前回の LUMINTOP TOOL Ti に続いて、今回は現時点でLUMINTOP社のフラッグシップモデルとなる LUMINTOP SD75 (以下、SD75)のレビューをお届けします。
このSD75もamazon : Aoniro Jさんからレビューの機会をいただきました。
既にご存知の方も多いと思いますが、このSD75はLEDにCREE社のXHP70を搭載し、単眼でありながらMax:4,000ルーメンの照射能力を持つハイパワー・フラッシュライトです。
SD75の特徴は搭載LEDに限らず、4本の3.7V 18650 Li-ion充電池を電源としてリア部分に2系統(1Aと2A)の5V・USB出力コネクタを持ち、さらには12V入力の充電コネクタも装備している点にあります。超強力なフラッシュライトとして使えるのは勿論ですが、4本の18650 Li-ion充電池が一度に充電可能で、そのままパワーバンク(Power-bank)にもなる自己完結的な多機能型のライトです。
なので、SD75のレビューは製品自体の情報量が多く、一回で全てを紹介するのは無理があるので、3部構成でお届けしたいと思います。
・第一部:SD75の外観、装備、基本性能について
・第二部:屋外照射(ビームショット)、照タイム
・第三部:充電・放電について
画像のカット数がいつもの3倍くらいになってしまい、一度に全画像を掲載すると激重のエントリーになってしまうのでご理解ください…
■製品HP
・LUMINTOP Official HP
・LUMINTOP SD75
■関連記事
・ThruNite TN36 UT / CREE XHP70 (CW)
・CPF:Lumintop SD75 (XHP70, 4×18650) Charging/Rechargeble Review: RUNTIMES, BEAMSHOTS+
※製品仕様は改良の為に予告なく変更されることが有り、製品ロットによっては本記事の内容と異なる場合があります。
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では、さっそくSD75の外観、装備、基本性能の紹介から・・・
パッケージ
メーカーHPに記載されている製品仕様・諸元から、ある程度の大きさは覚悟(?)していましたが…実物は予想よりチョットだけ大きかったです。
エアクッションに包まれたアルミ製トランクケースはシッカリとした造りで、否が応でも期待感が高まります。
トランクを開けると・・・開けると・・・
コラ、ミー先輩・・・撮影の邪魔しちゃダメ!w
トランクを開けるとセット一式が整然と収まっていました。
内容物・付属品
内容物・付属品は、SD75本体、USBライト、車載用DC12V電源アダプター、AC/DC12V電源アダプター、電源コード、マニュアル、保証規定書、アフターガイド、予備Oリング(2個)、乾燥剤となっています
保証規定書とアフターガイドは、日本語を含む計8ヶ国語で書かれています。
(※QRコードの中央がLUMINTOPのロゴになっています)
製品マニュアルは英文と中文の2ヶ国語で書かれていますが、ライトマニアだからなのか…それとも同じ漢字文化圏だからでしょうか…?中文でも主要な単語から記載されている内容が大まかにでも理解できるから不思議です。
マニュアルの表記からLUMINTOPの中文名は雷明兎。
漢字表記だと雄々しくて、ウサギさんがジョジョ立ちしているようにも見えて来ませんか?(※見えません)
サイズ
- 全長:248mm
- ヘッド径:89.9mm
- グリップ径:52mm
- 本体重量:831g(電池除く)
- 防水性能:IPX-8(2m)
- 耐落下性能:1.5m
※全てカタログ値
SD75 は Cree XHP70 をフルドライブしてThrow系(遠射系)ともいえる遠射性能を実現した製品なので、放熱や大型リフレクターの関係でヘッドサイズが大きくなります。(ヘッドパーツだけでTN36-UTより大きいです)
また、リア部分に電池残量を示すインジケーターやUSB入出力機能が集約されているので、その分グリップ部分も長くなっています。
ただ、これだけ巨大なヘッドでありながら、電池をセットした状態だとヘッド部分が異常に重い…という感じが全くしないから不思議です。
ヘッド部分とグリップ部分(電池含む)の重量を測ってみたところ150gほどヘッド部分が重いのですが、使用時にはヘッドの重さをあまり感じません。推測ですがSD75を持った時の水平重心位置がジョイント部付近に来るように設計されているからだと思います。
