先の NITECORE MT2C の MT は Multi-Task(マルチタスク)の頭文字から来ているのですが、MH は Multitask Hybrid series(マルチタスク・ハイブリッド)の略…となっています。
何と何のハイブリッド…なのかは、このMH12Sのレビューを読んでいただくと朧気ながらソレが見えてくると思いますが、現在のNITECORE社の各シリーズ別製品を見比べてみると、MHシリーズはタクティカル一辺倒のフラッシュライトではなく、一定数の割合でEDC成分が含まれているように感じられます。
『タクティカル指数』を基準にしてみると P > MH > MTシリーズ という感じでしょうか?…(゚ー゚*)。oO(ちなみに Pシリーズは『Precise』の頭文字)
今回は、そんなMHシリーズの中の最新モデルであり、USB Type-C 充電 や 21700対応など、昨今のトレンドを押さえた NITECORE MH12S のレビューをお届けします。
一ヶ月ほど前に NITECORE MH12S のグローバルレビュー募集キャンペーンがあったのですが、ダメ元で応募したら幸運なことにOKのご連絡が貰えましたので、標準付属のハードホルスター NTH10 の使い勝手も含めて、じっくりと MH12S を見ていきたいと思います。
製品HP
- NITECORE Official HP (Flashlight)
- NITECORE MH12S – nitecore.com
- NITECORE MH12S 1800 Lumen USB-C Rechargeable Flashlight – nitecorestore.com
- NITECORE NTH10 – nitecorestore.com
- NITECORE NTR10 – nitecorestore.com
NITECORE Official SNS
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INDEX
パッケージ
お馴染みの黄色と黒色の紙製化粧箱です。裏面にはMH12Sのの特徴が英語で記述されています。
箱の側面には主要諸元と主な付属品、表にはMH12Sの最大出力:1800ルーメンやNL2150(21700 Li-ion充電池)、USB Type-C 対応などが明記されています。
商品構成は、MH12S本体、NTH10 ホルスター、電池スリーブ、USB充電ケーブルの他に、保証書、多言語マニュアル(日本語対応)クリップ、予備Oリング、ランヤードが付属します。
※NITECORE社の MH12S 製品HPよりPDFマニュアルがダウンロードできます。
NL2150(21700充電池)はMH12S本体にセットされた状態で出荷されるので使用前に絶縁シートを除去します。満充電状態では出荷されないので、使用前には充電を行ってください。
NITECORE NTH10 Tactical Hard Holster
実は、個人的にこの NTH10 ホルスターにはすごく興味があり、MT2C用にと単品購入を考えていました。
NTH10 は総プラスチック製で、ライトを収納するポケット部分からベルトクリップまで一体成形されています。
総プラスチック製ですが、粘りのある樹脂(ポリエチレン系樹脂?)で出来ているので低温下でも割れにくく、ある程度の衝撃にも耐えてくれそうです。(PEだと紫外線には弱いかも?)
NTH10の適合機種については、New P12、MH12S、MH10S などがありますが、ヘッド径が1インチ(25.4mm)で、ボディの一番太い部分が27.5~30mm未満のライトであれば収納できそうな感じです。(MH12Sの一番太い部分はφ29.5mmでした)
逆にこれより細いライトは固定できずにスッポ抜けてしまいますし、太いライトは PUT & PULL が難しくなります。
ナイトコア社製のライトだと基本的にベゼルダウンで収納しますが、入口(?)からヘッド先端が収まる部分までスリットが入っていて、太さが適合するライトであれば太さに合わせてポケット部分の直径が拡がる構造になっています。(拡がっていない状態の入り口部分の開口径は約28mmでした)
ライトにクリップや別売のタクティカルリング(NTR10)が装着されていても、スリットに合わせて収納すれば収納可能です。
NTH10のヘッド先端付近は直径1インチより僅かに狭くなっていますが、この部分も内径が拡がる構造なのでテール部分の外径が1インチ径のライトであればベゼルアップでもライトをセットできそうです。(※まだ試していません)
