DELL 5810 の前線配置に伴い、これまで頑張って来てくれた 富士通 ESPRIMO D751/D 君の 3TB HDD を 1TB HDD に換装。新たに Windows10 21H2 をクリーンインストールしました。
…が、OSのインストール後にデバイスマネージャーを確かめると『ほかのデバイス』⇒『PCIシンプル通信コントローラー』に【?】と【!】が表示されていて『???』
それを解消すべく、ネットを色々漁ったのですが、チャチャッと解消できずに軽くハマったのでメモ。
INDEX
ドライバーは何処に?
デバイスマネージャーで【?】や【!】マークが表示されるのは、OSがデバイスを認識出来ず、対応ドライバーが正しくインストールされていないのが原因なので、対応ドライバーを探しにネットの海へ漕ぎ出すも、コレがなかなか見つからず…(^^;
色々と調べてみると、このエラー(…とまでは行かないけど、エラーの一種ですわね…)どうやらメーカー製のPCで多発しているようで、そうした場合の定石として最初に富士通のサポートサイトを訪れるも、まったく情報なし…orz
それじゃぁ…ってことで、D751/D君に搭載されているチップセット関連(D751/D は Q67 Express というチップセット)を調べてみますが、これも空振りw
Lenovo や DELL など、一部のメーカーには対応情報とドライバー・ダウンロードのリンクが掲載されていますが、異なるメーカーのドライバーをインストールするのもチョット…(禁じ手ですが、最終手段としてたまにインストールして結果を確認したりします)
※後述するインテル マネジメント・エンジンに関するダウンロードページは、富士通のサポートサイトにも存在するのですが、件の D751/D は対応機種に含まれず、EXEファイルのダウンロードもサイトのエラーにより実行できませんでした。
これはお手上げ最終手段発動か?…と思いましたが、対応情報を公開しているメーカーがアナウンスしている原因と対策の中からヒントを得て、見つけたのが次項のサイトです。
インテル・マネジメント・エンジン・ドライバー
デバイスマネージャー上では『PCIシンプル通信コントローラー』と表示されていますが、その実体は『インテル マネジメント・エンジン(Intel Management Engine = Intel ME)』というもので、インテルのサポートサイトにはこう書かれています
インテル マネジメント・エンジン はインテル プロセッサーベースのコンピューター・システムにさまざまな機能およびサービスを提供する軽量マイクロ・カーネル・オペレーティング・システムを実行する組み込み型マイクロ・コントローラー (一部のインテル・チップセットに統合) です。
…と、なんだか素敵なコントローラーのようですが『一部のインテル・チップセットに統合』ってことは、統合されていないチップセットもある…って事なのかしら?
じゃあ、そのインテル・マネジメント・ナンチャラが実装されているPC(チップセット)に Windows10 21H2 をインストールすると今回のようにOS(Win10)が認識できずに必ずエラーとなるかというと、そういうワケでもなさそうで、どうやらチップセットのシリーズで事情が異なるようです(※後述)
…で、色々と道に迷って辿り着いたのが下記のインテルのサイトです。
◆NUC5i5MY 用 Windows 7/8.1*/10* 用インテル マネジメント・エンジンコーポレート・ドライバー
サイトのタイトルに『NUC5i5MY 用(中略)コーポレート・ドライバー』とある通り、NUC5i5MYというモノ(コレが一体何者なのかが解らない…)用のドライバーで、タイトルからしてメーカー製PC向けのドライバーなのかな?…と想像(あくまで想像)しますが、コレをダウンロードして『ドライバーの更新』で読み込ませたらデバイスマネージャーのエラー表示が消えました。
