以前にも、wingさんの手によってカスタマイズされた NA001をご紹介しましたが、今回は、赤色1灯、白色2灯で構成された三ツ目の『宮澤製作所 SL-B』のレポートです。
譲って戴いてから9ヶ月近く経過してしまったのですが(汗)、その間に照タイム撮影の他にも、枕元ライトなどで多用させて頂いておりました♪(^^ゞ
なんやかんやで暫く忙しかったのですが、ようやくゆっくりと記事を書く時間ができたので、『赤色LED』の有用性やNA001との違い、本体シェルの CONVOY S2+ ショートボディについてなどなど、宮澤製作所 SL-B について、じっくりとレポしたいと思います。
ちなみに SL-B も東京・池袋の『ez-lite』さんに実機が置かれているようなので、機会があれば手にとって、その完成度の高さを体感してください。
関連記事
- 宮澤製作所 NA001 – Modified of Astrolux S41 [A17DD-L FET+1 Driver customized] – roomX.jp
- JAXMAN E2 / CREE XM-L2 U2 5500K(改) – roomX.jp
- 平成28年 戦術的強光手電筒整備計画 【P60互換・赤外線(IR)LED光源製作編】 – roomX.jp
仕様
先述の通り、SL-B は CONVOY S2+ のショートボディに3眼のLEDを組み込んでいます。
搭載LEDは、1灯の赤色LEDが Cree XP-E 660nm(Photo-RED)、2灯の白色LEDが Nichia 219B 5700K となっています。
本多プラスのアジャスターケース《HK-31L》にパッキングして送っていただきました♪
自分も《HK-31L》を26650 Li-ion充電池の保管に使っていましたが、なるほど小型のフラッシュライトの保管にも使えるのは盲点でありました!(゚∀゚)
牧野工業のタップ/ドリルケースはガッチリとハードに出来ていて、内寸(有効寸法)を超える電池やライトを収納するのが難しいのですが、本多プラスのアジャスターケース・シリーズはソフトタイプで、牧野工業には無い内寸のケースが用意されており、ケースに空気抜きの孔も無いので重宝しています。
サイズ
S2+ のシリーズは1本も持っていないので、ロングボディでの比較は JAXMAN E2 のボディを着けています。
ヘッド径比較では JAXMAN E2L を加えています。NA001 以外の E2、E2L、A6の3本は、ボディ径(ヘッド径)が24mmで共通です。
ノーマルの S2+ を持っていないので比較はできませんが、銅製のしっかりとした放熱基板(DTP)に3個のLEDが載っている関係でノーマル単眼の S2+ より数グラムほど重量が増加しているかもしれません。
…とは言っても、僅か数グラムの増加であればまったく気にならないレベルですし、出力控え目でも、撮影時の補助灯として長時間点灯させればそれなりに発熱するので放熱について余裕があるのは安心です。(DTPが想像以上にブ厚くて驚きました)
昨今は『多眼=大光量』というのがトレンド…のようにも感じられるのですが、用途によっては『安定した光量で常用域の長時間照射できるか?』…の方が重要になるかと思います。
ボディ
SL-B のホスト(シェル)は CONVOY S2+ のショートグリップです。
S2+ のショートグリップ版は、パーツのみ、もしくはヘッドとリアをセットにしたホストが売られていますが、不思議な事に、現時点では S2+のロンググリップは単体パーツとして販売されていないようです。
なので《S2+ Long》⇒《S2+ Short》は手軽に行えるのですが、その逆となる《S2+ Short》⇒《S2+ Long》とするには、18650対応の S2+ をもう1本用意する必要があります。
…とは言っても、S2+ のクローン機であれば、LEDとPCBまで組み込まれた状態の完成品が 10ドル代で販売されているので手軽にレゴって楽しむ事が可能です。
一応、JAXMAN E2 / E2L / U1 と S2+ は、リフレクターやドラーバーピル(キャニスター)も含め、各パーツの互換性があります。(スミマセン、E2L はキャニスター無しのLED直マウント構造でした)
S2+ のショートグリップバージョンは、ヘッド、グリップ、リアのローレットの位置がアンバランスのように見えて購入を躊躇っていたのですが、実物は自然な感じなのでロングバージョンとの組み合わせ(レゴ)を想定しつつ、購入を検討しておりますデス。(^^;
ヘッド
SL-B Photo-RED のLEDは Nichia 219B 5700K ×2灯と XP-E 660nm×1灯で構成されています。