NTH10にセットしたライトのグリップ部分を両側から挟んで固定するために両サイドに『押さえ』が配置されています。
ライトのサイズにもよりますが収納時は『スッ…』と入れるのではなく、かなり意識して『ネジ込む…』という感じで、取り出す時も『意識して引き抜く』必要があります。
実際にMH12Sをセットするとこんな感じです。
ホルスターからの突出量がある程度ないと引き抜くのが難しくなりますが、これもライトの最大径によって引き抜く動作のチカラ加減が変わってきます。
NTH10の特徴のひとつが、ベルト幅に合わせて調整可能なベルトクリップです。
最初から”コの字型”のストッパーが2個付属しますが、使用するのは1個だけでもう1個は予備パーツになります。
このストッパーをベルトの幅に合わせて対応する位置にセットすると、ホルスター自体の上下動が制限されてライトの PUT & PULL 動作がしやすくなる…というワケです。
調整幅はウエストベルトに用いられる一般的なウェビングベルトの幅に合わせられています。
自分は38mm幅のベルトをよく使うのですが(50mm幅だと脇腹の肉がヨッコらしょ…いえ、ナンでもないです)なるほど確かにNTH10がイイ感じに固定されます。
コの字型パーツにも僅かに『返し』が付けられているので外れにくくなっていますが、なにかの拍子にベルトから外れてしまったり、NTH10からライトを引き抜く際に無理に引っ張ると調整用のストッパー自体が取れてしまう可能性もゼロではないので注意が必要です。
※ストッパーは工具無しで着脱可能
50mm幅のウエストベルトだとこの位置になります。
MT2CとNTH10を合わせてみましたが問題無くセットできました。
MT2CはMH12Sよりも少し細い(最太部:27.4mm)ので、比較的 PUT & PULL がMH12Sよりもスムーズに行えますが、ボディ径が細いのでボディ部分はホールドされず、ヘッドとアンチロールの部分だけで固定される形になります。
総評として、NTH10は『簡単に PUT & PULL が可能!』…とは言い難い使い勝手でありますが、簡易な構造でありながらガッチリとライトがホールドされるので、用途によっては有用かもしれません。
一般的なホルスターよりもタクティカル感が強く、視覚的効果重視の製品なのかもしれませんが、水濡れや汚れを気にすることなく使えて、ホルスターとしての役割は十分に果たしてくれます。
NTH10は手頃な価格で単品販売もされているので、フラッシュライトを抜き身で携行するのは抵抗があるけど普通のホルスターでは満足できない…的な思考(嗜好?)をお持ちならば使ってみるのも良いと思います。
クリップ
標準付属の着脱式のクリップはステンレス製ですが、ユーザーの好みで装着できるようになっています。
グリップ部分に3区画の凹みが設けられていて、3区画のどの部分にも装着できます。
ペンクリップと同じ方向にしてクリップを使うのであれば最上段と最下段に…
クリップをリバースさせて使うのであれば中段に…という具合に使い分けられ、リバースの状態でもサイドスイッチや充電ポートにクリップが干渉しないようになっています。
前述の通りクリップを装着したままでもNTH10には収納可能で、ユーザーの使用形態に合わせてクリップの有無や方向が自由に変えられるのは便利だと思います。
仕様/サイズ
『Features』にはMH12Sの特徴が列記されており、SST-40やPDOTなど光学関連、21700充電池などの電池仕様などについて書かれています。
・全長:141mm
・ヘッド径:25.4mm
・グリップ径:25.4mm
・テール径:27.2mm
※いずれもカタログ値
…ですが、最も太いアンチロール部分は、実測で29.5mmとやや太くなっています。
リフレクター仕様でデュアルスイッチ、USB充電にも対応したライトとしては平均的なサイズですが、MH12S の弟分となる MH10S は、全長が 131.3mmとなっています。(※但しMH10Sは、サイドスイッチのみ、21700の電池容量が4000mAh)
NL2150(21700)込みの装備重量は約149gでした。
ボディ
ヘッド径、グリップ径とも1インチ(≒25.4mm)ですが、アンチロール部分とテール部分だけ太くなっています。
ボディ形状(デザイン)は現行Pシリーズとの共通点も多いのですが、Pシリーズとの大きな相違点はサイドスイッチの有無であり、リア部分にモードスイッチがあるのがPシリーズ…と見分けることもできます。
