MANKER製品のレビューは久しぶりですが、今回ご紹介する MANKER MK36 は CREE XHP50.2 を6灯搭載した多灯ライトです。
各社から10,000ルーメンを超える高ルーメンの製品がリリースされているので、MK36の12,000ルーメンの出力(※詳細後述)でも凡庸な印象を受けるかもしれません。
それでも“MKシリーズ”の久しぶりの新製品なので色々と期待してしまいます。
一時期は元気が無かったMANKERですが、MK36の製品クオリティや安定性はどんな感じなのか・・・レビューしたいと思います。
製品HP
- Mankerlight LED Flashlight – Official Site
- Manker MK36 12,000 Lumens 6x CREE XHP50.2 3V LED Flashlight – mankerlight.com
- Manker MK36 12,000 Lumens 6x CREE XHP50.2 – Aliexpress
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INDEX
パッケージ
クラフト紙ベースのパッケージに一式が収納されています。
製品内容は、MK36本体、ホルスター、充電用USB Type-C ケーブル、給電用USB Type-C、ランヤード、Oリング、英中文マニュアルです。
※購入時には18650 Li-ion充電池が付属したモデルは用意されていませんでしたが、3100mAのIMR18650が3本付属するモデルが追加されたようです。
ホルスター
付属のホルスターはMK36をベゼルアップで収納できます。(ベゼルダウンでも収納出来ますが、少々出し入れがし辛いです)
ベルトループの部分はモールシステムに対応していますが、固定された(縫い付けられた)ループはありません。
仕様
本稿のタイトルにもありますが、このMK36に搭載されている XHP50.2 は 3.0Vでドライブされているようです。(※詳細後述)
他にも目を惹く仕様としてはMK36の防水性能で、IPX8の製品が多い中でMK36はIPX6の防水レベルとなっています。簡単に言ってしまえば、IPX6は強い水流はOKだけど水没はNGという防水レベルです。
サイズ
MK34と比較すると全長は長くなっていますが、実機同士を比較するとヘッド形状が完全な円形になった影響なのか、逆にコンパクトに感じました。
実際に、全長に関してならばリフレクタータイプの4AA仕様と同程度であり、3セルであるが故に4セル仕様の爆光ライトと比べても“小型”な製品です。
電池込みの重量は、4セル仕様の製品よりも電池1本分(約50g)軽量になりますが、それでも装備重量は約400gになります。コンパクトなので軽量に見えますが、それだけに手に取るとズッシリと感じます。
ボディ
テールとヘッドを除いた部分は明るいグレー色で統一されて、全体的にアールの部分が増えて垢抜けたデザインになった気がします。
MK34よりも同社の4AA仕様のMK41に近いデザインですが、個人的にはMK34やMK35のような無骨なデザインも好きだったりします。
MK34と同様にグリップ部分は単純な円筒形ではなく全体的に丸味を帯びた△形状ですが、エッジの立った部分が無いのでMK34よりも細く握りやすく感じます。
微妙にアールがつけられた三面には、製品ロゴやシリアルNo、バッテリーに関する注意事項がプリントされています。
滑り止め部分の面積は僅かですが、△形状の各頂点に施されているので見た目よりグリップ効果があります。
ヘッド
搭載LEDは XHP50.2、光学はTIRですがLEDの位置に合わせて部分的にハニカムレンズになっています。
それ以外の部分も光が拡散するように複雑に入り組んだ縞模様の凹凸が施されています。
最前面には保護フィルターが存在するように見えます。
放熱フィンと、スイッチの反対側にはUSBポートが配置されています。
電池接点となる部分は平滑なのでフラットトップの18650は使用不可となります。(※後述)
グリップ側ジョイント部の先端は無塗装なのでヘッドを緩めて物理的に通電をカット(ロックアウト)が可能です。
スイッチ
スイッチ機構はタクトタイプのスイッチで、ストロークは短めですが疑似クリック感も有って操作しやすいスイッチになっています。
