今年最初のレビューで冒頭からネガティブな事を書くのもナンですが・・・
今回レビューをお届けする THRUNITE TC12 に限らず、USB充電機能付きのフラッシュライト製品というモノに対しては、興味はありつつもその必要性について今ひとつピンと来なかった…と、言うのが偽らざる心象でした。
充電制御・監視回路の増設による故障リスクの増大、Outdoor-use に於けるUSB端子の保護・破損リスクなどなど、フラッシュライトの用途や使用状況を考えると、USB充電の手軽さや利便性よりもデメリットの方が大きいんじゃないか?・・・と、ネガティブな先入観を抱いていました。
(既に複数の18650Li-ion充電池や充電器、複数の18650仕様のフラッシュライトを所持しているコアなフラッシュライト・ユーザーほど自分と同様の感覚を持つのではないか…と、勝手に想像)
で・・・今回、初めてUSB充電機能付きの THRUNITE TC12 の実機を使用した感想は・・・
『なるほど、こりゃ便利だワ! (゚∀゚)♪』
と、例によって評価が180度逆転しました。
やはりライトというツールは、実際に使ってみないと判らない(=正しく評価できない)道具のひとつなんだな…と、改めて感じた2016年・新春です。(気付けば、もう20日も経ってるし…)
製品HP
・ThruNite Chargeable Flashlight TC12 Cool White +3400*1
・ThruNite Chargeable Flashlight TC12 Neutral White +3400*1
関連記事
・ThruNite TN12 2016 (NW) + U1 + 18650 (3400mAh) — PART 1.
・ThruNite TN12 2016 (NW) + U1 + 18650 (3400mAh) — PART 2.
・ThruNite TN12 (2016) / CREE XM-L2 (NW) ・・・照タイム
INDEX
パッケージ
お馴染みのクラフト紙素材のパッケージですが、開けると英文の他に日本語や主要各国のローカル言語で記述された Thank you Card が入っていました。
ユーザーの意見や要望が製品に反映されれば、それだけ我々も優れた製品を手にすることに繋がると思うので、積極的に評価投稿するのが良いと思います。
付属品
TC12本体以外の付属品は、予備Oリング*2、リアスイッチキャップ*1、サイドスイッチ用インナーパーツ*1、USB端子カバー*1、リストストランヤード(ストラップ)*1、ホルスター*1 に加え、充電用USBケーブルが付属してきます。
USBケーブル(ケーブル長さ:約50cm)は、USB-Aオス端子とMicro-USB(micro-B)オス端子仕様となっており、これだけでPCやモバイルバッテリーのUSBコネクタから簡単にTC12に充電できます。
ホルスターは過不足の無い造りで縫製も丁寧です。
ランヤードはループエンドを備え、ユーザーの手首廻りに合わせて調整可能となっています。
ThruNite 18650 3400mAh
TC12には ThruNite 18650 3400mAh (Panasonic NCR18650B セル)が1本付属しますが、最初からTC12にセットされた状態で出荷されるので、使用する前にユーザー自身で絶縁シートを取り除く必要があります。
絶縁シートを取り除くと電池の【-】極にグリスが附着していますが、このグリスは絶縁シートを仮固定するための接着剤の代わりで、電極の酸化防止の役割を兼ねているのであって汚れているワケではありません。なので絶縁シートを取り除いたら拭き取っても構いません。
サイズ
- 全長:140mm
- ヘッド径:25.4mm
- 本体重量:85g(※電池除く)
- 防水性能:IPX-8(2m)
- 耐落下性能:1.5m
※全てカタログ値
装備重量は使用電池により増減するので参考値としてください。(※使用可能電池については後述)
ThruNite TC12 と TN12 (2016)
同じ【12】のモデルNo.が付けられた両機ですが、シルエットは似ていても細部を比べると違いがあります。
一番の違いはヘッド部分のサイドスイッチ廻りで、TC12のサイドスイッチにはインジケーターが追加され、スイッチの台座はアンチロールを兼ねた形状となっています。
ボリューム感が増した影響でしょうか?
