかもしれませんが、手元にある両機では SUREFIRE 6P と G2 のようにレゴって楽しむ事はできませんでした。
実際に試してはいないので推測の域をでませんが GT6A-S のアルミモデルとなる RT3/RT7 のヘッドは、GT6A-S とヘッドの互換性があるかもしれませんね…(゚ー゚*)。oO
キセノン・ドロップイン
付属のドロップインは両機種とも共通で『BZ003 6V』となっています。
面白い事に(?)BZ003 は SUREFIRE P60 純正ドロップインとの互換性が無く、P60 を T6A、GT6A-S にセットしてもドロップインの全長が短く、ヘッドの中でモジュールが踊ってしまい点灯できません。
LED ドロップインの互換性
キセンノバルブをそのまま使っても良いのですが、常用するとなると耐用年数の長いLEDのドロップインを使いたいのが人情…( ˘ω˘)ウンウン
そこで、手持ちのLEDドロップインで色々と試してみました。
NEXTORCH BZ003 Xenon
T6Aのヘッド部の内径(ドロップインをセットする部分の内径)は約21.5mm。NEXTORCH純正のキセノンバルブの胴部直径を計測したところ20mmでした。
Self-made LED Drop-in
生ドロップインを購入して自作したLEDドロップインですが、貼り付けてあるテプラの厚みを除いた胴部外径は21.5mmです。
T6A側のヘッド内径と同じ寸法ですが、測定値および工作物の寸法が高精度でないと、同一寸法ではNGとなるのが常であり、多分に漏れずこのモジュールは T6A にセットできませんでした…orz
他の汎用(?)LEDドロップインも T6Aでは全滅で(泣)、唯一セット可能だったのは KDLITKER のドロップインだけでした。
KDLITKER LED Drop-in
KDLITKER ドロップインの胴部外径は実測で 21.4mm。T6A の内径より0.1mm細いだけなのですが、アウタースプリングを装着したままの状態でも使用できました。
T6Aにセット、およびパージする際に少しゴリゴリと擦れますが、無理にネジ込む必要もなく、取り出す際もラクに外せます。また、ドロップインとホストがほぼ密着している状態なので放熱的に有利…と言えるかもしれません。
ただ、イイ加減な寸法測定なので測定誤差があると思いますし、今回は偶然使えただけで、実際にはT6A側の内径が 21.522mm で、KDLITKER側の外径が実は 21.488mm だった…とか、それぐらいのクリアランスしかなく、実際に紙一枚分のクリアランスも無い状態です。
なので、T6A または KDLITKERドロップイン双方に、加工時の寸法誤差があった場合には『NG』となるので、残念ながら『KDLITKER のドロップインが絶対に使える!』とは断言できません。
汎用ドロップインの胴部分をヤスリ掛けするなりして直径を0.2mmほど細くすれば T6A でも使用可能となる理屈ですが、NEXTORCH純正のLEDドロップイン(L66)を使うのが一番安全・確実だと思います。(H2Tさんのドロップインが使えるかは未確認)
ちなみに GT6A-S のヘッド内部の内径は約22.8mmと大きいので、GT6A-S では所有しているLEDドロップインのすべてが余裕で使用可能でした。
スイッチ
T6A のスイッチは SUREFIRE 6P などと同じスイッチ機構で、リアを完全に締め込むと常時点灯、少し緩めると間欠点灯のみとなる、お馴染みの momentary-switch です。
一方の GT6A-S のスイッチは、リバースクリック式の機械式スイッチになります。
T6A のスイッチが自分の用途に合わないので中身だけを機械式スイッチに交換したいのですが、過去にノーブランド品のモーメンタリスイッチを分解(※破壊)した時のように、まずブーツを強引に外してからハンマーなどで上からピストン形状のパーツを叩き出し…的な作業が必要になりそうです。(内側にロックリングのようなパーツが見えますがココを回しても空転するだけでした)
GT6A-S のスイッチブーツはNEXTORCHのロゴ入りですが、ブーツの外径が約14.5mmと特殊なサイズになっています。スイッチのチープな操作感がイマイチなので交換を試みたのですが、ロックリングと思われるパーツが接着固定されているかの如く、いくら回そうとしてもビクともせず、結局、分解・交換できないままとなっています。
接着固定されていても、金属パーツ同士であれば加熱して強引に外す方法も採れるのですが、GT6A-Sはガワが樹脂製だけに無茶できないかなと…(^^;
T6A のスイッチには、操作方法(方向)のマーキングが施されています。
テールキャップの互換性(T6A)
実は、当初このT6Aのスイッチ仕様がアレだったのと、機械式スイッチの純正パーツも入手困難となっていたのであまり購入意欲が湧かなかったのですが、純正パーツがAliexpressで販売されているのを発見し、同時にテールのネジが SUREFIRE互換となっている事を知ってからムクムクと購買意欲が湧いた次第です(笑)
…で、同じくSUREFIRE互換の NITECORE NTC1 と交換してみましたが普通に使えました。(勿論、NEXTORCH純正のスイッチユニットもオーダーしました♪)
T6Aオリジナルのテールキャップは最大径が約27mmあるのでTHYRMのスイッチバックは装着出来ないのですが、NTC1 やソラフォ、SUREFIREの1インチ径のテールユニットと交換すれば、スイッチバックが空転するものの、T6Aに装着&スイッチ操作が可能となります。
NEXTORCH D6 : Optional Switch Unit
《追記:2021.04.25》
オプションのクリックスイッチユニットです。
スイッチはリバースクリック式で、ネジピッチは SUREFIRE 6P と互換性があります。当然、ナンの問題無く T6A に装着できました。
ただ、誤算だったのは、リバースクリック式からフォワードクリック式にスイッチ部品を交換しようと思っていたのですが、内部側のロックリングに締めたり緩めたりするための二つ穴が存在せず、スイッチユニットをどうやって組み込んでいるのかが判りません。
時間ができたらリトライするつもりですが、取り敢えず片手でのスイッチ操作が可能となったので、格段に使いやすくなりました♪
電池
T6A は 2×NT123A(CR123A)で、ボア径を実測したら17.8mmでした。(コレなら16650も余裕かな?)