MK34のスイッチは接点位置がやや深い場所にある関係でストロークが長く、4-click の操作などでストレスを感じましたが、それと比較するとMK36のスイッチは格段に操作しやすくなっていて4-click操作も楽になっています。
MANKERロゴが刻まれたスイッチブーツは半透明のシリコン素材でインジケーターとして機能します。インジケーターはライトの点灯中に点灯します。
スイッチトップも周囲より僅かに低い位置にあるのでホルスター収納時に邪魔になる事もありません。
リア/テール
フラット形状のテールはテールスタンドさせても安定しますが、ランヤードホールが中央に配置されているので、付属のランヤードを使用する場合は、リードが下敷きになりライトが微妙に傾いてしまいます。それを回避する為なのか、円形に溝が掘られていますが、傾き防止の効果は無いと思います。
電池
MK36で使用可能な18650は、放電性能が15A以上のボタントップ型のIMR系18650に限られます。
今回はMK34に付属していたIMR18650を使いましたが、この電池は【+】側が完全にフラットではなく接点部分が微妙に突出しています。
フラットトップ型でも【+】接点を含めた電池の全長が67mmを超える電池はヘッドが閉まりきらず使用不可となります。よって、一般的なプロテクト回路付きのボタントップでは電池の全長が70mm近くになるので使えません。
メーカーの推奨電池は製品HPにも掲載されています。
・SAMSUNG 30Q 18650 (15A) / button top unprotected
・LG HG2 18650 (20A) / button top unprotected
・SONY VTC06 18650 (30A) / button top unprotected
必ずしも上記の電池でないと動作しないワケではありませんが、15A 以上の放電性能が必須条件となり、全長、【+】の接点形状による制限にも留意してください。
充電
充電ポートはスイッチの反対側に配置されています。
一応、シリコンゴム製のカバーで保護されていますが、平べったい板状のカバーなので、Type-Cポートの内部までカバーが挿し込まれるようにはなっていません。MK36の防水性能がIPX6の理由は、このカバーにあるのかもしれません。
DC・5V出力のUSBであれば、給電側はPCでもモバイルバッテリーでもOKで、給電側が対応していれば最大:3AでMK36の充電が可能です。
給電側がオンライン状態であればMK36と接続するだけで充電がスタートします。
充電中は【赤】、充電完了後は【青】でインジケーターが点灯します。
充電が完了したらケーブルを外して給電側との接続を解除しますが、接続解除後も15秒ほどインジケーターは点灯したままになります。
パワーバンク機能
MK36をパワーバンク(モバイルバッテリー)として使用するには付属の Type-C(オス)⇔Type-A(メス)の給電用USBケーブルを使います。
給電用ケーブルのType-A(メス)側に【オス⇔オス】のケーブルを接続すれば Type-C でも micro-USB の機器にでも給電可能です。(DC:5V/最大:2A出力)
MK36に給電用ケーブルを接続すると給電スタンバイ状態になりますが、この時点ではまだ点灯が可能です。
実際の給電は、供給先のとなる機器を接続して初めて給電スタートとなりますが、給電が開始されるとMK36は点灯不可になります。
判り辛いのはインジケーターの動作で、実際に給電を開始してもMK36のスイッチ(インジケーター)が自動で点灯…とはならず、インジケーターを点灯させるにはユーザーがスイッチを押す必要が有ります。この操作を行った場合は、ケーブルを外して接続を解除するとライトが点灯してしまいます。
ただ、MK36の消灯直後に給電機能を使うとインジケーターが自動で点灯するのですが、この場合は接続を解除してもライトが点灯する事はありません。代わりに(?)接続解除しても約15秒間はインジケーターが点灯したままになります。
インジケーターの動作にも何かしらの“決まり事”があると思われますが、マニュアルにも給電に関する詳細な記述が無いのでdoorman自身も「???」という状態でした。
インジケーターが点灯することで僅かに消費電力も増加しますが、インジケーターにより一目で【給電中】である事が確認出来れば便利なので、インジケーター動作については統一を図って欲しいと思います。
それでも、大光量ライトとパワーバンクを同時に携行、あるいは非常用の照明・電源と活用できるのは心強いモノがあり、入力用・出力用のUSBケーブルも常に一緒に保管するように努めます。