先述の通り、グリップ部分の形状はクリップの取り付けを考慮した形になっています。
全体的に滑り止めのローレットは少なめですが、グリップ部分の凹凸に加えてホールドした時に指が掛かる部分に菱目ローレットが刻まれているので滑るような感じは全くしません。
メーカーロゴ、モデル名はテール側にプリントされています。
ヘッド
MH12SのLEDは、最大で5Aまで流せる Luminus SST-40-W で、5Aでドライブした時の光束値は 1900ルーメンとなります。(データシートによると最大:6Aでの駆動も可能なようです)
色温度は 4500K~10000K の範囲で存在するようですが、MH12Sに搭載されているSST-40-Wはやや暖色寄りの色温度になっています。(※後述)
光学は鏡面リフレクター(SMO)で、MT21Cのリフレクターと同じくPDOT技術が用いられ、ガラスフィルターの両面にはアンチスクラッチ加工が施されているようです。
ヘッド部分のアンチロール部分には複雑な加工がなされていて、放熱フィンもしっかりと刻まれています。過熱防止リミッター(ATRと呼称)を搭載してはいますが最大出力で点灯させると一気にヘッドの温度が上昇するので、放熱フィンも単なる意匠的なモノではないかと思います。
MH12Sのヘッドユニットは固定されているのでボディとリアの2ピース構造となります。テール側から覗くとヘッド部分の【+】接点にスプリングが存在するのが確認できます。
スイッチ
テールスイッチ(メインスイッチ)
メインスイッチとなるテールスイッチは、フォワードクリック式で間欠点灯が可能です。
MT2Cと同じくφ12mmのスイッチですが、スイッチの高さはMT2Cより少し高くなっています。
スイッチの操作感は、MT2C や NTC1 よりも軽く押しやすいスイッチになっています。(スイッチブーツの厚みが薄く柔らかくなっているのかも?)
テールエンドがUシェイプ形状でないのが個人的にとても嬉しく、テール部分が太くなっているのでリアスイッチの操作性はすこぶる良い感じです♪
ランヤードホールは大きめに造られていますが、ホール付近はエッジが立っているので細いリードだと切れてしまう恐れがあり注意した方が良さそうです。
リアキャップ内の【-】接点にはスプリングを装備。ボディ端とロックリングの周囲が接触して通電する構造なのでリアを緩めてのロックアウトも可能です。
リアジョイントは普通の山ネジですが、ネジ長さが十分に確保されているので強度的な不安は感じません。
モードスイッチ(サイドスイッチ)
サイドスイッチは金属製で中央にインジケーターが配置されています。このインジケーターは、電池残量表示や充電時に青く点灯(点滅)します。
MT21C や MH12GTS のインジケーターはスイッチ周囲の透明部分が発光する構造でしたが、材質的に経年による黄変が発生する可能性があるので個人的にはインジケーターの中央配置は歓迎出来る仕様であります。
内部のスイッチ機構はタクトスイッチですが、接点位置がやや深い位置にあり、スイッチストロークが長く感じられます。
モード変更時には意識して操作する必要がありますが、それだけに誤操作のリスクは低減されます。
普段『ぷっくり…』と盛り上がったサイドスイッチに慣れていると最初は違和感があるかもしれませんが、全体的に押しやすいサイドスイッチになっています。
電池
NL2150 : 5000mAh
MH12S標準付属の21700充電池は容量:5000mAhで、型番は NL2150 となります。
ボタントップタイプで【-】極にはNITECOREのロゴが入っており、過放電防止のプロテクト回路を備えています。
動作電圧の幅の広さ、対応電池の充実ぶりは NITECOREらしく、地味ながら個人的にも推しポイントの一つであります。
但し、上記対応表にもある通り、放電性能が8A以下の21700や18650Li-ion充電池は使用不可となっていて、2×CR123A や 2×16340(18350)の 2-cell にて使用する場合は【Turbo】での点灯が不可となります。
また、2×CR123A、2×16340(18350)を装填したまま充電すると破裂や発火の危険があるので十分注意してください。普段は21700や18650で使用し、2×CR123A や 2×16340(18350)での使用は、緊急時にのみに留める事をお奨めします。
NITECORE NL2150 のサイズは↑こんな感じで、MH12Sに装填しても電池室の余裕は殆ど無い感じです。