TC12はTN12よりマッシブでタクティカル感が更に強くなった印象を受けます。
ボディ全体に施されたローレットもTN12に比べてTC12のローレットは粗く深くなりグリップ感が増しています。
TN12のシルキーな感触も悪くはないのですが、個人的にはTC12のローレットが好みです。
リアスイッチ廻りのデザインは両機とも同じですが、TC12の方がスイッチブーツ(スイッチキャップ)の面積が少し大きくなり、スイッチトップもR形状になっています。TN12(2016)のスイッチトップは、一見するとリバース式スイッチのように平らだったのですが、TC12はフォワードクリック式本来ともいえる形になり、間欠点灯操作がより行いやすくなりました。
ボディ
ヘッド、ボディ、リアの3ピース構成で、表面はすべてHA-Ⅲ処理が施されています。
付属のクリップは、TN12 (2016) と同様にヘッドとリアを入れ替えることで、クリップの向きをリバースさせる事ができます。
グリップ部分とヘッドおよびリアとの段差は充分に確保され、深いローレットとの相乗効果でホールド感は良好です。
各部のジョイントは角ネジになっています。
ヘッド
鏡面リフレクター(SMO)にARコートガラスフィルター、LEDはCREE XP-L V6 が搭載されています。
TC12の方がヘッド先端部分の肉厚が増しているように見えますが、実際にはテーパー加工(傾斜角度)の違いによるもので照射範囲にも影響しません。
TN12 (2016) とLEDが異なり、TC12のリフレクターのボトムホールは、LEDのベースサイズに合わせて僅かながら直径が小さくなっています。リフレクターの深さの違いは未確認ですが(僅かにTC12の方が深いかなぁ…?)、一般的にリフレクターが絞られると集光度合いが増し、実際にTC12もTN12と比べてスポット強めの遠射系の配光となっています。
サイドスイッチはステンレス製で同社の製品と共通のデザインになっています。(rev.UPした mini TN30 もそうですが、全てシルバーのサイドスイッチのデザインはカッコ良くて好き♪)
サイドスイッチの反対側に充電用のmicro USBコネクタが配置されています。
USBコネクタのカバーは、低温下でも柔軟性を失わないウレタン系の合成ゴム素材で出来ています。
構造も使用中にカバーだけを紛失しないように考えられており、キャップ自体がアンチロールの一部として見えるようにデザインされていてカバーだけが不自然に出っ張ったりしていません。
実機に触れるまでは 『TC12のデザインは好きだけどゴムキャップがなぁ…(´Д` ) 』 と思っていましたが、後付け感や無理矢理感は無く、想像したより違和感がありませんでした。
『使用中にカバーが外れてUSBコネクタが露出するんじゃないか…』 とも思っていましたが、キャップをめくるための【ツマミ】の部分だけが薄くなっており、意図しないチカラが加わっても上手くチカラを受け流すようになっています。
意識して【ツマミ】を引っ張らないとカバーが外れないので、ホルスターから抜き差しする場合でもUSBコネクタが簡単に露出しまうことはありません。(※実際に何度も試してみましたw)
ヘッド側の【+】接点にはスプリングが取り付けられていますが、電池に加わる衝撃の緩和、電池サイズ差の吸収、フラットトップ型電池への対応など、多くのメリットが生まれます。
リア
リアのメインスイッチは、先述の通りフォワードクリック式で間欠点灯が可能です。
クラウンは左右対称のUシェイプ形状でローソク立ても可能となっています。
TN12 (2016) は、点灯するまでのスイッチストロークがやや長く(深く)感じましたが、TC12の方は一般的なフォワードクリック式と同程度のストロークになっています。スイッチトップも丸味を帯びているので間欠点灯も含めてON/OFF操作がし易くなった気がします。(※個人の好みがあるので一概にどちらが良いとは言えませんが…)
電池
TC12の動作電圧は 2.75~5.0V となっています。
2*CR123A や 2*16340(18350)の使用は厳禁です。
※TC12は本体に充電機能を内蔵した製品ですが、間違って一次電池を入れたまま充電すると、故障するだけでなく破裂や火災が発生する危険があります。また、16340(若しくは18350)とダミーセルの組み合わせでも抵抗値が変化し、正常に使用(特に充電)できない事も充分に起こり得ます。
本体内蔵のUSB充電機能を使うか否かはユーザーの選択に委ねられていますが、うっかりミスを防ぐ為にも電池交換の頻度は減らした方が良いかもしれません。(いちいち電池交換しなくても良いようにUSB充電機能があるワケですし…)
電池を逆差ししても大丈夫なように逆極性保護回路も装備されています。
推奨電池(ThruNite 18650 3400mAh)以外の3.7V 18650 Li-ion充電池でも使用可能だとは思いますが、自己責任で…って事になるかと思います。
