購入後、かなり日数が経過していますが、サンジェルマン社/GENTOSブランドのフラッシュライト GENTOS Dominator(ドミネーター) DC-105F のレビューなど…。
自分の用途には合わなかった製品なので実際に使用したのは延べ2週間程度です。
コレクターの方も含めてライトの使い方は人それぞれ違うので、自分がマイナスと感じる点も使う人によってはメリットになると判ってはいますが…。
■サンジェルマン/ジェントス ドミネーター DC-105F:製品リンク(2013年:販売終了商品)
https://www.gentos.jp/discontinued_old/DC-105F/
パッケージ
GENTOSブランド製品によく採用されているブリスター・パッケージです。
開けにくい、保存し難い等の不評を目にしますが、海外製の紙箱に入った製品に比べたら開封・未開封が一目で判り、妙な誤魔化しが効かないので個人的には好きだったりします。
サイズ
※左から単3乾電池/Mini MAGLITE 2AA/SG-320/DC-105F/LD25 R4 NW
単3×2本(2AA)のハンドライトとしては、全ての部分においてサイズが大きく、しかも重いです。
電池込みで約180g(公称値)は、GENTOSの2AAの中で一番重いのではないかと思います。
【GENTOS 閃 SG-320】が電池込みで約125g、長さがほぼ同じLD25の本体重量が約90g(電池込みで約140g)なので結構な重さです。
『そんな大袈裟な…50gぐらい大した事は無いだろw』と考えそうですが(私も最初はそう思いました)、長時間手に持って使うと『50g』の重量差がジワジワと効いてきます…。(^^;
本体
自分の個体はヘッドベゼル・ボディ・テールキャップの3分割に分解可能です。
ヘッド
ヘッド径は実測で約31mm(ベゼル部分)。
ヘッド部分は更に細かく分解可能で、ベゼル本体はアルミ製、防水の為のパッキン(Oリング)、プラスチック製フィルターで構成されています。
自分は液晶保護フィルムを丸くカットしてプラスチック製フィルターに貼り付けています。
お馴染みの(?)ヘッド回転式のフォーカス機能を備えています。
以前も紹介しましたが、ベゼル先端部分は面取り処理されていません。
油断してポケットやカバンにそのまま入れると薄い裏地などは簡単に破れて(裂けて)しまうので要注意です。
レンズ
外周部分をアルミ材で保護された樹脂製コリメータレンズはヘッド内に格納されます。
同じGENTOSブランドでも『GENTOS 閃 SG-320』と比べると、気泡が少なくクリアな印象を受けます。
LED
Cree社の XLamp XP-E XP-C というLEDらしいのですが、白色というよりニュートラルホワイトに近い気がします。
ボディ
実測で約25.5mm、一番細い部分で約21mmです。
点灯中にヘッドで発生する熱を逃がしつつ、熱が電池に影響を与えない様にボディ(電池室)が2重のパイプ構造になっているので、2AAのライトとしては太い部類に入ると思います。実際に握ってみても太く感じますし、女性の手では少々持て余す太さかも知れません。
このボディの構造が本体の重量増加に大きく影響していると考えられますが、電池を熱から保護して安全性を高めていると考えれば多少(?)の重量増加は我慢するべきかもしれません…。
ヘッドとボディが分割できない製品では熱がボディに伝わり易いので、合理的な熱対策構造ですがヘッド部分で放熱処理を行う事は、やはりコストの関係で困難だったのでしょうか…。(実は、単にCR123A仕様を2AAにしただけの製品で、CR123Aの誤挿入を防ぐ為なのかも?)
