LUMINTOP製品が正規代理店を通じて日本のamazon(店名:Aoniro J)にて購入可能となるのを機に、今回、フルチタンボディーの LUMINTOP TOOL Ti (Nichia 219B搭載品)レビューの機会をいただきました。
LUMINTOP製品は、約2年前に1AAAのTOOL AAA (XP-G2/CW)を海外通販で購入して今も使い続けていますが、この TOOL Ti はその名の通り同社のTOOLシリーズのチタンモデルとなります。
TOOL Ti は、電子式スイッチを採用し、このNichia 219B搭載品の他にXP-G2バージョンもラインナップされています。日亜 219B は演色性(CRI)の高さに特徴があるLEDなので、スイッチの特徴や操作性も含めて TOOL Ti の使用感をお伝えしたいと思います。
※製品仕様は改良の為に予告なく変更されることが有り、製品ロットによっては本記事の内容と異なる場合があります。
■製品HP
・LUMINTOP Official HP
・LUMINTOP TOOL Ti
■関連記事
・LUMINTOP TOOL AAA / 3 mode version
パッケージ
ロゴマークとロゴタイプ、それに《Luxury Flashlight》の銀文字が箔押しされ、PUレザーの内張りが施された化粧箱に、Ti本体、ステンレス製クリップ、予備Oリング(2個)、キーチェーン、取扱説明書が入っています。
サイズ
・全長: 74mm
・ヘッド径: 14.4mm
・ボディ径: 14.4mm
・本体重量: 22g
・防水性能: IPX-8 (2m)
・耐落下性能: 1.5m
※全てカタログ値
※ボディのくびれ部分は実測で約12.4mm
姉妹機のTOOL AAA と比較すると、スイッチの違いで少しコンパクトになっています。
(TOOL AAAも使用頻度が高いのでかなりくたびれて来ています…)
電池込みの装備重量(eneloop Pro)は約35g。
使用する電池により装備重量は変動しますが1AAAのEDCライトとしては軽量な製品です。
他メーカーのチタンモデルと比べると数グラム程度の重量差がありますが、これはヘッド部分に真鍮製のパーツが使われている為です。(※詳細後述)
ボディ
TOOL Ti は、とにかく美しいフルチタンボディーのEDCライトですが、仕上げはチタン(Ti-6Al-4V)削り出しそのままという感じで、チタンの素材感が全面に漂い、それがやや無骨ともいえる製品デザインと上手くマッチしています。
ヘッド、ボディ、リアに刻まれたローレットのピッチも均一で、一見するとシルキーな感触に見えますがグリッドのエッジが効いているので見た目以上にグリップ感あり、濡れた手で掴んでも滑ることはありません。
付属のステンレス製クリップはどちらの方向にも取り付け可能です。
ヘッド
両面ARコートされた強化ガラスフィルターでリフはOP仕様。
EDC用途にピッタリの拡散系の配光です。
先端のOリングはGITD(蓄光)になっています。発光度合いは小さいのですが消灯直後であれば暗闇でもライトを見失うことがありません。
よくテールスイッチ部分が蓄光になっているライトを見かけますが、よくよく考えると常に光源下にライトを置いている場合を除いてリアスイッチが蓄光になっていてもあまり意味が無いんですよね…(って、自分も一部の製品をGITD仕様にMODしていますが…)
なので、ヘッド部分のOリングが蓄光なのは合理的かつ実用的で個人的にも嬉しい仕様です。
ヘッド部分にLUMINTOPの新しいロゴマーク(月と兎)と、これも新しくゴシック体になったロゴがレーザー刻印されています。
社名の【LUMINTOP】は《光る、輝く》を意味する【luminous】と《頂点》を示す【top】との造語だと思うのですが、【luminous】の語源を探ると《月の~》を意味する【lunar】とも無関係ではないようです。
《月と兎》の話はチョット切ない話なのですが、月に兎がいるようにLUMINTOPのライトに兎が住んでいても違和感がなく…って、結局ナニが言いたいかといえば、自分はこのロゴマークが好きってことです♪(*´∇`*)
TOOL Ti だけでなく、全ての製品に《兎の皮を被った狼》的なトコロがあり、『舐めてるとケガするぜ!ピョンピョン…』とういうメッセージが込められています。←※個人の妄想妄言です
もしかしたらコストの関係なのかもしれませんが【削り出し感】を損なわないようにヘッド部分に限らずボディの各部も切削加工部のエッジを 『敢えて残したのかな?』 と、自分は感じるのですが、それでもTiが無骨に成り過ぎていないのはヘッド部分の金環がポイントになっているからだと思います。
この金環はBrass製(真鍮)で、位置関係からしてLEDと回路基板がマウントされているキャニスターの一部を露出させ、デザイン上のアクセント(装飾)だけでなく放熱効果も担っているようです。
製品HPの画像を見ると、この金環の部分からヘッドが分解出来そうですが、自分の個体はヘッド部分は外せないようになっています。なので実質的に TOOL Ti は2ピース構成のライトとなり、姉妹機(?)のTOOL AAA のようにヘッドツイストでのON/OFF操作はできません。
