大規模災害が起こると電気やガス、水道など、いわゆるライフラインが大きなダメージを受け、復旧するまでに不自由な生活を強いられることが度々起こります。
これまで 3.11 には私個人の趣味であるフラッシュライトやハードウェアに関連した防災・減災の記事を投稿しておりましたが、今回は生活(生存)する為に最低限必要となる【水】について考えてみたいと思います。
とは言うものの・・・
ペットボトルの水を備蓄したり、お風呂の残り湯を抜かないで次の日までそのままにしておく、雨水を貯めておく…などなど、災害時の【水】の確保については既に身近なところから実践されている方も多いと思います。
なので、ココではもう少し突っ込んだ話というか、対象を飲料水に絞って水の成分と備蓄についての話をしたいと思います。
ナチュラル = 天然?
現在、日本のメーカーから販売されているペットボトル入りの水は、その大半が【ナチュラルミネラルウォーター】として販売されています。
ご存知の方も多いと思いますが、日本の【ナチュラルミネラルウォーター】は、欧州(EU圏)では【ナチュラルミネラルウォーター】として認められず、単に【ボトルドウォーター】になってしまいます。(※実際に欧州で日本の水が販売される事は希ですが…)
日本では【ナチュラルミネラルウォーター】で有る事が商品価値やマーケティング上で重要なのか、猫も杓子も品名が【ナチュラルミネラルウォーター】になっていますね・・・(^^;
【ナチュラル】であるか否かを分類する根拠(要因)は製造過程における【殺菌】の有無や方法、もしくは混水や成分添加するか否かなのですが、欧州から直輸入される本物のナチュラルミネラルウォーターは採水からボトリングまで人為的な加工を一切加えていない【ナチュラル】なままの【生水】となっています。
実際に【EC Directive Regulations 80/777/EEC】を読むと、 Mineral Water の単語は頻繁に出て来ても、必ず頭に【Natural】が付き【Natural Mineral Water】と表記されています。CODEX規格でも【Natural Mineral Water】、もしくは【ソレ以外】の2つの規定しか存在しません。
誤解しないで頂きたいのは、ボトリングするまでの工数は少ないのですが(というかNG…)、水源・水質の管理および検査基準、水源近くの開発制限は日本のそれより遙かに厳しく、製品の品質、特に衛生面においては全く問題ありません。
古来、欧州では天然由来の水を薬の一種として考えており、出来るだけ自然のまま摂取する事が是とされ、現在でも日本の湯治と同じような【ナチュラルミネラルウォーター】をウリにしたサナトリウムも現存します。中世にはペストの大流行などがありましたし、そうした歴史を経て【自然の水】に対する意識・文化が育まれ、それが今日まで引き継がれているのだと思います。
まぁ、それでナニが言いたいかというと・・・
ココまで読んでピンと来た方もいらっしゃると思いますが、欧州産の直輸入されたナチュラルミネラルウォーターは、開栓後に可能な限り短時間で飲み切る必要があります。国産のミネラルウォーターも開栓後は短時間で飲み切ることを推奨していますが、欧州産はそれより更に開栓後の取扱いや飲用方法に留意するべきかと思います。
国産か欧州産かに関係無く開栓後に時間が経過した水は最低一回は沸騰させて飲用するのは常識ですが、一度クチを付けたペットボトルの水は30分以内に飲み切るのが良いようです。
家族構成によっては2リットルのボトルよりも 300ml や 500ml など、子供でも飲みきれるサイズ、持ち出すのに負担にならないサイズを備蓄して置くほうが良いかもしれません。
水の硬度とpH値
どんな水であっても災害時にはその有り難さ、貴重さを痛感するのですが、ご家庭で備蓄する際には水の硬度やpH値についても一応留意して下さい。
水の硬度についてやソレに関係する効能・効果についてもよく知られているかと思いますが、日本のミネラルウォーターは硬度の低い【軟水】が多く、採水地(原産地)によって差はありますが欧州産は硬度が高い【硬水】が多いという話をよく聞きます。
※WHO(世界保健機関)の基準では、【軟水】か【硬水】かは硬度の値が 120mg/L を境に決まるようです。
上の三銘柄は日本でもお馴染みのブランドかと思いますが、ボルヴィック(Volvic)だけは【軟水】で、エヴィアン(evian)とヴィッテル(Vittle)は【硬水】になります。
メジャーなブランドの水に硬水が多いからなのか 『欧州産の水だから硬水…』 という先入観を抱きがちですが、実際にはそんな事はなくてラベルに記載の硬度をチェックしてみると欧州産の【軟水】も意外と多く存在します。
逆に欧州産のミネラルウォーターの中には非常に硬度が高い水も存在し、健康増進やダイエット効果があるとされて国内にも多くのファンがいるようです。
高硬度水:BEST5 (*doorman調べ)
・Ensinger / エンジンガー (1828mg/L)
・Courmayeur / クールマイヨール (1612mg/L)
・Contrex / コントレックス (1468mg/L)
・GEROLSTEINER / ゲロルシュタイナー (1310mg/L)
・BORSEC / ボルセック (1237mg/L)
国内産の水、例えば 「サントリー:南アルプスの天然水」 が硬度:30mg/L 前後、「キリン:アルカリイオンの水」 が 60mg/L 前後なので、それらと比較すると上記の5銘柄がいかに高硬度水であるかがお判りいただけると思います。※「キリン:アルカリイオンの水」はボトルドウォーター
実際にコントレックスは飲み干した後でボトルの底に結晶化したミネラル成分が残るぐらいです。