『ほかのデバイス』と表示されていたデバイスとエラーマークが消え、代わりに Intel Active Management Technology – SOL (COM3) というデバイスが表示されました。
このインテル アクティブ・マネジメント・ナンチャラは…(長くなるので興味があればググってください)
ドライバーの更新
先のサイトの【ダウンロード/me_corporate_win7_8.1_10_11.0.6.1194.zip】をクリックすると、PCの『ダウンロード』フォルダにZIPで圧縮されたファイルがダウンロードされます。(※ダウンロード先が初期設定の場合)
圧縮ファイルのフォルダ構成は上図(Explzhを使用)のようになっています。
ダウンロードしたファイルを、解りやすい任意の場所(例えばデスクトップ)に展開・解凍すると『MEI-Only Installer MSI』と『WINDOWSDriverPackages』の二つのフォルダが出て来ます。
その内、『WINDOWSDriverPackages』のフォルダには、更にサブフォルダとして『MEI』と『SOL』が存在します。
※SOL = Serial Over LAN の略
※MEI = Management Engine Interface の略
ドライバーの更新は、デバイスマネージャー内のエラーマークの付いたデバイスを右クリックすると現れるコンテキストメニューから『ドライバーの更新』を選択。後は事前に展開・解凍したドライバーのフォルダを指定するだけです。
もし、指定したフォルダに対応ドライバーが存在しない、またはデバイスに対応していない場合は、『対応するドライバーが存在しません』的なエラーが表示されるので、指定フォルダを変更するか、別のドライバーを捜す必要があります。
対応ドライバーが存在するフォルダは、自分は『WINDOWSDriverPackages』⇒『SOL』を指定しましたが、他のフォルダ、例えば『MEI』を指定するとどうなるか…までは試していません。
ただ、ドライバーのインフォメーションファイル(mesrl.inf)を見ると『Based on: MSPORTS.INF ~ Microsoft Corporation』の記述があるので多分(多分?)コレでOKだったのでしょう。
類似ドライバーに注意
今回、ドライバーのインストールで軽くハマった理由のひとつとして、『インテル マネジメント・エンジン・インターフェイス 用ドライバー』のキーワードから辿って行き着いたインテルのサイトに、異なるチップセット向けのドライバーが存在していた事が挙げられます。
◆Windows 8.1* および Windows® 10 用インテル マネジメント・エンジンドライバー
…と、ページトップにデカデカと書かれているのですが【概要】には…
第6、第7 世代および第8 世代インテル Core™ プロセッサー・ファミリー (Sky Lake、Kaby Lake、Kaby Lake R) をサポートする Windows 8.1* および Windows® 10 用のインテル マネジメント・エンジンドライバーを提供します。
…と記載されています。
つまり、D751/D君のような第2世代(もしくは第5世代まで)の古い Core-iプロセッサ(チップセット)には非対応のドライバーであり、実際、ダウンロードしてドライバーのインストールを試みたのですが結果はNGでした。
世代別 対応チップセット一覧
…ナンだかなぁ、もっと具体的にチップセットのシリーズとか記載してくれればイイのに…
…とか思いつつ、自分も後で見返すかもしれないので(笑)デスクトップ向けチップセットをCPU世代別に分けて、インテル マネジメント・エンジンのサポート/実装状況を一覧にしてみました。
基本的にソケット形状・仕様が変わると対応チップセットのシリーズも変わるのですが、第11世代(LGA1200)と第12世代(LGA1700)では、ソケット仕様が変わっても500シリーズがそのまま使えるようになっている…のかな?
