
ThruNite Archer 1C の【Archer】は【弓を射る射手】の意ですが、CREE XP-G2 とミラーリフの組み合わせなので、OPリフ + XM-L T6 搭載の Neutron に比べ、若干スポット寄りの配光になっています。
このスポット気味の配光が1点を貫く弓矢のイメージと重なるのは確かですが、実際自分で使ってみると
『ネーミングの意図がソレだけでは無いのでは?』
と思え、( ̄ー ̄)ニヤリ としてしまいました。
単三(1AA)仕様の Neutron 1A との比較をメインに、その辺りもレビューしたいと思います。
INDEX
パッケージ



他の ThruNite社のEDCタイプ製品と同じ紙箱のパッケージです。


内容物は本体、スペアのOリング、ホルスタ-、取扱説明書。
ホルスターは Neutron シリーズと同じタイプです。
サイズ

CR123A(または16340)×1本の仕様なので Neutron 1A よりコンパクトなサイズで、単三×1(1AA)仕様のパトリオ6やパトリオ8と、ほぼ同じ長さです。
同じ1×CR123Aの ThruNite T21と比べると長く感じますが、スイッチユニットやリフの深さを考えれば、全長 89mm は充分コンパクトなサイズだと思います。


電池(RCR123)込みの重さも 63g と軽量なので、EDCライトとして普段持ち歩いても気にならないと思います。
ボディ


ローレット処理や各部ジョイントの角ネジなど、殆どが Neutronシリーズと共通となっています。



既に Neutronシリーズを使っていると新鮮味は有りませんが、どちらも基本をしっかりと押さえ丁寧に造り込まれたシンプルなライトなので満足度は高いと思います。(無駄に派手なライトは人前で使うのを躊躇ってしまいます)
スイッチ



Neutronシリーズと大きく異なる点の一つがスイッチで、Archerシリーズはスイッチ半押しでの間欠点灯が可能なフォワード・クリック式となっています。
リバース式の Neutron は、スイッチブーツ面がフラットになっていますが、Archerは少し“プックリ”と膨らみが有り、間欠点灯時の操作も行い易くなっています。
スイッチは適度な反発力が有り、ストロークも浅過ぎず深過ぎず、しっかりとクリック感があるタイプです。
フォワード式スイッチを採用したライトの中には、希にブーツとスイッチユニットの間に空間が有ったり、点灯するまでのストロークが深すぎたりして、自分でゴム片を挟むなどして微調整しますがArcherのスイッチについてはカスタマイズする必要性は感じません。
個人的に、どんなに高価で高性能なライトでもスイッチの操作性がダメダメだと使う気が失せたり、愛着が持てなくなるヒトなのでスイッチへの拘りは結構強いのデス。(スイッチ丸ごと交換したライトもチラホラ…)

スイッチ廻りのクラウンは Neutron と同じくスイッチの操作性を考えつつ、スプリットリングを付けてもテールスタンドが可能な形状になっており、リアキャップを少し緩める事で誤点灯防止(ロックアウト)が可能となっています。
長孔が片側各2つから各1つになっていますが、操作性や携帯性には全く影響有りません。
逆に Neutron と両方所有する場合は、ひと目でNeutronとArcherが区別できます。
多数のライトを所持するライトマニアの事をよく判っていると言うか、細部まで手を抜かないメーカーの姿勢が伺えます。
ヘッド/LED

ステンレスベゼルやARコートされたガラス製フィルターも Neutron と同じです。
Neutron のリフはOPリフとなっていますが、Archer ではミラーリフとなっています。
実際に測ったワケでは有りませんが、外観から推測するとリフの深さも Neutron と同じ深さだと思います。


冒頭で述べた様にLEDが CREE XP-G2 なので、天井照射レベルの至近距離だとスポット寄りの配光だと確認できますが、屋外で普通に使う場合はそれ程スポットを意識する事は無いと思います。(つまり周辺光も充分に存在する)
モード

