拡散系(Flood)か、それとも飛び系(Throw)か・・・今日はどちらのライトを持って行こうか?ヽ(´ー`)ノ
迷った事があるのは私だけでは無いと思います。
異なる配光のライトを2本、或いは複数本持って出掛けるとか、ズーム式を1本だけ…など、想定用途に合わせて複数の選択肢&解決策(?)があるとは思いますが、
両方合体させればイイんじゃね?
・・・という発想から生まれた(と、思われる?)のが、今回ご紹介する MANKER MK39 RANGER です。
MK39 の詳細については、追々ご紹介していきますが、飛び系部分にはXHP35-Hiを1灯、拡散系部分は8灯のXP-G3で構成されており、最大で6,000ルーメンの照射能力を備えています。
また、XHP35-Hiのみ、XP-G3のみ、XHP35-HiとXP-G3の両方…という具合に、状況に合わせた柔軟な使い方が可能となっているのもMK39のウリかと思います。
しかしながら、フラッシュライトというツールは、実際に使ってみないと判らない部分が多く、カタログスペックだけで優劣を判断できないツールの代表格でもあるので、果たして【合体=便利】となっているのか?・・・じっくりと見ていきたいと思います。
製品HP
・Manker Flashlight Official HP
・Manker MK39 Ranger 6000 Lumens – mankerlight.com
・MANKER MK39 RANGER (CW) – amazon.co.jp
関連記事
・MANKER U22 / CREE XHP35-Hi (NW) with 21700 battery model – roomX.jp
・MANKER MK34 / CREE XP-G3 (x12) / IMR 2600mAh kit – roomX.jp
INDEX
パッケージ
クラフト紙ベースのしっかりとしたパッケージです。
箱の取手を基準にすると表面のイラストが逆さまのような気がしますが、開ける方向を基準にするとコレで良いような・・・。
直接、性能に関係する要素ではないのですが、撮影時に気が付いたモノで・・・(^^;
内容物は、MK39本体、予備Oリングx1、ショルダースリング、英中マニュアルとなっています。
仕様
・最大光束値:6,000 Lm(2000/4000 Lm)
・最高輝度:305,000cd
・最長照射距離:1,100m
同社のU21/U22よりもThrow部分が強化(Max:2,000 Lm)され、8*XP-G3のFloodについても8灯合計でMax:4,000 Lmとなっています。
サイズ
4,000ルーメンの爆光ライトと、最大2,000ルーメン飛び系を合体させているので、それなりのサイズと重量になるのは仕方無いのですが、後述するハンドルによって取り回しが楽なライトになっています。
18650電池4本込みの装備重量が約900gとなるので決して軽量なライトではありませんが、製品体積からすると若干重めな気もします。これはあくまで想像ですが、8灯部分の放熱性を考慮し、部分的に銅系素材が使われているのかもしれません。
ボディ
全体のフォルムは単一乾電池×4個仕様の【懐中電灯】という感じで、どこか懐かしささえ感じます。
とは言っても中身は最新技術の塊であり、一般的なハンドライトと一線を画したデザインが新鮮です。
ヘッドとグリップ部分は分割可能です。
本体グリップ部分のカットや、ヘッド部分の柔らかいカーブデザインがMANKER製品そのもの…という感じです。
底部に1/4インチの三脚穴を備えているので、カメラ用三脚に固定して屋外照明として使うのにも便利です。
ハンドル
MK39の特徴の一つがこのハンドルですが、アルミの無垢材から丁寧にCNC加工され、塗装も綺麗に仕上げられています。
ハンドル自体の剛性も高く、さらにボディとガッチリ接続、ほとんど一体化されているので振り回しても不安は全く感じません。
大きく凹凸が設けられているので指掛かりが良く、幅(約18mm)と太さも充分に確保され、エッジ部分がきちんと面取り処理されているので握った時の違和感もありません。
ハンドル前方と後方にスリング用ホールが設けられていますが、付属のスリングを直接取り付けると、金具が塗装を傷めてしまうのが残念です。
このハンドルについては、ユーザーによって好き・嫌い、賛否両論があると思いますが、このハンドルによってMK39の使い勝手や実用性が格段に向上しているのも事実です。