MH12Sのグリップ径がφ25.4mmなので電池の外径を差し引くと結構ギリギリの寸法なので、ボディ部分の肉厚も薄くなるのは当然…と言えます。
1インチ径に拘らなければクリアランスや厚さの確保は容易なのですが、グリップが太くなると使用感がガラリと変わってしまいますし、社外品も含めた1インチ径用のオプションパーツが使えなくなるので悩ましいトコロです。
電池はテールキャップを外して【+】方向からライトに装填し、付属の電池スリーブ(コンバーター)を使用する場合も装填方法は同じです。MH12Sは、電池の逆差しから回路を保護する逆極性保護回路(リバースプロテクション)を備えています。
電池スリーブは、1×18650、2×CR123A、2×16340(18350)で運用する場合に使用します。
電池スリーブを使わなくても点灯はできましたが、電池室内のクリアランスが有り過ぎて、2-cellで運用する場合は電池が『く』の字になったり、総全長が短くなったりして接触不良を起こす事もあり得るので電池スリーブを使った方が安全確実に使えると思います。
ちなみに電池スリーブに 2×CR123A をセットした時の総全長は73.2mmでした。
電池スリーブ本体の『+』側には5mmほどの厚みがあるのでこの全長になっていますが、電池スリーブを使わない場合は付属のNL2150よりも約7mmも全長が短くなります。7mmも短いとテール側のスプリングがギリギリ接触するかどうか…という感じなのでライトに衝撃が加わるとチラついたり消灯してしまうかもしれません。
充電
パワーインジケーター(電池残量)
MH12S 使用時の電池残量確認の手順はマニュアルに記載されています。
ナイトコアの一部の機種では電池装填時のみに電池残量インジケーターが点灯する機種がありますが(例えばMT21Cなど)MH12Sは消灯時であればいつでも残量確認が行えるようになっています。
マニュアルにある通り、消灯時にサイドスイッチを押したままテールスイッチを全押しして、両スイッチを離すとサイドスイッチ中央のインジケーターが電池残量に応じて点滅します。
点灯中に電池残量が50%以下になると2秒に1回点滅、電池残量がゼロに近くなるとインジケーターが高速点滅します。
最大出力の【Turbo】で点灯させると一気に電力を消費するので、【Turbo】の使用頻度が高い場合は、こまめに電池残量をチェックしたほうが良いでしょう。
MH12S は USB Type-C による充電に対応し、付属のUSB充電ケーブル、およびMH12S側の充電ポートもType-C規格になっています。
MH12Sの防塵カバーを開けて給電側と充電ケーブルで接続すると、供給側がオンライン状態であれば直ちに充電が開始されます。
充電中はサイドスイッチ中央のインジケーターが青く点滅、充電完了時にはインジケーターが常時点灯となります。
充電が完了したら防塵カバーとライトがほぼフラットになるように、カバーをしっかりと閉めてください。
充電時間は供給側の出力によって左右されますが、マニュアルには DC 5V・2A で充電した場合、付属のNL2150の充電時間はおよそ3.5時間との記述があります。
USB Type-C は、micro-USB のようにコネクタの方向を確認する必要がないのですごく楽チンです♪
モード
MH12Sの基本操作は、リアのメインスイッチを全押しすると常時点灯、点灯中にモードスイッチ(サイドスイッチ)をシングルクリックしてモード変更、再度リアスイッチを押すと消灯となります。
リアスイッチはフォワードクリック式スイッチなので、リアスイッチの半押しによる間欠点灯も可能です。
モードメモリ搭載により、消灯時のモードで再点灯、もしくは消灯時のモードで間欠点灯が可能となっています。(※MH12Sはストロボモードも記憶されます)
MH12Sは2つのモードグループを使い分ける事で、タクティカルライトにもEDC用途メインにも対応できるようになっています。
デイリーモード(Daily-mode)
EDCモードとも呼べるモードグループです。
通常モードは5段階の出力レベルで、点灯中にモードスイッチ(サイドスイッチ)をシングルクリックする度に【Ultra-Low】→【Low】→【Mid】→【Hi】→【Turbo】→【Ultra-Low】…の昇り順のサイクルでモード移行します。
どの出力レベルで点灯していても、モードスイッチを長押しすると特殊モードに入り【Strobe】→【Beacon】→【SOS】→【Strobe】…のサイクルでモードが切り替わります。特殊モード移行時にモードスイッチを離すと、その時点で選択した特殊モードでの常時点灯となります。
