今回は、ヘッドツイスト式の1AAAライトの Lumintop EDC AAA(以下、EDC AAA)のレビューをお届けします。
最初に EDC AAA を見た時の第一印象は『すっきりデザインで好みかも♪』でした。
しかし、よくよく見たら魚眼レンズで『ポケットキャリーしたら100%レンズ表面に傷が付くナイスな仕様』にガックリ肩を落とすの図…orz
同社のIYP365と同じブラックボディに金環のデザイで、二つをコンビで使うとオシャレ指数がアップして…(゚ー゚*)。oO …と妄想しつつも、先の理由で購入を見送っておりました。
…が、Twitterで wing(@t38zawa)さんがノーマルの魚眼レンズ(凸レンズ)から自作のフラットフィルターへと換装しているのを拝見し『そうか!その手が有ったか!(゚∀゚)』と… wingさんにも背中を押され谷底へ…ではなく、自分もイジってみたい欲求が抑えきれず昨年末にアマポチした次第であります。
そして wingさんから貴重なフラットフィルターと内部マイナス接点のスプリングを譲っていただけましたのでノーマル光学とカスタマイズ後の照射比較や換装手順、スプリング交換後の感触などなどもレポさせて頂きたいと思います。
製品HP
- LUMINTOP Flashlight HP
- LUMINTOP EDC AAA – lumintop.com
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INDEX
パッケージ
見慣れた感のある白地の紙パッケージですが、外箱は EDC AAA 専用パッケージというワケではなさそうで、同社の 1AAAサイズ機全般に対応できるように汎用性を持たせ、機種毎にステッカーを貼り分けて対応しているようです。
内容物は仕切りを兼ねたウレタン緩衝材で保護されています。
EDC AAA 本体の他には予備Oリング×2、蓄光ディフューザー、多言語マニュアル(日本語サポート)のみというシンプルな構成です。
ディフューザー
シリコン製の『ぷよぷよ蓄光ディフューザー』もお馴染みとなりましたが IYP365 や TOOL AA 2.0 に付属するディフューザーと同一品のようです。
細身の EDC AAA には少々緩くて、ただ被せただけては簡単にディフューザーが外れて紛失する可能性が高いので、ディフューザーを装着する際には、しっかりと深く差し込んでやる必要があります。
ディフューザー本来の目的・用途は光の拡散なのですが、EDC AAA を素でポケットキャリーする場合などは、ディフューザーを被せたままにして魚眼レンズ表面の保護・傷防止とするのもアリだと思います。
仕様
製品マニュアルには EDC AAA の特徴が英語で列記されていますが仕様表や操作方法については日本語でも記述されています。
※EDC AAA のPDFマニュアルは、Lumintop社の製品HPよりダウンロードできます。
EDC AAA の各レベルの光束値(出力値)は、同社の 1AAAライトである EDC01/EDC02 に近いのですが【Med】レベルに注目すると EDC AAA の出力値が EDC01/EDC02 よりも小さいのに、EDC AAA のランタイムの方が短くなっています。
サイズ
本体サイズ(全長)は、ヘッドツイスト式の1AAAライトとしては小型(61.5mm)で、単四形乾電池の全長からするとギリギリのサイズになっています。
本体の直径:14mmについては、中国メーカーの1AAAツイスト式ライトとしては平均的なサイズですが、マグソリボデイのφ12.7mmと比べると太くなっています。
また、EDC AAA はヘッドからテールまでが同一径のストレートボディであり、クリップの出幅の影響で握った時には少し太く感じます。
重量的にはヘッドツイスト式1AAAライトとしては少々重くなっています。
他のツイスト式機種とは数グラム程度の重量差ですが、ボディが小型なので余計に重く感じるのかもしれません。
重量増加の要因は、ボディ形状、クリップ&テール部材質・構造の関係と思われますが、ポケットに入れている事を忘れてしまうほどのサイズと重さなので全然気にならないハズです。(※ホントに忘れてしまうから恐いデス)
ボディ
ヘッドツイスト式のライトの多くは、グリップ部分よりもヘッド部分が太くなっている製品が多いのですが、EDC AAA のストレートデザインは、懐古的新鮮味を感じます。
ヘッドとボディに刻まれた滑り止めのローレットは全周に刻まれておらず、敢えて途中でローレット加工をストップした独特のパターンで EDC AAA の外観アクセントにもなっています。
ローレットの溝は、それほど深く刻まれていませんが、見た目より滑り止め効果は高く、条件付きではありますが、布手袋をしていても片手で操作できます。(※操作感については後述)
ポケットクリップは、テール部分にガッチリと固定されているように見えますが、割と簡単に回転します。
クルクルと軽やかに廻るワケではないのですが、クリップ部分をボディ側の支点にしてヘッドを回そうとするとクリップが動いてヘッドが上手く回せません。
では、簡単にクリップを外せるか?…と問われると答えは『否』で、ルミウサギさんが刻まれたテールエンドパーツを外そうと試みたのですが、残念ながらdoorman の所有する道具では外せませんでした…(´Д` )