MK39のようなハンドルを備えた製品は、ヘルファイターやポラリオンのように、完全に振り切ったスタイル・性能を同時に備えていないとマニア受けしないのかもしれませんが、製品が大型化すればするほどハンドルの有無によって実用性や操作性が左右されるのは否定できないと思います。
実際、単一乾電池×4本仕様の電球ライトも、大型・重量級の懐中電灯でありながら、あの形態だからこそ使いやすく、広く一般に普及したのではないか?・・・と、MK39をイジりながら考えてしまいました。
スイッチ
スイッチはハンドル前方に配置され、ハンドルを握った状態で自然に親指で操作できます。
ON/OFF操作、Flood/Throwの切替、光量調整など、すべての操作を2つのスイッチで行います。(※操作については後述)
タクトタイプのスイッチですが、ストロークがやや長く、クリック感もあるので操作はしやすいです。
表面にMANKERエンブレムの刻印はありませんが、点灯時は常にインジケーターが発光して、インジケーターの発光色でバッテリー残量などを確認出来ます。
LED/ヘッド
MK39にはCW版とNW版がありますが、CW版はFlood部分の8灯がXP-G3、NW版は8灯部分に Nichia 219C を搭載しています。また、Throw部分のXHP35-HiについてもCW版とNW版では色温度(カラーBIN)が異なります。
Throw部分はSMOリフ+XHP35-Hi。
内部にホコリの残留も無く、ARコートされたガラスフィルターも綺麗です。
口径についてはU22より大きく、旧型となるU21に近いサイズになっています。リフレクターの深さ(奥行き)も、U21やU22よりも深くなっているので集光率がアップし、ソレがそのままカンデラ値や遠射能力の向上につながっています。
Flood部分のLED配置は、E14 や E14-II と同じで、それが2ユニット並んでいます。
このFlood部分全体の奥行きが短く、熱的に大丈夫か?・・・とも思いましたが、E14 や E14-II もヘッド部分は小さく、素材の違いは有りますが、結構アツアツになりながらもリミッターが発動するまで正常に点灯し続けますし、MK39の場合は、構造的にヘッド全体に熱が伝わるので問題無いのかもしれません。
ただ、MK39も過熱防止リミッター(3分間)を備えてはいますが、MK39に限らず、高温状態のまま点灯するほどLEDの負担が大きくなり、結果としてLEDの寿命を縮める事になるので、Max点灯は必要最小限に留める事をオススメします。
ヘッドユニットとグリップを分離することが可能ですが、電池を装填したままグリップユニット側の電極を剥き出しにしておくとショートする危険があるので要注意です。(センターが+極)
電池はテール側から装填するので頻繁に分離する必要は無いのですが、分離する場合は、できるだけ電池を取り外してからユニットを分離するようにしてください。
これも想像になりますが、同社のMK35のグリップユニットもMK39と同様の形態を採っており、もしかしたら両製品のグリップユニットには互換性があるのかもしれません。
テール
テールスタンドが可能な形状で、テール部分にもストラップホールが設けられています。
電池
電池は、3.7v(または3.6v)の 18650 Li-ion充電池が4本必要です。
動作電圧は、11.2v – 16.8vですが、過放電防止機構を備えているので、プロテクト回路の無いIMR系の18650も安心して使う事ができます。また、IMR系に多い【+】極がフラットトップの電池も問題無く使用可能です。
逆にプロテクト回路付きの18650でも動作しますが、例によって(?)プロテクト回路付きのICR系18650だとリアキャップが完全に閉まりきらないので、事実上、IMR18650専用機と考えた方が良いでしょう。(無理にリアを閉めると電池が破損するので要注意)
MK39は複数セル仕様ですが、電池ホルダーを介さず、直接電池を装填するタイプの製品です。
リアキャップを閉めると接点基板が自由に回転する構造ですが、MK39に限らず、こうした構造の製品はリアを緩めて通電をカットすることができません。よって、物理的なロックアウトは不可となりますが、MK39はスイッチ操作でロックができるようになっています。
モード
※ランタイムは使用電池の仕様・容量によって増減します。
前述の通り、MK39は2つのスイッチで全ての操作を行いますが、仮にグリップを握った時に手前に来るのが【パワー・ボタン】、ヘッド側に位置するのが【ループ・ボタン】として説明します。