特殊モード点灯中にモードスイッチをシングルクリック、または長押しすると、特殊モード直前に点灯していた通常モードに復帰します。
3つの特殊モードの中でモードメモリの対象となるのは【Strobe】のみで、【Strobe】点灯中にメインスイッチを全押しして消灯した場合は、【Strobe】で再点灯、もしくは間欠点灯時も【Strobe】点灯となります。
モードメモリにより【Strobe】で再点灯した場合は、モードスイッチのシングルクリックで記憶された通常モードレベルに復帰し、モードスイッチを長押しすると【Ultra-Low】点灯になります。
タクティカルモード(Tactical-mode)
グループ名そのままのタクティカルなモードです(笑)
点灯中にモードスイッチ(サイドスイッチ)をシングルクリックするとモードが移行しますが、タクティカルモード時は【Turbo】→【Hi】→【Mid】→【Low】→【Ultra-Low】→【Turbo】…のように降り順のサイクルでモードが切り替わります。
どの出力レベルで点灯していても、モードスイッチの長押しで特殊モードに入りますが、タクティカルモード時の特殊モードは【Strobe】のみとなります。
タクティカルモード時のモードメモリは、【Turbo】か【Strobe】のみが記憶され、【Hi】~【Ultra-Low】の状態で消灯すると、次回点灯時には【Turbo】で再点灯します。
【Strobe】点灯したまま《OFF》にすると、再点灯時、および間欠点灯時とも【Strobe】で点灯するのはデイリーモードの場合と同じで、【Strobe】で再点灯した時のモードスイッチの操作方法(シングルクリックまたは長押し)により、直前のモードに戻るか、それとも【Ultra-Low】に戻るかの動作も同じです。
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両モードグループの切り替えは、ライトが消灯した状態でモードスイッチ(サイドスイッチ)を押し、そのままの状態でテールスイッチを1回全押しします。モードスイッチを3秒間押し続けるとメインライトが1回、もしくは2回点滅します。
・1回点滅 = デイリーモード
・2回点滅 = タクティカルモード
メインライトが点滅した後にモードスイッチを離すと、デイリーモードならば記憶されたモードで自動点灯、タクティカルモード時は【Turbo】で自動点灯します。
両モードグループとも、自動点灯時にはモードスイッチを離してからワンテンポ(1秒くらい?)遅れて点灯するので、『あれ?点かない…』と、思って覗き込むとムスカ君になるので要注意デス。(※経験談)
マニュアルには『モードグループ切り替え時にはメモリーがリセットされ…』とありますが、実際にはデイリーモードではメモリーの状態は保持され、タクティカルモードからデイリーモードに戻ってもメモリーされたレベルで再点灯します。
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MH12Sの基本操作は、他のデュアルスイッチ仕様のライトと変わりなく、一度でもデュアルスイッチ仕様製品の使用経験があればスグに使いこなせるハズです。
2つのモードグループの違いも、モード移行が『昇り順』か『降り順』かの違いと、タクティカルモードは、ワンアクションで即MAX点灯が可能…とだけ意識していれば、混乱することなく使いこなせるでしょう。
照射
今回はこの5本で照射比較を行ってみました。
JETBeam PRT1 と WARRIOR Mini は MH12S と同じ SST-40搭載機で(※ WARRIOR Mini は推定)光学や出力の違いで照射時の印象や配光の違いが確認できるハズです。M2R WARRIOR と PT28 は MH12S と同じデュアルスイッチ機ですが、最大出力時の光束値の差が、照射時にどれぐらいの変化があるのか?を確認できると思います。
水平照射
配光/光色
LED電球
NITECORE MH12S
JETBeam JET-PRT1
OLIGHT WARRIOR Mini
OLIGHT M2R WARRIOR
BRINYTE PT28
屋外照射
白昼(立木まで67m)
NITECORE MH12S
JETBeam JET-PRT1
OLIGHT WARRIOR Mini
OLIGHT M2R WARRIOR
BRINYTE PT28
※スミマセン、M2R は電池電圧が低かったようで 1500lmでの点灯が行えませんでした…
