各メーカーから様々なヘッドランプ製品がリリースされていますが、これまではハンドライトと比べると選択肢が少なく、1台のヘッドライトを我慢しながら使い廻している方も多かったと思います。最近は軽量な製品からネタ的な多灯製品まで種類も豊富になり選択肢も広がって、用途や状況に応じてヘッドランプも使い分けやすくなって来た感があります。
明るくて、軽くて、ランタイムが長くて、光量調整が可能で…と、突き詰めていくとヘッドランプの理想形もハンドライトの理想形も、実は大差はないのかもしれません。ただ、ウェラブルな分だけヘッドランプ製品に於いて【軽量】であることは重要なポイントであり、発熱量やランタイムとの関係で【大出力】と【軽量】とは相反関係でもあります。
これをどう両立させるかが各メーカーの腕の見せ所でもあり、鎬を削るポイントかと思います。
今回、レビューをお届けする OLIGHT HS2 は、H2R/H1R/H1 とは一線を画した純粋(?)な2灯型ヘッドランプ製品ですが、【複眼ヘッドランプ=大型ライト】の常識を見事に覆したと思います。
Max:400ルーメンではありますが、【大出力】と【軽量】の2つを両立した超小型軽量なHS2の使い勝手はいかに・・・って事で、OLIGHT HS2 をじっくりと見ていきたいと思います。
製品HP
- OLIGHT Official WEB site – olightworld.com
- Olight HS2 – olightworld.com
- Olight HS2 – amazon.co.jp
- Olight® Direct JP – amazon.co.jp
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INDEX
パッケージ
パッケージ外装は紙製、同社のH1と同じくセミハードポーチにキット一式が収納されているので携帯するのにも便利です。
仕様/サイズ
ヘッドバンドはシンプルな鉢巻タイプで、全てがストレッチ素材でできています。
LEDユニット
画像ではうまく伝わらないかと思いますが、LEDユニットはかなり小型です。
小型なので熱対策・放熱面では不利ですが、200ルーメンで連続点灯しても危険を感じるほどではありませんでした。
集配光はTIRレンズで行っていますが、Lowビーム側はレンズ表面がサンドブラスト加工のようになっています。この2つのLEDを同時点灯/片側点灯することで光量調節や遠近の切替が可能となっています。
マウント部分にて、上下約180°の角度で自由にユニットを回転できるので、ユーザーの好みの位置で使う事ができます。
小型ながらもベゼル部分にしっかりとOLIGHTカラーがあしらわれているのが楽しいです♪
コード/スイッチ
LED、スイッチ、電池の各ユニットはケーブルで繋がれ、スイッチ部分のコネクタで【LED/スイッチ】と【電池ユニット】の2つに分割できます。ヘッドバンドから各ユニットを外してスイッチの左右を入れ替えることも可能です。(ヘッドバンドごとひっくり返した方が早いですが…)
電池ユニット
電池ユニットは全体がラバー素材で覆われています。
内蔵電池はリチウムポリマー充電池でユーザーによる電池交換は原則不可となっています。
充電状態や電池残量を4段階で示すインジケーターとボタン、充電用USBポート(micro-USB仕様)はゴムキャップで塞がれています。
使用上の注意としては、バッテリーの過放電に注意してバッテリーを限界ギリギリまで使わないように注意して下さい。HS2は残容量が10%になると警告音(ビープ音)で知らせてくれる機能があるので、この段間で再充電を行うのが電池寿命を縮めず、結果としてHS2を末長く使えることにもなります。
電池寿命=製品寿命となるのが 『うーむ…』 という感じですが、先のX7Rと同様にその時に考えれば良いかなと…。(※後述)
制御基盤は電池ユニット内ではなく、スイッチ部分、もしくはLEDユニットに組み込まれています。(自分はスイッチユニット内に制御基盤が組み込まれているに一票)
※充電しながらの使用について
充電しながらの点灯も可能ですが、私個人としては、命に関わるような非常時、もしくはメーカーが充電中使用の安全性を認めている場合を除き、HS2に限らず、充電しながら機器を使用するのは極力控えるべきだと思います。
フラッシュライトに限らず充電可能な機器において、充電しながらの使用を推奨していない、もしくは控えるように注意書きがあるのは、充電と放電を同時に行うことで回路にも充電池にも通常使用時と比べて大きな負荷が掛かるのと、満充電になるのに時間が掛かり、結果として本来の仕様・規格から外れて長時間充電を行うことになるからです。
もし、充電をしながらHS2を使用しなければならない状況になった場合は、最小ルーメン値で可能な限り短時間点灯に留めるのが賢明かと思います。
それと、電池寿命が来て使えなくなった HS2(=リチウムポリマー充電池)に、モバイルバッテリーを繋いで疑似充電しながら無理に使い続けるのは後頭部がリアル・カチカチ山になる可能性が大なのでヤメた方が良いと思います。
電池寿命が来ると満充電状態でも駆動時間が極端に短くなったり、電池ユニットが膨らんだり、異常に高温になったりするので、その時は安全を最優先に考えて潔く諦めるべきでしょう。。。
※モバイルバッテリーで代用するのは厳禁
スイッチユニットのコネクタはmicro-USB規格のメスなので、モバイルバッテリーを直接スイッチ部分のコネクタにつないで使えそうですが、これは過電圧でHS2を駆動させることになるので、この使用方法も厳禁です。
ご存知の方も多いと思いますが、現在市販されているモバイルバッテリーは、出力電圧が5.0V以上の製品が殆どです。HS2のバッテリー諸元にも記述がありますが、HS2標準装備の充電池の電圧は最高でも4.2Vなので、モバイルバッテリーの5.0V以上の出力電圧そのままで駆動させたらどうなるか・・・結果は火を見るよりも明らかです。