GT6A-S は 2×NT123A(CR123A) の他に仕様欄には NTR123A の記述があります。(※『NT』を猛アピールです!(`・ω・´;)
18650/18350でもかなり余裕があるので『もしかしたら21700でも…』と、試してみましたが21700は無理でした。(GT6A-S のボア径を測ったところ19.7mmでした)
ちなみに、開封時に付属していた NT123A の電池電圧を測ったトコロ、すべての電池が 3.05~3.08V の電圧を保持していました。
照射
今回は、NEXTORCH BZ003、SUREFIRE P60 および P60互換のLEDドロップインで照射比較してみました。
水平照射
配光/光色/演色
LED電球
NEXTORCH T6A
NEXTORCH GT6A-S
SUREFIRE G2 NITROLON
Self-made / LED drop-in (CREE XP-G2 R3 5D・NW)
KDLITKER / LED drop-in (CREE XP-L Hi V3 1A・CW)
画像だと BZ003 も P60 も差がないように見えますが、実際には中心光・周辺光とも P60 が最も綺麗な配光パターンとなります。実用上、問題ないレベルの差なのですが BZ003 は中心光がやや歪な形となり、その影響で周辺光にも配光ムラが発生します。外観からはキセノン電球そのものに差がないように見えるのですが不思議であります。
LEDドロップインと比較すると、3つのキセノン・ドロップインとも照射角度が広くなっていますが、ココでもP60が一番広角…かなぁ?
演色性については、BZ003同士では差がありません。(当然か…)P60と比較すると『赤』の発色が良くないように見えますが、電池電圧の違いによる光量差や照射角度(仰角)の違いが影響しているかもしれません。
実際に運用するとなると、キセノンは温存してLEDモジュールを使う事が多いと思いますが、LEDモジュールを T6A や GT6A-S にセットしてもキセノンのような広角配光とはならないので、『やっぱ、キセノンもイイよなぁ♪(*´ω`*)』…と、思う今日この頃です。
まとめ
SUREFIRE 6P / G2 を意識したと云うか、お手本にしたと云うか…まぁ、そんな感じのホストです。
冒頭で述べた通り、T6A/GT6A-S の両機とも既に生産・販売終了となった製品ですが、アチラコチラで流通在庫の新品が購入可能なので購入検討時の参考にでもしていただければ幸いです。
T6A については、モメンタリースイッチの仕様・構造などなど『6Pと異なるのはガワのデザインだけ』という感じですが、消耗品となるキセノンのドロップインが SUREFIRE P60 と互換性が無いのは、NEXTORCHのサプライビジネス戦略、或いは特許の関係や放熱を考慮した…のかもしれません。
これまで自分が購入したノーブランド品のキセノンモジュールのサイズは SUREFIRE P60 と同サイズだったので、キセノンモジュールのサイズは全部同じだと思っていましたが、遅れて来たフラッシュライト少年(※中年)にとってはドロップインの歴史…というか、フラッシュライトの歴史の1ページに触れられたようで嬉しく、またひとつ勉強になりました。
T6A にて汎用タイプのLEDドロップインが『サクッ♪』と使えないのはアレですが、NEXTORCHの純正品が入手不可となった場合でも転用できそうなLEDバルブ(ドロップイン)が存在するので、鑑賞用としてではなく実用品としても使い続けられそうです。
樹脂ボディの GT6A-S については、汎用タイプのLEDドロップインだけでなく、18650 や 2×18350 でも『余裕のヨッちゃん♪』なので、デザインやボディの太さ、スイッチのチープな操作感が許容できるのであれば、便利にガシガシ使えるシェルです。
どちらかと言えば個性的な意匠の製品なので、好き・嫌いがハッキリと別れそうですが、個人的には買ってよかったと満足しています。
現在のNEXTORCH社の製品は、タクティカルやLEをコンセプトにしたフラッシュライトが多いのですが、1L-1AAのように1AAでもCR123Aでも使えるモデルが存在していましたし、タクティカルだけどスッキリデザインの製品もあるので、機会が有れば最近のモデルを使ってまたレビューしたいと思います。