今回ご紹介する MANKER U22 / CREE XHP35-Hi は、いわゆる“飛び系”に属するフラッシュライトになりますが、同じXHP35-Hiを搭載した同社のU21の後継機種になります。
“Throw”と“Flood”の区分は搭載LEDによって決まる…と、一概には言えなかとも思いますが、多くの場合、XP-L【Hi】やXHP35【Hi】など、ドームレスのLEDを採用した製品は、大体が飛び系テイストが強めの製品となっています。
同じモデルでも【Cool-White】と【Neutral-White】のLEDを搭載したバリエーションが用意されている製品もいくつか存在し、この MANKER U22 もCW版とNW版が存在します。
今回は、XHP35-Hi NW版のU22で、21700 Li-ion充電池(4800mAh)が同梱されたモデルになりますが、21700という新しい規格(?)の電池についてもレポートしたいと思います。
製品HP
・Manker Flashlight Official HP
・Manker U22 + 4800mAh 21700 Rechargeable Battery – mankerlight.com
・Manker U22 (NW) + 21700 battery – amazon.co.jp
INDEX
パッケージ
パッケージは、最近のMANKER製品と共通デザインの厚紙の化粧箱ですが、U21の外箱に比べると小型になっています。
海外通販に慣れてくると、パッケージの傷みや変形にも慣れてしまうのですが、自分は気にならなくとも、できれば変形していない方が良いに決まっていますし、心象的にも綺麗な方がよろしいかと思います。また、外箱の変形を理由に返品され、対応を余儀なくされる販売店さんの労力を思うと、もう少しパッケージも強度が欲しいトコロです。
内容物はU22本体、予備Oリング、ストラップ、充電用 Type-C USBケーブル、英中文マニュアルとなっています。
※21700付属モデルは予め電池を内蔵して出荷
仕様
***** MNKER U22 *****
Emitter: CREE XHP35 HI
Maximum output: 1500 lumens
With Type-C USB Charging function
Power by 1x 21700 battery
Working voltage: 2.8v-4.35v (over discharge protection)
Driver: Most efficiency constant current circuit
Material: Aircraft-grade aluminum body
Surface treatment: Premium type III hard-anodized anti-abrasive finish
Lens: Toughened ultra-clear glass lens with anti-reflective coating
Waterproof: ipx-8 (2 meter under water)
Impact resistance: 2meters
Tail stand
– Maximum beam intensity: 65,000cd
– Maximum beam distance: 509meters
Brightness levels &runtime:
– Moonlight 1-5lm / 960hrs,
– Low 90lm / 25hrs,
– Medium1 250lm / 8.5hrs,
– High 630lm / 4.2hrs,
– Turbo 1500-630lm / 3min-4hrs
– Strobe 1500lm
***** MNKER U21 *****
Emitter type: CREE XHP35 HI
Max Lumens Output: 1300lumens
Power by 1x 18650 or 1x 26650 battery (Battery NOT Included)
Working voltage: 2.8-4.35 volt
USB Charging Current: 2A (Overcharge and discharge protection)
Circuit Driver: PFM/PWM Synchronous booster intelligent conversion circuit Intelligence Lithium battery charge design
Reflector: aluminum reflector
Material: Aero grade aluminum alloy
Surface treatment: Premium type III hard anodized anti-abrasive finish,Thickness> 50μm
Switch Type: Click switch
– Maximum beam Intensity: 124,000cd
– Maximum beam Distance: 700 meters
– Brightness levels &runtime:
– Low: 15lm 100hrs,
– Midium1: 100lm 12hrs,
– Midium2: 300lm 5.2hrs,
– High 650lm 3.1hrs,
– Turbo: 1300lm 1.25hrs,
– Strobe : 1300lm,
– SOS: 100lm
※MANKER社HPより抜粋
U21もU22も搭載LEDは CREE XHP35-Hi となります。
記載のルーメン値はCW版になりますが、NW版は20%程度減衰するようです。
U22の仕様表記で目を惹くのは、Turbo点灯時の過熱防止機構と21700電池とUSB充電コネクタが Type-C 規格である事でしょうか…。
サイズ
・U22
– 全長:140mm
– ヘッド径:51mm
– 重量:183g (※電池除く)
・U21
– 全長:148mm
– ヘッド径:59mm
– 重量:290g (※電池除く)
U22と旧機種であるU21を直接比較するとグリップの太さとヘッドサイズに大きな差があり、ヘッドサイズの差がカンデラ値や飛距離の差となっていると考えられます。
ただ、後半の照タイム画像を見ていただくと判るのですが、U21は中心光が絞り切れておらず、カタログ値差ほどの違いは体感できませんでした。
装備重量では、両機に100g近くの差がありますが、このサイズのフラッシュライトで100gの差があるとU22が非常に軽量に感じられます。長時間使用するならばU22の軽さは大きなポイントになるかと思います。
サイドスイッチ仕様の製品を並べてみましたが、1AA/14500仕様のE01、T01もサイドスイッチから放熱フィンにかけてのデザインが統一されていることが判ります。
ボディ
U21をそのままギュッとコンパクトにしたのがU22…という感じで、基本デザインについては大きな変更がありません。
グリップ部分の造形もほぼ同じですが、U21はヘッドとグリップパーツが分離できましたがU22は分離できないように接着剤で固定されています。
ヘッド/LED
XHP35-Hi にSMOリフ。
ガラスフィルターはARコートされていますが、ARコートされていても以前のように虹色に反射する製品は減少傾向にある気がします。
LEDのセンターもしかっり出ていて、リフレクターに綺麗に反射しています。
ヘッド内部に埃の残留もなく非常に綺麗です。
U21とU22の比較ですが、U21の方は、なんだか反射具合がすごく残念な感じで、エミッタ部分がリフレクターに写り込まず、センター合わせの樹脂パーツの白色部分だけが反射してリフレクター全体が真っ白に見えます。
U21はエミッタ部分が樹脂パーツより後退しているのでこうなる…もしくは、元々ドームタイプのLEDを想定したリフ廻りの製品に急遽 XHP35-Hi を載せたのかも?
