暑中お見舞い申しあげます。
前回の NITECORE TIP2 に続き、同社の「Tシリーズ」である NITECORE TUP のレビューです。
TUPは発売当初から気になっていたライトであり、やはりEDC系ライトでありながらLCD(※NITECOREはOLEDと呼称)を搭載している点に惹かれました。
意地悪な見方をすれば、LCDが無ければ凡庸なEDCライト…になっていたかもしれないワケで、LCDの存在感というかインパクトは強烈です。
ただ、某所でも書いたのですが、このTUPに限らずアウトドアで使う事が多いフラッシュライトとLCDの組み合わせについてはミスマッチ感が払拭できず、情報量がインジケーター表示の比ではないと頭で理解していても及び腰になっていたのも事実です。
・・・が、先の TIP2 を使ってみて NITECORE製品全般に対する心象が変化し、LCDを搭載したことで使い勝手が変わるなら、実際に使ってから評価しないと…という流れというか、勢いというか…そんなこんなで、先のTIP2と同じく Amazon内の Jiayan E-commerce でポチ。
TIP2 + LCD = TUP ほど単純なモノではないだろうと想像はしていましたが、実際にTUPを使ってみて思ったのは、最初からTIP2とは異なるユーザー層というか、これまでフラッシュライトに興味が無い、もしくは馴染みのないユーザーをターゲットとした製品なのかな?…という感じで、新たなユーザー層の開拓(獲得)につながる可能性を秘めたライトだと思います。
それに、LCDに情報が表示されると使い倒してる感が増幅されて妙に楽しいんです♪(笑)
この楽しさを画像と文章でドコまで伝えられるか判りませんが、頑張ってレビューしたいと思います。
製品HP
- NITECORE Official HP (Flashlight)
- NITECORE TUP – nitecore.com
- NITECORE TUP – amazon.co.jp
NITECORE Official SNS
- Facebook – Nitecore Flashlight / @nitecoreflashlight
- instagram – NITECORE Flashlight / nitecoreflashlight
- Twitter – Nitecore Flashlight / @nitecorelight
- Twitter – Jiayan E-commerce Japan
関連記事
- NITECORE TIP2 / 2x CREE XP-G3 S3 (CW) – roomX.jp
- OLIGHT S1R BATON II / CREE XM-L2 (CW) with MCC-II – roomX.jp
- MecArmy SGN3 [Gray] / CREE XP-G2 + Red + UV – roomX.jp
- MANKER LAD [Red] / Nichia 219C – roomX.jp
INDEX
パッケージ
TIP2と同じく黒色をベースにした紙製化粧箱入りですが、製品のボリュームに合わせてTIP2よりも一回り大きな箱です。
裏面に中国語で製品の特徴が記載されていますが、漢字だと何が書かれているか何となく解るから不思議です。
パッケージ内容は TUP本体、キーリング、多言語マニュアル(日本語対応)、保証カードとなっています。
TUPにも充電用のUSBケーブルは付属しないので別途用意する必要があります。
仕様/サイズ
サイズ的にはやや太めの1×CR123A仕様のライト…といった感じですが、これにはTUPの直方体形状が大きく関係していると思います。
重量は非常に軽く、Wリングを装着した状態でも約54gしかありません。
ズングリむっくりで重量があるように見えますが、実際はすごく軽いです。
購入前に仕様を確認してはいましたが、ボリューム感があるだけに手に取った時のTUPの軽さは不思議な感じがします。
ボディ
外殻は、上下二つのパーツを組み合わせた最中(もなか)構造です。
製品HPに【Aluminum-Alloy】の記述があり、曲線や凹凸の感じからして、外殻パーツはCNC加工ではなく鋳物成形されているものと思われます。
基本構造は初代TIPと同じようなので分解して電池交換…にも一縷の望みがあります。
やや幅広なクリップは本体にしっかりとビス止めされているので、ウェラブルな使い方をしても問題無いでしょう。
TUPのLCDには出荷時にキズ防止の薄いビニールが貼られています。スマホの液晶保護フィルムのような耐久性は無いのでラフにEDCするならば市販の液晶保護フィルムを小さくカットして貼り付けた方が安心です。