- Mini:0.2 lm(315時間)
- Low:24 lm(13時間)
- Med:90 lm(2.7時間)
- Hi:281 lm(48分)
- Strobe:281 lm(1.5時間)
の計5モードとなっています。
Hiでの点灯時は、それなりに発熱が有りますがヘッドのサイズ(長さ)が大きい為か、1分で即アツアツと言う事にはなりません。
メモリー機能を備え、消灯時のモードで再点灯しますが、これは間欠点灯時に於いても有効です。
例えばLowで消灯したら何度スイッチを半押ししてもモードが変わる事無くLowで再点灯し、全押ししても同じくLowで点灯します。(ストロボで消灯してもストロボで再点灯)
モードの切替は、スイッチの半押し・全押し状態に関わらず、点灯時にヘッドの【締める/緩める】でモードを切り替えます。
Neutronは2つのグループをヘッドの【締める/緩める】で切り替えますが、Archerはグループの区別が無く、よりシンプルな操作になっています。
個人的に感心したのがモード切替時の点灯状態でして・・・
ナント!Archer はモード切替時でもライトが消える事が無いのです!(`・ω・´) キリッ
『は?普通じゃネ?』 と思った方…
もし多モード式のライトを持っているなら、試しにモードを切り替えてみて下さい。
リバース式でもフォワード式でもヘッドのツイスト式でも、モードの切替時には電流を瞬断する関係で、必ず一瞬消灯するハズです。
ところがArcherはヘッドを少し(約5mm)緩めて締めると、瞬断(消灯)する事無く点灯状態を維持したまま次のモードに移行します。又、少しヘッドを緩めた状態で点灯し、その状態からヘッドを締めると点灯開始からの時間経過に関係無く次のモードに移行します。
(例えば緩めた状態でMed点灯し、10分後、20分後にヘッドを締めても、その時点でスグにHiに切り替わります)
【Archer】というネーミングは、スポット寄りの配光もそうですが、実はこのモード切替時でも点灯状態を維持する事から来ているのでは無いかと勝手に思っています。
つまり、狙った獲物は逃がさないゼ…( ̄ー ̄)ニヤリッ みたいな・・・
例え瞬間的にでも照射対象を暗闇に紛れさせる事無く、視界に捉え続ける…みたいな・・・(※全て私の想像です)
何れにせよこの感圧式モード切替機構は、ただ新鮮と云うだけでなく便利で実用的です。
感圧式のモード切替自体は特別新しいワケではありませんが、普段リバース式スイッチなどで切替を行っていると、点灯状態を維持するのは不思議な感じがします。※同じ ThruNite社の Ti2 が感圧式
ヘッドをかなり緩めた状態ても点灯状態を維持できるので、『モード切替に失敗して真っ暗…』という事が起きません。
普段はヘッドを少し緩めて Med や Low で使い、常時点灯時にワン・アクションで、何時でも必要な時に1段上のモードに切替られるシステムは、間欠点灯が可能なフォワード式スイッチと合わせて使ってみると、その便利さがしみじみ判ると思います。(※特に間欠点灯を多用する方にお薦め)
ヘッド全体にローレットが施されているので片手でスムーズにヘッドを操作でき、切替に必要な移動量も少ないのでモード切替操作が煩わしいとは感じないハズです。又、移動量が約5mmと言うのも決して大袈裟な数字では無く、ヘッドにマウントされた基板とボディとの精度が高いからこそ可能になっているのだと思います。
照射

使用可能な電池はCR123Aと最大電圧が4.2Vの16340 Li-ion充電池ですが、チョイ太めの SOLARFORCE 16340 は使えませんでした。
光色は Cool White の通り、真っ白です。
5mm砲弾型LEDのような青みの強い白でも無く、ニュートラル・ホワイトに近い白でも無い、ほぼ『純白』という感じです。

※Neutron 1A (XM-L T6 / CW) との比較



Neutronシリーズにも有った FireFly-mode も健在(?)で、LEDのダイが確認出来るほどの弱い光で点灯します。

※T21 / Archer 1C / Neutron 1Aとの照射角・光色比較
リフの深さと位置、ベゼルの関係でT21より照射範囲は狭くなりますが、その分距離が伸び、Archerは上記3製品の中では最も遠射系のライトとなります。
集光系か拡散系か・・・
コレは『好みの問題』になるかと思いますが、各々が用途に見合った配光だと思います。
(T21はEDCテイストがより強くになっているので拡散系)
Hi:281lm

屋外照射
白昼(立木まで67m)

