このブログでは、初めてのパソコン本体ネタです。
一時期、自作PCにハマっていた事があり、ソレなりに詳しかった時もあったのですが(※過去形)、ココ15年程はハードウェアのトレンドをまったく追いかけておらず、インテルの Core i シリーズがいつの間にか第12世代(!)になっていたとか、完全に浦島太郎です。
現在使っているPCは、富士通 ESPRIMO D751/D で、4年落ちの中古を6年前に購入したものです。(つまり10年前の製品)
スペックは、CPUが Core i5-2400(4C/4T)、RAM:4GB、HDD:250GB、USB2.0 と SATA2 しか使えない、法人向け、医療現場向けのベーシックなPCでございまして、先代PCがやはり夏に故障して急遽必要となり、スペックなどには拘らず、OS(※Windows7 Pro 64bit)やサービスディスク(リカバリーディスク)コミコミ、即日出荷という理由だけで決めたマシンであります。(ただ、グラフィックカードは AMD Radeon HD6570 1024MB という不思議な構成)
RAMを4GB追加して計8GB、HDDを3TBに強化、Windows10 に移行とそれなりに手を加えて使い続けてきましたが、このスペックのPCで画像処理や動画編集を6年間頑張ってきた doorman を褒めてあげてください。
製品HP
- Dell 公式サイト (Dell Japan) | Dell 日本
- Precisionタワー5810メディアワークステーション | Dell 日本(販売終了)
- Dell Precision Tower 5810 製品仕様【PDF】
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DELL 5810 の正式な製品名は、表題の通り DELL Precision Tower 5810 Workstation ですが『Tower』の頭文字をとって『DELL T5810』と表記される事も多いようです。(ココでは、DELL 5810 で統一)
5~7年前の旧型PC情報にあまり需要は無いと思われますが、ネット検索しても企業向けワークステーション製品のレビューは少なく、また自分の備忘録としてジャンクPCの再生過程やアップグレードについて記しておこうと思います。
INDEX
デュアル諭吉計画 2022
そんな10年前の低スペックなマシンでもブラウジングや MS-Office などを使うだけであれば不満もなく、『全然まだイケる!』のですが、動画やRAW画像を扱うには処理能力がキビしく、筐体サイズ・容積の関係で内部に熱が籠もりやすい事もあり、毎年夏になると動作が不安定になるのがココ数年、夏の恒例行事&頭痛のネタでした。
熱対策として夏の間は外部カバーを外して使っているのですが、それでも動画編集時にはCPU温度が90℃を超えることも珍しくなく、猛暑日にはオープン状態でもフリーズが発生し、作業効率が著しく低下するのでメインマシンを新調する事にしました。
希望としては、第8世代、第9世代ぐらいのPC…なのですが、そのクラスになると中古PCでも結構なお値段で、諭吉2人分の予算では全然追いつかず、妥協して第5世代の中古PCか、現在の第2世代CPUを第3世代に、もしくは i5 を i7 に積み替えるとか…
色々と検討したのですが、数千円のコストを掛けても20%ほど性能が上がるだけで、コストに見合うだけの性能向上は得られずどうしたモノかと…(´Д` )
中古ワークステーション
そんなこんなで、ブランクを埋めるのも兼ねて色々調べていると、昔よりもXeonのハードルがグッと下がって庶民的(?)になっていると知り、マルチスレッドの数でゴリ押し、拡張性も高いXeon搭載の型落ちワークステーションをイジって Core-i7 の第7世代相当まで引き上げる…という方針で行くことにしました。
目標とする仕様・性能は…
・Core i7-7700(4C/8T 3.60 GHz)クラス
・RAM:16GB以上
・ビデオRAM:2GB以上搭載のグラボ
・SSD:256GB 以上
・省エネ & 低発熱(※個人的重要項目)