LED
LEDは Nichia 219B を搭載。
他にも CREE XP-G2 搭載バージョンが有りますが、演色性(CRI)よりも明るさを求めるなら XP-G2 を選択できます。
219Bの詳細な仕様についてはデータシート[PDF]を参照してもらうとして、外観を見る限りでは特に変わった点も無くXP-G2と比べてダイがちょっと大きいかなぁ…程度の違いです。
見慣れたCREEの四角いLEDベースが見えないのが新鮮で、個人的には目玉焼LEDのようで親近感が湧きます。
LEDのランクについては言及されていませんが、光色は Neutral White で色温度が低くEDC用途に合っていると思います。※演色比較については後半の照射画像をご覧ください。
スイッチ
TOOL Ti はスイッチもユニークで、クリック式ですがメカニカルな機械式ではなく電子式スイッチとなっています。
一見するとフラットに見えますが、ボタン表面は0.2~0.3mmほど周囲より低くなっていて、ほんの僅かですがストローク感(たぶん1mm以下…)とクリック感も感じられて、スイッチを【指先で押す】ように操作するスイッチです。
リアを緩めてのロックアウトが出来ないのでポケット内での誤点灯の可能性はゼロではありませんが、ヘッドツイスト式のようなリア形状でありながらリアスイッチというのが新鮮で、ユーザーの好みや評価は別れると思いますが面白いスイッチだと思います。(個人的にはデメリットは感じませんし、特に使い辛いとも思いません)
電子式スイッチ回路に興味があるのでロックリングを外して中身を見ようかと思いましたが、2つ孔が小さくてピンセットでも回せなかったので諦めました。想像するに圧電素子とかが使われているんじゃないかなぁ…?と、思います。
ただ、開封直後に電池をセットしてスイッチをONにしても点灯しなかったのには焦りました。
コレについては製品HPにも 『新品の時は電池を入れてから20分待ってネ♪(意訳)』 と注記があります。実際には数分程度で正常にON/OFF操作できるようになりましたが、不具合ではなく【仕様】なので慌てないで下さい。また、しばらく電池を抜いた状態で保管し、再度電池を装填して使用する場合も同様です。
※森のなかまさんの記事の中でも新品のスイッチ動作について触れられています。
ちなみに冬物の分厚い革手袋をしていてもスイッチのON/OFF操作は可能でした。
スキー用などの中綿が入ったような手袋だと厳しいかもしれませんが、指先で普通に操作できたのは意外でした。
いくら zero-power-consumption と言えど理論上は待機電流が流れているハズだ・・・と、ちょっと意地悪な考えの元に電流計測を試みました…(^^;
自分のテスターではスイッチOFF状態の通電電圧は0.034~0.042Vを検出しましたが、電流については【μA】のレンジでも検知できませんでした。例え微弱な電力を必要としていても 0.001μA以下ならば電力消費を気にする必要は全くありませんし【zero-power】というのにも納得です。(疑ってゴメンなさい…)
ストラップホールは径が小さく、ここもエッジが立っているのでナイロンコードの松葉だと切れてしまうかもしれません。付属のキーチェーンには線径の細いスプリットリング(Wリング)が使われていますが、別のストラップなどを取り付ける場合は、このWリングを介して付けるのが安全だと思います。
リアのジョイント部も加工精度は高く、メタルタッチによる若干の抵抗感がありますが安価なアルミ製ライトよりも遙かに滑らかに回せます。
モード
・Mid: 18 lumens (4 時間)
・Low: 3 lumens (36 時間)
・Hi: 80 lumens (30 分)
・Max Beam Intensity: 304cd
・Max Beam Distance: 34m
※全てカタログ値
搭載モードは3モードでモードメモリ機能は無く、消灯後3秒以上経過(※実測値)するとリセットされて常に《Mid》からのスタートになります。この辺りの仕様はTOOL AAA で慣れているので違和感は感じませんでした。
スタートが《Mid》か《Low》か…、どちらが良いかは使用状況によって変わると思いますが至近距離を照らす用途の多いEDC系ライトに於いては【常に~スタート】というのは重要な仕様(要素)だと思います。
スイッチをON/OFFする度に《Mid》→《Low》→《Hi》→《Mid》…とモードが変わり、モード変更時には常にこのループを繰り返します。
電子式スイッチの動作はフォワード式ともリバース式とも異なるのですが、点灯のタイミングはフォワード式と同じでスイッチを押した時に点灯します。
【半押し】という概念は無く(間欠点灯も不可)モード変更するには完全に《OFF》にした後、3秒以内に再度《ON》すると次のモードに移行します。
電池
動作電圧は 0.9 ~ 1.5v
単四形のアルカリ乾電池とeneloopなどのNi-MH充電池が使えます。(※10440 Li-ion充電池は使用不可)