さすがに全装備重量が1.1kg強となるので片手で自由自在に振り回すのは無理ですが、ヘッドサイズの割りにハンドリングが楽なのは意外でした。
ボディ
グリップ部分全体に長方形のグリッドが刻まれ、さらにリング状の深い溝が設けられています。
リング状の溝はライトを持った時の水平方向(前後)の滑り止め効果を高めると共に、細かなグリッドを各ブロックに分割することで見た目にもリズム感が生まれてSD75のサイズから来る重量感をうまく打ち消しています。
(単純ですがこのように機能的かつセンス良くまとめるのは結構難しいのです…※経験談)
各グリッドも深めに刻まれていて回転方向のグリップ感も良好です。
HA3塗装も塗装ムラなど一切無く均一で美しい製品となっています。
各ジョイント部は角ネジとなっており、強度も加工精度も申し分ありません。
大きなヘッドを取り付ける際も、シュコッ、シュコッ…って感じで回せるので操作していて楽しくなります♪
ヘッド
LEDが1基とはいえ、32WのXHP70をフルドライブするだけにヘッドが大きく、その分放熱フィンも大きく深くなっています。
ガラスフィルターがビニールで養生されているライトを見たのはSD75が初めてです。
フィルターは両面ARコートされた強化ガラス製で99%の透過率…といっても、数値だけだと普通に感じますが、これだけ大きな径のフィルターとなると、均一にARコートして像の歪みを抑え、強度を確保しながら透過率を上げる…ってのは結構大変なのです。
一般に強化ガラスは耐衝撃性を向上させるために硅石の結晶を・・・って、ガラスのことを語り出すとキリが無いので自粛…(´・ω・`)
ヘッド先端のベゼル部分が波形になっていますが、消し忘れ防止とヘッドに加わる衝撃を緩和する為だと思います。
画像ではエッジが立っているように見えますが指先で触っても違和感を感じるほどではありません。
SD75のヘッドサイズは発熱との関係だけでなく、XHP70でありながらThrow系(遠射系)の配光を実現する為のサイズでもあります。
OPリフも大きく深くなっていますが、これだけ大きなリフレクターになるとOPテクスチャを均一に蒸着するのも一苦労なんじゃないかなと…
XHPシリーズのようにダイサイズの大きなLEDで遠射系の配光を実現するとなると、リフレクターの口径を大きく深くして集光率を高める必要が出て来ます。
これまでは、こうした単眼・ビッグヘッドで遠射系テイストのライトには10W級LEDを除くと MT-G2 を採用する製品が多かったのですが、MT-G2 はXHPシリーズからすると技術的に一世代前のLEDとなるので効率や発熱、光学特性の面で個人的にイマイチ感が拭えませんでした。
なので、XHPシリーズを載せた単眼でハイパワーな遠射系の製品がリリースされるまで、MT-G2搭載製品に手を出さずに 『ジイィィィィー…』 っと我慢していました。(※個人的に単眼で遠射系というのが譲れない重要なポイント)
LUMINTOP以外のメーカーからもXHP70*1の遠射系製品はリリースされていたのですが、SD75のようにフルドライブされておらず、XHP70の性能や長所を最大限活かしている製品はありませんでした。
で、1*Dセルでも使えるSD4Aもそうですが【有りそうで無かった製品】をリリースしてくれたのは、やはりと言うべきかLUMINTOP社でした。
逆にSD75のヘッドサイズからして複眼のXHP70をフルドライブして12,000ルーメンを実現するのが物理的(熱的)にいかに困難か・・・というのも実感できます。(鬼に笑われるかもしれませんが、XHP70を複眼にしてover 10,000Lmを狙うなら円形ヘッドじゃなくてスクエア(四角)ヘッドにして4灯のXHP70を…ゴニョゴニョ)
ヘッドの接点側は全て金属でカバーされ、強度と耐久性、安全性が確保された構造となっています。
SD75には本体にUNC 1/4インチ規格の三脚穴が設けられ【照明】として使用する際にはブラケットなどを介さずに直接SD75を三脚にマウントできます。
これは個人的にも嬉しい仕様(装備)のひとつです♪(*´∇`*)
1/4ネジはストラップ(…というよりスリングかな?)ホールも兼ねているので紛失することも少ないでしょう。まぁ、例え紛失しても市販のカメラアクセサリーの1/4ネジを着ければ良いかなと…
