あの日から今日で1年。
人によって思いは様々だとは思いますが、何年経っても決して忘れる事は無いと思います。
今日という日にふさわしいかどうか、この記事を掲載するのにためらいもありましたが、もしかしたら明日また同じ事が起きるかもしれないし、3.11 を忘れない為にも記しておきたいと思います。
タイトルにもある通り、乾電池の懐中電灯(LEDフラッシュライト)を使っての非常時に於けるランタン型照明の製作方法です。
どのLEDライトでも流用できる訳ではありませんが、何かの参考になれば幸いです。
◆注意事項◆
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- この方法は非常時を想定したものであり、メーカーが推奨する使い方ではありません
- この記事を参考にした結果、何らかの不利益が生じてもメーカー、ブログ運営会社、著者は一切の責任を負いません
- この方法は屋内のみでの使用を想定しています
- LEDチップ及び乾電池自体が、若干ですが発熱します(明るいLEDほど発熱量も大きくなります)
- 冷却や加熱によるボトル内の圧力上昇を考慮し、容器・差し込み口等は絶対に密閉しないで下さい
- 長時間の連続使用は控えて下さい
- 光が強いので光源を直視すると目にダメージを受け危険です。
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LEDフラッシュライトとは?
光源に従来の電球を使わず、LED(発光ダイオード)を使ったライトの総称です。
ハンドライト(懐中電灯)型、ヘッドライト型など様々なタイプがありますが、中でも強烈な光を発する製品を指して『フラッシュライト』と呼ぶようです。
電球に比べて光源となるLEDの寿命が長く、明るさが同じなら電球よりも電池消耗が少ないという理由で、近年発売される製品の殆どにLEDが採用されています。(※電池の消耗はLEDチップの明るさ(消費電力)に比例して早くなります)
材料
今回は円筒型のペットボトル(PEPSI 1.5L)を使います。(※画像クリックで拡大)
ミネラルウォーターやお茶に多く見られる角形のペットボトルでも製作可能ですが、円筒型の方が加工が容易で最終的に置いた時に安定します。ただ、非常時には【丸】か【角】かなどと選んではいられませんから、手元に角形のペットボトルしか無ければ、ソレで製作して下さい。
他に必要な材料は、アルミ箔少々、セロテープ、マグカップ1個です。
LEDライト
今回は光源として GENTOS 閃 SG-320 を使います。(※過去の記事)
単三乾電池2本を使用し、メーカー公称100ルーメン、実用時間10時間を謳った製品です。
実際に公称スペックで使用出来るか、やや疑問が残りますが電池の入手性やワイド・スポットの照射角度切替や軽量な点が気に入っています。ネット通販、量販店で実売価格:¥1,700~1,800円ぐらいで販売されていると思います。
この製品より持ち手(グリップ)の部分が細く、ペットボトルの注ぎ口にセットする事が可能ならどんな製品でも構いません。
逆に SG-320 より太い製品でもペットボトル自体の加工が容易なので、手間さえ惜しまなければ製作可能です。但し、ライト自体にある程度の明るさが無いと実用には耐えないと思います。
工作道具
ハサミ、カッターナイフ、水性もしくは油性マジック、ノギスは無くても構いません。
※既成品のLEDフラッシュライトを利用するので配線の必要は一切ありません。
計測
GENTOS SG-320のグリップ部分を計測すると、直径が 21.25~21.3mm です。
これがペットボトルの注ぎ口とほぼ同じ直径なので、加工する手間が大幅に省けます。
双方、メーカーや製品ロットの違いで寸法に若干のバラツキがあると思いますが、ペットボトルは規格化されている為、国内で流通している殆どのペットボトルに入る筈です。
手元に有った異なる6商品のペットボトルで試しましたが、少々キツくてもネジ込めば全て入りました。ただ、あまりキツい場合は無理に入れず、ドライヤーやお湯で注ぎ口部分を温めて拡げるか、別のペットボトルを使って下さい。
電池ケースのリアキャップを外して、注ぎ口に直接挿入して入るか否か試せば良いので、今回の様に計測する必要はありません。
SG-320 は電池交換する際に手でリアキャップを回し易くする為と、ライトが転がらない様にする為のアンチロールとしてリング状の出っ張りが有ります。