用意した5本の中でTIRによる拡散配光の WARRIOR Mini は別格ですが、他のリフレクター仕様の中で最も広角照射なのが MH12S だったというのは少々意外でした。
例の『PDOT』技術の賜物(?)なのかもしれませんが、周辺光量も豊富で配光も綺麗です。
ダイサイズの大きな SST-40 なので、タクティカルライトのようなピンスポット配光ではありませんが、1800ルーメンのチカラ技で約70m先までしっかりと照らせています。
色温度については、6000K~7000K の PRT1 や WARRIOR Mini と比較すると明らかに低い色温度で、恐らく5700Kぐらいだと思います。(5000Kだともう少し暖色寄りになるかと…)
演色性については、SST-40のデータシートによると CRI>70程度となっていますが、不自然なほどの色の偏りは感じられません。
1500ルーメン以上の3機種の比較では、極端な違いは無いように見えますが、MH12Sの集光度合いとの相乗効果で中央付近に光量差が現れているように見えます。
3本の中で最も周辺光量が多いのは拡散配光の WARRIOR Mini で、その次に PT28、更に MH12S という順になりますが、MH12Sの【Turbo】では、やはりチカラ技で周辺光量も補っているようです。
蛇足ですが、MH12S は全域に於いてフリッカーの発生はありません。
まとめ
NITECORE MH12S を一通り使ってみた感想は、タクティカル風味の強い外観でありながら、素直な操作体系を堅持していて扱いやすいフラッシュライトだなと…。
変なアクやクセも無く、奇をてらわず変に個性を主張してもいないので、万人向けの1500ルーメン超のフラッシュライトだと思います。
『ならば平凡なライトなのか?』と、問われると決してそんな事はなくて、ナイトコア独自のPDOT技術やマルチバッテリー対応など、これまで同社が培ってきた技術が惜しげもなく投入された1本であり、地味な部分なのかもしれませんが、同形態の製品の中でも複数のアドバンテージを持つライトだと思います。
21700充電池や USB Type-C などのトレンドもしっかりと押さえていますし、見た目とは裏腹な優等生だと思います。
『フラッシュライト』という製品ゆえに、最大出力の数値ばかりに目を奪われてしまいがちなのですが、常用する上で重要なのは、スイッチの操作性だったり、モード変更時の操作手順(UI)の判りやすさや汎用性、耐久性なのではないでしょうか?
SST-40をフルドライブすることで1800ルーメンもの光束値を持つMH12Sですが『常用する上で重要なポイント』もぬかりなく押さえているナ…と感じました。
低出力の小型EDCライトと即MAX点灯が可能なライトの『2本持ち』を実行しているdoormanですが、MH12Sは後者の用途のみならず、多少大型ではありますが前者の役割もこなしてくれる1本かと思います。
標準付属のホルスター NTH10 と組み合わせた時の PUT & PULL がもう少しスムーズに行えれば更に良いのですが、ホルスターはナイトコア純正の NCP30 の他にも汎用品が数多く出回っており、自分の好みのモノを使えば良いだけなのでマイナスポイントだとは思いません。
テールエンドがUシェイプではなく、ただもうそれだけで超贔屓目加点しているのは否めないのですが(笑)、MH12Sの製品コンセプトを体現している重要なポイントだとも思います。
バリバリのタクティカルライトを期待して購入すると肩透かし感を覚えるかもしれませんが、NITECORE MH12S は、MH(マルチタスク・ハイブリッド)シリーズの主力モデルとして、フラッシュライト初心者からマニアまで納得できる1本に仕上がっていると思います。
初めまして、このライトの購入を検討しています。
ポーチに入れて持ち運びをするつもりなのですが、サイドスイッチが物に当たると点灯しそうですか?
ごめんなさい!スパムコメントに自動振り分けされてて気付けませんでした。
このMH12Sは、テールスイッチを全押して点灯させてからサイドスイッチでモードを変更するタイプの一般的なデュアルスイッチ仕様のライトです。
よって、テールスイッチが押されて【ON】になっていなければ、消灯中にサイドスイッチを操作しても点灯することはありません。ポーチに入れて携行する際もテールスイッチが押されない限り点灯することはありません。
テールキャップを緩めて物理的に通電をカット(ロックアウト)しておけば更に安心かと思います。
亀レスになってしまい申し訳ないのですが、ご参考になれば幸いです。(^^