・OS:Windows10 Pro(※ついでにWindows11をテストインストール)
・HDD:1TB(現在使用中のHDD:3TBの交換用)
…で、総予算:2万円以下で収まるように計画。
Xeon も Core iシリーズと同様に『世代』があり、今回は V3/V4 に対応した FCLGA2011-3 ソケット仕様のワークステーションとして、DELL 5810 と HP Z440 にターゲットを絞りました。
ただ、Core i7-7700と同等の処理性能を持つXeonを搭載したマシンで、上記の希望を満たす完動品になると軒並みデュアル諭吉超えになると判り、完動品は潔く諦めました(笑)
そうなると残るはジャンク品…となるのですが、CPUのみ付属(Xeon E5-1607 V3)で、通電&BIOS起動確認済みのジャンク品 DELL 5810 をオクで落札。コレに手を加えてメインマシンとして再生させる事にしました。
因みに自分は決してジャンク品をベースに低予算・実働PCの製作を推奨しているワケではなく、あくまで経済的理由でジャンク品をイジる事になっただけなので、その点は誤解しないでください。
各製品もしくは構成パーツ全てに於いてメーカーが公開しているマニュアルの内容が理解出来て、ドライバの自力インストールや情報収集は当たり前、場合によってはハンダゴテ片手に修理する必要も出て来ますし、もし再生できなかった場合は二重投資となり、逆にコスト高となるのは明白なので、自信や覚悟がないなら絶対に手を出さないのが得策です。
DELL Precision Tower 5810 Workstation
入札前に DELL 5810 について色々調べたのですが、2014~2017年にかけて製造されていた機種で、主に法人向け(※個人でも購入可)として販売されていたようです。
企業で導入したリース落ち品が中古市場に出回っているものと推測できますが、オーダー時の構成によっては、諭吉30人とか軽く超えていたようです。
『ワークステーション』というカテゴリーになると、CGやCAD、画像処理、動画編集などに特化した仕様であることが多く、ゲームからビジネスソフトまで色々と使える汎用PC(Dellのデスクトップ製品では XPS、Inspiron、Alienwareシリーズなど)とコスパ比較すると圧倒的に不利ですが、逆にマルチスレッドが必須となるお仕事では本領を発揮し、拡張性に優れている事がアドバンテージになります。
ケース
事前に外寸を調べてサイズは判っていましたが、FMV購入以前までは、ずっとフルタワーケース(5インチのドライブベイが10基あるヤツ)を使っていたので思ったよりもコンパクトに感じました。
DELL 5810 は、ワークステーションでありながらドライブベイが少なく、各部がユニット化されている関係なのか内部の空間にも余裕があります。
この内部空間の余裕と背面のメッシュ(パンチングメタル)が吸排気の面で有利となり、ファンを追加すれば排熱するのも容易です。
今まで頭痛のタネであった熱問題と決別できそうだと考え、HP Z440 に後ろ髪を引かれつつも頑張って DELL 5810 を落としました。 ※収支はシリーズ最後に報告
一見すると綺麗なジャンク品に見えますが、うっすらと内部にもホコリがあり、本体や給気ファン部分には綿ボコリが溜まっています。
まぁ、この程度の汚れは想定内でしたが、セットアップが終わったら全バラしてクリーニングしてあげようと思います。
CPU
搭載されていたCPUは、商品説明どおり Xeon E5-1607 V3 でした。(※CPU交換時に取り出したモノで詳細は後述)
参考リンク
拡張スロット
スロットは全て空き。
DELL 3810/5810/7810 シリーズのチップセットは intel C612 ですが、チップセット、Xeon共にグラフィック機能が無いのでグラフィックカードは必須となります。
完動品の頃には存在していたグラボが抜かれているので背面のスロットカバーも1基分空いています。
ドライブベイ
3.5インチドライブベイは2基分。
1インチハイトのHDDなら2台、薄い2.5インチのSSDやHDDなら合計4台を収納可能です。