Firefly

Low

Med

Hi

ThruNite Archer 1C – All mode

※WB=太陽光
計測
Hiモード時(281lm)のテール電流を計測。
RCR123-電池電圧:3.99V / 1.071A


CR123A – 電池電圧:3.05V / 1.487A


計測結果から逆算するとCR123A使用時(容量1100mAの場合)のHiモード点灯時間はカタログ値に近い事が判ります。(すなわち信頼できる公称スペック)
また、電池電圧に左右されずに安定した輝度が得られるので、乾電池と充電池の違いを意識せず、両方の電池を安心して使う事が出来ます。
高いルーメン値を求める方にとっては不満かもしれませんが、使用する電池電圧によってHiやMaxモード時の連続点灯時間に留意しなくてはならないライトより使い易いのではないでしょうか?(電圧に連動して電流をコントロールする方が回路的にも高級ですし・・・)
まとめ
姿、形は兄弟なれど Neutron と Archer は全く別物のライトです。
正直、実際に自分も使ってみるまでは 『スイッチとLEDが違うぐらいだろうな…』 ぐらいにしか考えていませんでしたが、イザ使ってみると良い意味で期待を裏切られました。
かなり抽象的な表現ですが
Neutron は都会的なライトで、Archerは野生的と言うか…
Neutron が農耕民族だとしたら、Archerは狩猟民族と言うか…
とにかく既にNeutronを所有している方が、Archerを購入しても絶対に後悔する事は無いと思います。(2C以外はパーツの互換性も有るし…( ̄。 ̄ )ボソ )
贔屓目かもしれませんが、個人的にこの ThruNite Archer 1C には欠点が無い様に思えます。
敢えて言うならば、ストロボモードは【1秒以内に半押し2回】とかで切り替わると、更に使い易いかなぁ・・・ぐらいで、ソレ以外では不満な点が一切有りません。(通常点灯モードの切替と同じ動作でストロボモードに切り替わると、HiからMiniに戻る際、意識して操作するのがやや面倒なので…)
Neutron か Archer か…どちらか一方を選ぶとなると、コレはかなり悩みます。(両方買っとけ…( ̄。 ̄ )ボソ )
結局、メインの使用用途に合わせて選ぶのが一番だと思いますが、選ぶ楽しみが増えた事だけは間違い無いデス!(`・ω・´) キリッ
更に悩むのが電池仕様だと思いますが、単三電池に拘りが無く小型で明るいライトを求めるなら、思い切ってCR123A対応ライトにする事をオススメします。(明るさだけが全てでは有りませんが、やっぱり…ネェ)
単三乾電池の入手性やランニングコストの低さは捨てがたいのですが、どんなに頑張っても単三乾電池では性能に限界が有るのも事実で、電池の呪縛から解き放たれると確実に目の前にワンダーランドが拡がりマス。(※経験者談)
充電池や充電器への初期投資が必要となりますが、マルチサイズ対応の充電器を使って16340のLi-ion充電池が使える環境を整えると、結果として18650も使えるのでライトの選択肢が一気に拡がります。(可能ならPayPalのアカウントを取って海外通販を利用すれば無敵モード確実です)
『将来、単三乾電池とサイズが同じ14500 Li-ion充電池も使えるし 1AA仕様を・・・』と、
Neutron 1A を購入した時に考えたのですが、結局、未だに自分は14500 Li-ion充電池を使っていません。
16340と比べて14500はサイズ的にも容量的にも余りメリットが無い事が判り、対応していない機器での誤使用の危険も大きいので、私自身はこれから先も14500 Li-ion充電池を使う事は無いと思います。
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カタログ上のスペックだけを比較すると Archerシリーズは凡庸なライトの印象を受けるかもしれません。
同じ電池仕様でも最大輝度がArcherより高く、コンパクトなライトは幾らでも有りますし、新しい10WクラスのLEDを搭載して、調光に凝ったギミックを組み込んだライトも次々に製品化されています。
基本、自分も【新しいモノ好き】なので、こうした見た目の派手さに、つい惹かれてしまうのですが、道具というのは実際に使ってみないと判らないモノで ThruNite Archer 1C にはソレを再認識させられました。
特にライトという道具は、安全や安心に直結するツールの一つなので、カタログスペックに惑わされずに信頼できるメーカーの製品を冷静に選びたいモノです。
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ThruNite社のストアがAmazon内にOPENしました♪\(^o^)/
英語が苦手な方でも気軽に利用する事が出来て、海外の直販サイトと価格差が無いので“お得”な印象を受けます。(※為替レートを反映)
□ Amazon / ThruNite JP
□ Archer 1C
私の知る限り、メジャーなライトメーカーで日本の Amazon内にショップを開いたのは ThruNite社が初めてでは無いかと・・・(゚ー゚*)。oO
英語の直販サイトでは、随時セールが開催されるので、マメにチェックすると掘り出し物を手に入れられるかも?(本日現在、Summer Promotion を開催中)
http://www.thrunite-store.com/
日本語の直販サイトも既にオープンしています。
http://www.thrunite-store.jp/
本格的なアウトドア・シーズンを迎え、ライトの出番が益々多くなる季節だと思いますが、自分にとってベストな1本を是非見つけて下さい。(*^-゚)v
明るいライトは楽しいヨォ~(*´▽`*)♪