実際にボトルにセットして使うと、この部分が落下防止のストッパーとして機能します。
注ぎ口に入る直径のライトでもSG-320の様なストッパーが無い製品を使う場合は、据え置き型専用のランタンとなります。
本当はペットボトルでLEDライトセーバーを造るつもりでいたのですが、それはまた後日…。
加工
ペットボトルを切断加工します。
切断する位置は製品ラベル上部、段差が付いている部分の低い方(細い方)を目安に切断します。(画像の青線部分)
精密に切断する必要は無いので、カッターナイフで少し切り込みを入れて、後はハサミでゆっくりと切断して下さい。
切断が完了したら上部側(キャップ側)の傾斜(テーパー)が付いている部分をハサミで切り落として下さい。
この時、切断する部分全周にマジックで線を引いて目印にするとカットし易いと思います。
綺麗に切り落とすコツは少しずつリンゴの皮を細剥きする様に、2周する位いの感覚で切ると切り易いです。
組立
SG-320 のリアキャップを外し、ボトルの内側からライト本体を注ぎ口にセットして、再度リアキャップをライトに取付ければ、先程の突起部分が引っ掛かりライトが落下しません。後はペットボトル下部を上部に差し込めば組立完了です。
点灯するとこんな感じになります。
壁に照らすとペットボトル底部の模様が投影されます。
ボトル上部と下部の接合部分が緩いと思いますが、放熱や電池交換、メンテナンス等を考えるとテープなどで完全に接合してしまう事はお薦めできません。(あくまでも非常時の代替品だと言う事をお忘れなく)
このままでは直進性の強いLED光がボトルの底を突き抜けてしまうので、反射板としてアルミ箔をボトルの底に敷き、逆さにしても反射板が落ちないようにセロテープで固定します。(可能ならセロテープのような透明の方が望ましい)
完成
再度組み立てて、台座となる空のマグカップに差し込めば完成です。
今回は手元に有った陶器製のマグカップを流用しましたが、ペットボトルが自立出来れば100均のプラスチック製で構いません。(実際に私は非常用持出袋に軽量なプラスチック製カップを1個入れてあります)
カップの取手を持ち運びに利用するので、ペットボトルの上下接合部が固定されていなくても大丈夫です。(逆に完全に接合するとライト本体を取り出すのに手間取ったりします)
点灯してみるとそれなりに周囲を照らしてくれます。
決して明るいとは言えず、LEDランタンとして販売されている製品には遠く及びませんが、非常時の照明として、火災の危険が大きい蝋燭より遙かに安全だと思います。
天井等から吊す場合はLEDライトにストラップを通してフックなどに引っ掛けてください。
その場合は接合していないボトル下部が抜け落ちてしまうので、接合部分を部分的(2箇所程度)にテープなどで仮止めしてください。(この場合も密閉は避ける事)
廉価な乾電池型LEDライト全般の傾向として、新品の電池を入れても一定時間が経過すると急激に光量が落ちてしまいます。
これは電池消耗によって乾電池の電圧が下がるからですが、この現象を回避するため定圧(昇圧)回路を組み込んだLEDライトは、最初から最後まで光量が比較的安定しています。
ただし、こうした回路を組み込んだ製品は、どうしても価格が高くなり、必然的に連続使用時間(ランタイム)も短くなるので、対災害用非常照明には向かないかな?と、個人的に思います。また、それなりに発熱もあるので、今回のようにライト本体を容器に入れて使うのは故障の原因になるので止めておいた方が良いでしょう。
LEDライトの光量にもよりますが、強い光を直接見ると目にダメージを受ける場合があります。
光が強いと感じる場合はLEDライトのレンズ径と同じぐらいの大きさのテイッシュペーパーを1枚載せるだけで光が和らぎます。この場合も加熱に注意し、放熱の為LEDライトのヘッド部分全体を覆わない様にしてください。
※SG-320を使用するなら、こういう減光方法もあります。
付録
光源にキセノン球を使用した MAG LITE 2AA でも試してみましたが、SG-320に比べて非常に暗いので実用的では無いかもしれません。
(そもそも MAG LITE 2AA はヘッド部分を外してリアに嵌めれば、蝋燭のように立てられる構造になっているので無意味かもしれません)
ちなみに MAG LITE 2AA のグリップ部分の直径は 18mm です。
この様な物の出番が無い事を切に願います。