光学ドライブは DVD±RW対応のスリムタイプで読み込みは問題なかったです。(※書き込みは未確認)
一応、5インチタイプの光学ドライブもセットできますが、DELL 5810 は 3.5″ HDD のベイが少ないので予備として空けておく事にします。
M/B 側には合計6個のSATAポートがあるので、将来、増設時に足らなくなる事はないでしょう…(^^;
M/Bレイアウト
ワンタッチで脱着可能な側面パネルの内側にマザーボードのレイアウトが貼られています。
メモリ
メモリをザクザク使えるのが Xeon(…というか対応チップセット)のウリの一つですが、DELL 5810 は最大:256GB(32GB×8枚)と控え目です。
DELL 5810 のメモリ仕様は DDR4-2133(PC4-17000)ECC RDIMM でメモリスロットは8本(クアッドチャネル:2本1組で4セット)になりますが、hynix の4GBを2枚ずつ、計16GBを調達しました。
基板の色が2枚1組で異なるのでお察しかと思いますが、各チャネル(2枚1組)毎にロットが異なります。(テープで目印をつけているのはその為)
過去の経験上、複数チャネルのメモリを使用する場合は、すべて同一メーカー、同一ロットとするのがベターで、特にECCの場合は『相性』による不具合が出やすいと判ってはいるのですが、これも予算上やむを得ず…orz
メモリをセットする際に使用するスロット番号は、DELLの5810 オーナーズマニュアルに記載されています。
マニュアルには、4GB×4構成時は ①/②/③/④ レーンにセットする旨の記載があるのですが、やはり…というかロットの違いによる相性があり、①+②、③+④レーンのペアを入れ替えると起動時にメモリエラーが発生してしまいます。
メモリを冷却するためのエアフローカバー(ダクトカバー)を装備しています。
マニュアルにはダクトカバーの取り外し方法は載っていますが、装着方法が書かれていないのでメモ。
カバーの終端側にツメがあり、これを本体の切り欠き部(白丸印)に合わせて差し込み上流側のラッチで固定するだけの単純な構造です。
カバー自体がプラスチック樹脂製なので低温時や経年劣化によりツメが破損しやすいと思われるので、脱着時には注意したほうが良さそうです。
グラフィックボード
欲を言えば K2200 や K4200、OpenGL 4.5 と Direct X12もサポートする M2000 を使いたいトコロですが、グラボだけで予算の半分を持っていかれるとツラいので、エントリークラスとして販売されていた nVIDIA QUADRO K420 の中古を調達。
搭載RAMの仕様が DDR3 というのがアレですがRAM容量は2GB ですし、DELL 5810 と同時期に販売されていたカードなので問題はないでしょう。
どのみち、この DELL 5810 の搭載電源が425Wなので電力消費の大きなハイスペックのカードは載せられず、載せるとなると電源交換も必要となるので無難な選択だと自分を納得させています。
※8ピンのPCIe用電源(グラボの補助電源)コネクタは、電源接続部のカバーを外すとアクセスできます。
HDD
3.5インチHDDは専用のブラケットを介してマウントします。(裏面に FOXCONN の刻印アリ)
今回は動作確認用として Seagate 250GB の余剰HDDを使用しました。
DELL 5810 のジャンク品は、他にも出品されていたのですが、3.5″ HDD をセットするのに必要なHDDブラケットが1台分残っていたのが、この1台を選んだ理由でもあります。(※もう1基分のブラケットはアリさんで調達)
ブラケットへの装着は、工具不要でブラケット側面を手で拡げて4箇所のピンとHDD側の穴を合わせるだけです。
あとはブラケットごとレーンに差し込んで『カチッ』と音がするまで差し込んで結線するだけというお手軽さです♪
一時期は『HDDへ微振動が伝わるとアクセス速度に影響を及ぼすぅー』とか言われていたのですが、そんなのガン無視なマウント方法…というか、あれは都市伝説(ガセネタ)だったのでしょうか?
起動
各部結線、ヨシ!