電池室にも余裕があり eneloop Pro も問題無くセットできます。
エネループ使用時は、電池電圧がエネループの基準電圧である1.2V付近になると【Hi】モードの照度が下がり【Med】と【Hi】の差が視認し辛くなります。アルカリ乾電池を使用した場合も電池電圧が下がれば同じ状態になるのですが不具合ではありません。(新品のアルカリ乾電池やリチウム乾電池を入れてみるとその差がハッキリと判ります)
照射
Low:3 Lumen
水平照射
配光/演色比較
LUMINTOP TOOL Ti
LUMINTOP TOOL AAA
やはりというか Cree XP-G2(CW) と比べると、日亜 219Bとの演色性能の違いがよく判ります。
『TOOL Ti は光色がNWだからじゃないか?』
…と、思われるかもしれませんが、見た目の光色(色温度)だけの違いであれば、ペットボトルキャップの【赤】や【青】の発色が219Bでも悪くなり、背景のカッティングマットの色も濃く見えるハズです。
そうした見た目の色の変化が起こらないのは、やはり 219B LED の演色性の高さ、具体的にはR・G・B、各波長のバランスの良さによるものだと考えられます。
LEDの演色性というと有彩色の再現性はもちろんですが、光を当てた時に肉眼で演色性の違いが一番判りやすい色は無彩色の【白】で、純白がちゃんとした【白】として見えるか否かで光の波長のバランスがある程度判断できます。
分光器などで演色性を測定する場合には基準となる色がありますが、そうでない場合は単に【赤】とか【青】と言っても色の幅が広すぎて判断に困ってしまいます。3波長のバランスが悪いと純白のハズの対象物が赤みががったり青っぽく見えたりするので、手元にある白い物が太陽光下と同じ白に見えるか否かで演色性の判断が可能です。
3~80ルーメンの明るさで色の再現性を力説されてもなぁ…と、思われるかもしれませんが、複雑な配線の色を確認する場合や、暗い倉庫内で微妙な製品の色を見分ける必要がある時には、明るさよりも演色性が重要な要素になるかと思います。
まとめ
ドキドキしながら化粧箱を開け、初めて LUMINTOP TOOL Ti の実物を目にした印象は・・・
『これは芸術品ですな…(´ー`)』
ってのが、偽らざる第一印象です。
※指輪の入った箱を開く時のドキドキに似ているんじゃないかなぁ・・・経験したことないけど(笑)
『アルミさんが好きです…でも、チタンさんはもっと好きです♪(*´∇`*)』
そんな懐かしい(?)TVCMのフレーズが頭に浮かぶ製品で、まさに《Luxury Flashlight》と呼ぶにふさわしいモデルです。
自分は、基本的にライトというモノを【道具のひとつ】として捉えているのですが、この TOOL Ti に関しては、【道具】として使えるのは勿論、アクセサリーとしての要素も兼ね備えており、男性だけでなく女性にも抵抗感なく受け入れられる製品だと思います。
しかし、価格も1AAA仕様の製品としてはフラッグシップ級で気軽に購入ってワケにも行かない価格…だとも思います。
明るさについても Nichia 219B 搭載品はHiモードでも80Lmなので、数値を追い求める方にはモノ足らず、高演色性に価値が見出せないなら割高に感じるかもしれません。ただ、1AAA仕様のチタン製ライトとしてこの演色性は他では得難く、NWの光色と拡散系の配光がEDCライトとしての使い勝手を更に高めてくれているのも事実です。
所有する喜びと満足感は確実に得られますし、TOOL Ti は工芸品の雰囲気を漂わせつつも実用的なツールなので【清水の舞台からバンジージャンプ】の勢いで購入してもきっと後悔はしないハズですし、夜な夜な箱から取り出して眺め 『よし、明日もガンバロー!(゚∀゚)』 とカンフル剤的に使うのもアリだと思います。
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この TOOL Ti に限らず、最近のLUMINTOP社は良い意味で【攻めてるメーカー】の印象があります。
TOOLシリーズは、アルミとチタンの他にも Copper(銅)バージョンが存在し、アルミモデルには2種類のテール(スイッチとリアキャップ)が同梱されたセットモデルも用意されています。2種類のリアを付け替えることにより1本のライトがテールスイッチ式にもヘッドツイスト式にもなるので、ユーザーの使用環境や好みに合わせて使い分けられ、こういう『1粒で2度おいしい』方法が有ったかと、目から鱗でした。
※1-body/2-tail 仕様のTool AAA set も森のなかまさんのブログで紹介されています。
他にも4AA(単三電池×4本)でも1D(単一電池×1本)でも使えて、サイズさえ合わせれば3.7VのLi-ion充電池でもOKなマルチ電池サイズ対応の SD4A などなど、これまでに有りそうで無かった製品が次々とリリースされているので今後の製品展開も含めて目が離せないメーカーです。
次回は、LUMINTOP社の超ド級フラッシュライトのレビューをお届けする予定です。
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