LCDの視認性はバッチリで、暗所では勿論、明るい場所でも視認できます。
LCDは10秒経過すると自動で消灯します。(※詳細後述)
ヘッド
CREE XP-L HD でランクは V6。
光学はTIRレンズで、レンズ表面はほぼフラットです。
スイッチ
【POWER】と【MODE】の2スイッチ構成で、スイッチ表面の素材は樹脂製です。
スイッチトップが突出してはいませんが、指でなぞるとスイッチの各位置がハッキリと判ります。
アイコン部分が半透明になっています。
充電時には内部に仕込まれた青色LEDが点滅しますが、残念ながら点灯中は光りません。
スイッチストローク的なモノは殆どなく、TIP2と比べると誤点灯しやすいスイッチ…と言えますが、メーカーもそれは認識しているようで、誤点灯対策として二段階のロックアウト機構を備えています。
テール/リア
テール部分にはWリングやストラップを通せるようにループを備えています。
メーカーによるとループの耐荷重は30kgとなっていますが、Wリングを介するとループよりもWリングが先に伸びてダメになると思います。
個人的にはもう少しループが大きく造られていると色々と捗るので、TUP2が出る際には改良して欲しいです。
充電
充電ポートは micro-USB ですが、先述の通り充電用のUSBケーブルは付属して来ないので別途用意してください。
ポートは6角形のゴムキャップでカバーされています。
このカバーはデザイン的には良いのですが、キャップが外しづらいのが気になりました。
ユーザーが女性だった場合には、ネイルをしている事も充分考えられ、その際にはマイナス・ドライバーの先などを使ってキャップを外す必要がありそうです。
給電側(DC・5V出力のPCやモバイルバッテリーなど)がオンライン状態であれば、ケーブルを接続するだけで充電が開始されます。
充電中はアイコン部分が青く、ゆっくりと点滅、充電が完了すると(約4.2V)常時点灯となります。
充電開始から10秒間はLCDに充電中を示すアイコンが表示されますが、LCDが消灯しても青の点滅は継続します。また、充電中に【MODE】スイッチを1クリックすると充電状態がLCDに表示されるのでいつでも充電状態(電池電圧)が確認出来ます。
NITECORE TUP / Battery Level Warning (電池残量警告)movie. – YouTube
モード
TUPの基本操作は、1クリックでON/OFF。
モードメモリ機能を備えているので最後に使用したモードで再点灯します。
点灯中のモード変更は【MODE】スイッチをクリックして行いますが、スイッチを操作してから10秒後にLCDが消灯し、それ以降は1クリックで現在の状態表示、更に1クリックでモード変更になります。
詳しい操作方法は言葉で説明するよりTUPの製品HPからPDFマニュアルをダウンロードしてご覧いただいた方が早いと思います。
OLED(LCD)
出力レベル 変更・選択
常時点灯可能な出力レベルは、Lev.1~Lev.4 の4段階。
【MODE】スイッチにてレベルを変更すると、出力値(ルーメン値) → 点灯可能時間の順でLCDの表示が切り替わります。
ユーザーモードが【DEMO】モードの場合は、LCDには《DEMO》が表示され左下には30秒のカウントダウンが表示されます。【DEMO】モードではどのレベルで点灯していても点灯開始から30秒後に自動消灯します。
出力レベル、ユーザーモードに関係無くLCDは10秒で消灯しますが、30秒のカウントダウンは継続されます。
ユーザーモード(DEMO/DAILY)変更・選択
30秒以上、連続点灯したい場合はユーザーモードを《DAILY》モードにします。
ユーザーモードを変更するには、点灯・消灯状態に関係無く【POWER】と【MODE】スイッチを同時に長押しします。選択したユーザーモードがLCDに表示され、メインライトが《DEMO》の場合は1回、《DAILY》の場合は2回点滅します。
デイリー・モード
《DAILY》モードにて動作中は、LCDに《DAILY》が表示され、30秒のカウントダウンは非表示になります。
TURBO
【TURBO】点灯は、点灯・消灯状態に関係無く【MODE】スイッチを長押しします。
【TURBO】は間欠点灯のみが可能で【MODE】スイッチを押している間だけ点灯します。LCDも【TURBO】出力の値で表示されますがLCDは10秒で消灯します。
Lockout/Unlock