消灯時
点灯・消灯(ON/OFF)は【パワー・ボタン】を《1-click》します。
消灯時に【パワー・ボタン】を《Long-press》すると【Strobe】の間欠点灯になります。
消灯時に【ループ・ボタン】を《Long-press》すると【Flood+Throw】の最大レベル(6000Lm)での間欠点灯になります。
消灯時に【ループ・ボタン】を《1-click》すると両スイッチが明滅(ドラゴンブレス)して電池残量を知らせてくれます。(電池残量に応じて青・紫・赤で点灯)
点灯時
搭載モード…というより、点灯パターンとした方がしっくりと来るかもしれませんが、常時点灯パターンは以下の3つです。
・Flood-beam:( 1 ~ 4,000Lm )
・Throw-beam:( 1 ~ 2,000Lm )
・Flood+Throw-beam:( 2 ~ 6,000Lm )
上記の3つの常時点灯パターンでは、各々が Min.~Max.の範囲で無段階調光が可能です。
MK39には一般的な出力固定による段階切り替え機能はありません。
どのパターンで消灯しても、次回点灯時には消灯時のパターンと光量で再点灯します。
光量調整は各々のパターンにて独立しており、例えば【Flood】は1ルーメン、【Throw】は2000ルーメンというように別々に調整可能です。そのまま消灯しても各パターンとレベルが記憶されるので、次回点灯時には消灯時の状態で再点灯します。
※【Flood】で消灯すると再点灯時には【Flood】で点灯スタート、同じく【Throw】で消灯すると再点灯時には【Throw】で点灯、【Flood+Throw】も同じです。
点灯中は、どのパターンでも Min.~Max.の上りと Max.~Min. の下りを【ループ・ボタン】を押し続けている間だけ繰り返します。希望のレベルで【ループ・ボタン】を離すとその時点の明るさで常時点灯します。
※Min.とMax.の各レベルでライトが点滅するので、その時点でスイッチから指を離すとMin.、Max.で点灯となります。
パターンの切り替えは、点灯中に【ループ・ボタン】を《1-click》します。
但し、《1-click》で切り替わるのは【Flood】と【Throw】の2パターンだけで【Flood+Throw】に切り替えるには、点灯中に【ループ・ボタン】を《2-click》します。
また、【Flood】と【Throw】の2パターンは前回のレベルで切り替わりますが、【Flood+Throw】に切り替えた時だけは、最初からMax.の6000Lmで点灯します。【Flood+Throw】でレベル調整して使用、そのまま消灯すると【Flood】と【Throw】と同じく、再点灯時には記憶したレベルで再点灯します。
※後日、MK39のスイッチ操作動画をUPします。
ロックアウト設定
消灯時に【パワー・ボタン】を《4-click》すると、電池残量インジケーターを除く全てのスイッチ操作が無効化され、MK39がロックアウト状態になります。ロックアウトを解除するには設定時と同じく【パワー・ボタン】を《4-click》します。
多くの場合、誤点灯防止を目的としてロックアウト機能を搭載、使用するケースが多いと思いますが、MK39クラスの大光量製品のロックアウト機能は、チャイルド・ロック的な安全装置としての意味合いが大きいかと思います。高温による火傷や火災、強力な光を直視することで起こる視力障害を未然に防ぐのにロックアウトは有用ですが、お子様のいる家庭では電池を抜いて別々に保管するのが一番安全かと思います。
照射
屋外照射
白昼
(立木まで67m)
MANKER MK39 – Flood (8* Cree XP-G3)
MANKER MK39 – Throw (Cree XHP35-Hi)
MANKER MK39 – Flood + Throw (8* Cree XP-G3 + Cree XHP35-Hi)
スミマセン・・・(^^;
無段階調光なので、実際にはもっとスムーズに光量が変化するのですが刻むのがヘタでした。
ただ、慣れるまでは、ほんの少しだけ《Long-press》したつもりなのに、グワッって感じで光量がアップしたり、《Long-press》したつもりが、短すぎて《1-click》として認識されたりすると思うので、チョットだけ光量を下げたい(上げたい)という時に、スパッとその明るさに出来ないことがあると思います。(※意訳=オイラがブッキーなワケじゃない)