ちなみに普通のエネループ(白エネ)は問題無く使えますが、自分のDC-105Fではエネループ・プロ(黒エネ)はギリギリです。(黒エネだと電池を取り出すのにライトを振ったり、叩いたりしないと取り出せないぐらいです)
エネループ・プロを使った場合、電池ケース内部で電池が変形すると、全く“遊び”が無いので電池の取り出しが困難になります。なので、私はDC-105Fで黒エネは使わない事にしています。
グリップのローレット処理(すべり止め)は深めに施され、角が立っているので濡れた素手で掴んでも滑りにくくなっています。ただ、エッジが鋭いので毛糸の手袋や軍手だと細かな繊維がグリップにまとわり付き、ゴム製や皮革製の手袋でないと使い辛いです。
スイッチ
スイッチはリバース・クリック式で間欠点灯は出来ません。
ストロークが短く軽めのタッチですが、スイッチ廻りのクラウン(外周)が邪魔で個人的には押しやすく感じません。(なんだか…こう…意識して親指の先で押すようにしないと…上手く…w)
“カチッ”と音はしますが、どちらかと言うと“ペコッ”というクリック感で、“ペコッ”の“ッ”で点灯するイメージです。(笑)
こういうスイッチは “Reverse clicky switch”(リバース・クリッキー・スイッチ)として、パトリオ6や8、SG-320のスイッチは“Forward clicky switch” (フォワード・クリッキー・スイッチ)という名称で区別されている様です。
自分はリバース式スイッチを使うのが DC-105F が初めてだったので、フォワード式と比べて最初はかなり違和感が有りました。
DC-105F のように多モード点灯をリアスイッチだけで制御する場合にリバース式が多く採用されますが、大多数が間欠点灯不可の製品となっています。(詳細後述)
◆Link:BudgetLightForum.com/Forward vs Reverse Clicky(自分は【Forward】に1票!w)
メタルリング(自前)を付けてもライトが立てられる様になっています。
個人的にはスイッチの操作性を犠牲にしてまでもハンドライトを立てられる様にする必要があるのか疑問です。
スイッチを操作する回数と、ローソクの様にライトを立てる回数のどちらが多いか?プライオリティーを考えるまでも無いと思うのですが…。
アウトドアでライトを上向きに立てられる平らな場所は、整備されてテーブルが置ける(置かれた)キャンプ場や公園ぐらいで、同様に屋内でテーブル等に立てても、振動でライトが倒れない様に注意しなければならないワケでして…。
『ガンッ!』 ←テーブルに足がぶつかった音
『ゴトッ!』 ←ライトが倒れる音
『ゴロゴロゴロ…』 ←ライトが転がる音
『パリーン!』 ←テーブルから落ちてガラスフィルターが割れる音
『%◎◆×▲○$@※!#』 ←ライトオーナーの心の叫び
という情景が、どうしても頭から離れません…。(^^;
ストラップを取り付ける部分も面取り加工がされておらず、エッジが立っているのでナイロン芯のストラップが2、3日で擦り切れました。現在はメタルリングを取り付けていますが、2週間ほどでクラウンの電解着色被膜が剥げて傷だらけになりました。
付属品
ハンドストラップとポーチが付属しますが、ポーチにはテール側からしか入れられません。
グリップのローレット処理やベゼル、クラウンの各部のエッジが鋭いので、保管する時は他の物を傷つけない為にもポーチに入れた方が良いと思います。
照射
・ワイドビーム(40°)
・スポットビーム(12°)
最スポット状態での照射はLEDの形(四角)がそのまま投影されます。
目一杯集光しているので明るいのですが、その実用性については…?