ロックアウトの設定/解除は、消灯時に【POWER】スイッチを『ポチ、ポチィィィィィ…』という感じで、1クリック後に長押しするか、消灯操作を1クリックではなく長押しで消灯すると、そのままロックアウト設定・動作に入ります。(誤点灯防止としては後者の操作を習慣づけるのが吉)
ロックアウトは2段階のレベルが選択可能です。レベルは長押し操作の時間によって選択します。(アイコンが変化します)
レベル①は電池残量確認と【TURBO】の点灯が可能です。
レベル②は完全ロックアウトになります。
ロックアウト解除も設定時と同じく【POWER】スイッチを1クリック後に長押しします。解除操作時にはLCDのプログレスバーがアニメーション表示されます。
ロックアウトが解除されると記憶されたモードで点灯を開始します。
NITECORE TUP / CREE XP-L HD V6 (CW) : review – YouTube
照射
水平照射
配光/光色/演色
LED電球
NITECORE TUP
NITECORE TIP2
OLIGHT S1R-II BATON
MANKER LAD
MecArmy SGN3
屋外照射
白昼/軸線(立木まで67m)
NITECORE TUP
NITECORE TIP2
OLIGHT S1R-II BATON
MANKER LAD
MecArmy SGN3
配光は、照射角度が狭く図太いスポットで、全光束値の7割ぐらいがスポット光に割り振られ、残りの3割が周辺光にというような配光です。
その為【Turbo】の1000ルーメンでは約70m先のフェンスも視認できて、同じ1000ルーメンでもS1R-IIより飛距離が出ている事が判ります。
実際に【Mid】の65ルーメンでも足元を照らすなら充分な明るさで【Hi】の200ルーメンで足元を照らすと眩しく感じます。晴天時の舗装路であれば【Mid】が常用域になるハズです。購入前には【Mid】の65lmは少し物足りないなぁ…と思っていましたが嬉しい誤算でありました。
光色は自然な白色光で、レンズによる色収差も感じられません。
蛇足ですが、全モードでフリッカーの発生もありません。
まとめ
doormanだけかもしれませんが、フラッシュライトに対する概念が固定化されて視野が狭くなりつつあったのかなと…(´・ω・`)
フラッシュライトをひとつの【照明】のカタチ、道具として認識はしていたものの、【電子機器】としての視点はどうだったろうか?…と。
初めて充電用のUSBポートを備えたライトをイジった時にも似たような印象を受けたのですが、そこから更に一歩踏み込んで、高性能&多機能フラッシュライトを万人向けの電子機器として考え、形にしたのがTUP …のような気がします。
・電池のサイズはですねぇ… ⇒ 充電式だけど?
・電池寿命=製品寿命となるかも… ⇒ 大部分のスマホがそうじゃん♪
・電池残量はインジケーターで… ⇒ LCDに表示されるけど?
・点灯およびモード変更は… ⇒ 【POWER】と【MODE】ボタンでイイんでしょ?
・Low/Med/Hiの出力は… ⇒ 覚えるの超メンドクサイwww
etc…
ライトマニアとカタギな方々との視点・意識の違いと申しましょうか、ライトマニアは拘るけど普通の方々は拘らない…的な。
ライトマニアにとっては重要な儀式、或いは通常業務の一環であっても、興味の無い人達からしたら余計な手間でしか無いですからネェ(笑)
日常的に使用するならば、使用機器の状態(ステータス)が明確に表示されて、判りやすく手間の掛からないモノでないとNG…。そんなユーザーを想定してデザイン、開発されたのがTUPなのではないでしょうか?
じゃぁ、ライトマニアには物足らない製品かというと全然そんな事はなくて、ハッキリ言って、非常に判りやすくて使っていて超楽チンです♪
バリバリのスポーツバイクから大型スクーターに乗り換えた時の楽チンさをTUPに感じましたし、EDCライトとして何が重要か?…を意識して製品化されている事が伝わってきます。
本格的なLCD搭載のEDCライトとしてはTUPが最初の製品なので、全体のデザインや細部についてブラッシュアップの余地はまだまだあって当然かと思いますが、小難しい事を考えずに気楽に使える、ユーザーを選ばないEDCライトなのは確かです。
ただ、一般の人からすると懐中電灯としてのTUPは高価であり、購買意欲を掻き立てるには【価格】がネックになりそうなので、NITECOREさんにはその辺りをもう少し頑張って頂きたいかなと…(^^;
そして、TUPのような製品をキッカケにして、フラッシュライト・ユーザー、特に女性ユーザーがドンドン増えて欲しいと思う今日この頃です…。