もし他メーカーの電池を使うなら、必ず正規のルートで販売されているメーカー品のプロテクト付き18650を使って下さい。既に何度も書いていますがLi-ion充電池と充電器だけは、たとえ高価でもメーカー品を購入した方が安全ですし、トータルで考えると絶対にお得です。
USB充電
TC12の充電(入力)仕様は最大で 5V・1A となっています。
1A(1000mA)以上の出力能力を持つ給電機器と接続しても問題無いと思いますが、実際にテストしていないので確かなことは言えません…
TC12に充電するには、TC12のメインスイッチを【OFF】にして(※ココ重要!)、TC12のmicro USBコネクタと給電側の機器を付属のUSBケーブルで接続するだけです。
※【Firefly】と【Low】モードであれば、点灯状態から充電する事も可能になっています。
当然ですがこの時に給電側も給電可能状態になっている必要があります。
PCの標準的なUSBコネクタは常時給電可能状態なので特に意識する必要は有りませんが、↑のエネループ・モバイルバッテリー(出力:5001000mA)のように給電ボタンを操作しないとダメな仕様の物があるので要注意です。
しかし、ただ接続しただけでは充電は開始されません。
TC12と給電側をUSBケーブルで接続したら【OFF】にしてあるメインスイッチを再度【ON】にする必要があります。
某レビュー動画主さんと同じく、私も最初はUSBケーブルを繋いだだけで充電が開始されるモンだと思っていました…w。いくら待ってもインジケーターが反応しないし、電池電圧を計っても充電された気配がないので、試しにリアのメインスイッチを【ON】にしたら充電が開始された…という感じでした。
一度覚えてしまえばなんて事は無いのですが、付属の取扱説明書にも充電手順・方法・充電中のインジケーター動作に関しての記述が無いので、不慣れなユーザーはTC12の故障と勘違いするかもしれません。
特にスマートフォンなどのモバイル機器は、USB接続しただけで充電が開始される機種が殆どなので余計に混乱するかもしれません。
充電時の注意点としては、充電を開始した時に必ずインジケーターの3色の点滅を確認することです。
・正常に充電が開始されると、サイドスイッチのインジケーターが↓のように点滅を繰り返します。
※最初の『カチッ』って音とインジケーターの短い点灯は給電側を操作してTC12とオンラインになった状態で、2回目の『カチッ』はリアのスイッチを【ON】にした時の音です。3回目の『カチッ』はリアのスイッチを【OFF】にして充電をカットした音です。
充電が完了してもインジケーターの点滅は繰り返されるので、満充電状態か否かは↓の動作で確認可能です。(ケーブルを繋いだままでOK)
途中で充電を中止するにはリアのメインスイッチを【OFF】にします。ケーブルを引き抜けば充電はカットされますが、リアのメインスイッチが【ON】のままなのでライトが点灯してしまいます。
どれぐらい充電されたか?
残容量がどれぐらいになった?
かは、後述する点灯時のインジケーター状態でおおまかに把握することが出来ます。
・満充電状態の電池に再充電を行うと↓のようにインジケーターが約15秒間だけ点灯します。
※再生開始から19秒辺りでライトが点灯しますが、これは自動で点灯しているのであってスイッチ操作などは一切行っていません。
満充電状態の電池がセットされていることを検知すると、途中でライトが点灯した後、数秒後にインジケーターが消灯します。本体が点灯したまま放置すると折角の充電が無駄になるので、満充電状態の電池を充電する時はインジケーターの状態に特に注意して下さい。
≪追記:2016/02/19≫
フル充電状態のLi-ion充電池がTC12にセットされたまま追充電しても、給電側(ソース電源側)が充分な電力を供給可能な状態ならば途中でライトは点灯しないようです。テストした際にエネループ・モバイルバッテリー側の残容量が少なかった為に、先の動画のように途中でTC12が点灯した模様です。TC12は過充電・過放電防止機構を備えているので、フル充電状態の電池を検知すると自動で追充電を中止します。
インジケーターが激しく点滅を繰り返す場合は、何らかのエラーが発生して正常に充電ができていないサインなので、電池の極性(挿入方向)やケーブルの接続、充電手順をチェックしてリトライして下さい。
ちなみにTC12は過充電・過放電防止の回路もちゃんと備えています。
モード
ThruNite TC12 のモードおよびランタイムは下記の通りです。
- Firefly:0.4 Lm / 70日
- Low:28 Lm / 3日
- Med:180 Lm / 9.5時間
- Hi:640 Lm / 2.5時間
- Turbo:1000 Lm / 2.6時間
- Strebo:800Lm / 4.8時間
- 最大照射距離:274メートル
- 最大光度:18760 cd
※ThruNite 18650 3400mAh を使用した場合のテスト値
基本操作は TN12 (2016) とまったく同じで、モードの変更はサイドスイッチで行い、クリックする度に【Firefly】→【Low】→【Med】→【Hi】→【Turbo】→【Firefly】…の順にモードが移行します。