三脚穴はヘッドパーツのスイッチの反対側に設けられライトの操作性を低下させることなく、また、水平重心が丁度この辺りなので 『マウントしたは良いがバランスが悪くて三脚が転ぶ…』 なんてことも起こらず安定しています。
スイッチ
スイッチ周りのリングが台座の役割を果たし、スイッチトップとほぼ同じ高さになっています。
後述するON/OFF操作方法との関係もあって誤点灯することはまず無いと思います。
スイッチは圧電式(メンブレンスイッチ)だと思うのですが、機械式スイッチに近いストロークとクリック感が有るので違和感はありません。
スイッチ面積も大きくレスポンスも良いので手袋をしていても楽に操作できます。
操作/モード
SD75のON/OFF操作は、メインスイッチを長押し(0.5秒)して行います。
- Low:150 Lumen(50時間)
- Mid:1800 Lumen(8.33時間)
- Hi:4000 Lumen(2.68時間)
- Strobe:4000 Lumen(5時間)
搭載モードは計4モード。
当たり前になりつつある微光モードは有りませんが、逆に微光モードが有っても 『SD75のサイズで微光?…使わんだろ?(ーー;)』 って気がするので(笑)個人的にはマイナスポイントだとは思いません。
微光モードの代わりに(?)SD75にはUSBポートに接続して使うミニライトが標準で付属します。(※詳細は第三部にて)
モードの変更は点灯状態でメインスイッチをクリックする度に《Low》→《Mid》→《Hi》→《Low》…の順でモードが移行します。
ストロボは点灯中にスイッチをダブルクリックするとストロボモードになり、再度クリックするとストロボの前に使用していたモードに戻ります。
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SD75の各モードのルーメン値だけを見ると、近年の爆光仕様ライトとしては控えめで大人しいと感じるかもしれません。(…って、単眼で4,000ルーメンってのは凄まじい数値です)
が・・・、何度も言いますがSD75が凄いのはXHP70をフル駆動させている点であり、それが各モードのランタイムにも表れています。
一番判りやすいのは、Mid:1800 Lumen の 8.33時間ですが、4×18650のバッテリーでこの明るさを8時間以上持続可能というのは、それだけ高効率で駆動させているからだと思います。
Vf=12Vに拘らずにXHP70を6V・4.8Aでフル駆動させる手もありますが、4.8Aもの大電流を安定的に供給する為には、高放電性能を持つマンガン系Li-ion充電池(IMR)が必要になり、IMR限定仕様のライトなら製品化できるかもしれません。ただ、それだと従来のコバルト系(ICR)電池では電力供給が追いつかず、もし使えたとしても6Vでのフル駆動は難しく製品としての魅力は半減してしまいます。
高効率を実現するには技術やコストの問題、熱対策などのハードルがあり、それらをクリアして製品化されたSD75にdoormanは萌えてしまうのです♪(*´∇`*)
ちなみにSD75はオーバーヒート対策が施されておりHiモードでの連続点灯は3分間に制限されて3分経過すると自動減光してLEDを熱から保護するようになっています。(intelligent thermal management)
実際に自分でも試してみたのですが、手動計測で2分45秒経過した辺りでリミッターが発動して自動減光されました。何ルーメンに下がるかについてはメーカーからアナウンスがありませんが、自動減光されてもMidの1800ルーメンよりも明らかに明るいのでガッカリする必要はありません。(逆にこの明るさでも熱的に大丈夫なの?・・・と心配になるかもしません)
リア
リア側にスイッチはなく半透明のアクリル製の小窓(?)が付いています。
リアキャップを外すとLEDインジケータに2つのUSBポート、DCジャックと小さなスイッチが表れます。
ミニ・スイッチはメカニカルなリバースクリック式でスイッチを押すと電池残量が表示されます。
このままリアキャップを閉めると半透明の小窓から電池残量が確認できる仕組みで、電池残量を表示させたままライトも使用可能です。ただし、便利なインジケーターですがライトを使い終わってインジケーターを切り忘れると無駄に電池を消耗してしまうので要注意です。
SD75のサイズからしてストラップやランヤードではなくスリングを着けたほうが使い勝手は良さそうで、ストラップホールも大きめに出来ています。