先述の通り製造過程で加熱殺菌していないので高硬度を維持出来る…ってのもありますが、ここまで高硬度になると水質そのものが特殊だと言えるでしょう。
ただ、高硬度ゆえに高硬度水を飲み慣れていないと体が拒絶反応を示し、成人でも人によってはお腹の具合が悪くなったり、乳幼児が飲用すると内蔵機能障害を起こしたりするので硬度の高い水は【備蓄】には不向きであると言えます。
※含有ミネラル成分の中でもフッ素含有量が多い水のラベルには【対象年齢】が明記されている物もあります。
お茶やコーヒー、料理と相性が良いのは【軟水】なので、大多数のご家庭でも国産の軟水ミネラルウォーターを使用・備蓄しているとは思いますが、高齢者や乳幼児がいる場合には、できるだけ硬度とpH値の低い水を用意しておくのが良いと思います。
しかし、断水が長期に渡って続き、備蓄が底をついて購入に迫られた場合は、水の硬度やpH値、含有ミネラル成分まで吟味して選択・購入できない事も充分起こり得ます。(…ってか、実際に起こりました)
高硬度・高pH値の水しか手に入らない場合、やむを得ず高硬度の水を摂取する場合は、摂取される人に合わせて硬度やpH値を下げる必要があり、それには沸騰させたりコーヒーフィルターを2枚重ねにして透過させるなどの手段があるので是非覚えておいて下さい。
それでもやはり災害時には互助の精神が大事なので、軟水は高齢者や乳幼児に、硬水は健康な成人に…という具合に融通しあうのが理想ですね。
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ナチュラルウォーターの含有ミネラル成分量は、採水地の地質・環境によって変動するので、同じブランドの水でも採水や製造時期(製品ロット)によって違いがあり、硬度を決定付けるカルシウムとマグネシウムの量が変われば水の硬度も変わります。
まとめ
普段は蛇口を捻れば綺麗な水が出ますし、スーパーに行けば大量のペットボトル入り飲料水が販売されています。
街中には自動販売機が溢れ、コンビニなどでも手軽に水が購入出来るようになったのでつい忘れてしまいがちですが、あの日から数十日後には日本中のペットボトル入り飲料水が不足しました。
メーカーは増産の為にペットボトルのキャップの着色や印刷工程を省略して白いキャップのペットボトル入り飲料水を出荷した事も既に忘れられているかもしれません。
希に 『各家庭で水を備蓄しても重い水を持って避難できない』 的な意見を聞きますが・・・
大事なのは災害発生から一時避難後に帰宅できた場合、もしくは自宅待機を強いられるケースで、その際に備蓄した水や食料が無事に残っていれば、ある程度は外部からの救援が無くても凌げる・・・という事です。
少々値が張りますが、長期保存可能なペットボトル入り飲料水も以前より増えて手軽に購入できるようになったので、もう一度【水の備蓄】をチェックしてみては如何でしょう?
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実は色々なミネラルウォーターを調べたり飲み比べたりした時期がありました。
外国産のミネラルウォーターも美味しいのですが、日本にも素晴らしいミネラルウォーターが沢山あります。
その殆どが大規模なTVCMで宣伝される事は無く、知名度も低いのですが、数え切れない(飲み尽くせない)ほどの銘柄(?)が存在します。
中には 『※個人の感想デス』 の注釈を常に画面に表示しつつ宣伝される商品も存在しますが、水そのものに罪はありませんし、飲料水としての品質にも問題は無いハズなので、あとは個人の価値感次第かなと・・・(^^;
↑は、福島県の【awa心水】ですが、割とメジャーな存在かと思います。
※震災前に購入したボトルなので、今はラベルのデザインが変わっているかもしれません。
フランス産炭酸水の【ペリエ】と同じく【awa心水】も天然の炭酸水になりますが、国産の炭酸成分を含んだミネラルウォーターとして非常に貴重な存在だと思います。
綺麗な水が存在するには豊かな自然が不可欠なので【ナチュラルミネラルウォーター】に興味を持ってからは、個人で出来る範囲で自然を大切にするように心懸けています。
もしペットボトル入り飲料水を買う機会があれば、ラベルに記載された採水地やミネラル成分にも是非目を通して下さい。
もしかしたら、 『へぇ、そうなんだ…』 と、改めて気付く事が書いてあるかもしれません・・・(゚ー゚*)。oO
> 実は色々なミネラルウォーターを調べたり飲み比べたりした時期がありました。
私もいろいろ飲み比べて「美味しいかどうか」試してみた時期があります。
メーカーによって結構差があり、我が家のお気に入りは「龍泉洞の水」でした。
飲んで美味しいことはもちろんですが、これで白米を炊くと2ランク高級な米と同じくらい美味しいご飯になります。研ぐとき最初に浸み込ませる水もこれを使います。研いだ後に洗い流すのは普通の水道水です。
大震災により一時期入手出来ないことがありましたが今は普通に購入出来ます。しかし、安売りされることは無くなってしまいました。今ではご飯を炊く時だけ使い、普段飲む水は水道水をポット型濾過装置(現在はBRITAのMAXTRAを愛用)でろ過した水で我慢しています。
こんにちは。
mytoshiさんもハマッていたのですね♪
>我が家のお気に入りは「龍泉洞の水」でした。
聞いたことのあるブランドだったので、個人的に作った水のデータベース(笑)を調べたら登録してありました。
国内産で濾過殺菌というのが珍しく、軟水ですが硬度が高めなので記憶に残っていました。
ミネラルウォーターだとコストが掛かるのですが、美味しい水で飲み物や料理をつくるとヤミつきになりますネ♪
水道水でも浄水器を通すと明らかに変わるので私も使っています。