HS2のUSBコネクタ端子のピン配列がどうなっているかが不明なので、3.7V/3.6VのLi-ion充電池を電源としてmicro-USBで接続して駆動させるのも故障リスクが高いと思います。もしコレをやるならば、ピン配列のVin/GNDを正確に把握する必要がありますが、逆にそれさえ判れば電池寿命が来たら小型のウェアラブルライトに改造・・・いえ、ナンでもないです。。。
モード
搭載モードは上表の通りです。
Mixed-beam / Low-beam / Hi-beam それぞれのモードで Hi/Low の照度レベルの切替えが可能なので通常点灯は計6モード、他に【SOS】を備えています。
モード切替を文章で説明するとややこしいので図表にしてみました。
・【ON】は1-click(シングルクリック)、【OFF】は長押し(ロングプレス)
・点灯中、Mixed-beam / Low-beam / Hi-beam の切替は2-click(ダブルクリック)
・各ビームタイプでの Hi/Low の照度レベルの切替えは1-click(シングルクリック)
・【SOS】は点灯中に3-click(トリプルクリック)
一見難解そうですが、規則的なUIなので慣れてしまえば実に簡単です。
最初に 『おや?』 っと感じたのは、ビームタイプを切り替えた時に、前の照度レベルがビームタイプを切り替えてもそのまま継承される仕様です。
具体的には Mixed-beam で【Hi】点灯中、次の Low-beam に切り替えたら、Low-beam でもそのまま【Hi】で点灯。
Low-beam で【Low】点灯に変更した後、次の Hi-beam に切り替えたらそのまま【Low】で点灯…という具合に、照度レベルをずっと【Hi】にしたまま、その逆に【Low】にしたままビームタイプを変更できるわけです。
この仕様が便利なんだか、それとも不便なんだかよく判りませんが(オイw)照度レベルの継承は個人的に新鮮に感じました。
消灯時のモードメモリは備えておらず、消灯後からの再点灯時には Mixed-beam /【Hi】で点灯開始します。
Max:400ルーメンではLEDユニットがかなり熱くなります。
過熱防止のリミッター機構は搭載されていないので、Max点灯は最小限に留めるのが良いと思います。
OLIGHT HS2 / CREE XP-G2 [CW] – Dual beam system headlamp – YouTube
照射
水平照射
演色比較
蛍光灯 18W
OLIGHT H1
OLIGHT H05S
OLIGHT HS2 – Mix / Low / Hi
屋外照射
白昼(立木まで67m)
OLIGHT HS2
OLIGHT HS2 / All-mode
OLIGHT H1 NOVA
OLIGHT H05S
Max / Med / Low比較
各ビームタイプで配光が変わりますが、自然な白色光なので、どの配光でも目が疲れず見やすいと思います。
ちなみにHS2は、各レベルの調光がPWM制御となっています。
かなり周波数の高いPWM制御なので実用上問題はないかと思います。
※OLIGHT社のHS2ページにあるQ&Aには、色温度は5500k~6500kで演色性能(CRI)は70以下との記述があります。
まとめ
今回比較に使った Olight H05S は、照タイム撮影に必ず持っていく機材のひとつですが、doormanにとって無くてはならないヘッドランプになっています。
カメラポジションを決めたり、複数本のライトを取っ替え引っ替えセットしながら撮影するので、ライトを頻繁にON/OFF操作する事になるのですが、この時に H05S のハンズフリー機能が実に便利で都合が良いのです。手元など至近距離を照らすのにLowの光量でも充分過ぎるぐらいで、光量・ランタイムにも全く不満がありません。
他にも自動車やバイクの整備、夜釣りなど、手が汚れる用途では H05S が大活躍です。
・・・って、今回は H05S のレビューじゃなかったですね。。。(^^;
そんな感じで、ハンドライトを用途や目的・状況に合わせて使い分ける事は多いのですが、ヘッドランプについては大雑把というか、H05S のハンズフリー仕様が自分の主な用途にマッチし過ぎていて、他のヘッドランプの使用頻度はあまり高くありませんでした。
他のヘッドランプを使うのは、ナイトハイクやナイトトレッキング時など、H05S の光量やランタイムでは物足りない場合がほとんどで、その時はメインが H2R、サブが H1 か H1R、ハンドライトは18650仕様ライトを1本、バックアップがCR123A(または16340)か1AA仕様ライトを1本…という感じです。(いや、ライトLOVE族で装備本数が4本ってのは少ない方です…よね?)
ちなみに1AAAライトはEDC、すなわち持ってて当たり前なので頭数には入れてません!(`・ω・´) キリッ
じゃあ H05S に不満が無いかと問われると、答えは否…というか、H05S と同様に軽量でありながら、もう少し防水性能が高く(H05SはIPX4)、光量やランタイム面で優れている製品があればなぁ・・・と思う場面は幾度とありました。
HS2 は、H05S と H2R/H1R の中間に位置する感じで、ナイトウオーキングや夜間の軽作業にピッタリかと思いますし、自分もそれらの用途で多用することになりそうです。
※H1/H1R/H2R もヘッドランプとして便利に使えるのですが、この3機種はベストやベルトに引っ掛けてタスクライトとして使う事が多くなっています。
H05S と同様にセンサーでON/OFF操作ができれば更に用途が広がりそうですが、そこそこハードな使用環境にも耐えてくれる、連続点灯する用途向けの製品…と割り切っています。
ヘッドランプが欲しいけど重くて大袈裟なのは嫌、そこそこ明るくて軽量、しっかりとした防水性能が欲しい…そんなニーズにHS2はピッタリハマる製品かと思います。