電源接続、ヨシ!(ブォーンと、一瞬だけファンの回る音)
…と、指さし確認後、柏手打って十字を切ってスイッチON!
しかし、電源コネクタ部分のライトが光り、ファンも回っているのですが一向に起動画面が表示されません…(´Д` )
コレはダメか…と考えつつ、色々チェックしてみると電源投入後にメインスイッチが赤く2回・7回の点滅を繰り返していました。マニュアルを調べるとメモリ関連でエラーが発生しているようです。
やはり同一ロットでないと正しく認識しないのかと半ば諦めかけたのですが、気を取り直して電源を落として電源コードも抜き、メモリ装着スロットの組み合わせを変更して、柏手と十字に加え、更に土下座をしてから再度スイッチON!
今度は、電源スイッチも点滅せず白く光ったままなのですが、10秒…20秒…30秒を経過しても画面に何も映らず、やはりジャンクは…と諦めかけたら『DELL』のロゴと『BIOSの設定を行うか?』がLCDに表示されて思わずガッツポーズ!(笑)
何度か電源投入して試してみましたが、電源投入からロゴ表示まで毎回 40~45秒ほどかかります。
その間にシステムの自己診断(セルフチェック)が行われ、チェック中にシステムエラーがあると電源ランプがエラーに応じて点滅、エラー状態のままシステムが起動しない仕様のようです。
『さすがワークステーション、お高くとまってやがるゼ!』
…とか、喉もと過ぎれば熱さ忘れるで、初回電源投入時とは真逆の不遜な態度のままBIOS設定に入りました。
BIOSバージョンは最新の A34、製造もしくは製品納入の日付は 03/09/2015 となっていました。(約7年前の個体ということですね…)
推測の域を出ませんが、ジャンクでありながら最新のBIOSに更新されているということは、前オーナーもしくは社内のシステム管理者によってキッチリと管理されていたマシンだった…のかもしれません。
メモリ、HDD、CPUなど正常に認識され、BIOSの全項目をチェックしてみましたが、すべて異常なトコロは見当たらず、ホッとしたdoormanであります…(^^;
取り敢えずマシンは正常起動したので、次回は Windows10 & 11 Pro 64 bit のインストール実行の他に TPM 2.0 へのアップデートや、外部出力ポートのチェック行った結果をお届けします。
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給気ユニットの分解/クリーニング
《追記:20200/08/16》
DELL 5810 の全体クリーニングを行い、給気ファン部分に問題があったのでメモ
オーナーズマニュアルの手順に従って給気ユニットを分離
給気ファンは Foxconn PVA092K12N (DC12V・1.50A:MAX 18W) 4芯コネクタ、サイズは90×90×38(mm)で、計3台のファンがスチール製のケースに組み込まれいます。(1台で最大18ワット、3台で54ワット!?)
3台のファンはゴム製の留め具でケースと連結されているだけです。このゴム製留め具が経年劣化により、合計12ヶ所のウチ、半数の6ヶ所が断裂。一台分に関しては全く固定されていない状態でした。
M4トラス頭、もしくは M4六角ボルト、L=45~50mm の長さで、ファン取り付け穴を利用し貫通、固定する方法で要修理。(本体吸入側隔壁と干渉する可能性があるので、修理前に現物合わせでネジ頭、ボルト頭の高さ・厚みを要確認の事。防振用のゴムパッキン、もしくはOリングも必要)
ちなみに給気ファンをクリーニングしたら、メインメモリのダクトに流れる空気量が増えたようで、稼働中のメモリの温度が3~5℃ほど低下しました。
また、各ダクト(1・3番スロット/2・4番スロット)で2~3℃ほどの温度差があったのですが、それも解消され、使用中の全スロットのメモリ温度が均一化されました。
正直、メモリスロット部分のエアフローについては、実用性よりも視覚効果で…とか思っていたのですが、給気ユニットから流れるエアーによって、ちゃんとメモリも冷却されている事が解りました。疑ってゴメンなさい… >DELL 5810