自身のPCに実装されているチップセットを調べるにはマニュアルの仕様欄を参照、もしくは機種名でググってください。
※記事公開日時点のデスクトップ向けチップセットのみについて調査
第1世代 【LGA1156】
◆インテル 5 シリーズ・チップセット
・H55 Express – No
・H57 Express – No
・Q57 Express – Yes (Ver.6.0|6.1)
・P55 Express – No
※Q57 のみサポート。ファームウェアのバージョンは Ver.6.0もしくは Ver.6.1
第2・第3世代 【LGA1155】
◆インテル 6 シリーズ・チップセット
・Z68 Express – No
・Q65 Express – Yes (Ver.記載ナシ)
・B65 Express – 記載ナシ
・H61 Express – No
・Q67 Express – Yes (Ver.7.0)
・H67 Express – No
・P67 Express – No
※Q65 はファームウェア・バージョン不明。Q67 のみ Ver.7.0の記載アリ
◆インテル 7 シリーズ・チップセット
・Q75 Express – 記載ナシ
・Q77 Express – Yes (Ver.記載ナシ)
・B75 Express – 記載ナシ
・H77 Express – 記載ナシ
・Z75 Express – 記載ナシ
・Z77 Express – 記載ナシ
・X79 Express – N/A
※インテル ME ファームウェア・バージョン について記載ナシ、もしくはファームウェア・バージョンが不明
第4・第5世代 【LGA1150】
◆インテル 8 シリーズ・チップセット
・H81 – Yes (Ver.9.0)
・B85 – Yes (Ver.9.0)
・H87 – Yes (Ver.9.0)
・Q85 – Yes (Ver.9.0)
・Q87 – Yes (Ver.9.0)
・Z87 – Yes (Ver.9.0)
※すべてのファームウェア・バージョンは Ver.9.0
◆インテル 9 シリーズ・チップセット
・X99 – Yes (Ver.9.1)
・H97 – Yes (Ver.9.1)
・Z97 – Yes (Ver.9.1)
※すべてのファームウェア・バージョンは Ver.9.1
第6・第7世代 【LGA1151】
◆インテル 100 シリーズ・デスクトップ・チップセット
・B150 – Yes (Ver.11)
・H110 – Yes (Ver.11)
・H170 – Yes (Ver.11)
・Q150 – Yes (Ver.11)
・Q170 – Yes (Ver.11)
・Z170 – Yes (Ver.11)
※すべてのファームウェア・バージョンは Ver.11
◆インテル 200 シリーズ・デスクトップ・チップセット
・X299 – Yes (Ver.11)
・B250 – Yes (Ver.11)
・H270 – Yes (Ver.11)
・Q250 – Yes (Ver.11)
・Q270 – Yes (Ver.11)
・Z270 – Yes (Ver.11)
※すべてのファームウェア・バージョンは Ver.11
第8・第9世代 【LGA1151 v2】
◆インテル 300 シリーズ・デスクトップ・チップセット
・B365 – Yes (Ver.11)
・Z390 – Yes (Ver.12)
・B360 – Yes (Ver.12)
・H310 – Yes (Ver.12)
・H370 – Yes (Ver.12)
・Q370 – Yes (Ver.12)
・Z370 – Yes (Ver.11)
※ B365 と Z370 のファームウェア・バージョンは Ver.11、他は Ver.12
第10・第11世代 【LGA1200】
◆インテル 400 シリーズ・デスクトップ・チップセット
・Q470 – Yes (Ver.14)
・Q470E – Yes (Ver.14)
・W480 – Yes (Ver.14)
・W480E – Yes (Ver.14)
・B460 – Yes (Ver.14)
・H410 – Yes (Ver.14)
・H420E – Yes (Ver.14)
・H470 – Yes (Ver.14)
・Z490 – Yes (Ver.14)
※すべてのファームウェア・バージョンは Ver.14
◆インテル 500 シリーズ・デスクトップ・チップセット
・Q570 – Yes (Ver.15)
・W580 – Yes (Ver.15)
・B560 – Yes (Ver.15)
・H510 – Yes (Ver.15)
・H570 – Yes (Ver.15)
・Z590 – Yes (Ver.15)
※すべてのファームウェア・バージョンは Ver.15
第12世代 【LGA1700】
※第10・第11世代の項を参照
◆インテル 600 シリーズ・デスクトップ・チップセット
・Q670 – Yes (Ver.16)
・Q670E – Yes (Ver.16)
・R680E – Yes (Ver.16)
・W680 – Yes (Ver.16)
・B660 – Yes (Ver.16)
・H610 – Yes (Ver.16)