Min.からMax.(またはその逆)までの光量の変化は割と短時間で、片道で約3秒くらいです。(※体感値)
なので光量を再調整する際にもそれほどストレスを感じませんし、切り替え操作も小気味よく行えます。
+++
MANKER E14 (4* Cree XP-G3)
MANKER E14-II (4* Cree XP-G3)
MANKER MK34 (12* Cree XP-G3)
MANKER U21 (CW) (Cree XHP35-Hi)
MANKER U22 (NW) (Cree XHP35-Hi)
MK14 / MK14-II / MK34 / MK39 : Flood (MAX) 比較
U21 / U22 / MK39 : Throw (MAX) 比較
※WB=太陽光
Flood系とThrow系単体で比較してみましたが、それぞれキャプションを入れないと見分けがつかないほど配光そのものは良く似ています。(まぁ、当然デスが…)
MK39も含めてFlood系は超広角で足元から明るく、Throw系も良い感じで集光されています。
唯一、FloodとThrowの同時点灯が可能なMK39ですが、これもFlood系とThrow系を足したまんまの配光となっているのが、判ってはいても面白く新鮮です。
それでもこの配光の実用性を考えると、遠近同時照射が可能な配光はサーチライトの理想形と言えるかもしれません。
MK39は、その特異な外観から色物的な印象を与えてしまうかもしれませんが、同社の得意分野を一つに集約した実力派のライトだと思います。
まとめ
MK39の外観(ハンドルスタイル)からして、ファミリーユースをメインターゲットにした製品で、MANKER社も丸くなったのかなぁ・・・などと勝手に想像していましたが、それにしては【RANGER】なんて意味深なサブネームを持っているし、一体どういう製品なの?・・・って感じでした。
・・・で、実機をイジってみた感想は、やっぱりMANKERらしいユニークな製品でした。
【RANGER】というネーミングも“戦闘員”のほうではなく、国立公園などの“監視・警備隊員”を指していて、遠近どちらの用途にも素早く、フレキシブルに対応できる製品にマッチしたネーミングだと納得しました。
平たく言ってしまえば、U22やU21のミドルクラスのThrow系と、E14やE14-IIの多灯Flood系を合体させたのがMK39…となるのですが、正直、初見ではMK39のサイズ、ボリュームからして少々持て余し気味になりそうな印象がありました。
・・・が、実際に使ってみると、確かにボディサイズは大きいのですが、一般的なハンドライトの形態ではなく、思い切って(?)ハンドル仕様にした事で取り回しが楽になり、操作性・実用度とも向上させる事に成功していると思います。
MANKER社の製品は、性能・デザインともマニアックな製品が多いイメージを持っているのは、多分doormanだけではないと思いますが、このMK39はユニークでありながら実用的なライトになっていて、ライトマニアだけでなくアウトドア用の強力なライトとしてお薦めできる製品です。
ただ、導入するに当たってネックになりそうなのがイニシャルコストで、MK39本体以外に、IMR18650電池を最低4本、4本の電池を同時に充電可能な充電器が必要となります。
MK39はハイスペックな仕様となっていて、実際の警備用途にも耐えうる製品ですが、取扱いが簡単でイニシャルコストが低く抑えられる単三形乾電池×4本を電源とした【mini-RANGER】的な製品も楽しそうです。
ファミリーユース向けにスペックを下げて小型化しても出荷本数は伸びないかもしれませんが(ヲイw)、既に4AA駆動のMK41のような製品があるので、ちょっと期待してしまいます♪
【遠】も【近】もしっかり照らしたい、または照らす必要に迫られる用途では、しっかりと要求に応えてくれるライトだと思います。
気になった点は、照射性能とは直接関係ない部分ですが、机や床に置いた時の安定性がイマイチな点です。
一応、三脚穴廻りにはフラット面が少しだけ設けられていますが、三脚穴に取り付けられるような専用ベースがあると転がりにくく、屋外などでも傷や汚れを気にしないで置きやすくなるのではないでしょうか?
UNC-1/4インチのネジとプラ板でベースを自作しても良いのですが、MANKERらしい、クールなデザインのベースの発売にも期待してしまいます♪