この画像ではよく判らないと思いますが、U21の方は内部にかなり埃が残留しています。ベゼルが接着固定されているのでクリーニングも出来ないのですが、ベゼルが外せたらLEDの位置も再調整したいと思います。
スイッチ
スイッチ素材は半透明のシリコンゴム製で、お馴染みの(?)MANKER社のエンブレムが刻印されています。
電池電圧のインジケーターとしても機能しますが、電池を装填してリアを装着、正常に通電が開始されると自動で電池残量に応じた光色でインジケーターが発光する仕様になっています。
電池を装填した時だけでなく、リアを緩めてロックアウトした後で再度通電する時にもインジケーターが発光します。
点灯→消灯操作など、一度でもON/OFF操作を行うとインジケーターは消灯してしまいますが、テールキャップが緩んだ状態のまま使用を開始、点灯せずに「?」って事が確実に防止できるので便利です。
テール
テール部分のデザインもU21とほぼ同じです。
フラットになっているのでテールスタンドも可能ですが、ラージヘッドのライト故にローソク立てをすると不安定になりやすいので要注意です。
MANKER製品のストラップホールは面取りされていないイメージがあり、レビューの度にソレを指摘した気がしますが、U22はちゃんとホール廻りが面取りされています。
電池
開封後、【-】極にある絶縁シートを除去します。
MANKER 21700 のサイズ実測値は、全長:74.5mm、直径:21mm、一見するとフラットトップに見えますが、微妙に【+】極が凸形状になっています。
同社のIMR18650-2600mAhとの重量差は約25gになります。
一般的なICR18650の最大容量を3500mAhと仮定すると、この21700-4800mAhの容量差は1300mAh、同社のIMR18650-2600mAhと比較すると容量差は2200mAhですが、電池の汎用性や利便性、将来性を考えると容量差がU22の絶対的なアドバンテージには成り得ない気もします。
高出力製品には放電性能の高いIMR系の電池が必須となるので、単に容量差だけで優劣を判断する事は出来ないのですが、用途や状況によっては18650より容量の大きな21700が威力を発揮するかもしれません。ただ、特殊なサイズなので4スロットを備えた汎用のLi-ion充電器での21700の充電は不可。よって OLIGHT UC充電器などを除けば、現状ではU22に21700電池をセットしたまま充電をするしか選択肢がありません。
予備の21700が無ければ充電中はU22が使用できない事になるので柔軟な運用が難しくなり、電池1本当たりの容量が少なくとも、予備の18650を用意して状況に応じて自由に電池交換できた方が便利な場合もあるかと思います。
U22で18650が使えるようにスリーブを自作する手もありますが、電池をセットしたまま充電するとなると、スリーブによる抵抗値の変化が充電機能に影響を及ぼす可能性も有るかなと…(゚ー゚*)。oO
できればMANKER社にて 18650 → 21700 の変換スリーブを別売りの純正オプションとしてでも用意してくれれば、柔軟な運用が可能となり、将来を見据えた導入もしやすいかと思うので、メーカー様には是非とも前向きに検討して頂きたく…。
充電
USB Type-C 規格の充電ポートはスイッチの反対側に配置されています。
ポート部分はシリコンゴム製で覆われ、防水・防塵性も確保されています。
付属の充電ケーブルは、USBコネクタも含む全長が約28.5cmありますが、1A充電(実際には1.2~1.3Aで充電)に対応できるように太めのケーブルが使われています。
・Blue – 残量:75%以上
・Purple – 残量:約50%
・Red – 残量:20%以下
マニュアルには、上記のようにインジケーターの色と残量の関係が記載されています。
充電を始めるとインジケーターが青く明滅(ブレス発光)します。
今回、インジケーターが【紫】(残量:50%)から充電してみましたが、満充電で自動停止するまで4時間弱必要で総充電量は約3400mAhという結果になりました。
充電開始直前のインジケーターは【紫】でしたが、総充電量の結果から【紫】の場合は残量:50%ではなく、残量:20%以上~75%以下の範囲…と考えるのが妥当かもしれません。21700の充電方法も限定されるので【紫】になったら充電する習慣を身に着けた方が良さそうです。
モード
通常モードが4モード、【TURBO】を含む特殊モードが5種類あり、それが2つのグループに分けられています。
MANKER独特のUIは健在で、シングル・クリックで【ON】、長押しで【OFF】