詳細については割愛いたしますが、日亜とXP-Eを単独、もしくは同時点灯可能なように、2系統の+/-の電源ラインがwingさんの手によって追加配線されています。
三眼TIRにフロスト加工されたガラスフィルターが取り付けられ、程良い拡散配光となると共に、TIRレンズの傷も防いでくれます。
DTP側の配線だけでなく、PCB側の配線もカスタマイズされ、制御プログラムも wingさんによってリプログラムされています。
スイッチ
スイッチはリバースクリック式なので、点灯したまま半押しするだけでモード変更が可能です。
テールエンドはUシェイプ形状ですが、スイッチトップとの高低差が小さく、リブの面取りもしっかりとなされているので押し辛くはないです。(BLF A6 もリブのエッジを面取りしたら使いやすくなりました)
電池
16340 と 18350 に対応していますが、せっかくなので Keeppower IMR18350 を購入しました♪
18350でも充分なランタイムが得られますし、このコンパクトさも SL-B の大きな武器だと感じているので、ショートサイズのまま使い続けるつもりでいます。
モード
SL-BのモードとUIは ↑ のようになると思います。(間違ってたらゴメンなさい)
NA001 と同じく、ミックスモードとホワイトモードの2つのグループに分けられ、ミックスモードは赤色と白色の両LEDが作動し、ホワイトモードは白色LEDのみが点灯します。
Mix-mode グループ
ミックスモードでは、常に【RED : Low】で点灯を開始し【RED : Mid】→【RED : Hi】の順にモードが変わり、《No.4》では【RED / White】の両LEDが点灯します。《No.5》からは、白色LEDのみの【White : Low】→【White : Mid】→【White : Hi】の順に移行し《No.7》の次(二巡目)は《No.5》となります。
White-mode グループ
ホワイトモードでは、常に【White : Low】で点灯を開始し【White : Mid】→【White : Hi】の順にモードが変わり、《No.7》の次(二巡目)は《No.5》となります。
モードリバース
両モードグループとも、各モードでゆっくりと半押しすると、一つ前のモードに戻ります。
ミックスモードの《No.1》、ホワイトモードの《No.5》でこの操作を行うと、《No.0》の電池残量チェック(Battery Check)に入ります。
電池残量チェック
赤色LEDの点滅により電池残量を確認できます。
電池残量は点滅回数とリンクしていて、電池残量に応じて1~5回点滅します。
残量チェックを終了するには、短く半押し、長く半押しのどちらでも可能ですが、短く半押しすると上記ダイアグラムのように、【RED : Mid】あるいは【White : Mid】に直行します。
図中では長く半押ししても残量チェックを終了するように描いていますが、実際には1秒以上通電をカットすることによりデフォルトの開始モードで再点灯する事になります。※この操作は全てのモードで共通です。
グループ変更
ホワイトモード、ミックスモードのグループ変更は、どのモード(出力レベル)で点灯していても素早く15回ほど半押しを繰り返します。グループが切り替わる際に赤色LEDが1回だけ点滅し、グループ変更後は各々のグループの初期モードで点灯を開始します。
文章にするとややこしいのですが、点灯中の操作は、短く半押しするか、長く半押しするかの2つだけなので簡単に使いこなせます。
照射
水平照射
配光/光色
LED電球
宮澤製作所 SL-B
1x Photo Red 660nm
1x Photo Red 660nm + 2x Nichia 219B
2x Nichia 219B
宮澤製作所 NA001
1x XP-E2 (Amber)
1x XP-E2 (Amber) + 3x XP-G3 (6000K)
3x XP-G3 (6000K)
P60 bulb / XP-E (660nm)
JAXMAN E2 / XM-L2 U2 (5500K) : Honeycomb TIR 120 degree
屋外照射
白昼(立木まで67m)
宮澤製作所 SL-B
宮澤製作所 NA001
Self-made P60 LED Bulb / XP-E (660nm)
JAXMAN E2 / XM-L2 U2 (5500K) : Honeycomb TIR 120 degree
当たり前ですが XP-E Photo-RED 660nm は、とにかく赤いです(笑)