・SG-320とのワイドビーム比較
DC-105Fのヘッド径はSG-320より大きいのですが、有効射出径はDC-105FよりSG-320の方が大きくなっています。
それなのに実際の照射範囲はDC-105Fの方が広くなっている事が上の画像で確認できます。
LEDとレンズの位置、レンズの設計で照射範囲が決まるなら、もっと照射範囲が広くても良い気がしますが…。
ヘッド径が大きい割に有効射出径が小さく、ワイド時の照射範囲も狭くて残念な感じです。
SG-320(左)はMax:100ルーメン(公称)ですが、160ルーメンを謳うDC-105Fと比べて明るさは…あまり違わない気がします。
Max:160lmという明るさが6時間も持続するわけが無く、実際に明るいのは新品の電池を入れて1時間半ぐらいです。その後は徐々に暗くなる、いわゆる『ダラ下がり』状態になり、点灯してから5時間半位で実用に耐えない明るさまで落ちます。(Max点灯、エネループ使用時)
リフタイプの製品(パトリオ8やFenix LD25 R4、LU-185)を使う前は、LED LENSER P14 のワイド照射の印象が強く『リフは狭いでしょ…』と勝手に思い込んでいましたが、SG-320やDC-105Fよりもヘッド径(有効射出径)が小さいのにリフタイプの方が遙かに光が拡がって驚いた経験があります。
レッドレンザー製品のワイド照射が特別なのかもしれませんが、レッドレンザーと同じ販売元(サンジェルマン社)なので、同様なワイド照射をイメージして購入すると…。(^^;
まとめ
・マニュアル(モード操作)
スイッチのモード移行は次の通りです。(製品個体によって差異があるかもしれません)
消灯時から【ON/点灯】にすると普通に連続点灯します。
消灯時から【ON/点灯】にした後、3秒以内に再度スイッチをクリックするとクイックフラッシュモードになります。
クイックフラッシュモードで1秒以上(製品マニュアルでは3秒以上)長押しするとSOS点滅に移行します。SOS点滅時に1秒以上(これも製品マニュアルでは3秒以上)長押しするとクイックフラッシュモードに戻ります。
消灯時、および通常点灯時にスイッチを長押しすると100~10%の範囲で無段階調光(スムース・ディマー)が作動します。
好みの明るさでスイッチを離すと、その明るさで連続点灯します。
メモリー機能が無いので一度【OFF/消灯】にすると再度点灯時には100%点灯でスタートします。
常時点灯、クイックフラッシュ、SOS点滅のいずれの状態であっても、スイッチを1回クリックすると消灯します。(インスタント・オフ機能)
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自分がこの製品を使わなくなった最大の理由は、このスイッチ(モード切替)にあります。
リバースクリック式のスイッチがダメな訳でも、間欠点灯が出来ない製品だからでもなく、モードの切替が邪魔をして自分のタイミングで単純な点灯・消灯操作が出来ないからです。
自分は短時間点灯(間欠点灯)を繰り返す使い方が多いのですが、DC-105Fでは【ON/点灯】にした後、3秒以上経過しない間に再度【OFF/消灯】操作を行うと、自分は【OFF/消灯】にしたつもりでも、クイックフラッシュモードに移行し高速点滅が始まります。
“そういう製品だから”と言われればそれまでなのですが、スイッチをONにする度に頭の中でいつも3秒カウントしなければならず、点灯・消灯操作を無意識に行えないのは、ライトという道具として如何なモノかと…。
ライトは“チョット照らす”か“ずっと照らす”かの二者択一の使い方しか無く、“ずっと照らす”使い方だけならDC-105Fのモード移行仕様でも問題無いと思いますが、“チョット照らす”使い方が無意識に出来ないのは、やはり製品として問題有りだと思います。(間欠点灯が不可の製品なら尚更です)
普通の操作で意図しないモード移行が発生する製品に、自分はどうにも馴染めず最初の2週間で使うのを止めてしまいました。
例えばクイックフラッシュモードは
【OFF状態、またはON状態でスイッチを0.5秒以内にダブルクリック】
とか、普段は操作しない方法でユーザーが意識的に操作しないとモード移行が発生する仕様でなければ、点灯・消灯のタイミングをユーザーでは無く、ライト側で制限される事になり、何故このような仕様にしたのか…まったく理解できません。
クイックフラッシュモードへ移行する具体的な説明がメーカーサイトには無く、これからDC-105Fの購入を考えている人は【ON/OFF操作の3秒ルール】がある事を知っておいた上で、購入を検討された方が良いと思います。
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ネットで画像を見て色や形状の確認してはいましたが、実物を見た第一印象は、一言 『ダサい…』 でした。インパクトの有る外観ですが、三流中華ライトメーカーも似たような形状の製品を出していた気がします。
ベゼルやクラウンの着色、ヘッドの形状、操作性の悪さも相まって、残念ながら個人的にはまったく愛着が沸かない製品です。
熱対策でボディを2重構造にして軽量化を犠牲にしたなら、ヘッドをスリムにしてトップからテールまでストレートな形状にした方が良かった気がします。(ワイド照射範囲が犠牲になりますが元々狭いし・・・w)
CR123A×1本仕様のDC-109Fとヘッド部分のパーツを共通化したかったのでしょうか?
でもDC-109Fは既に販売終了品になっていますし・・・うーん・・・(ーー;)