ストロボモードは、どのモードで点灯していてもサイドスイッチの長押しで発動し、再びサイドスイッチを押すとストロボが解除されてストロボの前に使用していたモードで点灯します。
モードメモリを備えているので消灯時のモードで再点灯します。(ストロボモードは記憶されません)
点灯
Fireflyモード:0.4ルーメン
水平照射
スミマセン…屋外照射画像は少々お待ち下さい…(^^;
《2016/04/27:追加》
屋外照射画像
白昼(立木まで67m)
ThruNite TC12
ThruNite TC12 – All mode
ThruNite TN12 (2016)
ThruNite Neutron 2C V2
画像からはTN12 (2016) と比較すると暗く感じるかもしれませんが、リフレクター形状の細かな違いによる配光の差で、肉眼では殆ど違いを区別できません。縮小画像ではTC12の中心光光軸が確認できて、TC12とTN12の集光度の違いも判ります。
水平照射画像では配光が判りづらいと思いますが、TC12 は TN12 と比べて中心光軸の拡がりが狭くなっています。USB充電機能付きで更なる飛び系を求めるなら、同社の TC10 V2 の方が良いでしょう。(TC10 V2のデザインも個人的にド真ん中のストライク)
光色に関しては CREE XP-L V6 のCWを搭載していますが、色温度は低めで個人的に好きな【白色】です。
電池残量
サイドスイッチ部分に設けられたインジケーターで電池残量を確認できます。
本体のメインスイッチを【ON】にして点灯するか、若しくはサイドスイッチでモード切替を行った時点で電池残量に応じて【赤】もしくは【緑】のインジケーターが点灯します。(Fireflyモードではインジケーターは点灯しません)
- 電池残量:20% 以上 → 【緑】点灯
- 電池残量:10%~20% → 【赤】点灯
- 電池残量:10% 以下 → 【赤】点滅
どの場合もインジケーターの点灯時間は約5秒間です。
上記以外のインジケーター動作としては、選択したモードに対して充分な容量(電池電圧)が確保されない場合に、【緑】で2.5秒点灯し【赤】に変わって更に約2.5秒間点灯してから消灯します。
Turboモードに切り替えた時に【緑】→【赤】とインジケーターが変化したので、この時に電池電圧を計測したら約3.5Vでした。この電池電圧でもTurboモードは使えますし、Hiモードでは【赤】に変化せず【緑】のままでした。
同じ電池電圧でも選択したモードによりインジケーターの挙動が異なるので、あくまで目安でしかないのですがインジケーターの有無で使い勝手や安心感が大きく左右される気がします。
ちなみに、TC12には加熱防止機構のITCも搭載されているので安心してTurboモードも使えます。(但し過信は禁物デス)
まとめ
今回のThruNite TC12 レビューは、長文になってしまったので【まとめ】は間潔に…(^^;
TC12 の印象を一言でいうならば、USB充電機能を内蔵したことでEDCとしてより使いやすくなった製品…かな?
EDCの定義自体が曖昧なのですが、『毎日使用する』 という意味では、例えば自転車の前照灯として朝晩の通勤・通学に使用するのもEDCと言えるかと思います。電池が減った時点で身近な機器から充電可能なので、電池切れで行きや帰りに無灯火で走る…なんてことも回避できると思います。
TC12のグリップ径は実測で約22.5mm。
寸法のみならずグリップ形状もバイクライトホルダーと相性の良い形をしています。(※TC12にバイクライトホルダーは付属しません)
『予備バッテリーを持てばいいんじゃない?』
という考え方もアリだと思いますが、給電可能なUSB機器が存在する環境であれば、予備電池や充電器を持ち歩くより軽量なUSBケーブルの方が管理がラクですし荷物も軽くなって良くないですか?
最近のモバイル機器は内蔵電池容量も増えていますが消費電力も大きくなる傾向があり、モバイルバッテリーを携行している人も多いんじゃないかなと…
予備の18650 Li-ion充電池を持つより普段使っている(持ち歩いている)モバイルバッテリーから充電できたらやはり便利ですし…(゚ー゚*)。oO
不満な点としては、やはり取扱説明書にUSB充電に関しての記述・説明が無いのはマイナスかなぁ…
一度手順を覚えてしまえば説明書は不要となりますが、どんな状態が【正常】もしくは【異常】なのかユーザー自信で判断する指標にもなるので別紙ででも追加して貰えると有難いです。
あとは、私のように実際に使ってみないとTC12の便利さを実感するのは難しいと思いますが、価格に関してもライトと18650電池と充電器を別々に買うよりお得ですし、毎日欠かさず使う用途(先述のバイクライトとか)にピッタリの製品だと思います。
タクティカル感が強いデザインもカッコイイので、初めて本格的なフラッシュライトとしてTC12を選ぶと、スンナリとコチラ側へ入って来られるかなと…(^^;