初見で『似ているなぁ…』と、某ライトを思い浮かべたのは私だけではないと思います。(^^;
似ている(似せている)製品が存在すると、どうしても比較したくなるのですが、元ネタ(?)を凌駕する性能・クオリティを有していなければ、得てして厳しい評価になる事はメーカーも充分認識しているハズなので中身についても期待してしまいます。
実際にMC1を使ってみて感じたのは、EDCライトとしての使い辛さは残っているものの、MC1全体の完成度については高く、ビギナーのみならずマニアにも受け入れてもらえそうなトコロまであと一歩…という感じです。
抽象的な表現ですが、TrustFire 自体が従来のポジションからの“脱却”を試みているようにも感じられました。
そんなMC1はどんな製品なのか…? じっくりと見ていきたいと思います。
※TrustFire MC1のPDFマニュアルは、製品HPにてダウンロードが可能です。
製品HP
- TrustFire Flashlights – trustfire.com
- TrustFire MC1 – trustfire.com
- TrustFire MC1 (TrustFireDirect-JP) – amazon.co.jp
TrustFire Official SNS
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パッケージ
他のTrustFire製品と同じくシュリンク包装された紙製化粧箱入り。
裏面には主要諸元が記載されています。
内部の二段トレイにはMC1本体以外の付属品が収納されています。
内容物は MC1本体、多言語マニュアル(日本語サポート)、予備Oリング、ストラップ、充電ケーブルの他にTrustFire製の16340 Li-ion充電池が付属しています。
本体に内蔵の16340 Li-ion充電池はシュリンク包装された状態で出荷されるので使用前に包装を剥がしてください。
仕様/サイズ
MC1のサイズは、カタログ値で全長:56mm、外径:20mm、重量:44.5gですが、外径:20mmはヘッド先端径であり、一番太い部分は放熱フィンの部分で約22.5mmほどあります。
MC1と同じくサイドスイッチのみを搭載した機種と比較しても、かなり小型化された製品であることがお判りいただけるかと思います。(※ FOLOMOV EDC C2は14300仕様です)
重量は電池込みでも約45gと非常に軽量です。
本体
どこか某社の製品に良く似てる…気もしますが、後述する充電機構も含めてボディ全体の凹凸など SKILHUNT M150 にも近いかなぁ…と。
見ての通り、スクェアグリッドのパターンはピッチがかなり細かく刻まれていますが、欠けや不等部は皆無で非常に綺麗に加工されています。
Z型クリップはクリップは焼付塗装のハメ込み式で脱着が可能です。
画像では充電端子(アタッチ部)に干渉しないように取付られていますが、ハメ込み式なので自由にズラせます。クリップ自体が細身なのでクリップのバネ力は少し柔らかめです。簡単に曲がったり外れるてしまうほどヤワではありませんが、もう少し強めだとより安心かと思います。
ヘッド
光学はLEDがCREE XP-L Hi、中央集光型のTIRレンズではなくフレネルタイプのレンズを採用しています。
フレネルレンズの特徴・効果・歴史などについては下記のサイトが参考になると思います。
・フレネルレンズの利点
・灯台の光はなぜ遠くまで届くのか〜時代を変えたフレネルレンズの軌跡
外部に露出する部分は完全にフラットですが、レンズの傷防止となるフィルターの有無については分解できてないので不明です。
フレネルレンズを採用したフラッシュライトとしては、SUREFIRE M3LT や M6LT が思い浮かびますが、MC1のように口径が小さく同心円上の溝数(凹凸)が少ないと集光効果も限定的です。
しかしながら一般的なTIRでもレンズ自体の奥行きが必要となるので、ライトを小型しつつ集光効果を得たい場合にはレンズの厚みを抑えられるフレネルレンズが最適解と言えるかもしれません。
※実際の配光については後半の照射画像をご覧下さい。
ヘッド部分の放熱フィンも綺麗に加工されています。
同サイズ(同カテゴリー)の製品でココまで放熱フィンが刻まれているのは珍しいのですが、このサイズのライトで最大出力が1000ルーメンともなるとヘッドが熱々になるので、単なるデザイン上のアクセントに留まらないかとも思います。
スイッチ
スイッチは他のサイドスイッチと同様にタクトタイプのスイッチです。
※『タクトスイッチ』という表現が判り辛い…とのご指摘を頂いたのですが、電子式スイッチと表現すると圧電素子を用いたスイッチと誤解されるかもしれないので、当ブログでは電子部品の呼称として一般的な『タクトスイッチ』をそのまま使用しています。
MC1のスイッチはタクトタイプのスイッチとしては遊びが多めで意識してスイッチ操作を行う必要があります。逆に誤点灯防止のロックアウト設定も可能ですが、ストロークが長く接点位置が深いので誤点灯はし辛いかと思います。
スイッチ素材は硬質素材で中央に電池残量のインジケーターを備えています。
残量インジケーターは、消灯時にライトのロックアウト設定がなされていない状態でスイッチを1回押すとインジケーターが点灯します。※ロックアウト設定されているとインジケーターは点灯しません。
テール
テールエンドはフラットでストラップホールも備えています。
リアキャップの内側にマグネットが仕込まれていますがユーザーの手で脱着が可能です。
スイッチ操作でロックアウト設定も可能ですがリアを緩めて通電を完全にカットする事も可能です。物理的に通電をカットできるので長期間使用しない場合は待機電流の消費もゼロにできます。
電池
付属の16340はTrustFire純正のIMR16340です。
ボタントップ型の16340で、プロテクト回路無しのIMR16340と比較してサイズ(全長)が大きくなっており、恐らくプロテクト付きのIMRと思われます。