モード
MK36のUIは《通常モード群》と《特殊モード群》の2つに分け、点灯中にダブルクリックで2つのグループを行き来するお馴染みのUIです。一度でも最近のMANKER製品の使用経験があれば、特に悩まずに操作できる筈です。
基本操作はスイッチの 1-click で【ON】、点灯中に長押し(Hold)すると【OFF】になります。
消灯時に 1-click すると【Moonlight】でスタート、長押しで点灯を開始すると消灯時のモード(※モードメモリ搭載)で点灯を開始します。
通常モード群内ではスイッチを 1-click する度に【Moonlight】⇒【Low】⇒【Mid】⇒【Hi】の上り順にモードが移行し、【Hi】まで達すると上り順とは逆に【Moonlight】まで下がり順でモードが変わります。特殊モード群に移行するか、消灯するまで通常モード群内で上り・下り順のモード移行を繰り返します。
通常モードで点灯中にダブルクリック、もしくは消灯時にてダブルクリックすると特殊モード群の【Turbo】で点灯、以降は 1-click する度に【Turbo】⇒【Strobe】⇒【SOS】⇒【Beacon】⇒【Battery Check】の順に切り替わり、最後の【Battery Check】で 1-click すると通常モード群内の【Moonlight】で点灯します。
以前の機種では特殊モード群内でもモードがループしましたが、MK36では特殊モードを一巡すると強制的に通常モード群にスイッチする仕様になっています。
ロックアウト・モード(Lock-out)
点灯状態・消灯状態に関係無くスイッチを4秒間長押しするとロックアウトに設定されます。
ロックアウト設定直後はインジケーターが明滅(ドラゴン・ブレス)しますが、スイッチを押すとインジケーターは消灯します。
ロックアウトの解除は同じく4秒間スイッチを長押ししますが、解除時には必ず【Low】で点灯します。
個人的には、解除時には【Low】でなく【Moonlight】でスタートして欲しかったのですが、最低の出力で【Moonlight】を設定していると、暗すぎてロックアウトが解除されたか否かの判断が難しくなるので、敢えて【Low】にしてあるのかもしれません。(解除されるかなぁ…と覗き込んでいるとムスカ大佐になるので要注意デス)
エンジニアリング・モード(Engineering Mode)
これも以前から爆光系のMANKER製品に搭載されていた機能ですが、【Moonlight】の出力レベルをユーザーの好みに合わせて設定するモードです。
設定法は、点灯時、消灯時に関係無くスイッチを素早く 4-click するだけです…と、言っても、これがなかなかクセのある操作で、上手く素早く 4-click するには慣れが必要ですし、実際に 4-click を実行するとなると、点灯中なら途中で【Hi】、消灯中ならば【Turbo】を必ず経由することになるので人目のある場所では操作に気を使います。(マニュアルには Battery-check 云々の記述がありますが、実機との整合性がとれていませんネ…)
エンジニアリング・モードに入ると現在設定されているレベルで【Moonlight】が点灯します。そのままスイッチを 1-click すると1段上のレベル(出力)に上がるハズですが、出荷時において既に16段階中の最大レベルで設定されていると、1-clickすると消灯してしまいます。(※自分の個体はコレでした…)
その場合は、慌てずに、ゆっくりと4回スイッチを押すと、最小レベルの 0.1ルーメンで点灯するので、16段階中の好みの明るさになるまで1回ずつスイッチをクリックしてください。好みの明るさになった時点でスイッチを長押しするとレベルが設定されてエンジニアリング・モードが終了します。
カタログや付属のマニュアルには《Moonlight = 0.1~5 Lumen》の記述がありますが、実際は最小が0.1lm で、最大が 50~100 Lumenという感じです。また、最小の0.1ルーメンから4回クリックするまでは【Moonlight】と呼べる出力レベルですが、5クリック目になると急にレベルが上がるので、16段階の調整範囲もあまり意味が無い気がします…(^^;
低出力時のチラツキやマニュアルの記述など、相変わらず詰めの甘さは否めないのですが、好みで出力が調整できるのは便利ですし、詰めの甘さもMANKERらしい…と言えるかもしれません(笑)