点灯中は、シングル・クリックでモード変更、ダブル・クリックが両モードグループ間の移動や【TURBO】のショートカットに割り当てられています。
最初は複雑に感じるかもしれませんが、シングル・クリックとダブル・クリックの2つのアクションで殆どの操作が可能なので、オペレーションの難易度はそれほど高くはありません。
1-click > 2-click > 3-click の連続操作でロックアウトモード、消灯時に長押しから 4-click でエンジニアリング・モード(Moonlightのレベル調整)に突入しますが、この2つの操作だけは未だに慣れません…(^^;
照射
屋外照射
白昼(立木まで67m)
MANKER U22
MANKER U22 – All mode
MANKER U21
MANKER MK41
OLIGHT SR52-UT
Throw系比較(U22 / U21 / MK41 / SR52-UT)
Moonlight
Low
Med
Hi
Turbo
ヘッド径に大きな差が無い場合、カンデラ値が高くなればなるほど中心光軸が細く見える(写る)のですが、U21とU22を比べると、口径が大きくカンデラ値が高いはずのU21の方が光軸が太くなっています。
逆にヘッド径がU21より8mm小さく、光色がNWでありながらもU22は良い感じで飛んでくれるので、徹底的に飛びに拘るならCWの光色をセレクトするのが良さそうです。
まとめ
『U21のレビューをしていないやナイか~い!(゚∀゚)』
…と、いうツッコミが入りそうですが、手元にあるU21は中古品であり、状態(品質)があまり良くなかったのでレビューするのを見送った次第です。
正直に言いますと、U21の仕様に記載されているカンデラ値と照射距離にはかなり期待したのですが、実際に屋外で照射してみると『ん?!』 という感じで、少し拍子抜けした覚えがあります。
上記のU21とU22のリフレクター画像を見ていただくと分かると思いますが、U21はLEDがリフレクターに綺麗に写り込んでいません。
対してU22は、綺麗にLEDがリフレクターに反射していて、両機の集光度合い(光学コントロール)に大きな差があり、それがU21のガッカリ感につながったのかと…。(※手元のU21は中古なので全てのU21がコレに該当するとは限りません)
両機の照射比較してみると、U21もそれなりに健闘しているかに見えますが、U22とのヘッド径差やリフレクターの深さの違い、CWのアドバンテージなども含めて総合的に考えると、U21の“飛び系”としての照射には物足らなさを感じました。
逆にU22は、U21より口径が小さくリフレクターも浅いのにしっかりと絞れていて、光色がNWでありながらなかなかの飛び具合を実現しています。
U21より小型・軽量化が進み、飛び具合もGood!…となると、魅力的な飛び系製品ですが、現時点で【21700】専用機となる点をどう評価するか?…が、購入か見送るかの分岐点になるかと思います。
逆に電池仕様が問題でなければ、U22は長時間のランタイムを実現したコンパクトな飛び系として魅力的な製品かと思います。
+++
一時期、アチコチでMANKER社製品全般に対する不評を目にしつつ、実際に自分もハズレを引いて製品のクオリティや信頼性、メーカーの姿勢に不安を感じてMANKER社製品の購入を控えていました。
フラッシュライトも工業製品である以上は、一定数の不良品が発生するのは仕方無いのですが一時期のMANKER製品の不安定さや品質の悪さは、そういう次元を超えていて 『大丈夫かいな?』 と、本気で心配になるレベルでした。
10ドル程度の製品ならいざ知らず、40ドル、50ドル、100ドル近い価格でクオリティが残念だと、そのメーカーの製品を積極的にはリピート購入しようと誰もが思わないハズです。
U21の事もあって、このU22にも一抹の不安がありましたが、パッケージング方法(外箱の強度・構造)など、まだまだ一考すべき点はありつつも製品本体のクオリティや安定性については随分と改善されている印象を受けました。
UIの統一、プログラムや回路の安定化が進んだ結果なのかもしれませんが、モード変更、設定変更、充電機構などなど、おかしな挙動を示す事もなく一貫して安定していましたし、ヘッド内部の埃の残留なども皆無で、製造工程や検品などについても見直しが行われたようです。
別にメーカーにヨイショするつもりは有りませんが、好き/嫌い、要/不要は抜きにして、純粋にクオリティについては 『あ、なんか良くなったナ…』 と感じたのは事実で、このクオリティを維持しつつ、今後もユニークな製品をリリースし続けて欲しいと思います。