MC1は一次電池のCR123Aとボタントップ型のIMR16340に対応しており、フラットトップ型16340電池は使用不可となります。
当然、一次電池のCR123Aには充電できないので誤充電には充分注意してください。
充電
MC1の一番の目玉機能(?)が充電機構かと思いますが、MC1はアタッチ式(パッド式)充電機構を備えています。
充電は付属の専用ケーブル(全長約45cm)を使い、PCやモバイルバッテリーなど、DC:5V出力のUSBポートから充電します。
充電部の形状こそ異なりますが、基本構造はO社のパッド式充電と同じく、パッドと本体部分に【+】と【-】の電極が存在し、双方がマグネットで吸着固定される仕組みです。(※MC1はセンターが+極)
画像では判りづらいのですが、ライト側のセンター部分(+極)はコンマ数ミリほど周囲の接点(-極)よりも突出しています。
パッド側のセンター部分は、ライトとパッドの電極部分が確実に接触するようにスプリングが内蔵されていて指で押すと僅かに動きます。
ちょっとイジワルして双方の+/-がズレるように接触させようと試みましたが、常に正しい位置に吸着されるので、余程の事がない限り充電に失敗する事は無さそうです。
充電中はパッド側のインジケーターが【赤】、充電完了時には【緑】で点灯しますが、正確には充電中は【赤】と【緑】で交互に点灯します。電池の充電量が少ない場合は短い間隔で交互に点灯し、満充電状態に近づくほど点滅間隔が長くなります。
モード
MC1 の通常モードは 【Low】→【Mid】→【Hi】→【Low】… の3モードで、特殊モードとして【Strobe】を備えています。
ON/OFF操作はスイッチの長押し。
モードメモリを備えているので前回消灯時のモードで再点灯できます。(※ストロボを除く)
点灯後はシングルクリックする度に上記の順でモードが移行します。
消灯状態で2秒以上長押しすると、一瞬だけ通常モードで点灯した後に【Strobe】で点灯します。【Strobe】でスイッチをシングルクリックすると記憶された通常モードに復帰、2秒長押しで消灯します。【Strobe】は一定間隔で変調するポリスタイプのストロボです。
ロックアウトの設定・解除は消灯状態でスイッチを素早くダブルクリックします。
設定時にはライトが2回点滅し、ロックアウト中にスイッチを操作してもライトが2回点滅してロックアウト状態であることを通知してくれます。ロックアウトの解除もダブルクリックで行いますが、解除時は記憶されたモードで常時点灯になります。
TrustFire MC1 / レビュー&操作ガイド (日本語版) – YouTube
照射
水平照射
配光/光色
LED電球
TrustFire MC1
FOLOMOV EDC C2
OLIGHT S1-mini
OLIGHT S1R-II
屋外照射
白昼/軸線(立木まで67m)
TrustFire MC1
FOLOMOV EDC C2
OLIGHT S1-mini
OLIGHT S1R-II
フレネルレンズによりガッツリ集光されている…とは言い難く、集光か拡散かと問われればMC1の配光は拡散寄りの配光かと思います。
前述の通り、例えフレネルレンズで搭載LEDが XP-L Hi であってもMC1のレンズ径により集光効果は限定的で中心光と周辺光の境界が曖昧な『ふわっ』とした配光になっています。
あくまで想像ですが、フレネルレンズを採用したのは、バリバリの飛び系ライトにする為ではなく、限られたスペースで光をコントロールする為のモノではないでしょうか?
照射面をよぉーく見ると、フレネルレンズ特有の同心円状の色収差が見られますが、個人的には許容範囲内であり屋外照射では気になりません。思ったよりも綺麗な配光で至近距離でも使いやすい配光です。
ただ、【Low】と【Mid】ではフリッカー発生するので、ライトを動かす使い方をする場合はチラツキが気になりました。配光が綺麗で見やすいだけにフリッカーが残念です。
まとめ
ベゼルやスイッチ周りの着色されたステンレス・パーツやボディのグリッドパターンから、O社の製品をかなり意識している事が伝わってきますが…うーん、どうでしょう?
個人的にはO社の製品に寄せずに黒やシルバーにして欲しかったなぁ…と
配光パターンについては申し分ないのですが、各モードの出力レベル差が大きくて使い辛い…というのが本音です。
個人的には【Mid】を 60~100ルーメン、【Hi】を300ルーメン程度に抑え、1000ルーメンは電池容量を考えるとスイッチを押している間だけ【Turbo】として点灯する間欠点灯専用の出力としても良いのではないでしょうか?
いずれにせよ【Turbo】的レベルが通常サイクルに組み込まれているのは、MC1の使い辛さを加速させている要因のひとつなので是非とも改善して欲しいです。
現状の出力レベル区分では【Low】専用機という感じであり、更に追い打ちをかけるようにフリッカーも出ているので、フリッカーの解消と区分については再考して欲しいです。
16340が付属しアタッチ式充電機構を搭載していたとしても5K円を超える製品でフリッカーが発生するのは流石に残念なので、TrustFireさんにはフリッカーの出ない回路の設計にも注力して欲しいです。
・・・と、厳しい評価をしてしまいましたが、それだけMC1に対しての期待というか、痛惜の念、悔しさの裏返しでもあります。
不満点は多々ありますが、フレネルレンズを採用したりアタッチ式の充電機構を搭載したりと、かなり攻めている製品なのは確かであり、出力区分のアンバランスさやフリッカーを解消すれば、同スタイルの製品の中でも頭ひとつ抜きん出る可能性を秘めた製品です。
今後、改良を重ねれば TrustFireブランドそのものに対する先入観や固定概念を大きく変えるキッカケになるほどの地力を持つ製品であり、電池仕様別にシリーズ展開していけば更に面白い事になると思います。
現状では詰めが甘い事も否めないのですが、ドキドキ、ワクワク感に溢れる製品なので大いに期待します。