ヘッド
LEDは CREE XP-G3 の Cool-white。
ご覧の通りレンズは完全な凸レンズでヘッド先端よりも飛び出しています。
EDC 01 は粒コリ、EDC AAA は凸レンズとまったくの別物なので、当然ながら配光も変わります。
制御基板も別物のようで、EDC01 とは基板のパターンが異なっています。現行の EDC01/EDC02 の基板がどうなっているか分かりませんが、EDC01 とはまったくの別基板のようです。
EDC AAA の光学は凸レンズなので、リフレクタータイプのライトにあるような鏡面の反射板は存在しないのですが、スリ鉢状のパーツが組み込まれています。素材はラバー素材でレンズとLED(ドライバー・ピル)の緩衝材およびスペーサーとして機能します。
鏡面リフレクターほどの反射効果はありませんが、このパーツによってLEDの光が効率良く前面に放出され、パーツ自体が蓄光仕様(GITD)となっているので消灯後には仄かに光ってくれます。
スイッチ
EDC AAA は、ツイスト式ライトなので、当然ながら『物理的なスイッチ』というモノは存在せず、ヘッド側の基板外周とグリップ側の未塗装部分が接触すると通電&点灯する仕組みです。
故に点灯/消灯の動作は『ヘッドを締めて点灯(ON)、緩めて消灯(OFF)』となります。
点灯状態からヘッドを90度(1/4回転)も廻せばヘッドを押しても点灯する事はなく、完全に360度回転(一回転)させればポケットの中で誤点灯することも防げます。
ヘッド操作の感触については、Oリングとの摩擦が強いのでやや重く感じますが、ネジの長さも充分確保され、完全にOリングが露出するほどヘッドを緩めなければ意図せずヘッドが脱落することも少ないハズです。
Oリングにグリスを塗布しましたが、気温が低い(2~5℃)状態では『廻しやすさ』にあまり変化はありませんでした。逆にヘッドを緩めてもOリングがしっかり効いているので防水性は高そうです。
試しにポケットに入れてボディ全体を温めてみたところ、やや操作感が軽くなったので、低温下でも潤滑性能が落ちない高級なグリスを使うことで冬期の操作感が改善するかもしれません。
ただ、冬期であっても直接外気に触れるような状態でキャリーしなければ普通のグリスで充分だと思います。
気温の高い時期なるとまた操作感が変化しそうですが、EDC AAA 自体の全長が短いので片手でのツイスト操作がしやすいライト…とは言い難いです。
ちなみに EDC 01 とはネジ互換で、両者のヘッドは交換可能でしたが、EDC 01 のヘッドを EDC AAA に装着しても点灯できませんでした。(※逆はOKでした)
テール
テールエンドにはルミントップのロゴが刻印されています。完全なフラット形状なのでテールスタンドが楽にできます。
このテールエンドのパーツによってクリップが固定されているのですが、ガッツリと接着されているのか、どうやっても取り外せませんでした。(クリップが外せたら動かないように固定するつもりでした…)
EDC AAA にはストラップホールが無いのでストラップ等はクリップ部分に取り付けることになります。
内部には電池との【-】接点となるスプリングが仕込まれていますが、ピンセットや先端がカギ状になった道具を使えば割と簡単に外せます。(※後述)
電池
EDC AAA では、1.5V 単四形アルカリ乾電池、エネループなどの 1.2V Ni-MH が使用可能です。(※3.7V 10440 は使用不可)
電池交換はヘッドを外して【-】方向から電池を装填します。
モード
EDC AAA の搭載モードは、 EDC01/EDC02 と同じく【Mid】→【Low】→【Hi】の3モード。
モードの変更は、点灯状態にて素早くヘッドを『緩める/締める(OFF/ON)』を繰り返すと上記のサイクルでモードが移行します。
モードメモリが搭載されているので消灯時のモードで再点灯しますが、モードが記憶されるのは消灯後2秒経過してからで、2秒以内に再点灯すると次のモードで点灯します。
なので、ヘッドを『緩める/締める』のモード変更操作は2秒以内で行えば良いことになり、変更操作の時間にも余裕がります。
照射
今回はこの5本で照射比較を行ってみました。
5本の中でもリフレクター仕様のライトはマグソリだけです。
他の4機種はレンズ仕様の製品で、EDC AAA は凸レンズ、EDC01は粒コリ、C01S と i3T はTIRレンズになります。
水平照射
配光/光色
LED電球
LUMINTOP EDC AAA
LUMINTOP EDC 01
Sofirn BLF C01S
MAG-LITE SOLITAIRE
OLIGHT i3T EOS
屋外照射
白昼(立木まで67m)
LUMINTOP EDC AAA
LUMINTOP EDC 01
Sofirn BLF C01S
MAG-LITE SOLITAIRE
OLIGHT i3T EOS
配光については、もう『予想通り』という感じで、凸レンズを搭載したズーム式ライトのワイド側の配光パターンそのものです。