※チラツキの発生は下から5段目までの出力で、直視できる明るさなので余計にハッキリと視認できます。フリッカーとは異なるチラツキですが、大出力対応の複数LEDを小電力で駆動している影響…なのかもしれません。(出力レベルを上げるとチラツキは感じられなくなります)
照射
Moonlight : Lev.4
水平照射
配光/光色
LED電球
MANKER MK36
MANKER MK34
OLIGHT X7R
屋外照射
白昼/軸線(立木まで67m)
MANKER MK36
MANKER MK34
OLIGHT X7R
Turbo比較
自分でも意外だったのですが、XHP50.2搭載の製品を使うのは、このMK36が初めてになります。
光色は色温度が若干低め…というよりやや黄味を帯びた Cool-white という感じですが、XHP70.2 や XP-L2 と同様にXHP50.2も基盤が着色されているので色分離が出ているのかもしれません。
それでもX7Rの光色と比較すると明らかにMK36の方が色温度が高く自然な Cool-white に感じられます。
配光は完全な拡散系配光で、照射角度も180度に近くなっています。
最大出力となる【Turbo】モードは 12,000lmになりますが、連続照射が可能な時間は50秒に限られ、その後自動で1900lmまで自動減光されます。とは言え、この時季でも【Turbo】に入った瞬間からヘッド温度が急上昇するのが判るので、【Turbo】点灯は必要最小限に留める事をお薦めします。
あと、【Turbo】モードの撮影をしていて気付いたのですが、MK36の12,000lm は X7Rの 12,000lm よりも明るく、撮影画像にもソレが表れています。
最初は配光の違いによる錯覚…かとも思いましたが、MK36では画像中央付近だけでなく周辺光の端も約70m先までしっかりと光が届いています。
気になったのでメーカーに確認したところ、実際にはMK36の最大出力は 14,000lm以上となっているようです。
もし 14,000lm以上となると6灯のXHP50.2をフル駆動させている事になりますが、XHP50.2のデータシートを参照すると、Vf=3Vでフル駆動させているとなると1灯当たり6Aもの電流が流れていることになります。
最大出力での照射は50秒間に制限されていますが、減光後のランタイムが12,000lm時の電流量を基準としているとすれば、カタログ値よりも確実に短くなるハズです。
また、初期状態では【Moonlight】における出力レベルが最大になっていてカタログ値の 0.1~5lmよりも遙かに明るくなっていました。
まとめ
まだ長期間MK36を使用したワケではないのですが、【Turbo】も含めて普通に使用(点灯)している限りでは非常に安定して動作しています。
気になったのは、パワーバンク時のインジケーター動作もそうですが、やはり【Moonlight】と【Turbo】の実際の出力値とカタログ値の乖離です。
明るいなら結構な事じゃないか?・・・と、思われるかもしれませんが、製品HPやパッケージにしっかりと【ANSI/FL】を謳っている以上は、可能な限り正確な値を公称値としないと、製品のみならずメーカーに対する信頼感を損なう事にもつながり兼ねないと思います。
また、【Moonlight】の設定可能範囲(段階)と各レベルの出力値、エンジニアリングモードへの操作手順もマニュアルにしっかりと記載して欲しいです。
杓子定規に重箱の隅を突っつくワケではありませんが、これまでにMANKER MKシリーズを使った(触った)経験があれば、ある程度は『勘』でなんとかなるのですが(笑)初めて使う人がマニュアルの記述を基準に操作すると、かなり混乱すると思います。(マニュアルと一致しないと不良品と判断されないか心配…)
結論として、100ドルを超える製品としては細部の詰めが甘い…と言わざるを得ないのですが、完全にFloodな配光や、USB Type-C による充放電機能などは魅力ですし、スイッチのクリック感・操作感など良くなっているのも事実です。
MK36は、良くも悪くもMANKERらしい製品で(※褒め言葉デス)細かい点が気にならなければお薦めのライトですが、購入前に海外レビューなどでも情報収集した方が後々混乱しないと思います。
また、対応電池に不安を感じるのであれば、3100mAhの純正IMR電池が付属するモデルの発売を待つのが得策かと思います。