自作のP60バルブに使った XP-E は eBay で購入したモノですが、eBayの品は仕様がアバウトな事も多く、660nmの確信が持てなかったのですが、SL-B の660nmと比較したら同色だったので660nmで間違いないと安心した次第です(笑)
NA001 のアンバー色と比較しても『色の再現性』の差は明かで、660nmで照らすと一般的な照明下では黄色に見える物体が白っぽく見え、赤色はほぼ同化、緑や青は黒っぽくなります。それでも同時に219Bを点灯させると、僅かながら本来の色が戻ってきます。(面白いですね)
SL-B は、基本的に拡散配光なのですが、赤色光でも光の強い部分は、デジカメでは白く写っています。(※水平照射)
日亜 219B 5700K は若干色温度が低いようで、ニュートラルホワイトに近い光色になっています。(所有している JAXMAN E2 の 219B 5700K は、逆に限りなく6500Kに近い白色光です)
SL-B は、屋外でガンガン照らす類のライトではないのですが、赤色1灯でもHiモードであれば5m以上先まで照らす事ができますし、白色2灯のHiモードを使えば屋外でも実用的なライトである事が伝わると思います。
まとめ
赤色光、正確には『赤い光と認識できる光の波長』が暗順応状態の目に刺激が少ない(=優しい)のは、比視感度のグラフを見れば一目瞭然で、660nm~680nm付近が下限(0以上~0.1以下)となります。(詳しくは『比視感度』とかでググってください)
医学的には受容体が大きく関係していて、光に対する感度(…と言って差し支えないでしょうか?)は個人差があり、700nm以上の『波長』でも見える人には見えるようですが(夜目がきく…とか言いますね)、LEDの入手性や汎用性を考慮すると660nmが実用的かつ現実的な選択だと私も思います。
コンデジなどに搭載されているAF補助光は、緑や白、青色もあるようですが、個人的には赤やオレンジが圧倒的に多いように感じます。理由は色々とあるようですが、暗所での人物撮影で、いきなり白色光や青色光で光ったりすると眩しいよなぁ…とかボンヤリと思ったり…(赤目軽減にはなりそうですが…)
結局、ナニが言いたいのか?って、SL-Bの1灯が『赤』である理由であります。
個人差がありますが、暗順応状態から明順応には数分で、明順応状態から暗順応には数十分必要とされています。つまり、暗順応の状態を長く保つには、強い(明るい)光はNGであり、最低限の視界を確保しつつ、暗順応状態も維持するには 660~680nm の光波長(赤色光)が適している…という事であります。(せっかく暗闇に目を慣らしたのに台無しだゼ!!…という事態を防いでくれるのです)
デューク・東郷のような超人であれば、どちらも数秒で順応完了!( ̄ー ̄)ニヤリッ…と、なるのでしょうが、そうした特殊能力を持ち合わせておらず、昼夜問わず色々とライトに依存した生活を送っている自分にとっては、とても有難い1本で、屋内外に関係なく照タイム撮影時は当たり前のように傍らに置いていますし(昼はまだしも夜の暗室は「ナンも見えねェ…(´Д` ) 」状態ですw)、枕元ライトとしても使わせていただいています。
SL-Bは『星見ライト』として生まれたライトであり、先述の通り、闇に慣れた目、すなわち暗順応状態を阻害しないようにモード区分や出力設定、UIも構成されていて、ジャングルに分け入って撮影する wingさんの実体験コミコミで具現化されたライト…と言っても過言ではないと思います。(ウツボカズラのオタマジャクシにはマジ驚きました!<語彙力)
+++
SL-Bそのものの気になった点…は全く無いのですが、照タイム撮影時に気付いた点…というか、赤色光の苦手とする例をひとつ。
腕時計の液晶は XP-E Red だけでも十分視認可能なのですが、赤色光だけでは方位磁針の表示がまったく見えなくなり、白色光と同時点灯させて何とか方位が確認できるかな…という感じです。
演色性の画像でも一部の色が消え、黒く見えるのと同じ理屈ですが、方位磁針の針は赤/白で塗り分けられている事も多く、照射対象の色によっては同じ事が起こる点に留意してください。(特に『背景』が黒い場合は注意)
まぁ、そんな場合でも、白色光での点灯も可能な SL-B ならば無問題であります!(`・ω・´) (← 虎の威を借りたドヤ顔)
『闇を切り裂く』のではなく『闇と同化する』のが 宮澤製作所 SL-B であり、NA001とは似て非なる存在だと思います。
貴重かつ素敵なライトをご提供頂いた wingさん、UIなどの情報をいただいたチリトマさん他、SL-Bに関わった全ての方々に、この場を借りて御礼を申しあげます。
ありがとうございました。