また、搭載LEDが XP-G3 の CW、おまけに凸レンズとの組み合わせにより色収差が顕著です。これにより演色性が低下(青被り)して『正確な色の識別』が必要な用途には不向きかと思います。
照射範囲はリフレクター仕様のライトよりも広範囲を照らせますが、メチャクチャ広い!(゚∀゚)…というワケでもないので、全体的に『うーむ…(ーー;)』というのが正直なトコロです。
蛇足ですが、全モードにてフリッカーの発生もありません。
レンズ & スプリング交換
それでは早速、wingさんから譲って戴いたフラットフィルターとリアスプリングを交換してみます♪
レンズ交換
先ずは、ノーマルの凸レンズとフラットフィルターを交換してみます。
交換するには、一旦、ヘッドを全バラします。
全バラ…と、言っても、基板・キャニスター・LEDはユニット化されていて、基板の二つ穴にピンセットを突っ込んで反時計廻り(左回り)に廻すとキャニスターごと外れます。
個体差があると思いますが、自分の EDC AAA はキャニスターが固く締めてあり、ピンセットでは歯が立たなかったので製図で使うディバイダを使って外しました。
キャニスターが外れたら前面からレンズを押してやれば全てのパーツが外れます。この時に固いモノでレンズを押すと凸レンズが傷付いてしまうので、レンズ表面を養生・保護するなどしてください。
フラットフィルターをセットしたら元通りに組み立て直しますが、キャニスターを締め込み過ぎると基板とボディとの接点が確保されず不点灯となるので注意してください。
スプリング交換
スプリングの交換は、前述の通りピンセットや先端がフック形状になった道具を使って引っ張り出せます。
何故にノーマルのスプリングを交換するのか?…という疑問を持つかもしれませんが、ノーマルのスプリングでは上の画像のように電池の突出量が少なく反発力も弱いので、電池を押し上げるチカラが弱くなり、点灯させる際にチャタリングが発生して意図せずモードが変わってしまうことがあるからです。
具体的には EDC AAA は【Med】スタートなのですが、チャタリングにより【Low】や【Hi】で点灯を開始してしまいます。勢いよくヘッドをツイストさせればチャタる事も無いのですが、EDC AAA はヘッドとOリングとの摩擦によりツイストし辛いのでチャタってしまいがちになります。
ノーマルのスプリングと比較すると2~3ミリほどスプリングが背高になりますが、この2~3ミリの差がチャタリング防止になります。
あまり背高で反発力の強いスプリングに交換してしまうと重い操作感が更に重くなるので要注意です。
照射
フラットフィルターに交換すると、ほぼ集光されずスポット光ゼロの『ブワッ』っと広角照射の配光になります。
凸レンズからフィルターへ交換することで色偏差は緩和されますが、元々が XP-G3 であり、スリ鉢状の蓄光パーツの影響で青被りを完全に解消するには至っていません。
青被りを完全に解消するには、LEDの交換と蓄光パーツの除去が必要になりますが、ノーマルの凸レンズと比較すると遙かに見やすい配光になりました。
ちなみに、自分は wingさんのフラットフィルターに換装したほうが圧倒的に使いやすく自分の用途に於いても便利なので、換装したままの状態で EDC AAA を使います♪(〃▽〃)(※wingさん、本当にありがとうございました!)
また、時間が出来たなら、凸とは逆の凹レンズをアクリル板で自作して『ぴんぴんのピンスポット』や『ちょっとだけスポット』の EDC AAA にしたいと思います。
まとめ
ルミントップ社のヘッドツイスト式ライトを購入したのは久しぶりですが、EDC AAA の感想を一言でいうならば、良くも悪くも『個性的なライト』かなと…。
同社のEDC 01/02 とは外観・デザインだけでなく光学も別物なので、印象も変わるのは当然なのですが『凸レンズであることの必要性』が、自分にはイマイチ理解できず、ヘッドツイスト式やコンパクトである事が必須条件でなければ、ズーム式の1AAAライト(例えばLED LENSER P2 など)のほうが幸せになれる気がします。
ただ、ズーム式ライトであっても凸レンズ特有の色収差・色偏差は発生するので、やはり色の識別が必要な用途には不向きかと思います。
それでも大まかな色の識別は可能なので、まったく使えない…というワケではなく、鍵穴や足元の確認、バックアップ、サブライトとして使うには、小型で便利なライトかと思います。
他に気になったのは、Oリングとヘッドとの摩擦が大きく、片手でのツイスト操作がし辛い点です。
摩擦が大きい事でOFFの状態でもヘッドが脱落し辛く、防水性の向上などのメリットが生まれますが、頻繁に ON/OFF操作する場面ではストレスを感じます。
EDC01の操作感が軽いので余計にそう感じるのかもしれませんが、個人的に EDC AAA は両手で操作するツイスト式…と割り切っています。
あとは、クリップが回転しないような構造であればヘッドのツイスト操作がもっと快適になる気がするのですが、もし、EDC AAA のセカンドモデルがリリースされるのであれば、その辺りも是非改良して欲しいです。
用途や使用場面、キャリー方法などは限られそうですが、クオリティも高く購入しやすい価格、単四乾電池使用でランニングコストも低く抑えらる製品なのは間違いです。