・H610E – Yes (Ver.16)
・H670 – Yes (Ver.16)
・Z690 – Yes (Ver.16)
※すべてのファームウェア・バージョンは Ver.16
+++
…と、まぁ、チップセットに於ける、インテル ME の対応状況、およびファームウェア・バージョンをまとめたらこんな感じになりました。
インテル ME がシリーズ全てのチップセットに実装されるようになったのは、第4・第5世代のLGA1150ソケットに対応した 8シリーズからで、それ以前はサポートしていたり、いなかったりのようです。
8シリーズ以前にインテル ME が実装されていたのは、主に企業向けに機能を制限された機種に採用されたチップセットに多く、自作ユーザーが好むハイエンド、多機能なチップセットには、インテル ME が実装されていなかったことが伺えます。
冒頭で『PCIシンプル通信コントローラーが企業向けのPCにて…』と書きましたが、8シリーズ以前のチップセットで運悪く(?)インテル ME が実装されていた場合に(D751/D君は Q67 Express でモロに該当)、デバイスマネージャーにて『PCIシンプル通信コントローラー』のエラー表示が出る…のかもしれません。
でも、同じ Windows10 でも一代前の 21H1 ではエラー表示が出ていなかったような気も…うーん…
デバイスマネージャーで認識されないネタは、割と界隈で話題になると思うのですが、古い機種、それもビジネス・デスクトップというマイノリティーなPCでの出来事なので、それほど話題にならなかったのかもしれませんねぇ…(゚ー゚*)。oO
また、後から紹介した異なる機種向けのドライバーのページに『第6、第7世代および第8世代インテル Core™ プロセッサー・ファミリー… 』と敢えて世代が明記してあったのも、第6/7/8世代に対応した 100/200/300シリーズのチップセットで、これらのファームウェア・バージョンが Ver.11 のチップ向け…なのかもしれません。(※マニュアルにもFWのバージョンについては言及されていないし、実機も無いのであくまで個人の妄想です)
…で、各チップセットのページ内、インテル ME の項にある【?】マークをクリックすると…
インテル マネジメント・エンジン・ファームウェアは、内蔵のプラットフォーム機能とマネジメント / セキュリティー・アプリケーションを使用して、ネットワーク上のコンピューティング資産をアウトオブバンドでリモート管理します。
…と、あります。
ネットワーク上のリモート管理…って、より具体的な事が書かれていて、やっぱり素敵&便利機能を提供してくれるようです(笑)
イメージ的には、サポセンからの遠隔操作で不具合解消、リモートデスクトップの進化・高機能版…といったトコロでしょうか?
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《追記》
◆インテル® マネジメント・エンジンの重要なファームウェア・アップデート (Intel-SA-00086)
インテル® マネジメント・エンジン (インテル® ME 6.x/7.x/8.x/9.x/10.x/11.x)、インテル® トラステッド・エグゼキューション・エンジン (インテル® TXE 3.0)、およびインテル® サーバー・プラットフォーム・サービス (インテル® SPS 4.0) の脆弱性 (Intel-SA-00086)
・第 1 世代~第 8 世代インテル® Core™ プロセッサー・ファミリー
・インテル® Xeon® プロセッサー E3-1200 v5 / v6 製品ファミリー
・インテル® Xeon® プロセッサー・スケーラブル・ファミリー
・インテル® Xeon® W プロセッサー
・Intel Atom® C3000 プロセッサー・ファミリー
・Apollo Lake Intel Atom® プロセッサー E3900 シリーズ
・Apollo Lake インテル® Pentium® プロセッサー
・インテル® Pentium® プロセッサー G シリーズ
・インテル® Celeron® G / N / J シリーズ・プロセッサー
(以下、富士通のサイトより転載)
脆弱性により攻撃者が以下の攻撃を行う可能性があります。
Intel® マネジメントエンジンになりすまし、ローカルなセキュリティ機能の有効性に影響を与える
ユーザーやOSから見えないところで任意のコードを実行する
システムのクラッシュや不安定化を引き起こす
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インテル マネジメント・エンジン・インターフェイスの動作
そして、肝心の(?)インテル マネジメント・エンジン・インターフェイス(Intel MEI)が動作しているかの確認は、デバイスマネージャーの『システムデバイス』をチェックしてみてください。
なにはともあれ、D751/D君のデバイスマネージャーがスッキリしたので、めでたし、めでたし♪
凄いです!頭痛の種が霧散しました。感謝です。
素晴らしい記事に助けて頂きました。
Esprimo D581/Dで同じ症状で困っていました。古い企業向けPCの宿命でしょうか。
ただIntelのサイトからはDLできなくなっており、ファイル名からドライバを探せました