ひとつ気になったのはホール部分のエッジ処理で、外周側は面取り処理されているのですが内周側(中心側)はエッジが立ったままなので細いコードだと擦り切れてしまう可能性があります。スリングの金具を通すなら問題無いのですが少し気になりました。
グリップパーツの底にはバッテリーホルダとの接点が有りますが、ヘッドの接点と同じく中央がスプリングになっているのでヘッドの装着がスムーズに行えます。
電池
3.7V(あるいは3.6V)のLi-ion充電池を4本、付属のバッテリーホルダーにセットして使いますが手持ちのIMR18650だと電池が短すぎてホルダーにセットできませんでした。
長過ぎてセットできないケースばかり想定していたので短くて使えないのは盲点でした。
【-】極のスプリングを引っ張ってIMR18650電池を固定出来なくはないのですが、しっかりと電池が固定されないので無理に使わない方が無難かと思います。
ホルダー自体は剛性が高く頑丈な造りで、中央部の接点にはスプリングが内蔵されています。
ヘッド、リア、ホルダーの各接点がスプリングによって支えられ、ジョイント部のネジ加工も精度が高いのでヘッドの脱着/電池交換が軽いチカラでスムーズに行えるわけです。
マニュアルによると動作電圧が5.9V-8.4Vとなっているのですが、バッテリーホルダーにプリントされている【8.4V Batt-A】の表記から、もしかしたら18650を2本1組で並列にしているのかもしれません。(※未確認)
ホルダーに電池をセットする際の極性が間違っていなければ本体にバッテリーホルダーをセットする時に挿入方向を意識する必要はありません。どちらから挿入しても問題なく点灯します。
まとめ
以上、駆け足で LUMINTOP SD75 の主要部分を見てきましたが、SD75を一言で表すとしたら
『 SD75は楽しい♪(*´∇`*) 』
の一言に尽きると思います。(ベタな表現でゴメンなさい…)
・トランクを開けるのが楽しい♪
・巨大なリフレクターが楽しい♪
・Hiモードで照らして楽しい♪
・三脚にセットして楽しい♪
・USBポートが楽しい♪
・インジケーター動作が楽しい♪
・電池交換が楽しい♪
・回路を想像するのが楽しい♪
etc…
今までに色んな製品を見て(触って)来ましたが、こういう感覚を抱いた製品は、この LUMINTOP SD75 が初めてです。
飛ぶから楽しいのか? それとも多機能だから楽しいのか?
…色々考えましたが、只それだけの単純な理由ならば夜な夜なSD75を見て顔がニヤけることは無いハズです。
ココまで書いて来て感じるのは、SD75は物理的なボディバランスだけでなく性能や諸々の仕様のバランスが良いからかなぁ…と、自分は思うのですが…どうでしょう?
普通の人(?)に 『楽しいライトだよ♪』 と言っても理解して貰えないのですが、少なくともこのブログを読んでくれている読者諸兄には、きっと解って貰えると信じています。
SD75をEDC的に持ち歩く強者は少ないと思いますし、車のシガーソケットから充電可能なDC12Vアダプターも備えている点でも、SD75は基本的に車に積んで移動しオートキャンプなどで使うことを想定している製品だと思います。
こういう【楽しいライト】をキャンプで使うとアウトドアライフがもっと楽しくなるだろうなぁ…と、思う今日この頃です。
次回は LUMINTOP SD75 レビューの第二部:屋外照射(照タイム)を予定しています。
このレビューを見て気になり始めて、51%offにつられてGearbestに13日に注文、
16日発送で18日に届きました。思いの外、大きなダンボール箱だと思ったら、中に
小さなダンボール箱が入っていました。小さなダンボール箱がちょうど2個入る大きな
外箱は少し潰れていましたが、内箱には問題ありませんでした。
アルミ製ケースの印象は思ったより小さかったのですが、初めての長さ20cm・
重さ1kg(実測579g+462g)越えのフラッシュライトはずっしりと重かったです。
同じような遠射性能のFENIX TK75 2015 を2月に買ったばかりで、次は
拡散系をと思っていたのにXHP70と三脚穴付の誘惑に負けてしまいました。
電池はTK75の点灯時間延長キット用に買っていた KEEPPOWER 18650
3500mAh Li-ion充電池4本を流用?して使っています。
拡散系のフラッシュライトは気に入った三脚穴付が見つかるまで気長に探します。